空き家バンクとは|運営は自治体ごと、全国版に載らない物件もある

空き家バンクは、自治体が空き家の所有者と買いたい・借りたい人をつなぐ仕組みです。全国版空き家・空き地バンクの参加状況(令和8年8月末時点)と、石巻市・信濃町の利用の決まりで、誰が使えるのか、交渉と契約を誰がするのかを確かめました。
空き家バンクは、市区町村などの自治体が、地域の空き家を売りたい・貸したい所有者から物件を登録してもらい、買いたい・借りたい人に情報を出す仕組みです。運営しているのは自治体なので、誰が使えるのか、交渉と契約を誰がするのかは自治体ごとに違います。ここでは、国土交通省の資料と、石巻市(宮城県)・信濃町(長野県)の案内で確かめます。
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空き家バンクを運営しているのは自治体
国土交通省は、空き家バンクを、各自治体が空き家対策の施策の1つとして自発的に構築し開設しているものと説明しています。開設の義務はありません。
国土交通省の「空き家・空き地バンク導入のポイント集」(令和4年6月)によると、令和元年に行ったアンケートでは、約7割、全国1,261の自治体が空き家バンクを設置していました。一方で、特に人口規模の小さい自治体では、予算や人員の不足で設置できていない様子がうかがえる、としています。
目的として、石巻市は本市への移住・定住の促進と地域の活性化を、信濃町は空き家の有効活用を通じた移住・定住の促進と地域の活性化を挙げています。
全国版空き家・空き地バンク
自治体ごとに空き家バンクがあるだけでは、開示する項目がばらばらで探しにくいため、国土交通省は自治体を横断して検索できる全国版空き家・空き地バンクの構築を支援しました。公募で選ばれた株式会社LIFULLとアットホーム株式会社の2社が、平成29年10月に試行運用を始め、平成30年4月から本格運用しています。
国は構築費用の一部を補助しましたが、運営を委託しているのではなく、2社がそれぞれ独立して運営しています。
| 項目 | 令和8年8月末時点 |
|---|---|
| 参加している自治体 | 1,151 |
| そのうち物件を掲載中の自治体 | 744 |
| 市区町村の参画率(全国平均) | 65.3% |
| 成約した物件 | 約27,000件(自治体へのアンケート調査等による) |
参加している自治体と、物件を載せている自治体の数は違います。全国版で町の名前を見つけても、物件が1件も出ないことがあります。
全国版に載らない物件がある
国土交通省のQ&Aによると、全国版に物件を載せるには売りたい・貸したい所有者の同意が要ります。登録のときに同意が得られなかった物件は載らないことがあり、自治体の判断で載せない場合もあります。
物件を出している場所も自治体によって違います。石巻市は全国版のアットホーム版にある石巻市のページに、信濃町は町の移住支援サイトなどに載せています。気になる町があれば、全国版だけで探さず、その町の公式サイトも見てください。
全国版そのものに利用者登録は要りません。ただし、物件がある自治体への登録が必要な場合があります。
誰でも使えるわけではない
国土交通省は、自治体によっては空き家バンクを移住促進のための事業と位置づけ、県外や市町村外からの利用希望者に限っている場合があるとしています。利用の条件は自治体ごとに違います。
石巻市と信濃町の決まりを並べます。
| 項目 | 石巻市(宮城県) | 信濃町(長野県) |
|---|---|---|
| 使える人 | 市内への定住を目的に、空き家を買う・借りる人 | 居住、定期的な滞在その他地域の活性化につながる利用をする人。投資や営利が目的の人は対象外 |
| 事前の手続き | 物件の詳しい情報を見る・内覧するには、利用希望者の登録が要る。市が審査して登録の可否を知らせる | 町が詳しい情報の提供や内見の調整をする場合は、利用申込書兼誓約書を出す |
| 登録できない人・出す書類 | 業として土地建物の売買や媒介をする人、市区町村民税を滞納している人などは登録できない。納税証明書と身分証の写しを付ける | 町の案内ページには記載なし。実施要綱で確かめる |
| 交渉と契約 | マッチングが成立したら、市内の不動産事業者が媒介して契約の手続きをする | 当事者の間で、または媒介事業者を通じて行う |
石巻市は、利用希望者の登録の申請書を、市の移住相談窓口である移住コンシェルジュに出すよう案内しています。
交渉と契約は当事者の責任
国土交通省のQ&Aは、物件の登録にあたって宅地建物取引業者との媒介(仲介)契約を必須にしている自治体もあるとしています。そのうえで、取引の交渉や手続きは当事者の責任で行い、トラブルにも国や運営事業者は一切関与しないと書いています。
自治体も同じです。石巻市の実施要綱は、市長は交渉や媒介契約に関与しないと定めています。信濃町も、売買・賃貸借の交渉、契約、契約後のトラブルには関与しないとしています。
信濃町は、契約には専門的な知識が要るため媒介事業者への依頼をすすめ、依頼した場合は宅地建物取引業法に基づく仲介手数料などがかかると書いています。あわせて次の点を挙げています。
- 物件の状態、設備、法令上の制限などは、契約前に当事者か媒介事業者が確かめる
- 家財道具の撤去、処分、清掃は、所有者・利用希望者・媒介事業者の間で話し合う
- 農地や山林が付いている場合は、別に法令にもとづく手続きが要る場合がある
登録の条件に、その土地の事情が出る
信濃町が空き家バンクに登録できるとしている物件の条件には、建築基準法上の接道があることのほかに、冬に除雪される道路に接していること、自治会などの地域自治組織がある地域にあることが入っています。建物のない空き地は登録できません。
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改修や片付けの補助
信濃町には、空き家バンクに登録する住宅を対象に、次の補助があります。
| 制度 | 内容 | 補助の上限 |
|---|---|---|
| 空き家改修等支援事業補助金 | 空き家バンク登録物件の改修や家財の撤去の費用の一部 | 改修と家財の撤去を合わせて25万円 |
| 空き家賃貸活用促進事業補助金 | 空き家を新たに賃貸住宅として使うための改修や家財の撤去の費用の一部 | 改修と家財の撤去を合わせて130万円 |
信濃町は、対象者や補助額などの要件は制度ごとに違い、工事や撤去を始める前に詳細を確かめるよう案内しています。
国土交通省のポイント集も、空き家バンクへの登録を後押しする策の例として、仲介手数料の補助、改修費用の補助、片付け費用の補助などを挙げています。どれを設けるかは自治体が選ぶものなので、候補の町に何があるかはその町の案内で確かめてください。
探す前に確かめること
- 候補の町に空き家バンクがあるか。設置は自治体の任意
- 物件がどこに載っているか。全国版に参加していても物件を載せていない町がある。町の公式サイトも見る
- 使える人の条件。町外・県外の人に限る、定住が目的の人に限る、投資目的は対象外など
- 事前の登録が要るか。内覧の前に、利用希望者の登録や申込書・誓約書が要る町がある
- 交渉と契約を誰とするか。不動産事業者の媒介が必須の町と、当事者どうしで進められる町がある。町も国も交渉やトラブルには関与しない
- 補助があるか。改修や片付けの補助は、工事や撤去を始める前に条件を確かめる
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本記事は、国土交通省の空き家・空き地バンク総合情報ページと添付資料(令和8年8月末時点)、石巻市・信濃町の公表資料をもとにしています(2026年10月5日確認)。参加自治体の数や各自治体の決まりは変わることがあります。最新の情報は各自治体の案内で確かめてください。
よくある質問
Q.空き家バンクは誰が運営していますか。
A.市区町村などの自治体です。国土交通省は、各自治体が空き家対策の施策の1つとして自発的に開設しているものと説明しています。全国版空き家・空き地バンクは、株式会社LIFULLとアットホーム株式会社の2社が独立して運営しており、国は構築費用の一部を補助しました。
Q.全国版空き家・空き地バンクにはいくつの自治体が参加していますか。
A.国土交通省によると、令和8年8月末時点で1,151自治体が参加し、そのうち744自治体が物件を掲載しています。市区町村の参画率は全国平均で65.3%です。
Q.町の空き家バンクにある物件が、全国版に載っていないのはなぜですか。
A.全国版に載せるには、売りたい・貸したい所有者の同意が要るためです。登録のときに同意が得られなかった物件や、自治体の判断で載せない物件があります。気になる町は、その町の公式サイトも見てください。
Q.空き家バンクの物件は誰でも買ったり借りたりできますか。
A.自治体によって違います。県外や市町村外からの利用希望者に限る自治体があります。石巻市は市内への定住を目的とする人を対象とし、信濃町は投資や営利が目的の人を対象外としています。
Q.空き家バンクで見つけた物件の交渉は、自治体がしてくれますか。
A.しません。国土交通省は、交渉や手続きは当事者の責任で行い、トラブルにも国や運営事業者は関与しないとしています。石巻市・信濃町とも、交渉や契約には関与しないと定めています。不動産事業者の媒介を必須にしている自治体もあります。





