北海道に夏だけ住む|「ちょっと暮らし」と二地域居住という選び方
北海道に夏だけ住む、二地域居住から始めるという方法を、道の移住体験「ちょっと暮らし」の実績とアンケート結果から整理します。費用と期間の目安まで。
北海道に移り住むかどうかを、いきなり決める必要はありません。北海道には道内の市町村が運営する移住体験住宅「ちょっと暮らし」があり、令和6年度は3,149件・5,951人が利用しました。しかも道の調査では、完全移住を考えている人より、二地域居住を考えている人のほうが多いという結果が出ています。北海道が公表している実績とアンケートから整理します。
「ちょっと暮らし」とは
道内の市町村等が運営主体となり、北海道への移住や二地域居住を希望する人に対して、生活に必要な家具や家電を備え付けた住宅を用意し、その地域での生活を体験してもらう制度です。
令和6年度(令和6年4月1日から令和7年3月31日)の実績は次のとおりです。
| 項目 | 令和6年度 | 対前年度比 |
|---|---|---|
| 利用件数 | 3,149件 | 113.3% |
| 利用者数 | 5,951人 | 120.2% |
| 滞在日数 | 115,046日 | 122.5% |
| 平均滞在日数 | 19.3日 | 101.7% |
106市町村で実施し、95市町村で実績がありました。平均滞在日数は19.3日で、3週間ほど暮らしてみるのが標準的な使われ方です。
利用は伸び続けています。平成19年度の利用者は616人でしたが、令和6年度は5,951人で約10倍になりました。滞在日数も13,346日から115,046日へ増えています。
利用者の居住地は首都圏が1,577件・2,911人と全体の49%を占め、次いで近畿圏713件、中京圏207件です。3大都市圏で約8割になります。
夏に人が集まる|釧路市が利用者の47%
利用先には偏りがあります。令和6年度の利用者数上位は次のとおりです。
| 順位 | 市町村 | 利用者数 |
|---|---|---|
| 1 | 釧路市 | 2,797人 |
| 2 | 厚沢部町 | 547人 |
| 3 | 清水町 | 199人 |
| 4 | 浦河町 | 188人 |
| 5 | 東川町 | 120人 |
| 6 | 上士幌町 | 116人 |
| 7 | 南幌町 | 90人 |
| 8 | 紋別市 | 87人 |
| 9 | 日高町 | 77人 |
| 10 | 長沼町 | 68人 |
釧路市だけで2,797人、全体5,951人の47%を占めます。滞在日数でも30,572日と突出しています。
理由は気候です。気象庁の平年値で釧路の8月の平均気温は18.2℃(日最高21.5℃)で、東京の26.9℃(日最高31.3℃)より8.7℃低い水準です。7月は平均16.1℃とさらに低くなります。本州の猛暑を避けて夏を過ごす場所として選ばれています。
道のアンケートでも、その市町村を選んだ理由の上位は次のとおりでした(複数回答・回答数455)。
| 理由 | 割合 |
|---|---|
| 雄大な自然を楽しめる | 66% |
| 夏の冷涼な気候 | 42% |
| 新鮮な食材を堪能できる | 27% |
| 広い土地・住宅で生活できる | 22% |
| 交通の利便性が高い | 17% |
| 街並み・景観が魅力的 | 16% |
| スギ花粉などのアレルギーの心配がない | 6% |
「夏の冷涼な気候」が2位で42%です。「スギ花粉などのアレルギーの心配がない」という北海道ならではの理由も挙がっています。
なお滞在日数で見ると2位は東川町(10,068日)で、利用者120人に対して1人あたり約84日と長期です。3位の秩父別町6,977日も同様で、市町村によって使われ方が違います。
完全移住は3割|二地域居住のほうが多い
道が実施した利用者アンケート(令和6年度・回収424名)で、北海道への移住についての回答は次のとおりでした(複数回答)。
| 回答 | 割合 |
|---|---|
| 完全移住は考えず、二地域居住を考える | 33% |
| 完全移住を考えている | 29% |
| 完全移住は考えず、シーズンステイを考える | 26% |
| 完全移住は考えず、ワーケーションを考える | 8% |
| 考えていない | 8% |
道は「約3割の方が移住を考えている。また、完全移住は考えず、二地域居住・シーズンステイを考える方が約6割」とまとめています。
年代で傾向がはっきり分かれます。
| 年代 | 完全移住 | 二地域居住 | シーズンステイ |
|---|---|---|---|
| 20代以下 | 35% | 10% | 20% |
| 30代 | 27% | 23% | 24% |
| 40代 | 31% | 24% | 23% |
| 50代 | 27% | 40% | 19% |
| 60代 | 12% | 36% | 46% |
| 70代以上 | 7% | 34% | 53% |
40代までは完全移住が最も多いのに対し、60代以上ではシーズンステイが最多になります。70代以上では完全移住7%に対しシーズンステイ53%と、7倍以上の開きです。
利用者の年齢構成そのものも、60代19%+70代以上33%で60代以上が52%を占めます。利用形態は夫婦43%、家族27%、一人26%でした。
利用の目的
利用目的は次のとおりです(複数回答)。
| 目的 | 令和6年度 | 令和5年度 |
|---|---|---|
| シーズンステイ | 48% | 47% |
| 二地域居住地探し | 42% | 36% |
| 移住候補地探し | 37% | 37% |
| ワーケーション | 13% | 13% |
| 観光 | 12% | 11% |
「二地域居住地探し」が36%から42%へ増えています。 道もこの点を「二地域居住地探しを目的とする割合が増加している」と指摘しています。
年齢別では、60代以上はシーズンステイを目的とする利用が多く、若い層は二地域居住・移住候補地探しが多い傾向です。
満足度と、繰り返しの利用
制度の評価も公表されています。
- 満足度は5点満点で平均4.4点。「大変満足」56%+「満足」29%で85%
- 同じ市町村でもう一度利用したい:84%
- 別の市町村でも利用したい:57%
- これまでに「ちょっと暮らし」を利用した経験がある人:50%
利用経験者が半数を占め、8割以上が同じ市町村での再訪を希望しています。1回で終わらず、何度か通ってから決めるという使われ方が定着していることが読み取れます。
滞在で得られた情報は、地域の生活情報76%、気候等の地域情報61%、地域の交通情報44%、人柄などの地域性43%、医療施設などの公共施設の情報30%でした。移住の不安として挙げられがちな地域の人間関係も、滞在すればある程度は見えるということです。
使い方
- 道の移住定住ポータルサイトで実施市町村を探す。令和6年度は106市町村が実施しています
- 滞在期間を決める。平均は19.3日です。数日では生活は見えません
- 夏だけでなく冬も試す。夏の涼しさで決めて、1月の積雪137センチメートル(札幌の平年値)で想定が狂うのは避けたいところです
- 複数の市町村を試す。利用者の57%が別の市町村でも利用したいと答えています
- 完全移住以外の選択肢を持つ。二地域居住33%、シーズンステイ26%という結果は、北海道との関わり方が1つではないことを示しています
利用料金や申込方法は市町村ごとに異なります。道のポータルサイト「北海道で暮らそう!」から各市町村の情報を確認してください。
完全移住を考える場合の条件は北海道移住の始め方に、支援金は北海道の移住支援金にまとめています。
本記事の数字は、北海道と気象庁が公表している資料によります。時点を本文に記していますので、判断するときは最新の公表値で確かめてください。
よくある質問
Q.北海道に夏だけ住むことはできますか。
A.できます。道内の市町村が運営する移住体験住宅「ちょっと暮らし」があり、令和6年度は106市町村で実施、3,149件・5,951人が利用しました。平均滞在日数は19.3日です。家具や家電が備え付けられた住宅を使います。
Q.どこが人気ですか。
A.令和6年度の利用者数は釧路市が2,797人で、全体5,951人の47%を占めます。次いで厚沢部町547人、清水町199人、浦河町188人、東川町120人です。滞在日数では釧路市30,572日、東川町10,068日の順になります。
Q.なぜ釧路市に集まるのですか。
A.夏が涼しいためです。気象庁の平年値で釧路の8月の平均気温は18.2℃、日最高でも21.5℃で、東京の26.9℃・日最高31.3℃より8.7℃低くなります。道のアンケートでも市町村を選んだ理由の2位が「夏の冷涼な気候」42%でした。
Q.完全に移住しなくてもいいのですか。
A.道のアンケート(令和6年度・回収424名)では、完全移住を考えている人は29%で、二地域居住を考える人33%のほうが多い結果でした。シーズンステイ26%を含めると、完全移住以外を考える人が約6割になります。
Q.どんな年代が利用していますか。
A.60代19%と70代以上33%で、60代以上が52%を占めます。利用形態は夫婦43%、家族27%、一人26%です。40代までは完全移住を考える人が最多ですが、60代以上ではシーズンステイが最多になります。
Q.満足度はどれくらいですか。
A.5点満点で平均4.4点、「大変満足」と「満足」を合わせて85%でした。同じ市町村でもう一度利用したいと答えた人は84%、別の市町村でも利用したい人は57%です。利用経験者が半数を占めます。
Q.滞在するとどんなことが分かりますか。
A.道のアンケートでは、地域の生活情報76%、気候等の地域情報61%、地域の交通情報44%、人柄などの地域性43%、医療施設などの公共施設の情報30%が得られたと回答されています。