北海道移住の始め方|物価・仕事・支援金・気候を公的データで整理
北海道への移住を、物価・求人倍率・移住支援金・気候の公的データから整理します。179市町村のどこを選ぶか、完全移住と二地域居住のどちらにするかまで。
北海道への移住を考えるとき、最初に崩しておいたほうがよい前提があります。「北海道は物価が安い」という話です。総務省の統計で確かめると、家賃を除いた物価は全国で最も高いのが北海道でした。一方で移住支援金の対象は179市町村のうち140市町村と、全国でも屈指の手厚さです。公的な統計と北海道の公式情報から順に整理します。
物価|家賃を除くと全国1位
総務省が公表している消費者物価地域差指数(小売物価統計調査 構造編・2024年結果)で、北海道の指数は次のようになっています。全国平均を100とした値です。
| 費目 | 北海道の指数 | 47都道府県中の順位 |
|---|---|---|
| 総合 | 101.9 | 3位 |
| 家賃を除く総合 | 103.0 | 1位 |
| 食料 | 102.3 | 6位 |
| 光熱・水道 | 119.6 | 1位 |
| 家具・家事用品 | 101.6 | 13位 |
| 住居 | 87.1 | 36位 |
読み取れることは2つです。
第一に、家賃を除いた物価は北海道が全国で最も高い。総合でも3位です。「地方は物価が安い」という一般論は北海道には当てはまりません。
第二に、突出しているのは光熱・水道の119.6です。全国平均を約2割上回り、これも全国1位でした。冬の暖房費がそのまま指数に出ています。
安いのは住居の87.1(36位)だけです。つまり北海道は「家賃は安いが、暖房費と食費は高い」という構造になっています。家賃が下がった分を光熱費が食べる形で、家計全体では思ったほど楽になりません。
気候|1月の札幌は平均マイナス3.2℃
気象庁の平年値(1991年から2020年の30年平均)で札幌を見ると、次のとおりです。
| 項目 | 札幌の平年値 |
|---|---|
| 年平均気温 | 9.2℃ |
| 1月の平均気温 | −3.2℃(日最高−0.4℃・日最低−6.4℃) |
| 8月の平均気温 | 22.3℃(日最高26.4℃) |
| 年降水量 | 1,146.1ミリ |
| 1月の最深積雪 | 137センチメートル |
| 年間の降雪の深さ合計 | 479センチメートル |
1月は日最高気温でも氷点下です。真冬日(最高気温が0℃未満の日)が続きます。積雪は1月に平年で137センチメートルに達し、年間の降雪量は479センチメートルあります。除雪は生活の一部になります。
一方、夏は過ごしやすい数字です。8月の平均22.3℃は東京の26.9℃より4.6℃低く、道東ではさらに下がります。釧路の8月は平均18.2℃(日最高21.5℃)で、東京より8.7℃低い水準です。この涼しさが移住の動機になっている人は少なくありません。詳しくは北海道に夏だけ住むにまとめました。
仕事|求人倍率は全国を下回り、札幌ほど低い
北海道労働局が公表している安定所別の月間有効求人倍率(常用)で、令和7年度は次のようになっています。
| 区分 | 有効求人倍率(常用・令和7年度) |
|---|---|
| 全国 | 1.10倍 |
| 全道 | 0.91倍 |
| 札幌東 | 0.67倍 |
| 札幌北 | 0.79倍 |
| 札幌 | 0.91倍 |
| 岩内 | 1.79倍 |
| 根室 | 1.56倍 |
| 紋別 | 1.56倍 |
| 浦河 | 1.54倍 |
全道0.91倍は全国の1.10倍を下回ります。 しかも令和元年度の1.19倍から5年連続で下がっています。
分布に特徴があります。最も低いのは札幌圏で、札幌東0.67倍、札幌北0.79倍です。逆に岩内1.79倍、根室1.56倍、紋別1.56倍と、地方部のほうが高くなっています。「札幌に住みたい」という希望と「仕事を見つけたい」という希望は、統計の上では逆を向きます。詳しくは北海道移住の仕事の探し方にまとめています。
支援金|179市町村のうち140が対象
条件のよい面もはっきりしています。
東京圏からの移住に最大100万円が支給される移住支援金(北海道UIJターン新規就業支援事業)は、179市町村のうち140市町村が対象です(令和8年4月1日時点)。札幌市も入っています。
比較として、沖縄県は41市町村のうち5市町村しか実施していません。北海道の78%という実施率は全国でも高い部類で、「移住支援が手厚い」という評判には裏付けがあります。
| 区分 | 金額 |
|---|---|
| 2人以上の世帯 | 100万円 |
| 単身 | 60万円 |
| 18歳未満の世帯員を帯同 | 1人につき100万円を加算 |
要件と申請の流れは北海道の移住支援金にまとめました。予算の範囲で実施されるため、東川町のように年度途中で上限に達する市町村もあります。
住まいの面では、道が北海道空き家情報バンクを運営しています。登録物件数は552件(試験運用期間中)で、市町村ごとの空き家バンクへの入口もまとめられています。
移住のかたち|完全移住は3割
見落とされやすい事実があります。北海道に関心を持つ人の多くは、完全移住を考えていません。
道が実施した移住体験「ちょっと暮らし」の利用者アンケート(令和6年度・回収424名)では、北海道への移住について次の回答でした(複数回答)。
| 回答 | 割合 |
|---|---|
| 完全移住は考えず、二地域居住を考える | 33% |
| 完全移住を考えている | 29% |
| 完全移住は考えず、シーズンステイを考える | 26% |
| 完全移住は考えず、ワーケーションを考える | 8% |
| 考えていない | 8% |
完全移住は29%で、二地域居住33%を下回ります。 道は「完全移住は考えず、二地域居住・シーズンステイを考える方が約6割」とまとめています。
年齢によって傾向がはっきり分かれます。
| 年代 | 完全移住 | 二地域居住 | シーズンステイ |
|---|---|---|---|
| 40代 | 31% | 24% | 23% |
| 50代 | 27% | 40% | 19% |
| 60代 | 12% | 36% | 46% |
| 70代以上 | 7% | 34% | 53% |
40代までは完全移住が最多ですが、60代以上ではシーズンステイが逆転します。 冬を本州で過ごし、夏を北海道で過ごすという形です。
進める順番
以上をふまえると、確かめる順序は次のようになります。
- 完全移住か、二地域居住かを決める。必要な準備も費用もまったく違います
- 仕事を先に決める。全道0.91倍で、札幌圏はさらに低い水準です
- 移住支援金の対象市町村か確かめる。140市町村が対象ですが、要件を市町村が独自に定めている場合があります
- 光熱費を家計に織り込む。光熱・水道の物価指数は全国1位です
- 短期滞在で冬を体験する。夏だけを見て決めると1月の積雪137センチメートルで想定が狂います
- 住まいを探す。道の空き家情報バンクと市町村の空き家バンクが入口になります
北海道は道が移住定住ポータルサイト「北海道で暮らそう!」を運営しており、市町村ごとの支援制度をまとめて確認できます。
「やめとけ」と言われる理由を統計で確かめたものはこちらに、地域おこし協力隊という入り方は北海道の地域おこし協力隊にまとめています。
本記事の数字は、総務省・気象庁・北海道労働局・北海道が公表している資料によります。時点を本文に記していますので、判断するときは最新の公表値で確かめてください。
よくある質問
Q.北海道は物価が安いですか。
A.安くありません。総務省の消費者物価地域差指数(2024年結果)で北海道の総合は101.9で全国3位、家賃を除く総合は103.0で全国1位です。とくに光熱・水道は119.6で全国1位、全国平均を約2割上回ります。安いのは住居87.1(36位)だけです。
Q.北海道に移住支援金はありますか。
A.あります。179市町村のうち140市町村が対象で(令和8年4月1日時点)、札幌市も含まれます。2人以上の世帯100万円、単身60万円、18歳未満の世帯員1人につき100万円を加算します。
Q.北海道は仕事が見つかりますか。
A.北海道労働局の令和7年度の有効求人倍率(常用)は全道0.91倍で、全国の1.10倍を下回ります。しかも札幌東0.67倍、札幌北0.79倍と札幌圏が最も低く、岩内1.79倍、根室1.56倍と地方部のほうが高い分布です。
Q.北海道の冬はどれくらい寒いですか。
A.気象庁の平年値で札幌の1月は平均マイナス3.2℃、日最高でもマイナス0.4℃と氷点下です。1月の最深積雪は137センチメートル、年間の降雪の深さは479センチメートルあります。
Q.北海道の夏は涼しいですか。
A.涼しい部類です。札幌の8月の平均気温は22.3℃で東京の26.9℃より4.6℃低く、釧路は18.2℃と東京より8.7℃低くなります。この涼しさを目的にした移住体験の利用が多くあります。
Q.完全に移り住まなくてもいいのですか。
A.道の移住体験アンケート(令和6年度・回収424名)では、完全移住を考えている人は29%で、二地域居住33%のほうが多くなっています。60代では完全移住12%に対しシーズンステイが46%、70代以上では7%対53%と逆転します。
Q.家はどうやって探しますか。
A.北海道が運営する北海道空き家情報バンク(登録物件552件・試験運用期間中)と、各市町村の空き家バンクが入口になります。道の移住定住ポータルサイト「北海道で暮らそう!」から市町村ごとの支援制度も確認できます。
参考にした公式ページ
- 消費者物価地域差指数-小売物価統計調査(構造編)2024年(令和6年)結果(総務省統計局)
- 札幌(北海道)平年値(年・月ごとの値)|気象庁
- 釧路(北海道)平年値(年・月ごとの値)|気象庁
- 安定所別月間有効求人倍率(常用)の推移|厚生労働省北海道労働局
- 移住支援金特設ページ(移住者向け)北海道【UIJターン新規就業支援事業】
- 移住支援金関係市町村担当窓口(令和8年4月1日)|北海道
- 令和6年度「ちょっと暮らし」利用者アンケート調査結果|北海道
- 北海道の「移住・定住」に関する調査結果|北海道
- 移住定住ポータルサイト|北海道
- 北海道空き家情報バンク
情報は変わることがあります。最新の内容は各公式ページでご確認ください。