長野市の地域おこし協力隊|任期を終えた41人のうち40人が市内に定住

長野市は平成26年度から73人の協力隊を任用し、3年の任期を満了した41人のうち40人が市内に定住したと公表しています。地区ごとの枠と条件、応募に必須の「おためし協力隊」をまとめます。
長野市は人口およそ37万人の中核市です。それでも市のパンフレットによると、市域のおよそ4分の3は中山間地域です。市はこの中山間地域を中心に、平成26年度から地域おこし協力隊を受け入れ、これまでに73人を任用しました。そして、3年間の任期を満了した41人のうち40人が、引き続き市内に定住した(任期終了時点)と公表しています。長野市・長野県・総務省の公表資料をもとにまとめます。
なぜ中山間地域に置くのか
市のパンフレット(令和8年4月現在)は、協力隊を導入した理由を次のように説明しています。
- 平成の大合併で、市域のおよそ4分の3が中山間地域になった
- 人口およそ37万人のうち、中山間地域に住むのはおよそ3万人
- 中山間地域は、急速な過疎化と少子高齢化、有害鳥獣の被害、コミュニティ存続の危機といった課題を抱えている
- 市は「やまざと振興計画」をつくり、その取り組みの一環として協力隊を中山間地域を中心に置いている
いまは農業分野に限って、協力隊を置く範囲を市内全域に広げています。
隊員数
隊員数は、資料によって数え方が違います。
- 総務省の集計…令和6年度17人、令和7年度15人(1年間を通して活動した人の数)
- 市のパンフレット…令和7年度末の時点で12人
- 市のパンフレットと長野県の一覧…令和8年4月1日現在で11人
市のパンフレットには、平成26年度からの年度末時点の隊員数も載っています。いちばん多かったのは平成28年度の25人です。令和8年4月1日現在の11人は、市内7地区で活動しています。
県全体の動きは長野県の地域おこし協力隊にまとめています。
地区ごとに決めるミッション
長野市は、地区ごとに協力隊に取り組んでもらう業務(ミッション)を決めてから、隊員を募集しています。令和8年4月1日現在の隊員の活動内容は、たとえば次のとおりです。
- 若穂地区…りんご・ぶどうなど地域特産の果樹を使った新商品の開発
- 信更地区…やまのぶりんごの栽培と、あっぷるパイの販路拡大
- 篠ノ井地区…ワインブドウの栽培の振興
- 川中島地区…川中島白桃などの特産果樹のブランド拡大
- 松代地区…アンズの栽培技術の習得と、あんずまつりなどの宣伝
- 戸隠地区…戸隠産の大豆の振興と「戸隠おろし」の生産・販売。別の隊員は戸隠産の肉牛の振興と有害鳥獣の捕獲
- 信州新町地区…日本酒造りの実践と、パドルスポーツなどの犀川リバーツーリズムの運営
任期後の進路
冒頭の「41人のうち40人」は、3年間の任期を満了した人を対象にした数字で、定住しているかどうかは任期が終わった時点で数えています。
一方、長野県の「県内の地域おこし協力隊募集情報」のページの長野市の欄には、「退任後70%以上が引き続き市内に定住」と書かれています。こちらは対象の範囲が書かれていません。2つの数字は同じものを数えているとは限らないので、引用するときは基準を添えてください。
市のパンフレットには、任期を終えた隊員の進路の例が載っています。
- 小田切地区…空き施設を使った生ハム製造に取り組み、生ハム加工の事業で起業
- 戸隠地区…戸隠竹細工の技術を受け継ぎ、竹細工教室で起業
- 浅川地区…ワイン用ブドウ畑の開墾と栽培から、ワイン用ブドウで就農
- 若穂地区…ジビエ振興と有害鳥獣対策から、ゲストハウスで起業
- 鬼無里地区…地元の直売所の活動支援から、移動クレープ販売で起業
- 川中島地区…特産果樹の栽培振興から、ももで就農
任期後の起業には、市の「長野市地域おこし協力隊起業支援補助金」があります。市内で起業し、中山間地域などの活性化に役立つと認められる事業が対象で、起業に要する設備費・備品費などを上限100万円(補助率10分の10以内)まで補助します。パンフレットには、令和8年1月現在、任期を終えて定住した隊員のうち31人がこの補助金を使ったと書かれています。任期後のしくみ全体は協力隊の任期後にまとめています。
直近の募集(令和9年1月採用・受付終了)
令和8年6月から8月にかけて、令和9年1月採用の協力隊を3地区で1人ずつ募集しました(いまは受付を終えています)。3つの地区で、仕事の中身がまったく違います。
戸隠地区(そば打ち職人)
- 戸隠そば打ち職人になるための技術を身につけ、戸隠そばを通じて地区の観光PRに寄与する
- 戸隠そば博物館「とんくるりん」でそば打ちを修行しながらスタッフとして働く
- 冬は戸隠観光協会のそば打ち教室や、スキー場のレストランでそばを打つ予定
- 退任後に地区のそば打ち職人として働ける人を求めている
大岡地区(花き農家)
- 大岡地区で受け継がれてきた花き栽培を継承し、自立した花き農家を目指す
- 県内でも指導的な立場にいる地域のベテラン農家が、基礎から栽培技術を教える
- これまで使われてきた農地や機械は譲渡が可能とされ、就農の初期投資を抑えられる
- 地区は聖山のふもと、標高400メートルから1,000メートルに集落が点在する。パンフレットには「地域人口の3割は移住者」と書かれている
信州新町地区(地域の困りごと)
- 草刈り、支障木の伐採、除雪など地域の環境整備
- 猟友会の一員として有害鳥獣対策に取り組む
- 任期中に車両系建設機械運転技能講習、大型特殊免許、狩猟免許の取得を予定
応募に必須の「おためし協力隊」
長野市の協力隊に応募するには、「おためし地域おこし協力隊」への参加が必須です。募集地区を2泊3日で訪ね、現役の隊員に話を聞き、ミッションを体験する見学・体験会です。参加費は無料で、長野市までの交通費は自己負担です。
市のパンフレットは、必須にしている理由を「採用後の『イメージと違った』をなくすため」と書いています。プランの例は次のとおりです。
- 1日目…制度の説明、現役隊員の活動の視察、OB・OG隊員との面会、OB隊員が経営するゲストハウスに宿泊
- 2日目…希望の地区でミッションを体験、地区の住民との懇談
- 3日目…市内の移住者や起業した人との面会、地区の散策
報酬と待遇
令和9年1月採用の募集要領に書かれていた条件です。
- 形態…市の会計年度任用職員(パートタイム)。1年ごとに再任でき、通算で最長3年
- 勤務…1日7時間(8時30分から16時30分)。休みは土日と祝日。休日にイベントなどで勤務した場合は別の日に振り替え
- 報酬…月額平均220,000円程度。社会保険と雇用保険に加入し、ここから保険料などが引かれる
- 報酬はその月の実績に応じて翌月に払われるため、着任して2か月目から支給される
- 時間外勤務や休日勤務の報酬はなく、振替の休みで対応する
- 期末手当と勤勉手当が6月と12月にある。在職期間によって変わり、最大4.65か月分
- 家賃は予算の範囲内で市が負担。敷金、引っ越しの費用、生活用品、光熱水費は自己負担
- 活動に使う車両は市が貸与する。ただし私用には使えないため、自家用車を用意するよう勧めている
- 年次休暇は年20日(初年度は10日)
- 勤務時間外に営利企業で働くことは、届け出たうえで協力隊の業務に影響がない場合に限り可能
- 応募は、令和9年1月1日現在でおおむね50歳未満の人
雇われる形の協力隊と、委託・委嘱の形の協力隊では、保険と税金の扱いが違います。違いは協力隊の社会保険と確定申告にまとめています。
問い合わせ先
問い合わせ先は長野市 地域・市民生活部 地域活動支援課(長野市大字鶴賀緑町1613番地、電話026-224-5033)です。次の募集の時期と地区は、市の公式ホームページで確認してください。
協力隊の制度そのもののしくみは地域おこし協力隊とはにまとめています。
この記事は長野市・長野県・総務省の公表資料をもとに作成しています。募集する地区、報酬、住まいの扱い、募集の有無は変わることがあります。最新の情報は必ず長野市の公式ホームページで確認してください。
よくある質問
Q.長野市の協力隊は任期後に定住していますか。
A.市のパンフレットによると、平成26年度から73人を任用し、3年間の任期を満了した41人のうち40人が、引き続き市内に定住しました(任期終了時点)。長野県のページの長野市の欄には「退任後70%以上が引き続き市内に定住」とも書かれていますが、こちらは対象の範囲が書かれていません。
Q.長野市の協力隊の報酬はいくらですか。
A.令和9年1月採用の募集要領では、月額平均220,000円程度です。社会保険と雇用保険に加入し、ここから保険料などが引かれます。報酬は翌月払いのため、着任2か月目から支給されます。期末手当と勤勉手当が6月と12月にあり、最大4.65か月分です。
Q.応募の前に何が必要ですか。
A.長野市が主催する2泊3日の「おためし地域おこし協力隊」への参加が必須です。参加費は無料で、長野市までの交通費は自己負担です。市は、採用後の「イメージと違った」をなくすために必須にしていると説明しています。
Q.住まいと車はどうなりますか。
A.家賃は予算の範囲内で市が負担し、活動に使う車両は市が貸与します。貸与する車両は私用に使えないため、市は自家用車を用意するよう勧めています。敷金、引っ越しの費用、光熱水費は自己負担です。
Q.任期後の起業に使える制度はありますか。
A.長野市地域おこし協力隊起業支援補助金があり、市内で起業する事業の設備費・備品費などを上限100万円まで補助します。市のパンフレットでは、令和8年1月現在、任期を終えて定住した隊員のうち31人が使ったとされています。
参考にした公式ページ
- 令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について(総務省)
- 令和6年度 地域おこし協力隊の隊員数等について(総務省)
- 県内の地域おこし協力隊受入状況 自治体別 令和8年4月1日現在(長野県)
- 県内の地域おこし協力隊募集情報(長野県)
- 令和9年1月採用長野市地域おこし協力隊員募集|長野市
- 長野市地域おこし協力隊募集要領(PDF)|長野市
- 長野市地域おこし協力隊募集パンフレット(PDF)|長野市
- 長野市地域おこし協力隊|長野市
- 地域おこし協力隊活動内容 令和8年4月1日現在(PDF)|長野市
- 地域おこし協力隊パンフレット 令和8年4月1日現在(PDF)|長野市
情報は変わることがあります。最新の内容は各公式ページでご確認ください。


