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飯綱町の地域おこし協力隊|委託型の条件と、町が公表した運営の課題

約6分で読めます執筆: TownHub編集部
飯綱町の地域おこし協力隊。全員が委託型で、町は運営の課題を公表し支援を外部に委託した

県内有数の人数を受け入れてきた飯綱町について、委託型の条件と活動分野、町自身が公表した運営の課題と支援の外部委託をまとめます。

飯綱町は長野県の北部にある、りんごづくりが盛んな町です。この町は令和7年度、長野県内で2番目に多い地域おこし協力隊を受け入れていました。町の協力隊には、ほかの自治体の募集ページからは見えない特徴があります。隊員は全員が委託型であること、そして町が自分の協力隊の運営の課題を公文書に書き出し、令和8年度から支援を外部に委託したことです。飯綱町と長野県、総務省の公表資料をもとにまとめます。

県内有数の受入人数

総務省が令和8年4月24日に公表した令和7年度の集計では、飯綱町の隊員数は21人です。長野県内では伊那市の22人に次いで多く、東御市と並びます。町は令和7年7月のお知らせで、令和7年4月1日現在で県内の市町村として最多の隊員数だったとしています。

飯綱町の協力隊は平成27年度から活動を始めました。町の紹介ページ(令和8年8月18日掲載)には、これまでに合計45人が着任し、令和8年6月1日時点で18人が活動していると書かれています。

ただし人数は資料と時点によって動きます。

  • 総務省の令和7年度の集計(1年間を通した数)…21人
  • 町のお知らせ(令和7年7月1日現在)…21人
  • 町の活動報告会の資料(令和8年1月1日時点)…16人
  • 長野県の一覧(令和8年4月1日現在)…16人
  • 町の紹介ページ(令和8年6月1日時点)…18人

また、これまでの着任者の累計は、町の活動報告会の資料では「平成27年度から32人」(令和8年1月1日時点)、町の紹介ページでは「合計45人」となっていて、一致しません。どちらかが誤りと判断できる材料は公表されていないため、ここでは両方を示しておきます。

全員が委託型で、条件はそろえてある

町の移住定住支援サイトは、協力隊の条件を次のように示しています。

  • 委託料…月額266,000円
  • 活動費…年間最大200万円

町の隊員名簿の表題は「飯綱町委託型地域おこし協力隊 名簿」で、令和8年6月1日現在の18人が全員この名簿に載っています。

委託型は、町に雇われる形ではありません。一般には健康保険や年金を自分で手続きし、所得税の確定申告も自分で行います。 町が毎月開いている協力隊の定例会では、これまでに確定申告セミナーも開いてきたと町の資料にあります。月額266,000円は、社会保険料や税を自分で納める前の額として読んでください。

住居や車の扱い、副業の可否は、この条件の表示には書かれていません。業務ごとの募集要項で確認してください。

任期について、名簿には「最長3年」に「休業期間は除く」と添えられています。休業した期間は任期に数えない扱いで、名簿にも休業を経て活動を続けている隊員がいます。

どんな活動をしているのか

令和8年6月1日現在の名簿に載っている18人の活動は、1人ずつ違います。

  • 創業の相談受付と伴走支援、起業に関する講座の企画
  • 町のふるさと振興公社での新規就農に向けた栽培技術の習得(主にりんご)
  • 「地域支え合い活動ガイド」の作成、ボランティア団体の支援
  • 国際交流・グローバル化推進の企画運営、英語での町の魅力発信
  • ふるさと納税と連動した事業企画、「感謝りんご」の発送やPRのサポート
  • 観光誘客とイベントの企画運営
  • 給食コーディネーター(地場の農産物を学校給食に届ける取り組みの支援)
  • 移住体験用住宅の利用者へのインタビューと発信
  • 有害鳥獣対策(捕獲や管理技術の習得、利活用の調査)
  • りんご学校の運営と農家民泊のサポート
  • 関係人口づくりのための体験コンテンツのメニュー化
  • 町の魅力や歴史の映像制作と、子ども向けの映像制作教室
  • 空き家バンクの運営、空き店舗の活用推進
  • いいづなアップルミュージアムの展示・企画・発信の強化
  • 移住を考える人の相談対応

所管する部署も、企画係、農政係、商工観光係、福祉係、耕地林務係、地域活性化推進室などに分かれています。1つの課がまとめて受け入れる形ではなく、町役場のあちこちの部署が、それぞれの課題に合わせて隊員を置いていることが分かります。

町が公表した「運営の課題」

飯綱町でいちばん特徴的なのはここです。

令和8年6月、町は「飯綱町地域おこし協力隊募集及び活動支援業務」を公募型プロポーザルで委託先を募りました。その質問回答書のなかで、町は現在把握している主な課題を次のように書いています。

  • 制度や行政の仕事の進め方への理解不足…一部の隊員で、制度の趣旨や手続き・報告などの進め方、公務としての注意点の理解が十分でない場合があり、担当職員の負担が増えている
  • ミッションや成果目標のあいまいさ…ミッションの具体化や成果目標・指標の設定が不十分な場合があり、活動の方向性や成果が見えにくいことがある
  • 地域との関係づくりと期待値の調整の難しさ…関係づくりが進みにくい場合や、住民の側に過度な期待が生じる場合がある
  • 任期後のキャリア・定着支援の弱さ…任期後を見据えた就業・起業などのキャリアづくりや、地域への定着に向けた支援が十分でない

令和8年3月の活動報告会の資料でも、町は現状の課題として「隊員数増加に伴う個別伴走支援の強化」「隊員同士の横連携・情報共有の仕組み」「任期終了後の出口支援の充実」を挙げていました。

受け入れる側が、自分たちの運営のうまくいっていないところをここまで具体的に書いて公開しています。応募を考える人にとっては、着任後に何が起きやすいのかを事前に知ることができる資料です。

募集と活動支援を外部に委託した

町はこの課題に対して、隊員の募集と着任後の支援を外部の事業者に任せることにしました。実施要領と仕様書によると、内容は次のとおりです。

  • 委託の上限額…350万円(うち募集に係る経費200万円、活動支援に係る経費150万円。税込)
  • 期間…契約の日から令和9年3月31日まで
  • 募集の支援…募集要項づくりの支援、募集サイトへの掲載(掲載費用は受託者の負担)、応募者の書類の要件審査とヒアリング、スカウト。最終選考と採用の決定は町が行う
  • 活動の支援…隊員との定期面談を町内で原則対面で行う。目安は、活動期間が1年程度の隊員は月1回程度、1年以上の隊員は半期に1回程度(希望する場合)
  • 研修…隊員向けの研修会を年1回以上、セミナーを年3回以上
  • 受託者の条件として、町内から1時間以内で移動できる範囲に事業所があること

審査は9人の審査員で行われ、令和8年6月29日に公表された結果では、株式会社カンマッセいいづなが100点満点中70.5点(最低基準点60点)で採択されています。

隊員の側から見ると、町の担当職員とは別に、定期的に面談してくれる相談相手がつくということです。一方で、この仕組みは令和8年度に始まったばかりで、効果はまだ分かりません。

任期を終えた人はどれくらい残っているか

町の活動報告会の資料には、町の広報紙「いいづな通信」2025年12月号からの数字として、任期を終えた隊員21人の定住率は52パーセントと書かれています。任期年数は3年満了が過半数で、任期後の職業は起業と就業が同じ割合だったとされています。

長野県全体の定住率は総務省の調査で78.0パーセントですが、こちらは近隣の市町村に住み続けた人も含めた数字です。町の52パーセントがどの範囲までを「定住」と数えているかは、資料に書かれていません。同じ定義の数字ではない可能性があるので、そのまま並べて比べないでください。

町は活動報告会の資料で、任期後に向けて起業・就農・就職の個別サポートをしていること、今後は地域に残った先輩隊員が新しい隊員を支える仕組みも考えていることを示しています。令和8年3月8日に開いた活動報告会には70人が来場し、現役とOB・OGあわせて19人が活動を展示しました。

次の募集はどうなっているか

町の協力隊の紹介ページ(令和8年8月18日掲載)には、「現在、募集している業務はありません」と書かれています。

一方、令和8年6月の質問回答書には、この年度に予定している募集として次の2つが挙げられていました。

  • 飯綱町産そばの生産振興と販路拡大の支援…1人
  • 観光コンテンツの発掘・作成と、インストラクターの養成…2人

予定は募集開始が8月、最終面接が9月上旬、着任が10月1日とされていましたが、関係者との調整や応募状況によって変わる可能性がある、とも書かれています。詳細は検討中とされており、実際に募集されるかどうか、条件がどうなるかは、町の公式ホームページで確認してください。回答書では、募集を載せる先として、移住のマッチングサイトのSMOUT、移住・交流推進機構のJOIN、長野県のホームページが挙げられています。

問い合わせ先

問い合わせ先は飯綱町役場 企画課 地域振興係です。所在地は長野県上水内郡飯綱町大字牟礼2795-1、協力隊の紹介ページに載っている電話番号は026-253-2511です(活動報告会のチラシと質問回答書には026-253-2512と書かれています)。

> この記事は飯綱町・長野県・総務省の公表資料をもとに作成しています。報酬額・支援内容・募集の有無は変わることがあります。最新の情報は必ず飯綱町の公式ホームページで確認してください。

よくある質問

Q.飯綱町の地域おこし協力隊の報酬はいくらですか。

A.町の移住定住支援サイトでは、委託料が月額266,000円、活動費が年間最大200万円とされています。飯綱町の隊員は委託型で、町に雇われる形ではありません。一般には健康保険や年金、所得税の確定申告を自分で行うため、月額はそれらを納める前の額として読んでください。住居や車の扱いは業務ごとの募集要項で確認してください。

Q.飯綱町には協力隊員が何人いますか。

A.資料と時点で違います。総務省の令和7年度の集計では21人で、長野県内では伊那市に次ぐ人数です。長野県の令和8年4月1日現在の一覧では16人、町の紹介ページでは令和8年6月1日時点で18人です。

Q.飯綱町の協力隊の支援体制はどうなっていますか。

A.町は毎月、協力隊の定例会を開き、研修や中間報告会を行ってきました。令和8年度からは、隊員の募集と活動支援を上限350万円で外部に委託し、株式会社カンマッセいいづなが採択されています。受託者は町内で原則対面の定期面談を行い、隊員向けの研修会を年1回以上、セミナーを年3回以上開くことになっています。

Q.今から応募できますか。

A.町の紹介ページ(令和8年8月18日掲載)には「現在、募集している業務はありません」と書かれています。令和8年6月の資料には、そばの生産振興と販路拡大の支援で1人、観光コンテンツの発掘とインストラクター養成で2人の募集予定が挙げられていましたが、詳細は検討中とされていました。最新の状況は飯綱町の公式ホームページで確認するか、企画課 地域振興係に問い合わせてください。

TownHub編集部

編集部

全国の地域情報を取材・編集しています。自治体の公開情報と現地取材をもとに、その街で暮らす人に役立つ情報をお届けします。

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