寒河江市の地域おこし協力隊|活動内容・報酬・応募の流れ
寒河江市の地域おこし協力隊について、隊員の活動と支援をまとめます。
山形県寒河江市には「さくらんぼ観光課」という課があり、地域おこし協力隊の隊員はこの課を含む市の各課に所属して活動しています。隊員が毎月どんな仕事をしたのかを、市が資料にまとめて公開し続けているのが寒河江市の特徴です。寒河江市と総務省の公式情報をもとにまとめます。
寒河江市の地域おこし協力隊とは
地域おこし協力隊は、都市部から過疎地域などへ住民票を移して生活の拠点を移した人を、市町村が隊員として委嘱する国の制度です。隊員は一定期間その地域に住み、地場産品の開発や広報、農林水産業への従事、住民の生活支援といった地域協力活動を行いながら、その地域への定住・定着をめざします。実施主体は市町村なので、募集の内容も待遇も自治体ごとに違います。
寒河江市では、隊員はミッションごとに市の担当課へ所属します。市の公式ページで確認できるミッションは次の3種類です。
- 地域農業振興支援(農林課)
- 物産振興支援(さくらんぼ観光課)
- 地域芸術文化発展支援(生涯学習課)
制度全体の窓口はみらい協働課 地域活性化支援係ですが、募集の担当は区分によって変わり、たとえば史跡に関わる募集は生涯学習課が担当しています。
隊員は何人いるのか|「10人」と「6人」の違い
寒河江市の隊員数を調べると、数字が2つ出てきます。どちらも公式のものですが、意味が違うので混ぜて読まないでください。
- 10人… 総務省が令和8年4月に公表した「令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について」に載っている寒河江市の隊員数です。同じ資料で山形県は34市町村・196人、全国は1,187団体・8,196人となっています。
- 6人… 寒河江市の公式ページに「現在、6人の隊員がそれぞれのミッションに基づき市内で活動しています」と書かれている人数です。隊員一人ひとりの氏名・所属課・ミッションもあわせて掲載されています。
総務省の資料は年度という期間でまとめた集計、市のページはいま活動している隊員の一覧です。集計の対象となる期間も基準となる時点も違うため、「減った」「増えた」と読み取れる数字ではありません。今この時点で何人いるかを知りたいときは、市の公式ページの隊員紹介を見るのが確実です。
隊員は毎日どんな仕事をしているのか
寒河江市は「さがえ協力隊通信」という広報資料を毎月出しています。市の公式ページには2024年5月号から毎月分が途切れず並んでいて、隊員ごとに写真1枚と本人が書いた活動報告が載る作りです。募集要項では分からない実際の仕事ぶりが読める、めずらしい資料です。
たとえば2026年7月号には、次のような活動が並んでいます。
- 農林課の隊員… さくらんぼのシーズンが終わり、旬を迎える他の果樹の農家で研修。ビニールハウスの中でデラウェアを収穫し、ハウスの穴や隙間から鳥獣が入って実を食べてしまうため、毎日園地の状態を確認していた。
- 農林課の隊員(2年目)… さくらんぼ作業の片付けと管理作業が中心。強風で管理していたビニールハウスが剥がれるという初めての大きなトラブルがあり、近隣の農家に協力してもらって修復した。
- さくらんぼ観光課の隊員… 1年目から進めている寒河江ならではのウイスキー商品開発の企画作業に集中し、見学などで集めた情報をもとにテスト品を完成させた。
- 生涯学習課の隊員… 南部地区公民館で、小学生向けに和紙を切り貼りしてうちわを作るワークショップを開催。
- 生涯学習課の隊員… 田代地区の空き家(旧沖津邸)を会場に、大学の学生有志が企画した展覧会に参加。
- 生涯学習課の隊員… 自分が住む平塩の、最上川に架かる幅の狭い橋で、住民が譲り合って渡る様子を書いている。
農作業や企画づくりだけでなく、天気によるトラブル、地域の人に助けてもらった場面、暮らしの中で感じたことまで書かれているのがこの資料の性格です。応募を考えている人は、気になるミッションの隊員の回を何か月分か続けて読むと、1年の中で仕事がどう動くかがつかめます。
1年目と2年目で活動はどう変わるか
寒河江市は活動報告会も開いていて、隊員が発表した資料を公開しています。地域農業振興支援の隊員による令和7年度の活動報告からは、次のような1年が読み取れます。
- 冬は雪の残る園地で、脚立に登っての剪定作業。
- 各地のイベントに出店・参加し、寒河江産の加工品の広報や芋煮の配布など、農業以外の広報活動も担当。
- 和歌山県での研修に参加し、山形では栽培されていない果樹の生育方法や、六次産業化の例としてフルーツパーラーの施設を見学。
- 市内の小学校を中心に活動する少年サッカーチームでコーチを務め、知り合いがほとんどいない状態から地域になじむきっかけになったと書いている。子どもたちに梅の収穫も体験してもらった。
本人は「1年と3か月が経ち、一通りのサイクルを経験して、改めて三年という任期が短いと感じた」と振り返り、やりたいことが多くて活動の時間配分がうまくできない場面があったとも書いています。2年目は前年の活動を見直して農家としての知識と経験を積むことを第一に置き、任期終了後の就農に向けた視察・研修を新たに取り入れる方針だとしています。ミッションが決まっていても、何にどれだけ時間を使うかは隊員自身で組み立てる仕事だ、ということが分かる内容です。
報酬・給料はいくらか
寒河江市が公開している募集要項の一例(史跡活用コーディネーター)では、待遇は次のように示されています。
- 時給1,525円。月21日勤務の場合で月額224,175円、これに時間外勤務手当が加わる。
- 6月と12月に期末手当・勤勉手当を支給。
- 勤務はフレックスタイム制で、週35時間(週5日・1日7時間)。
- 健康保険・厚生年金・雇用保険に市が加入する。
ここで押さえておきたいのは、この金額は隊員本人に支払われる給与であって、活動に使うお金とは別枠だという点です。国が市町村に行う財政措置でも、令和8年度は隊員1人あたり550万円を上限として「報償費等」に350万円、「その他活動経費」に200万円という分け方をしています。ただしこれは市町村に対する措置の上限額であり、隊員の給与額そのものではありません。
報酬額はミッションや募集の年によって変わります。必ずその募集の要項で確認してください。
住まい・車・引っ越し費用の支援
同じ募集要項では、寒河江市が用意する支援として次が挙げられています。
- 住宅… アパートなどを市が提供する。
- 活動用車両… 市が提供する。
- 引っ越し費用… 着任時の移住に要する費用として、引越事業者への委託費用を20万円を上限に市が負担する。
- 食糧支援… 寒河江産のブランド米「つや姫」を毎月5キロ支給。
- ランチミーティング… 月1回、隊員と市の職員が情報交換する場がある。
住まいと車が用意されることは、移住してすぐ活動を始めるうえで負担が大きく違ってきます。ただしこれも募集ごとの条件なので、支援の範囲は要項で確かめてください。
任期は何年か、終わったあとはどうなるか
国の制度上、活動期間はおおむね1年以上3年以下です。令和8年度からは最大5年とする特例も設けられています。寒河江市の隊員も、活動報告の中で「三年という任期」と書いています。
任期後については、市町村が使える国の支援として次のものがあります。
- 起業・事業承継に要する経費… 1人あたり100万円を上限。任期2年目から任期終了後3年以内の起業・事業承継が対象で、新たな雇用の創出などの要件を満たす場合は令和8年度から上限が200万円に引き上げられる。
- 任期終了後の隊員が定住するための空き家の改修に要する経費… 財政措置の対象になっている。
これらは市町村に対する財政措置なので、寒河江市で実際にどの支援が使えるかは、市の担当課に直接確認するのが確実です。
任期を終えた隊員がその後どうなっているかは、総務省の調査に数字があります。直近5年間(令和2年4月から令和7年3月まで)に任期を終えた隊員は全国で8,762人、そのうち70.3パーセントが同じ地域に定住しました。山形県では198人のうち128人、64.6パーセントです。3人に2人前後がそのまま住み続けている計算になります。寒河江市でも、任期後に就農をめざして準備を進めている隊員がいます。
応募から着任までの流れ
寒河江市の募集要項の例では、次の流れになっています。
- 書類をそろえる… 履歴書(写真添付)と、1000字程度のレポート。テーマは「地域おこしのためにあなたができること、そしてしたいこと」。活動実績を示す資料があれば、あわせて提出できる。
- 提出する… 郵送または電子メール。提出先は募集を担当する課。
- 一次選考… 書類選考。
- 二次選考… 面接。寒河江市で行われる。
- 結果の通知と着任日の調整… 結果は文書で通知され、着任日を調整する。
レポートの分量が1000字程度と決まっているので、応募を考え始めた段階から、自分が何をしたいのかを言葉にしておくと準備が楽になります。前述の協力隊通信を読み込んでおくと、市が今どんな活動に力を入れているかを踏まえて書けます。
募集の有無を確かめる方法と問い合わせ先
募集はミッションごとに、必要なタイミングで出されます。募集していない時期もあり、受付期間も募集ごとに違うため、この記事では「今募集しているか」は扱いません。 寒河江市の公式ホームページにある地域おこし協力隊のページと、市の募集案内のページを直接確認してください。募集ページは受付が終わると公開が終了することがあります。
制度全体についての相談・問い合わせ先は次のとおりです。
- みらい協働課 地域活性化支援係
- 電話 0237-85-1486
- ファックス 0237-86-7220
募集の内容についての質問は、その募集を担当する課が窓口になります。要項に書かれている連絡先を確認してください。
この記事は寒河江市公式ホームページと総務省の公表資料をもとに作成しています。募集の有無や報酬、支援の内容は変わることがあります。最新の情報は必ず寒河江市の公式ホームページで確認してください。
よくある質問
Q.寒河江市の地域おこし協力隊の報酬はいくらですか。
A.市が公開している募集要項の一例では、時給1,525円で、月21日勤務の場合に月額224,175円と時間外勤務手当が支給されます。6月と12月には期末手当・勤勉手当もあります。この給与は活動に使う経費とは別枠です。金額はミッションや募集の年によって変わるため、応募したい募集の要項で必ず確認してください。
Q.住むところや車は自分で用意する必要がありますか。
A.募集要項の一例では、住宅(アパートなど)と活動用車両を市が提供するとされています。着任時の引っ越し費用も、引越事業者への委託費用を20万円を上限に市が負担します。ほかに寒河江産の「つや姫」が毎月5キロ支給されます。支援の範囲は募集ごとに異なります。
Q.任期は何年ですか。終わったあとはどうなりますか。
A.国の制度では活動期間はおおむね1年以上3年以下で、令和8年度からは最大5年とする特例もあります。任期後については、起業・事業承継に要する経費を1人あたり100万円(要件を満たす場合は200万円)まで支援できる仕組みや、定住のための空き家改修への財政措置があります。総務省の調査では、直近5年間に任期を終えた隊員のうち全国で70.3パーセント、山形県では64.6パーセントが同じ地域に定住しています。
Q.隊員が実際にどんな活動をしているかを知る方法はありますか。
A.寒河江市は「さがえ協力隊通信」を毎月発行し、公式ページに2024年5月号から並べています。隊員ごとに写真と本人の活動報告が載っていて、農作業や商品開発、公民館でのワークショップなど日々の仕事が分かります。活動報告会で隊員が発表した資料も公開されています。
参考にした公式ページ
- 地域おこし協力隊:寒河江市公式サイト
- さがえ協力隊通信 2026年7月号(寒河江市)
- 令和7年度活動報告(地域農業振興支援・寒河江市地域おこし協力隊)
- 地域おこし協力隊(史跡活用コーディネーター)を募集します:寒河江市公式サイト
- 令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について(総務省地域自立応援課)
- 地域おこし協力隊について(総務省地域力創造グループ地域自立応援課)
情報は変わることがあります。最新の内容は各公式ページでご確認ください。