鶴岡市の地域おこし協力隊|これまでの受入・報酬・応募の流れ
鶴岡市の地域おこし協力隊について、受け入れの経緯と支援をまとめます。
鶴岡市は東北でもっとも面積の広い市で、市街地から山あいの集落、日本海の沿岸までを1つの市に抱えています。地域おこし協力隊についても、2013年に要綱を定めてから10年以上、いつ・どの地域に・どの受入先で何人が入ったかを一覧で公開しているのが特徴です。鶴岡市と総務省の公式情報をもとにまとめます。
鶴岡市の地域おこし協力隊とは
地域おこし協力隊は、人口減少や高齢化の課題を抱える地域が都市部から人材を受け入れる、総務省所管の制度です。1年から3年ほど地域に移り住み、地域協力活動に従事しながら定住・定着をめざします。
鶴岡市は2013年3月28日に「鶴岡市地域おこし協力隊設置要綱」を定めました。要綱第2条では、隊員が従事する地域協力活動を次のように定めています。
- 地域おこしの支援
- 農林水産業従事
- 水源保全・監視活動
- 環境保全活動
- 住民の生活支援
- このほか市長が必要と認める活動
配置先は、人口減少や高齢化の著しい中山間地域が中心です。
2013年からの受け入れの記録
鶴岡市は、これまでの配置状況を受入先ごとに一覧で公開しています。募集要項からは読み取れない「制度が10年以上かけてどう積み重なってきたか」が分かる資料です。
- 2013年5月から2016年4月 大鳥地域づくり協議会(朝日地域) 2名
- 2015年5月から2021年3月 福栄地域協議会「福の里」(温海地域) 6名
- 2018年8月から2020年9月 宝谷地区活性化推進委員会(櫛引地域) 2名
- 2018年8月から2019年2月 鶴岡市企画部食文化創造都市推進課 1名
- 2022年5月から2026年3月 庄内自然博物園構想推進協議会 2名
- 2022年10月から2023年9月 あつみ環境協会(温海地域) 1名
- 2023年5月から2026年3月 温海生涯学習振興会(温海地域) 1名
- 2026年3月から 株式会社月山あさひ振興公社(朝日地域) 2名
この一覧に並ぶ人数を合計すると、延べ17名になります。備考欄に「現役」と記されているのは、2026年3月1日に着任した株式会社月山あさひ振興公社の2名です。
一覧からは、次のようなことも読み取れます。
- もっとも多くの隊員を受け入れたのは福栄地域で、2015年から2021年までの約6年間に6名が入っています。
- 一方で、半年ほどで終わっている配置もあり、在任期間の長さは受入先によってかなり違います。
- 2021年4月から2022年4月にかけては、一覧の上で配置期間が重なる受入先がない時期もあります。受け入れは毎年途切れなく続いてきたわけではありません。
最初の受入先である朝日地域の大鳥地区には、2026年3月からふたたび隊員が入っており、同じ地域に10年以上の間隔をあけて戻ってきた形になっています。
総務省の人数と市の一覧は数え方が違う
隊員数を調べるときに混同しやすいのが、総務省の集計と市の一覧の関係です。
総務省が公表した令和7年度の集計では、全国の隊員数は8,196人、取組自治体数は1,187団体で、そのうち鶴岡市は5人とされています。これは「その年度に活動した隊員数」を国の基準で数えたものです。
一方、市が公開している一覧は「受入先ごとの配置期間と人数」を並べたものです。数え方の基準が違うため、市の一覧から数えた人数と総務省の集計は必ずしも一致しません。どちらかが誤っているという意味ではないので、人数を引用するときは、どちらの数字なのかを確かめてください。
受け入れる地域の側から見た協力隊
鶴岡市は、受け入れた地域の住民に話を聞いたインタビュー資料も公開しています。応募する側の視点だけでは見えない部分が分かる資料です。
温海地域の福栄は、市南部の4つの清流の上流に開けた山里で、菅野代・温海川・木野俣・越沢・関川の5つの集落が点在しています。この地域で受け入れた6名について、住民は次のように振り返っています。
- 福祉、特産品開発、医療など、地域自身が課題だと感じていた分野を隊員に担ってもらった。
- 福栄地域には医療機関がなかったが、月2回、医師が来て診てもらう「健康相談室」ができた。
- 高齢の住民が買い物に出にくいという課題に対し、月曜・水曜・金曜に移動販売車が来るようになった。
受け入れる側の心構えとして語られているのは、次のような内容です。
- 協力隊は地域づくりのパートナーであり、地域の側が課題を考えて一緒に活動するもの。住民が何もしないまま、隊員が来てから振興策を考えてほしいと言っても無理がある、という考え方です。
- 何十年も住んでいると見えなくなることがあるので、外から来た人が見た瞬間に気づいたことを教えてもらえると助かる。
- 3年間が無駄にならないようにしてほしい、必ずしも満足のいく支援ができているとは限らないが、そのつもりでやっている、という言葉も紹介されています。
同じ資料には、当時活動していた隊員の側の話も載っています。最初に赴任した先輩隊員が地域との関係の下地をつくっていたため、後から来た隊員が受け入れられやすかったこと、来た当初は住んでいる人の視点が抜けていて、2年目・3年目で考え方が変わってくること、などです。受け入れが何代か続いた地域ほど、後から来る隊員が動きやすくなるという構造が読み取れます。
報酬はいくらか
もっとも気になる報酬ですが、鶴岡市の場合、受入先によって決まり方が変わります。
要綱第5条では、隊員の身分を次の2通りと定めています。
- 市の短時間勤務の会計年度任用職員
- 隊員を地域協力活動に従事させる目的で雇用する団体などの被雇用者
要綱第6条では、報酬・期末手当・勤勉手当・費用弁償について、市の会計年度任用職員の給与に関する条例などの定めにより市が負担するとしています。団体に雇用される場合も、これに相当する費用は同じ扱いを基本として市が負担します。隊員の活動に要するそのほかの経費は、報酬とは別に、市が予算の範囲内で負担します。
実際の額の目安として、2025年4月採用の隊員を募った市の募集では、次の条件が示されていました。
- 報酬は月額185,000円の予定(この額から所得税が差し引かれる)
- 時間外勤務手当と賞与はあり、退職手当は支給されない
- 社会保険・雇用保険に加入する
- 勤務日数は原則として週5日、勤務時間は午前8時30分から17時まで、昼休憩は12時から13時まで
- 年次有給休暇は年間10日
これはあくまで1つの募集で示された条件です。受入先や職務の内容によって変わるため、応募したい募集の要項で必ず確かめてください。
住まい・車などの支援
同じ2025年4月採用の募集では、住まいと移動について次の支援が示されていました。
- 活動期間中の住居は市が用意することも可能で、その場合は家賃補助として月額40,000円を上限に補助する。
- 光熱水費、通信料、自治会費は隊員の負担。
- 活動に使用する車両は市が用意することも可能。自分の車を使った場合も含め、活動に要した燃料は市が負担する。
- 勤務時間中は、活動に必要なパソコンや事務用品を貸与する。
- 引越しに必要な経費は隊員の負担。
住居と車が用意されうる一方で、引越し費用と日々の光熱費は自己負担という線引きになっています。移住の初期費用を見積もるときは、この点を押さえておいてください。
任期と応募できる人
要綱第4条では、委嘱期間は1年以内(年度の途中で任用する場合はその年度の3月31日まで)と定められ、1年ごとに最長3年まで延長できるとしています。
要綱第3条が定める要件は次の2つです。
- 生活の拠点を3大都市圏をはじめとする都市地域等から鶴岡市に移し、住民票を異動することが可能な人(委嘱前にすでに市内に定住または定着している人は除く)
- 心身が健康で、地域協力活動に取り組む意欲と情熱をもっていると認められる人
委嘱を受けたあとは、すみやかに鶴岡市に転入します。2025年4月採用の募集では、これに加えて20歳以上であることが条件とされ、住民票の異動は必ず採用日以降に行うよう注意が示されていました。先に住所を移すと募集対象の要件から外れ、採用が取り消される場合があります。
応募から着任までの流れ
2025年4月採用の募集では、次の流れで進みました。募集ごとに細部は変わりますが、大まかな段取りの参考になります。
- 市の公式ホームページで募集が公開される
- 応募用紙、活動目標レポート、現在住んでいる市区町村の住民税納税証明書を郵送または電子メールで提出する
- 第1次選考(書類選考)
- 第2次選考(面接)。第1次選考の合格者が対象で、面接に要する交通費や宿泊費は応募者の負担
- 最終選考の結果を文書で通知
- 採用手続きを経て着任
この募集では、選考の途中で希望すれば、施設や市内を案内してもらえるとされていました(旅費は自己負担)。着任前に地域を実際に見ておきたい場合は、担当課に相談するとよいでしょう。
任期を終えたあとはどうなるか
総務省の集計では、直近5年(令和2年4月1日から令和7年3月31日)に任期を終えた隊員8,762人のうち、6,163人(70.3パーセント)が同じ地域に定住しています。山形県は198人のうち128人で64.6パーセントと、全国平均をやや下回ります。
任期後の支援については、国が受入自治体に対して財政措置を用意しています。総務省が示す措置の上限は次のとおりです。
- 起業・事業承継に要する経費……1人あたり100万円(最大200万円)を上限。対象となるのは任期2年目から任期終了後3年以内。
- 任期を終えた隊員が定住するための空き家の改修に要する経費。
ここで注意したいのは、これらは自治体に対する財政措置の上限であって、隊員が必ず受け取れる金額ではないということです。実際にどう使えるかは自治体ごとに異なるため、鶴岡市での取り扱いは担当課に確認してください。
鶴岡市が公開している資料には、任期終了後も任地に暮らし続けている元隊員の話も載っています。そこでは、起業することだけが協力隊のゴールではないという趣旨の見方や、任地を離れて市街地に移っても祭りのときには必ず戻ってくる元隊員がいて、地域との関係が任期後も続いていること自体に意味があるという受け止め方が紹介されています。定住率という数字だけでは測れない部分です。
募集しているかどうかの確認先
募集の有無や条件は、その時々で変わります。受入先が決まったときに、市の公式ホームページで告知される形です。
- 募集を担当する課は、受入先の分野によって変わります(過去には環境課が募集を出した例があります)。
- 制度全体についての問い合わせ先は、鶴岡市役所地域振興課(電話0235-35-1191)です。
- 募集内容は、市の予算や社会情勢の変化によって変更となる場合があると、市自身が注意書きを添えています。
応募を考えている場合は、必ず鶴岡市の公式ホームページで現在の募集状況を確認してください。
この記事は鶴岡市および総務省の公式ホームページと公開資料をもとに作成しています。募集の有無、報酬や支援の内容、応募の手続きは、年度や受入先によって変わります。最新の情報は必ず鶴岡市の公式ホームページで確認してください。
よくある質問
Q.鶴岡市の地域おこし協力隊の報酬は月いくらですか。
A.受入先によって決まり方が変わります。2025年4月採用の隊員を募った募集では、月額185,000円の予定と示されていました。この額から所得税が差し引かれ、時間外勤務手当と賞与はあり、退職手当は支給されないとされています。社会保険と雇用保険には加入します。募集ごとに条件が変わるため、応募したい募集の要項で確認してください。
Q.任期は何年ですか。延長できますか。
A.鶴岡市地域おこし協力隊設置要綱では、委嘱期間は1年以内(年度の途中で任用する場合はその年度の3月31日まで)と定められています。1年ごとに延長でき、最長で3年までです。
Q.住む場所や車は用意してもらえますか。
A.2025年4月採用の募集では、活動期間中の住居を市が用意することも可能で、その場合は家賃補助として月額40,000円を上限に補助するとされていました。活動に使う車両も市が用意することが可能で、自分の車を使った場合を含め、活動に要した燃料は市が負担します。一方で、光熱水費・通信料・自治会費と引越し費用は隊員の負担です。
Q.これまでに何人の隊員を受け入れていますか。
A.市が公開している配置状況の一覧に並ぶ人数を合計すると、2013年以降で延べ17名です。備考欄に「現役」と記されているのは、2026年3月1日に株式会社月山あさひ振興公社へ着任した2名です。なお総務省の令和7年度の集計では鶴岡市は5人とされており、数え方の基準が違うため、市の一覧から数えた人数とは一致しません。
Q.今は募集していますか。
A.募集の有無はその時々で変わります。受入先が決まったときに鶴岡市の公式ホームページで告知されるため、そちらで確認してください。制度全体についての問い合わせ先は、鶴岡市役所地域振興課(電話0235-35-1191)です。
参考にした公式ページ
- 地域おこし協力隊(鶴岡市)
- 鶴岡市地域おこし協力隊設置要綱(鶴岡市)
- インタビュー記事(福栄地域の方々)(鶴岡市)
- 湿地資源活用による好循環化、ブランド化と自然環境学習の普及拡大に取り組む地域おこし協力隊を募集します(鶴岡市)
- 令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について(総務省)
- 地域おこし協力隊ナビ 制度について(総務省)
情報は変わることがあります。最新の内容は各公式ページでご確認ください。