厚真町の地域おこし協力隊|農業支援員の報償費と社会保険の半額助成
厚真町の地域おこし協力隊・農業支援員について、月額34万円からの報償費、社会保険料の半額助成、活動費の範囲、応募要件と選考をまとめます。
厚真町の地域おこし協力隊は28人で北海道5位。なかでも農業支援員の枠は、雇用契約を結ばない委嘱型でありながら健康保険料と年金保険料の2分の1相当額を町が助成します。委嘱型でここまで補う例は多くありません。報償費も月額34万円からと高い水準です。町が公表している募集要領から整理します。
隊員28人は道内5位
総務省が令和8年4月24日に公表した資料によれば、厚真町の隊員数は28人で、北海道の受入166市町村のなかで5位でした。上位は別海町74人、東川町65人、沼田町35人、美唄市32人と続きます。
厚真町が属する胆振振興局は10市町村で108人。厚真町28人、安平町25人、むかわ町17人と、隣接する3町で70人を占めます。1市町村あたり10.8人で、道内では上位の密度です。北海道全体の状況は北海道の地域おこし協力隊にまとめました。
町は農業支援員のほかに、起業型、研究型、観光振興といった複数の枠を設けています。ここでは要領が詳しく公開されている農業支援員を中心に扱います。
農業支援員|報償費は月額34万円から
農業支援員は、農業に興味があり将来的に農業で自立を目指す人を対象にした枠です。活動を通じて農業技術や経営ノウハウを習得し、期間終了後は農業で自立して定住することが期待されています。
令和9年度募集の条件は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 報償費(扶養家族がいる場合) | 月額350,000円 |
| 報償費(扶養家族がいない場合) | 月額340,000円 |
| 社会保険 | 健康保険料・年金保険料の2分の1相当額を助成 |
| 活動費助成 | 住宅家賃相当分、活動車両の維持・燃料費、作業道具、傷害保険料など(予算の範囲内) |
| 身分 | 町長が委嘱(雇用契約は結ばない) |
| 任期 | 1年間。評価により1年単位で延長、最長3年 |
| 雇用保険 | 加入しない |
| 傷害保険 | 加入を義務化 |
扶養家族の有無で報償費が変わるのは珍しい設計です。家族を連れて移り住むことを前提にした枠だということが、この1万円の差に表れています。
委嘱型なのに社会保険を半額助成する
制度上、最も注目すべき点がここです。
地域おこし協力隊の委嘱型・委託型は雇用関係がないため、健康保険と年金は自分で加入して全額を負担するのが通常です。国民健康保険料と国民年金保険料を合わせると、月に数万円の負担になります。
厚真町はこれに対し、健康保険料及び年金保険料の2分の1相当額を助成します。雇用型で自治体が事業主負担分を持つのと近い形を、委嘱型のまま実現していることになります。
さらに活動費助成の対象に住宅家賃相当分が入っています。多くの自治体は「住居を斡旋します」と書きつつ家賃は自己負担ですが、厚真町は家賃相当分を活動費から助成します。活動車両の維持費と燃料費も対象です。
報償費が月額34万円から35万円で、社会保険が半額助成、家賃と車の費用も助成されるという組み合わせは、北海道内でも条件のよい部類に入ります。契約の型ごとの比べ方は待遇比較にまとめました。
ただし雇用保険には加入しません。任期が終わったときに失業給付は受けられないため、その前提で資金計画を組む必要があります。農作業にはケガのリスクが伴うことから、傷害保険への加入は義務化されています。
応募の要件
令和9年度募集の対象者は、令和9年4月1日時点で原則として満20歳以上・満40歳以下の方で、次のすべてに該当する方です(満40歳を越えている場合も問い合わせにより受け付けられる場合があります)。
- 3大都市圏をはじめとする都市地域(過疎・山村・離島・半島等の地域に該当しない市町村)等に在住しており、委嘱後に厚真町内へ生活拠点を移して必ず居住し、住民票を異動できる方
- 居住することとなる集落になじみ、住民と共に地域活動に取り組む意欲と実行力がある方
- 農業に精通しているか興味があり新規就農を目指す方で、委嘱期間終了後に厚真町に定住する意欲のある方(扶養家族がいる場合は家族で定住できる方)
- 普通自動車免許(オートマチック限定不可)及び自家用車を確保している方
条件のうち2つは事前に確認が必要です。
普通自動車免許はオートマチック限定不可です。農業機械の操作を前提にしているためとみられますが、限定免許では応募できません。限定解除が要ります。
自家用車の確保も要件です。令和9年4月1日時点で確保できる見込みであれば足ります。活動車両の維持費と燃料費は活動費から助成されます。
活動内容には、将来的に居住する集落の一員として水源保全、環境保全、住民生活支援等の地域活動(自治会活動)に参加することが含まれます。地域のお祭りやイベントへの参加も活動の一部です。
選考|論文の提出がある
応募要件のひとつに論文の執筆が入っています。指定された課題について論文を書いて提出する形で、書類選考のあと、第1次選考の合格者を対象に厚真町で面接試験が行われます。
協力隊の選考で論文を課す自治体は多くありません。農業で自立するという目標に対して、応募者がどう考えているかを見るための設計と読めます。準備の時間を見込んで応募することになります。
募集要領と応募用紙は町のホームページで公開されており、問い合わせ先は厚真町産業経済課農業グループ(0145-27-2419)です。採用時期は令和9年4月以降で、任期の延長は最長で令和12年3月末までの3年間です。
応募の前に確かめること
- 免許がオートマチック限定でないか確かめる。限定不可です
- 自家用車を確保できるか確かめる。応募要件に入っています
- 年齢の要件を確かめる。原則として満20歳以上・満40歳以下です
- 論文の準備時間を見込む。応募要件に含まれています
- 雇用保険が無いことを前提に資金を組む。任期終了後の失業給付はありません
- 家族で定住する意思を確かめる。扶養家族がいる場合は家族での定住が要件です
なお報償費については、町が「令和9年度予算成立が前提となります。今後、内容等に変更が生じる場合があります」と注記しています。応募のときは最新の募集要領で確かめてください。
本記事の内容は厚真町が公表している令和9年度の募集要領によります。
よくある質問
Q.厚真町の地域おこし協力隊の報償費はいくらですか。
A.農業支援員の場合、扶養家族がいる場合は月額350,000円、いない場合は月額340,000円です。ただし町は令和9年度予算の成立が前提であり内容が変わる場合があると注記しています。
Q.厚真町の協力隊は社会保険に入れますか。
A.委嘱型のため雇用関係がなく、健康保険と年金は自分で加入します。ただし厚真町は健康保険料と年金保険料の2分の1相当額を助成します。雇用保険には加入しません。
Q.家賃は自己負担ですか。
A.活動費助成の対象に住宅家賃相当分が含まれています。ほかに活動車両の維持・燃料費、作業道具、傷害保険料なども予算の範囲内で助成されます。
Q.応募に年齢制限はありますか。
A.令和9年4月1日時点で原則として満20歳以上・満40歳以下です。満40歳を越えている場合も問い合わせにより受け付けられる場合があると町は書いています。
Q.運転免許はオートマチック限定でも大丈夫ですか。
A.大丈夫ではありません。農業支援員の応募要件は普通自動車免許(オートマチック限定不可)で、さらに自家用車を確保していることが必要です。
Q.選考ではどんなことをしますか。
A.応募要件に論文の執筆が含まれており、指定された課題で論文を提出します。その後、第1次選考の合格者を対象に厚真町で面接試験が行われます。
Q.厚真町の隊員数は何人ですか。
A.令和7年度で28人、北海道の受入166市町村のなかで5位です。隣接する安平町25人、むかわ町17人と合わせて、胆振振興局の108人のうち70人をこの3町が占めています。
参考にした公式ページ
- 地域おこし協力隊・農業支援員募集します(令和9年度募集)|北海道厚真町
- 地域おこし協力隊・地域活性化起業人|北海道厚真町
- 令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について(総務省)
- 令和7年度(2025年度)地域おこし協力隊導入状況|北海道
- 地域おこし協力隊メインページ|北海道
- ほっかいどう地域おこし協力隊(北海道公式ポータルサイト)
情報は変わることがあります。最新の内容は各公式ページでご確認ください。