北海道の地域おこし協力隊|全国最多1,374人と定住率78.3%の中身
北海道の地域おこし協力隊を公的資料から整理します。全国最多の隊員数と受入市町村、振興局ごとの偏り、全国平均を上回る定住率、道の支援体制まで。
地域おこし協力隊を都道府県ごとに見ると、北海道だけが桁の違う数字を出しています。隊員数は全国の6人に1人。しかも任期後の定住率が全国平均を8ポイント上回ります。総務省と北海道が公表している資料から、その中身を整理します。
隊員数1,374人は全国の16.8%
総務省が令和8年4月24日に公表した「令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について」によれば、全国の隊員数は8,196人、取組自治体数は1,187団体です。
このうち北海道は1,374人で、都道府県別の1位でした。全国の16.8%にあたります。2位の477人と比べると約2.9倍の開きがあり、他県とは規模が違います。
受入団体は167団体で、内訳は道が直接実施する分が6人、残る166市町村が1,368人を受け入れています。北海道は179市町村ありますから、受入があるのは166、受入ゼロは13市町村だけという計算です。全国の取組自治体1,187団体は受入可能自治体1,461団体の約81%ですが、北海道は93%に達します。
参考までに、全国の隊員の年齢構成は20代33.6%、30代30.1%、40代20.1%、50代11.5%、60歳以上4.4%で、男女比は男性59.7%・女性40.3%です。20代と30代で6割を超えます。
定住率78.3%|母数が全国最多でこの数字
制度の目的は、任期が終わったあとにその地域へ定住してもらうことにあります。総務省は直近5年(令和2年4月1日から令和7年3月31日)に任期を終えた隊員の定住状況も公表しています。
| 区分 | 任期終了者 | 同じ地域に定住 | 定住率 |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 1,225人 | 959人 | 78.3% |
| 全国 | 8,762人 | 6,163人 | 70.3% |
北海道の定住率は78.3%で、全国平均を8.0ポイント上回ります。
重要なのは母数です。任期終了者1,225人は47都道府県で最多で、全国8,762人の14%を占めます。母数3人で100%になっている神奈川県を除けば、広島県の79.6%に次ぐ実質2位です。母数の大きい県で見ると次のようになります。
| 都道府県 | 任期終了者 | 定住率 |
|---|---|---|
| 北海道 | 1,225人 | 78.3% |
| 長野県 | 656人 | 78.0% |
| 島根県 | 388人 | 60.3% |
| 高知県 | 362人 | 73.8% |
| 新潟県 | 341人 | 66.0% |
| 熊本県 | 325人 | 70.2% |
| 福島県 | 310人 | 68.7% |
規模が大きいほど平均に近づきやすいことを考えると、1,225人という母数で78.3%を保っているのは強い数字です。同じ制度でも県によって結果は違い、たとえば沖縄県は61.2%でした。詳しくは沖縄県の地域おこし協力隊にまとめています。
振興局で偏りが大きい
北海道は広いため、道内のどこかで一括りにはできません。北海道が令和8年6月に公表した「令和7年度 地域おこし協力隊の活用状況等について」では、振興局別の内訳が出ています。
| 振興局 | 受入市町村数 | 隊員数 | 1市町村あたり |
|---|---|---|---|
| 上川 | 23 | 288人 | 12.5人 |
| 空知 | 24 | 220人 | 9.2人 |
| 後志 | 17 | 134人 | 7.9人 |
| 根室 | 5 | 132人 | 26.4人 |
| 十勝 | 19 | 126人 | 6.6人 |
| オホーツク | 17 | 108人 | 6.4人 |
| 胆振 | 10 | 108人 | 10.8人 |
| 釧路 | 6 | 51人 | 8.5人 |
| 渡島 | 9 | 44人 | 4.9人 |
| 宗谷 | 10 | 41人 | 4.1人 |
| 檜山 | 7 | 35人 | 5.0人 |
| 留萌 | 7 | 32人 | 4.6人 |
| 日高 | 5 | 30人 | 6.0人 |
| 石狩 | 7 | 19人 | 2.7人 |
数で最も多いのは上川の288人です。ただし1市町村あたりで見ると根室が26.4人と突出しています。根室振興局はわずか5市町村しかなく、その内訳は別海町74人、根室市20人、中標津町15人、羅臼町15人、標津町8人です。
対照的なのが石狩で、札幌市を含む7市町村で19人しかありません。1市町村あたり2.7人と道内最少です。都市部は協力隊の受け皿になっていないことが数字に出ています。札幌市の隊員数は1人です。
隊員数の多い市町村
総務省の資料から道内の市町村別の隊員数を並べると、上位は次のようになります。
| 市町村 | 隊員数 | 振興局 |
|---|---|---|
| 別海町 | 74人 | 根室 |
| 東川町 | 65人 | 上川 |
| 沼田町 | 35人 | 空知 |
| 美唄市 | 32人 | 空知 |
| 厚真町 | 28人 | 胆振 |
| ニセコ町 | 25人 | 後志 |
| 安平町 | 25人 | 胆振 |
| 中川町 | 24人 | 上川 |
| 根室市 | 20人 | 根室 |
| 釧路市 | 19人 | 釧路 |
別海町の74人は全国でも最大級です。人口1万5千人ほどの町で、生乳生産量は日本一。令和8年度は19分野50名という規模で募集しています。詳しくは別海町の地域おこし協力隊にまとめました。
全体の分布は次のとおりです。
| 隊員数 | 市町村数 |
|---|---|
| 30人以上 | 4 |
| 20人から29人 | 5 |
| 10人から19人 | 39 |
| 5人から9人 | 51 |
| 1人から4人 | 67 |
過半数は1人から4人です。上位の大規模な受入に目が行きがちですが、実際には隊員が数人しかいない町村が大半を占めます。同期がいるかどうか、相談できる先輩隊員がいるかどうかは、応募先を選ぶときに確かめておく点です。
道の支援体制|ポータルと隊員ネットワーク
北海道は他県にない仕組みを2つ持っています。
ほっかいどう地域おこし協力隊ポータルサイトは、道内市町村の募集情報を一か所に集めたサイトです。隊員向けのイベントや研修会の情報も載っています。市町村ごとにサイトを探し回らずに済みます。
一般社団法人 北海道地域おこし協力隊ネットワークは、道内の隊員が地域をまたいで情報を共有するために発足した組織です。道と連携して隊員間の連携や支援を行っており、道内隊員(OB・OGを含む)が参加できるコミュニティスペースも開設されています。
隊員数が1,374人という規模だからこそ成り立つ仕組みで、1市町村あたり1人から4人という分布を踏まえると、町の外に相談先があることの意味は小さくありません。
道は毎年度「地域おこし協力隊導入状況」を公表しており、市町村別・振興局別の隊員数を確認できます。
応募の前に確かめること
北海道で協力隊に応募するなら、次の順で確かめると判断を誤りにくくなります。
- 契約の型を確かめる。北海道では雇用型・委託型・委嘱型が並存し、同じ町でも枠によって分かれます。手元に残る額が変わります
- 金額に何が含まれるかを見る。活動費込みの月額が示されている場合があります
- 社会保険と車の負担を確かめる。委託型や委嘱型では自己負担になることがあります
- その市町村の隊員数を見る。1人しかいない町と74人の町では環境が違います
- 自治会への加入が要件かを確かめる。北海道では要件に入れている自治体があります
- 住居の扱いを確かめる。斡旋のみで家賃は自己負担という例が多くあります
契約の型ごとの違いは北海道の地域おこし協力隊 待遇比較に、制度そのものは地域おこし協力隊とはにまとめています。
本記事の数字は、総務省と北海道が公表している資料によります。時点を本文に記していますので、応募のときは最新の公表値と各市町村の募集要項で確かめてください。
よくある質問
Q.北海道の地域おこし協力隊は何人いますか。
A.令和7年度で1,374人です。都道府県別で全国1位、全国8,196人の16.8%にあたります。2位の477人と比べて約2.9倍の差があります。
Q.北海道のどの市町村が受け入れていますか。
A.179市町村のうち166市町村で、受入ゼロは13市町村だけです。これに道が直接実施する6人を加えた167団体が受入団体になります。全国の取組率が約81%であるのに対し、北海道は93%です。
Q.北海道の定住率はどれくらいですか。
A.78.3%です。直近5年に任期を終えた1,225人のうち959人が同じ地域に定住しました。全国平均は70.3%で、北海道はこれを8.0ポイント上回ります。任期終了者1,225人は47都道府県で最多です。
Q.隊員が多いのはどの市町村ですか。
A.別海町74人、東川町65人、沼田町35人、美唄市32人、厚真町28人、ニセコ町25人、安平町25人、中川町24人、根室市20人、釧路市19人の順です。
Q.北海道の中でも地域差はありますか。
A.あります。1市町村あたりの隊員数は根室振興局が26.4人と突出し、札幌市を含む石狩振興局は2.7人と道内最少です。都市部は受け皿になっていません。
Q.隊員が1人しかいない町もありますか。
A.あります。受入166市町村のうち67市町村は1人から4人で、これが最も多い層です。同期や先輩隊員がいるかどうかは、応募前に確かめておく点になります。
Q.北海道には隊員向けの支援がありますか。
A.道が「ほっかいどう地域おこし協力隊ポータルサイト」で募集情報と研修情報を一元化しているほか、一般社団法人 北海道地域おこし協力隊ネットワークが道内隊員(OB・OGを含む)の情報共有の場を運営しています。