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一戸町の地域おこし協力隊|報酬・住居・引越費用の支援

9分で読めます執筆: TownHub編集部
地域おこし協力隊一戸町

一戸町の地域おこし協力隊について、会計年度任用職員としての条件と、住居や引越費用の支援をまとめます。

一戸町は岩手県の北部、二戸郡にある町です。世界文化遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」を構成する御所野遺跡があり、農業では東北最大の産地であるレタスや、国内で最も早く出荷される促成アスパラガスを育ててきました。その一戸町の地域おこし協力隊について、一戸町と総務省の公式情報をもとにまとめます。

隊員数は9人、募集は3つの事業に分かれる

総務省がまとめた令和7年度の隊員数によると、一戸町の地域おこし協力隊は9人です。岩手県全体では33団体・348人、全国では1,187団体・8,196人が取り組んでいます。県内では一関市の32人、大船渡市の27人が突出しており、一戸町の9人は県内では中位にあたる規模です。

一方、町が公開している隊員紹介のページ(更新日は令和8年2月1日)には、「平成29年度に初めての着任者を迎え、現在5名の隊員が活動しています」と書かれています。総務省の9人は令和7年度の集計、町の5人は紹介ページが示す現時点の人数で、数えている時点が違います。どちらかが誤りというより、基準が別のものと考えてください。

町が令和8年度に募集している事業は次の3つです。

  • 自然豊かな一戸町の農業の魅力発信(2名)
  • 林業振興支援(1名)
  • 公営塾の運営(1名)

制度そのものの仕組みは地域おこし協力隊とは何かにまとめています。

3つの事業とも第1号会計年度任用職員

一戸町の分かりやすいところは、3つの事業すべてで契約形態がそろっていることです。募集要項はいずれも冒頭の「雇用関係の有無」の欄で、「あり(第1号会計年度任用職員)」と明記しています。雇用保険・厚生年金・健康保険にも加入します。

地域おこし協力隊の待遇は、自治体ごとに、さらに同じ自治体でも事業ごとに契約形態が分かれることがあります。額面の月額だけを並べても比較になりません。県内の並びは岩手県の地域おこし協力隊 待遇比較にまとめました。一戸町の場合は、どの事業に応募しても町に任用される非常勤の公務員という形になります。

雇用期間は採用の日からその年度の3月31日まで。勤務実績により、最長3年を経過する日まで延長できます。赴任の時期は協議のうえで変更することもできると書かれています。副業は3つの事業とも可能で、いずれの要項にも「必ず事前にご相談ください」と添えられています。

報酬は月額18万円、配偶者を同伴すると3万円加算

報酬は月額180,000円で、3つの事業すべて同額です。要項には「規定に基づき各種手当を支給」と添えられ、期末手当と勤勉手当が在職期間の割合に応じて6月と12月に支給されます。

金額そのものより目を引くのが、3つの要項すべてに入っている次の条件です。扶養義務を負う配偶者を同伴して転入する場合は、月額30,000円が加算されます。さらに、転入後に婚姻して扶養義務が発生した場合も、その翌月から月額30,000円が加算されると書かれています。

単身での移住を前提にした募集が多いなかで、家族で移り住むことを金額として織り込んでいる自治体は多くありません。報酬の考え方そのものは地域おこし協力隊の給料・年収で説明しています。

引越費用を上限30万円まで支給する

一戸町の条件でもっとも際立つのがここです。募集要項は、引っ越しに係る経費と入居時の敷金等をいったん隊員の負担としたうえで、着任後に一部を補助すると定めています。

支給されるのは、次の2つを合計した額です。

  • 職員等の旅費に関する条例に基づく移転料(「2級、1級の職務にあるもの」を適用)、着後手当、扶養親族移転料
  • 敷金等補助として、家賃2か月分に相当する額

そしてこの合計額に上限300,000円が設けられています。

引越費用を隊員の自己負担としたままにしている自治体は珍しくありません。一戸町は「隊員の負担」と書きながら、実際には条例に基づく移転料と敷金2か月分を合わせて30万円まで戻す設計にしています。移住の初期費用をどこまで町が持つかという点で、この30万円は実額として大きい部分です。

気をつけたいのは、支給が着任後であることです。引っ越しの時点では自分で立て替えることになります。

住居・車・活動費

住居は、一戸町と隊員が協議のうえで決定し、家賃は予算の範囲内(50,000円上限)で一戸町が補助します。町があらかじめ住宅をあてがう形ではなく、相談して決めたうえで家賃に上限つきの補助を出す形です。

光熱水費を誰が負担するかについては、3つの要項のいずれにも記載がありません。

車については、農業と林業の要項が「日常生活で自家用車が必要となりますので、自家用車の持込みをお勧めします」、公営塾の要項が「自家用車の保有をお勧めします」と書いています。公用車の貸与や燃料費の負担についての記載はありません。車は自分で用意する前提と読むのが自然です。応募要件にも普通自動車免許の取得(または取得予定)が入っています。

活動費は事業によって扱いが分かれます。農業の要項にだけ「地域おこし協力隊として活動していく上で必要なものについては、別に活動費を支給しますので、そちらで購入することが可能です」という一文があります。ただし金額の記載はありません。林業と公営塾の要項には、活動費の項目そのものがありません。

有給休暇は3つの事業とも年間10日で、年間の勤務日数に応じて変わる場合があると書かれています。

勤務は週30時間、公営塾は平日13時から19時

勤務時間は原則週5日、1日6時間以内で、週30時間です。農業と公営塾の要項はこれをフレックスタイム制と明記しています。林業の要項は同じ「原則週5日、1日6時間以内で、週30時間」と書きながら、フレックスタイム制という語は使っていません。

週30時間という設計は、1日8時間・週40時間を前提にした求人と比べれば短めです。副業が認められていることと合わせて読むと、活動以外の時間を確保しやすい組み立てになっています。

公営塾だけは時間帯が具体的に決まっています。放課後学習という業務の性質から平日13時から19時で、長期休暇期間などは午前中から勤務を頼まれる場合があると書かれています。生活のリズムがほかの2事業と大きく違うので、応募先を決めるときはここを見てください。

公営塾の業務は、小学3年生から6年生への塾形式の学習支援、中学生向けの高校受験対策を目的とした学習支援(土曜学習)、長期休暇期間に実施する体験行事の企画・運営、各種検定の運営と検定料補助金に関する仕事です。

任期後の起業補助金と定着支援金

任期を終えたあとの制度も、金額まで公開されています。

地域おこし協力隊起業・事業承継支援補助金は、上限100万円(雇用要件に合致する場合は200万円)です。対象になるのは、町で隊員として活動した期間が1年以上あり町内に住所を有すること、起業・事業承継の内容が町の活性化に資するものであること、隊員としての任期2年目から任期終了後3年以内であること、の3つを満たす人です。対象経費には設備費・備品費、賃借費、法人登記費、知的財産登録費、技術指導費、専門人材活用費、新商品開発費、従業員育成費などが挙げられています。

一戸町地域おこし協力隊退任者定着支援金は、交付は1回限りで50万円が限度です。要件には、令和6年3月31日以降に退任した隊員であること、一戸町に継続して住所を有すること、退任後6か月を経過していること、町税の滞納がないこと、就労または起業しており町内での居住を継続する見込みがあることなどが並びます。

起業する人には補助金、就職して住み続ける人には支援金と、任期後の進路を2通り想定した制度になっているのが一戸町の形です。

任期を終えた人のその後まで公開している

応募を考える人にとって、外から確かめられる材料がどれだけあるかは大きな差になります。一戸町が公開しているのは次のものです。

  • 現役の隊員5名の紹介。ミッション、任期の開始時期、出身地、趣味が並び、交流サイトへのリンクが付いている隊員もいます
  • 任期を終えた隊員12人分のアーカイブ。平成29年12月から令和8年3月までの活動期間とミッションが並び、交流サイトへのリンクが付いています
  • 「地域おこし協力隊瓦版」を創刊号(2020年12月発行)から第16号(2025年12月発行)まで全16号
  • 広報いちのへの連載「地域おこし協力隊通信」を、2024年5月号から2025年3月号まで11回分

とくに注目したいのが2つ目です。任期を終えた人がその後どうしているかまで公開している自治体は多くありません。アーカイブには、公営塾の運営、移住コーディネーター、観光分野、「食」を活用した地域活性化、林業の振興、文化芸術を活用した地域活性化、移住定住促進・地域活性化といったミッションが並び、それぞれ何年何月から何年何月まで活動したかが分かります。活動期間が1年に満たない例も、そのまま並んでいます。

募集要項に書かれた条件は、どの自治体でも良いことが並びます。実際にその町に何人が着任し、そのうち何人が3年の任期を全うしたのかは、外からはまず分かりません。一戸町のアーカイブは、それを応募する前に自分で数えられる、数少ない材料です。

現役隊員のミッションは、観光振興支援、御所野遺跡での縄文里山づくり、有害鳥獣被害対策、公営塾の運営(2名)です。いま募集している3つの事業と現役隊員の顔ぶれを見比べると、町がどの分野に人を置いてきたかが読み取れます。

応募の要件と選考の流れ

3つの事業に共通する主な要件です。

  • 三大都市圏(関東圏・東海圏・近畿圏)と政令指定都市または地方都市(全部または一部が過疎、山村、離島、半島等の地域に該当しない市町村)に在住し、採用後に一戸町へ住民票を異動できる方。任用を受ける前にすでに一戸町に定住・定着している方は含みません
  • 心身ともに健康で、地域活動に意欲を持って参加し、地域住民とやりとりができる方
  • 地方公務員法第16条に規定する一般職員の欠格条項に該当しない方
  • パソコンの一般的な操作ができる方
  • 他地域に向けて、ブログや交流サイトなどで情報発信を行える方
  • 任期満了後も一戸町に定住する意欲のある方
  • 普通自動車免許を取得している方または取得予定の方

年齢の目安は事業によって違います。令和8年4月1日現在で、農業は概ね20歳から45歳未満、林業は概ね20歳から65歳、公営塾は概ね20歳から65歳未満です。農業だけ上限が20歳分低いので、ここは見落とさないでください。公営塾はこれに加えて、教育に興味・関心のある方、中学生を含む子どもと関わるのが好きな方などが要件に入ります。

選考は書類審査と面接審査(オンライン面接の場合あり)で行われます。

  1. 応募用紙と応募レポートを一戸町ホームページからダウンロードして書く
  2. 事業ごとの担当課に提出する。農業と林業は農林課、公営塾は教育委員会 学校教育課です
  3. 第一次選考(書類審査)。結果は文書等で通知されます
  4. 第二次選考(面接審査)。詳細は第一次選考の結果通知で知らされます
  5. 合否は第二次選考後、2週間以内を目処に文書で通知されます

提出した書類は返却されません。

条件を確かめるときの窓口

この記事の数字は令和8年度の募集要項に書かれた内容ですが、条件は年度ごとに見直されます。募集の受付状況も事業ごとに別々に動くため、この記事では扱いません。

問い合わせ先は事業によって分かれています。

  • 農業の魅力発信、林業振興支援 … 一戸町役場 産業建設部 農林課(電話 0195-33-4854)
  • 公営塾の運営 … 一戸町教育委員会 学校教育課(電話 0195-33-4860)
  • 制度全般、隊員紹介、任期後の支援 … 一戸町役場 企画総務部 政策企画課(電話 0195-33-4851)

移住ポータルサイトや民間の求人サイトには、受付が終わった募集や、別の自治体の条件がそのまま残っていることがあります。必ず一戸町の公式ホームページで、応募する事業の募集要項そのものを読んでください。

この記事は一戸町ホームページおよび令和8年度の募集要項、総務省の公表資料をもとに作成しています。報酬や支援の内容、募集の状況は変わることがあります。最新の情報は必ず一戸町の公式ホームページで確認してください。

よくある質問

Q.一戸町の地域おこし協力隊の報酬はいくらですか。

A.月額180,000円で、農業・林業・公営塾の3つの事業とも同額です。規定に基づき各種手当が支給され、期末手当と勤勉手当が在職期間の割合に応じて6月と12月に支給されます。扶養義務を負う配偶者を同伴して転入する場合は月額30,000円が加算され、転入後に婚姻して扶養義務が発生した場合もその翌月から同額が加算されます。契約形態は3つとも第1号会計年度任用職員で、雇用保険・厚生年金・健康保険に加入します。

Q.引っ越しの費用は自己負担ですか。

A.募集要項では、引っ越しに係る経費と入居時の敷金等はいったん隊員の負担とされていますが、着任後に一部が補助されます。職員等の旅費に関する条例に基づく移転料・着後手当・扶養親族移転料と、敷金等補助として家賃2か月分に相当する額を合計した額が支払われ、上限は300,000円です。支給は着任後のため、引っ越しの時点では自分で立て替えることになります。

Q.住居や車はどうなりますか。

A.住居は一戸町と隊員が協議のうえで決定し、家賃は予算の範囲内(50,000円上限)で町が補助します。光熱水費を誰が負担するかについては募集要項に記載がありません。車は、農業と林業の要項が自家用車の持込み、公営塾の要項が自家用車の保有を勧めており、公用車の貸与や燃料費の負担についての記載はありません。応募要件にも普通自動車免許が入っています。

Q.任期が終わったあとの支援はありますか。

A.2つあります。地域おこし協力隊起業・事業承継支援補助金は上限100万円(雇用要件に合致する場合は200万円)で、隊員として1年以上活動し町内に住所を有する人が、任期2年目から任期終了後3年以内に申請できます。一戸町地域おこし協力隊退任者定着支援金は交付1回限りで50万円が限度で、令和6年3月31日以降に退任し、町内に継続して住所を有し、退任後6か月を経過し、就労または起業していることなどが要件です。

TownHub編集部

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全国の地域情報を取材・編集しています。自治体の公開情報と現地取材をもとに、その街で暮らす人に役立つ情報をお届けします。

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