西和賀町の地域おこし協力隊|活動内容・報酬・支援
人口に対する隊員数が岩手県内で突出している西和賀町の地域おこし協力隊をまとめます。
西和賀町は岩手県の最西端にある人口約4,800人の町で、岩手県内で随一の豪雪地帯として知られています。その小さな町が、地域おこし協力隊を県内でも有数の規模で受け入れています。西和賀町の公式情報をもとにまとめます。
人口約4,800人の町に18名
総務省がまとめた令和7年度の隊員数によると、西和賀町の地域おこし協力隊は18名です。岩手県全体では348名・33の受入自治体があり、西和賀町の18名は県内の市町村で4番目に多い人数にあたります。
県内の上位は次のとおりです。
- 一関市:32名
- 大船渡市:27名
- 遠野市:19名
- 釜石市・西和賀町・洋野町:各18名
上位に並ぶのはいずれも市で、町として18名を抱えているのは西和賀町と洋野町だけです。人口約4,800人という規模を考えると、西和賀町の受け入れ数は際立っています。制度そのものの説明は地域おこし協力隊とは、岩手県内のほかの自治体との待遇の違いは岩手県内の地域おこし協力隊の待遇比較でまとめています。
公開されている募集要項は「マルチワーカー(除雪コース)」です
町が令和8年度の募集要項として公開しているのは、マルチワーカー(除雪コース)1名です。要項は「地域にある仕事・生業を組み合わせ、自分オリジナルの働き方をつくる」隊員を求めるものだと説明しています。
- 雇用の形:西和賀町の会計年度任用職員
- 任期:委嘱の日から最長3年(活動状況を勘案して1年ごとに2回まで更新)
- 担当課:建設水道課
雇用の形は途中で変えられる余地があります。要項には、契約更新のときに個人委託型へ変更することも相談可能と書かれています。
応募できるのは、申込時点で三大都市圏または地方都市等(過疎・山村・離島・半島などの地域に該当しない市町村)に住んでいて、採用後に西和賀町へ住民票を移して住める方です。任期終了後も町に定住する意欲があること、普通自動車免許を持っているか取得する意思があることも条件になっています。
夏は道路維持、冬は除排雪
業務は季節でくっきり分かれます。夏季は町道の道路維持作業(草刈りや路面補修など)と除雪車両の保守管理、冬季は除排雪作業です。冬の除雪では、町の除雪隊「ウエスタンブルズ」の一員として働きます。
1年の流れは要項に次のように示されています。
- 4月:除雪片付け作業
- 5月から10月:副業とマルチワークの期間(道路構造物の修繕、草刈り、除雪車両の管理、地域の仕事の体験、技能習得や収入確保に向けた調査)
- 11月:除雪準備作業
- 12月から3月:除排雪作業
1日の流れは季節で大きく変わります。通常期は午前8時30分に出勤して打ち合わせをしてから作業に入り、午後5時に退勤します。冬期は午前4時に各車庫へ出勤し、午前4時30分に早朝除雪へ出動します。その後、午前8時30分と午後1時に日中除雪へ出動し、午後4時30分に日報を取りまとめて午後5時に退勤という流れです。
3年間の見通しも要項に書かれています。共通して求められるのは、町道344路線・延長約323km、うち除雪対象265路線・除雪延長約193kmの把握です。1年目と2年目は除雪オペレーターの補助(助手)として作業し、3年目に除雪運転手として作業する段階に進みます。着任1年目は路線を覚えるため道路維持作業を優先し、2年目と3年目は副業とマルチワークを優先することが妨げられません。
任期後についても、11月から3月の5か月間は町の除雪作業員として継続雇用が可能で、4月から10月の7か月間は職種が自由と示されています。業務では、会計年度任用職員の道路維持作業員3名、直営除雪作業員35名、町内の建設業者などと関わります。
なお、大型自動車免許・大型特殊自動車免許・車両系建設機械運転技能者は、持っていない場合でも業務時間内に取得でき、取得費用を助成する制度があります。副業は業務時間外であれば可能で、行うときは担当課の職員に事前に相談することになっています。
報酬は月額207,870円、年間350万円程度を想定
会計年度任用職員としての報酬は月額207,870円です。これに加えて期末手当・勤勉手当があり、時間外手当は除雪作業の期間のみ支給されます。要項には年間350万円程度の収入を想定と明記されています。
勤務条件は次のとおりです。
- 勤務日:月曜日から金曜日までの5日間(土日祝の勤務が生じた場合は時間外対応または代休対応)
- 勤務時間:午前8時30分から午後5時、休憩1時間で1日7時間30分(週37時間30分)
- 有給休暇:年10日
- 夏季休暇:7月から9月に4日
- 年末年始:12月29日から1月3日
勤務時間や勤務日の変更を希望する場合は相談できると要項に添えられています。社会保険は共済組合・厚生年金・雇用保険に加入します。報酬の考え方そのものは地域おこし協力隊の給料と待遇でまとめています。
住まいも車も自分で契約し、年間最大200万円を自分で管理します
西和賀町の仕組みで特徴的なのが活動費の扱いです。隊員の活動に必要な経費は、隊員自身が予算管理を行う「活動費補助金制度」によって支給されます。年間最大200万円の予算枠(社会保険料等を含む)のなかで、隊員が自分で使いみちを決めていきます。
対象になるのは次の経費です。
- 住居と光熱水費:町内の空き家やアパートなどを隊員自身が選んで契約します。家賃に加えて、電気・ガス・水道・灯油代(暖房費)などの光熱水費も補助の対象です。
- 活動用車両:活動に必要な車両も隊員自身がリース契約します。車両のリース料と燃料費(月100Lまで)が補助の対象です。
- その他の活動費:活動に必要な消耗品、備品(パソコンや機材など)、研修費、旅費などが対象です。
つまり、町が住宅や公用車を現物で用意する形ではありません。要項には家賃だけを取り出した上限額は書かれておらず、住居費も車両費も年間200万円の枠のなかで隊員が配分する形になります。豪雪地帯のため暖房費が補助の対象に明記されている点は、雪国ならではの設計といえます。
備品については、要件を満たすものは任期終了後に隊員へ譲渡できると示されています。起業・定住支援の位置づけです。卒隊後に町内で起業する場合は、上限100万円の補助金が用意されています。なお、引越費用については募集要項に記載がありません。
18名という規模を支える仕組み
人口約4,800人の町がこれだけの人数を受け入れられる背景として、公開されている資料から次の点が読み取れます。
1つ目は、採用の実務を外部に委託していることです。募集要項の問い合わせ先には「西和賀町地域おこし協力隊 採用事務局 一般社団法人いわて圏」と書かれ、「西和賀町役場より、地域おこし協力隊の募集・採用に関する委託を請けている地域づくり会社です」と明記されています。募集から採用までの窓口業務を役場が抱え込まない形になっています。
2つ目は、活動費を隊員自身が管理する仕組みです。住居も車両も隊員が自分で契約するため、町が人数分の住宅や公用車を確保する必要がありません。人数が増えても町側の手当てが人数に比例して増えにくい設計になっています。
3つ目は、「マルチワーカー」という枠組みそのものです。要項は募集の背景について「町内には、仕事はあるが人手が足りない地域の産業・仕事が多数あり」と説明しています。複数の受入先が抱える人手不足を、1つの隊員枠でまとめて受けとめる構造です。週間スケジュールの例にも、農業の作業研修・カフェ運営の補助・宿泊施設の補助といった複数の職場が並んでいます。
4つ目は、役場の課以外に所属する隊員が実際にいることです。町の隊員紹介ページには、町の第三セクターである株式会社西和賀産業公社に所属して、西和賀産品や地域資源の調査・販売企画・広報、事業者支援にあたる隊員が掲載されています。受け入れ先が役場の各課に限られていません。
5つ目は、応募様式が複数コースを前提にしていることです。町が公開しているエントリーシートには「応募するコース」を記入する欄があり、複数のコースを並行して運用することを想定した様式になっています。
ただし、町が要項を公開しているのはマルチワーカー(除雪コース)1名分だけです。残る隊員がどの分野にどれだけ配置されているかは町から公表されておらず、確認できません。
隊員紹介ページの数字は現在の状況と合っていません
西和賀町の公式サイトには隊員の活動を紹介するページがありますが、更新日は2024年4月1日で止まっています。このページには「現在、5名の隊員が活動しています」と書かれており、総務省が公表している18名とは大きく食い違います。
さらに、このページで隊員の所属として挙げられている「ふるさと振興課」「農業振興課」は、現在の町の組織一覧に存在しません。現在の組織は総務課・企画財政課・町民課・税務課・会計課・健康福祉課・農林課・観光商工課・建設水道課などで構成されています。
隊員紹介ページに載っている5名という人数や所属の課名は、現在の状況を表したものとして読まないでください。人数を知りたいときは総務省が毎年公表している隊員数の資料を、募集の内容を知りたいときは町が公開している最新の募集要項を確認するのが確実です。
問い合わせ先
地域おこし協力隊の募集要項やエントリーシートの掲載は企画財政課(湯田庁舎・電話0197-82-3284)が行っています。マルチワーカー(除雪コース)の業務そのものを担当するのは建設水道課(湯田庁舎・電話0197-82-3288)です。
募集・採用に関する問い合わせは、町から委託を受けた採用事務局である一般社団法人いわて圏が受け付けています。応募の際の提出書類は、履歴書(写真添付)・住民票の抄本・西和賀町地域おこし協力隊応募用紙です。選考は書類審査による第1次選考と、西和賀町での面接試験による第2次選考の2段階で、応募から1か月から1.5か月程度の選考期間が想定されています。応募にかかる経費はすべて応募者の負担です。
この記事は西和賀町公式ホームページおよび総務省の公表資料の情報をもとに作成しています。募集の内容・報酬・補助の条件・隊員数は変わることがあります。最新の情報は必ず西和賀町の公式ホームページで確認してください。
よくある質問
Q.西和賀町の地域おこし協力隊は何名が活動していますか?
A.総務省がまとめた令和7年度の隊員数では18名です。岩手県内の市町村では一関市(32名)・大船渡市(27名)・遠野市(19名)に次いで4番目に多く、釜石市・洋野町と並びます。人口約4,800人の町としては際立った規模です。なお町の公式サイトにある隊員紹介ページは2024年4月で更新が止まっており、そこに書かれた5名という人数は現在の状況を表していません。
Q.住居や車は町が用意してくれますか?
A.現物での貸与はありません。町内の空き家やアパートは隊員自身が選んで契約し、活動用の車両も隊員自身がリース契約します。ただし家賃、電気・ガス・水道・灯油代(暖房費)などの光熱水費、車両のリース料と燃料費(月100Lまで)は、年間最大200万円の「活動費補助金制度」の対象です。この枠は隊員自身が予算管理を行う仕組みで、消耗品や備品、研修費、旅費もこの枠から支出します。
Q.除雪の経験や大型免許がなくても応募できますか?
A.募集要項では、大型自動車免許・大型特殊自動車免許・車両系建設機械運転技能者は持っていない場合でも業務時間内に取得でき、取得費用を助成する制度があるとされています。必須の条件は普通自動車免許を持っているか取得する意思があることです。1年目と2年目は除雪オペレーターの補助(助手)として作業し、3年目に除雪運転手として作業する段階に進む想定になっています。
参考にした公式ページ
- 地域おこし協力隊募集について|西和賀町
- 令和8年度西和賀町地域おこし協力隊 募集要項 マルチワーカー(除雪コース)(PDF)|西和賀町
- 西和賀町地域おこし協力隊 エントリーシート(Word)|西和賀町
- 地域おこし協力隊の活動を紹介します|西和賀町
- 組織から探す|西和賀町
- 通知・資料|地域おこし協力隊ナビ(総務省)
- 地域おこし協力隊隊員数(令和7年度)(PDF)|総務省
情報は変わることがあります。最新の内容は各公式ページでご確認ください。