岩手県の地域おこし協力隊|受入状況・活動分野・任期後の定住
岩手県で地域おこし協力隊を受け入れている市町村と隊員数、活動分野、任期が終わったあとの定住状況をまとめます。
岩手県は、地域おこし協力隊の隊員数が全国で5番目に多い県です。一方で、任期を終えた隊員が同じ地域に残る割合は全国38位にとどまります。総務省と岩手県の公式資料をもとにまとめます。
隊員数は全国5位、受入団体数は全国8位
総務省が令和8年4月24日に公表した令和7年度の集計では、全国の隊員数は8,196名、受入自治体数は1,187自治体(20道県と1,167市町村)でした。前年度の7,910名・1,176団体から、隊員数は286名、団体数は11団体増えています。
このうち岩手県は348名・33団体です。隊員数は北海道1,374名、長野県477名、島根県386名、福島県351名に次ぐ全国5位、受入団体数は全国8位でした。制度そのもののしくみは地域おこし協力隊とはにまとめています。
岩手県の特徴は、団体の数よりも1団体あたりの人数に出ます。348名を33団体で割ると10.5名になり、全国平均の6.9名を大きく上回って、東北6県では最も多くなります。
| 県 | 隊員数 | 受入団体数 | 1団体あたり |
|---|---|---|---|
| 岩手県 | 348名 | 33団体 | 10.5名 |
| 宮城県 | 264名 | 29団体 | 9.1名 |
| 秋田県 | 176名 | 23団体 | 7.7名 |
| 福島県 | 351名 | 47団体 | 7.5名 |
| 山形県 | 196名 | 34団体 | 5.8名 |
| 青森県 | 84名 | 28団体 | 3.0名 |
33団体の内訳は、岩手県が直接受け入れている4名と、32市町村の344名です。県が直接委嘱している隊員は「いわて地域おこし協力隊」という名前で、県が令和7年度に公式の交流サイトで紹介した32本の記事にも、市町村の隊員と並んで登場します。県直営の枠は前年度は3名でした。
受け入れは厚いのに、定住率は全国38位
総務省は同じ日に、令和2年4月1日から令和7年3月31日までの直近5年間に任期を終えた隊員の定住状況も公表しています。調査時点は令和7年5月1日です。
全国では、任期を終えた8,762名のうち6,163名が同じ地域に定住し、定住率は70.3%でした。岩手県は任期終了296名に対して定住188名、63.5%で、47都道府県のうち38位です。
| 県 | 任期終了者 | 定住率 | 全国順位 |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 1,225名 | 78.3% | 3位 |
| 青森県 | 105名 | 74.3% | 10位 |
| 福島県 | 310名 | 68.7% | 25位 |
| 宮城県 | 279名 | 67.4% | 30位 |
| 山形県 | 198名 | 64.6% | 36位 |
| 岩手県 | 296名 | 63.5% | 38位 |
| 秋田県 | 179名 | 55.9% | 46位 |
隊員数は全国5位、定住率は全国38位。受け入れの厚さと、任期後に残る人の割合が一致していません。ただし、この差がなぜ生まれるのかは、総務省の資料にも岩手県の資料にも書かれていません。公表されているのは人数と割合だけです。理由を知りたい場合は、市町村の担当課や、実際に任期を終えた人に直接聞くしかありません。
任期後のなりわいは全国の数字しかありません。活動地と同じ市町村内に定住した5,038名のうち、約46%が起業、約35%が就業、約12%が就農・就林でした。県別の内訳は公表されていません。
市町村別の隊員数
令和7年度の市町村別の隊員数を、多い順に並べました。前年度の数字も総務省の令和6年度の集計から並べています。
| 市町村 | 令和7年度 | 令和6年度 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 一関市 | 32名 | 23名 | +9 |
| 大船渡市 | 27名 | 13名 | +14 |
| 遠野市 | 19名 | 18名 | +1 |
| 釜石市 | 18名 | 9名 | +9 |
| 西和賀町 | 18名 | 10名 | +8 |
| 洋野町 | 18名 | 20名 | −2 |
| 盛岡市 | 17名 | 17名 | 増減なし |
| 岩泉町 | 17名 | 28名 | −11 |
| 岩手町 | 15名 | 13名 | +2 |
| 花巻市 | 14名 | 12名 | +2 |
| 大槌町 | 14名 | 20名 | −6 |
| 久慈市 | 13名 | 10名 | +3 |
| 普代村 | 12名 | 12名 | 増減なし |
| 陸前高田市 | 9名 | 8名 | +1 |
| 紫波町 | 9名 | 10名 | −1 |
| 平泉町 | 9名 | 6名 | +3 |
| 九戸村 | 9名 | 14名 | −5 |
| 一戸町 | 9名 | 6名 | +3 |
| 宮古市 | 7名 | 5名 | +2 |
| 奥州市 | 7名 | 6名 | +1 |
| 葛巻町 | 7名 | 8名 | −1 |
| 野田村 | 7名 | 8名 | −1 |
| 住田町 | 6名 | 4名 | +2 |
| 山田町 | 6名 | 6名 | 増減なし |
| 軽米町 | 6名 | 6名 | 増減なし |
| 二戸市 | 5名 | 4名 | +1 |
| 矢巾町 | 4名 | 3名 | +1 |
| 八幡平市 | 3名 | 3名 | 増減なし |
| 滝沢市 | 2名 | 3名 | −1 |
| 雫石町 | 2名 | 2名 | 増減なし |
| 金ケ崎町 | 2名 | 3名 | −1 |
| 田野畑村 | 1名 | 記載なし | 新規 |
| 岩手県(県直営) | 4名 | 3名 | +1 |
岩手県には33の市町村があります。総務省の令和7年度の集計に名前があるのは、このうち32市町村です。県の分と合わせて33団体という数字になるため、市町村の数と団体の数がたまたま同じ33で並びます。混同しないよう注意してください。
1年でいちばん増えたのは大船渡市の14名増です。次いで一関市と釜石市が9名増、西和賀町が8名増。逆にいちばん減ったのは岩泉町の11名減で、大槌町が6名減、九戸村が5名減と続きます。田野畑村は令和6年度の集計に名前がなく、令和7年度に1名で登場しました。
1年でこれだけ動く数字なので、「この市町村には何名いる」という言い方は、必ず年度とセットで扱ってください。
表に載っていない北上市
令和7年度の総務省の集計で、岩手県の33市町村のうち唯一名前がないのが北上市です。令和6年度の集計にも名前はありません。また、岩手県が公式の交流サイトで隊員を紹介している記事にも、令和6年度・令和7年度ともに北上市は登場しません。国と県の両方で見当たらないことになります。
ただし、これを「北上市は地域おこし協力隊を受け入れていない」と読むのは誤りです。
北上市の公式ページには、平成28年度から制度を導入し、令和5年4月までに10名の隊員が活動してきたと書かれています。氏名と活動期間つきで10名分が掲載されており、観光まちづくり、夏油高原エリアの活性化、口内地区の新規就農、スポーツツーリズム、ローカルカンパニーの魅力発信、養蚕の6つのプロジェクトが並びます。最後の隊員の活動期間は令和5年4月23日までです。
つまり、総務省の調査の基準日には現役の隊員がゼロだったため、表に行が立たなかったというだけのことです。国の表に載っていないことは、その市町村に隊員がいたことがない、という意味ではありません。
そして令和8年度、北上市は再び隊員を置くことにしました。高校生とまちをつなぐ「学びのコーディネーター」1名と、夏油温泉・夏油高原の活性化に取り組む「夏油アカデミア事業」3名の、あわせて4名の枠です。学びのコーディネーターの募集ページには「今回初めて、地域おこし協力隊として」募集すると書かれています。令和5年4月に第1期の10名が満了してから約3年の空白があり、令和8年度に4名で再び動き出した、というのが正確な経過です。
岩手県が公表しているもの、していないもの
福島県のように、都道府県が市町村別の隊員数を自分で公表している例もあります。岩手県には、市町村別の統計はありません。県の地域おこし協力隊のページは、統計そのものを総務省のページへのリンクで済ませています。したがって、この記事の市町村別の数字は、総務省が唯一の出どころです。
岩手県は定住率のデータも公表していません。先ほどの63.5%という数字も、出どころは総務省です。
県が自前で持っているのは、次のようなものです。
- 移住定住ポータルサイト「イーハトー部に入ろう!」の募集一覧…市町村ごとの募集をまとめたページで、隊員数の一覧ではありません。募集テーマ、募集人数、申込受付の期限が並びます
- 県公式の交流サイト「いわてのわ」の活動紹介…令和7年度は32本の記事で、隊員を1人ずつ紹介しています
- 活動報告会と合同募集説明会…県が主催し、県内の隊員が活動を報告します
- 一般社団法人いわて地域おこし協力隊ネットワーク…令和4年1月20日に設立された、岩手郡葛巻町に所在する団体です
募集一覧を使うときは、気をつけてほしいことがあります。このポータルは、受付期限が過ぎた募集をそのまま載せ続けています。実際に、申込受付の期限が半年以上前で終わっている募集が、いまも一覧に並んでいます。関心のある市町村を見つけたら、必ずその市町村の公式ページで現在の扱いを確かめてください。
ネットワークについても注意点があります。この団体は名前に「地域おこし協力隊」と入っていますが、県の説明によれば、地域おこし協力隊・復興支援員・集落支援員のOB・OGを核とした全県ネットワークとして立ち上げられたものです。会員数や参加人数を、そのまま協力隊の人数として使わないでください。
復興支援員は令和8年度から福島県だけになった
岩手県で協力隊を調べると、必ず復興支援員が視界に入ります。名前も活動内容も似ていますが、地域おこし協力隊とは別の制度です。根拠は平成24年1月6日付けの復興支援員推進要綱で、財源も震災復興特別交付税です。
そして、この制度は令和8年度に大きく変わりました。令和8年3月27日付けの通知(総行応第69号)による要綱改正で、措置の対象は福島県および福島県内市町村に限られ、それ以外の団体については令和7年度で措置を終了することになりました。同じ通知には「一般的な地域振興の取組については、地域おこし協力隊等の一般施策を積極的に活用していただくようお願いします」と明記されています。
つまり令和8年度の岩手県に、総務省の制度としての復興支援員はいません。令和7年度の時点では、大船渡市に7名(災害公営住宅でのコミュニティ支援やパーソナルサポート)、岩泉町に4名(就農希望者の支援、産直施設の運営支援、地域木材の活用)がいました。
なお、復興支援員とは別に集落支援員という制度もあり、こちらは続いています。令和7年度の岩手県は、専任が12団体121名、兼任が4団体16名です。協力隊とは委嘱の根拠も役割も違います。
協力隊と間違えやすい岩手の取組
岩手県で名前を見かけるもののうち、次の2つは地域おこし協力隊ではなく復興支援員で、いずれもすでに終わっています。過去の取組として読んでください。
釜援隊(釜石リージョナルコーディネーター)は、釜石市が総務省の復興支援員制度に基づいて置いたものです。2013年(平成25年)4月に発足し、延べ29名を採用、うち28名がUIターン者でした。各隊員は釜石市と業務委託契約を結んだ個人事業主という形で、2021年(令和3年)3月に活動を終えています。市の公式ページにあった釜援隊の紹介ページは、現在は開けません。名前の響きから協力隊と取り違えられやすいので、注意してください。
いわて復興応援隊は、岩手県が置いたものです。平成24年10月から令和5年3月までの10年6か月にわたり、沿岸の被災市町村を中心に57名を配置しました。県は活動報告書をまとめて公開しており、すでに終了した取組です。
ここで押さえておきたいのが、県の窓口の連続性です。いわて復興応援隊を所管していたのは、県のふるさと振興部地域振興室でした。そして現在、県の地域おこし協力隊のページを担当しているのも、同じ地域振興室です。県の被災地向けの人材受け入れが復興支援員から地域おこし協力隊へ、同じ室の中で引き継がれているという見方ができます。総務省の表にある県直営の4名は、この流れの上にあります。
なお、福島県の大熊町のように「地域おこし」を名前に含みながら協力隊ではない制度は、岩手県では見当たりません。それでも、募集要項に「地域おこし協力隊」と明記されているかどうかで判断するのがいちばん確実です。
応募先を探すときに見る場所
募集を出すのは、県直営の枠を除けば市町村です。県のポータルサイトに県内の募集が集まっているので、まずそこで全体を眺め、そのうえで市町村の公式ページに戻って確かめる、という順番がおすすめです。
- ポータルの一覧をそのまま信じない。受付期限が過ぎた募集が残っています
- 市町村の公式ページから辿り直す。ページが開けても、募集要項へのリンクだけが外され、金額の記載が消えていることがあります
- 年度を必ず確かめる。同じURLが年度更新で上書きされる例があり、検索結果に出てくる見出しやURLの数字だけでは年度を判断できません
- 民間のまとめサイトを根拠にしない。数年前の募集を掲載し続けていたり、地域プロジェクトマネージャーなど別の制度を協力隊として載せていたりする例があります
- 隊員数と定住率の数字がほしいときは、総務省の公表資料を見てください。県も市町村も、この統計は自前では出していません
報酬や契約の形は市町村ごとに大きく違います。考え方の基本は地域おこし協力隊の給与・報酬のしくみに、県内の市町村ごとの違いは岩手県内の待遇比較にまとめています。
この記事は総務省と岩手県、および各市町村が公表している資料をもとに作成しています。隊員数や制度の扱いは時点によって変わるため、最新の情報は必ず総務省・岩手県・各市町村の公式ホームページで確認してください。
よくある質問
Q.岩手県には地域おこし協力隊が何人いますか。
A.総務省が令和8年4月24日に公表した令和7年度の集計では、岩手県は348名・33団体です。隊員数は北海道、長野県、島根県、福島県に次ぐ全国5位、受入団体数は全国8位でした。内訳は岩手県が直接受け入れている4名と、32市町村の344名です。前年度は313名・32団体で、1年で35名増えています。岩手県は市町村別の統計を自分では公表していないため、市町村ごとの人数は総務省の資料が唯一の出どころです。
Q.岩手県の定住率が全国38位というのは、どういう数字ですか。
A.総務省が調べた、令和2年4月1日から令和7年3月31日までの直近5年間に任期を終えた隊員が、同じ地域に住み続けているかどうかの割合です。調査時点は令和7年5月1日で、岩手県は任期終了296名のうち定住188名、63.5%でした。全国は8,762名のうち6,163名で70.3%なので、全国平均を下回り、47都道府県では38位にあたります。東北では北海道78.3%、青森県74.3%、福島県68.7%、宮城県67.4%、山形県64.6%が岩手県より上です。なお、なぜこの順位になるのかについての説明は、総務省の資料にも岩手県の資料にも書かれていません。
Q.北上市には地域おこし協力隊がいないのですか。
A.総務省の令和6年度・令和7年度の集計に北上市の名前はありませんが、受け入れていないという意味ではありません。北上市は平成28年度から制度を導入し、令和5年4月までに10名の隊員が活動しています。最後の隊員の活動期間が令和5年4月23日で終わり、その後の着任者がいなかったため、調査の基準日に現役隊員がゼロで表に行が立たなかった、というのが実態です。その後、令和8年度に「学びのコーディネーター」1名と「夏油アカデミア事業」3名の計4名の枠で、市は再び隊員を置くことにしています。
参考にした公式ページ
- 令和7年度における地域おこし協力隊の活動状況等|総務省
- 令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について・定住状況等に係る調査結果|総務省
- 令和6年度 地域おこし協力隊の隊員数等について|総務省
- 令和7年度「復興支援員」取組状況|総務省
- 復興支援員推進要綱の一部改正等について(令和8年3月27日付け通知・総行応第69号)|総務省
- 都道府県別の集落支援員の人数・設置団体数(令和7年度)|総務省
- 地域おこし協力隊|岩手県
- 令和7年度地域おこし協力隊活動紹介(県公式SNS「いわてのわ」投稿記事)|岩手県
- 一般社団法人いわて地域おこし協力隊ネットワーク|岩手県
- いわて復興応援隊|岩手県
- 「地域おこし協力隊」募集一覧|いわて暮らし移住定住ポータルサイト「イーハトー部に入ろう!」(岩手県)
- 地域おこし協力隊のこれまでの活動を紹介します|北上市
- 高校生×地域をデザインする学びのコーディネーターを募集します|北上市
- 夏油温泉・夏油高原の活性化に取り組む隊員を募集します|北上市
- 令和3年度 釜石市地方創生アドバイザー会議資料(釜石リージョナルコーディネーター・釜援隊)|釜石市
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