盛岡市の地域おこし協力隊|テーマごとに違う契約形態と報酬
盛岡市の地域おこし協力隊について、テーマごとに異なる契約形態と報酬、支援をまとめます。
盛岡市は岩手県の県庁所在地で、平成29年度から地域おこし協力隊を受け入れています。令和8年度の募集は7つのテーマに分かれていて、テーマによって隊員を雇う相手が市だったり民間の受入団体だったりします。盛岡市の公式情報をもとにまとめます。
雇い主がテーマごとに変わる
盛岡市の協力隊でいちばん重要なのは、7つのテーマが2つの契約形態に分かれていることです。市の募集ページと各テーマの募集要項によると、内訳は次のとおりです。
| 契約形態 | 該当するテーマ | 市との雇用関係 |
|---|---|---|
| 市の会計年度任用職員(パートタイム) | テーマ1・3・4・5・7 | あり |
| 受入団体の社員 | テーマ2・6 | なし(市は委嘱のみ) |
テーマ2とテーマ6は、盛岡市が地域おこし協力隊員として委嘱したうえで、隊員は受入団体と別途、雇用契約を結びます。募集要項には「市との雇用関係はありません」と明記されています。
この違いは呼び方の問題ではありません。報酬の決め方、社会保険の入り方、住居の負担者、勤務時間、休日の数え方、兼業の相談先まで、生活に直結する条件がまるごと変わります。「盛岡市の協力隊はいくらもらえるか」という問いに、ひとつの答えはありません。制度そのもののしくみは地域おこし協力隊とは、報酬の考え方は地域おこし協力隊の給与・報酬のしくみにまとめています。
会計年度任用職員として働く5つのテーマ
テーマ1・3・4・5・7は、市のパートタイムの会計年度任用職員として任用されます。募集要項に書かれている月額報酬と所属は次のとおりです。
| テーマ | 活動地域 | 所属 | 月額報酬 |
|---|---|---|---|
| 1 鳥獣被害から地域を守るプロジェクト | 玉山地域 | 玉山総合事務所 産業振興課 | 180,851円 |
| 3 観光振興に係るPR活動支援 | 市内全域 | 交流推進部 観光課 | 175,819円 |
| 4 新しい視点を生かして「盛岡を“もっと”健康なまちへ」 | 市内全域 | 保健福祉部 保健所 健康増進課 | 180,851円 |
| 5 デジタルの力で、盛岡を笑顔に! | 市内全域 | 総務部 情報企画課 | 171,561円 |
| 7 松園住宅団地の再生・活性化に向けた活動の推進 | 松園地域 | 都市整備部 都市計画課 | 180,851円 |
報酬からは社会保険料(健康保険、厚生年金、雇用保険)が差し引かれます。この5つのテーマには、月額とは別に通勤手当と期末手当・勤勉手当があり、期末手当・勤勉手当は年間で最大4.6月分とされています。月額だけを見ると年収を読み違えます。
活動時間は1週間あたり30時間の範囲内で、週5日が基本です。任用時に担当課と調整のうえ、週4日にすることもできると要項に書かれています。休日は土曜・日曜と祝日、12月29日から翌年1月3日まで。有給休暇は初年度は任用期間に応じて1日から10日です。テーマ3は祭りやイベントに従事することがあるため、土曜・日曜・休日の勤務(振替休日で対応)になる場合があるとされています。
任用期間は着任日から年度末まで。ただし通算3年を限度に、勤務実績にもとづいて公募によらない再度の任用を行う場合があります。兼業は、任期終了後の定住を円滑に進めるために必要な場合、あらかじめ相談することとされています。
受入団体に雇われる2つのテーマ
テーマ2とテーマ6は、条件そのものが受入団体との雇用契約で決まります。
テーマ2「高校生等の郷土愛醸成プロジェクト」は、活動地域が市内全域で、市の委託先である富士通Japan株式会社の社員として働きます。勤務場所は関係人口の交流拠点です。
- 月額200,000円から250,000円程度。経験と能力を考慮のうえ、勤務時間により算出される
- 別途、通勤割増報酬を実費分(月額上限10,000円)支給。報酬・手当等の上限額は月額250,000円
- 活動日数は原則として月20日。活動時間は1日7時間45分、週38時間45分(土曜・日曜・祝日の出勤を含む)が目安
- 休日はシフトによる週2日と、12月31日から1月3日まで。有給休暇は勤務6か月後から法定日数
- 社会保険に加入。車両は受入団体の社用車またはリース車両を使う(私用は不可)
- 消耗品・燃料費・旅費は予算の範囲内で委託団体が負担
このテーマだけ、募集要項の待遇・福利厚生に住居の項目そのものがありません。ほかの6テーマには市または受入団体が家賃を負担する定めがあるのに対し、テーマ2にはその記載がなく、引越費用も自己負担とされています。住まいをどうするかは、応募前に必ず確認してください。
テーマ6「ちょうどいい都市もりおかで、土と心を耕し、未来を育む。」は、活動地域が都南地域で、勤務先は農事組合法人となんです。
- 基本給192,000円(1か月の所定労働時間160時間)
- 時間外・休日手当は上限30時間で48,750円。通勤手当は上限40,000円
- 賞与あり(支給月は8月と2月。ただし在籍6か月を経過後の支給月から)
- 1日8時間(午前8時30分から午後5時30分)×週5日、年間所定労働日数240日。繁忙期は早出・残業・休日出勤がある
- 住居は隊員と協議のうえ市内に選定し、委嘱期間中の家賃は受入団体が月額5万円を上限として負担(家賃以外は自己負担)
- 車両は受入団体の社用車またはリース車両(私用は不可)
どちらのテーマも、活動実績や勤務時間によって報酬額が動きます。兼業は受入団体とあらかじめ協議し、認められれば可能ですが、その際は市とも協議することとされています。
会計年度任用職員のテーマと額面を並べると受入団体型のほうが高く見えますが、前者は週30時間以内、後者は週38時間45分または1日8時間×週5日で、そもそも働く時間が違います。さらに会計年度任用職員には年間最大4.6月分の期末手当・勤勉手当が付きます。月額だけを横に並べても比較になりません。岩手県内のほかの市町村と並べて見たい場合は岩手県内の地域おこし協力隊の待遇比較もあわせてご覧ください。
住まい・車・引越の扱い
生活費に効く部分を、契約形態ごとに整理します。
| 項目 | 会計年度任用職員のテーマ | 受入団体が雇うテーマ |
|---|---|---|
| 住居 | 隊員と協議のうえ市が借り上げ。家賃は5万円まで市が負担 | テーマ6は受入団体が月額5万円を上限に家賃を負担。テーマ2は記載なし |
| 光熱水費 | 自己負担 | テーマ6も自己負担 |
| 車両 | 予算の範囲内で市が貸与 | 受入団体の社用車またはリース車両 |
| 消耗品・燃料費・旅費 | 予算の範囲内で市が負担 | 予算の範囲内で受入団体(委託団体)が負担 |
| 引越費用 | 自己負担 | 自己負担 |
7つのテーマに共通しているのが車の扱いです。貸与や社用の車両は私用に使えず、募集要項はいずれも「自家用車の持ち込みをお勧めします」としています。応募資格にも普通自動車免許を持ち日常的に運転していることが挙げられており、応募書類として運転免許証の写し(両面)の提出が求められます。生活の足は自分で用意する前提だと考えておいたほうがよいです。
家賃の上限が5万円である点と、光熱水費が自己負担と明記されている点も見落としやすいところです。家賃が5万円を超える住まいを選べるのか、超過分の扱いはどうなるのかは要項に書かれていないため、担当課に確認してください。
隊員は何人いるのか
盛岡市について調べると、基準時点の違う数字が3つ並びます。どれかひとつを正解と決めないほうがよいという状態です。
| 資料 | 基準時点 | 人数 |
|---|---|---|
| 総務省「令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について」 | 令和7年度 | 17名 |
| 市の募集要項・インターン型の募集ページ | 令和8年1月1日時点 | 7名(着任者数の累計は32名) |
| 市の活動紹介ページの本文 | 令和6年10月1日時点 | 11名 |
さらに、その活動紹介ページで「活動中の隊員」として名前と活動テーマが載っているのは5名です。ページの更新日は令和8年7月10日ですが、本文の人数は令和6年10月時点のまま更新されていません。
総務省の数字は年度を通じた集計、市の数字はある時点で在籍している人数なので、そもそも性質が違います。加えて盛岡市では令和7年度に1名が着任し、4名が任期を終えて退任しており、年度の途中で人数が動いています。人数を引用するときは、必ず「どの資料の、いつ時点の数字か」を添えてください。
なお市の資料によれば、平成29年度からの着任者は延べ32名です。過去のテーマには、道の駅の商品開発、山里暮らしのモデル構築、スポーツによる広域圏の魅力発信、中心市街地の賑わい創出、林業振興などがあり、盛岡市の協力隊は「中山間地域の仕事」にも「まちなかの仕事」にも振れてきたことが分かります。
着任後の仕事が実例で確かめられる
盛岡市の公開情報は、岩手県内の市町村のなかでは厚いほうです。応募を考える人にとって値打ちがあるのは、募集要項よりもむしろこちらです。
- 隊員別の月次活動報告。令和4年12月分から令和8年7月分まで、毎月1回、隊員を替えながら途切れずに載っています
- 年度別の活動報告。令和4年度から令和7年度まで、隊員ごとの活動テーマ・活動地域・着任日と、活動報告のPDFが公開されています
- 令和4年度の活動報告会の資料。玉山地域で活動した隊員の報告がPDFで読めます
- 広報もりおかに載った記事(直近3年分)と、玉山地域の地域振興会議だより、協力隊の活動広報誌
- 市の公式の交流サイトのほか、隊員個人の活動を知らせる交流サイトへの案内
募集要項の「一日のスケジュールの例」「3年間のスケジュールの例」も、テーマごとに書かれています。たとえば鳥獣被害のテーマなら、朝の打合せから地域巡回、罠の稼働状況の確認、通報箇所の確認までの流れが時刻付きで示され、1年目はデータ収集、3年目は知見を農業者へ展開する、という組み立てになっています。着任後に何をするのかを、書かれた仕事の説明と実際の月次報告の両方から確かめられるのは、応募先を決めるうえでかなり大きな材料です。
2週間だけ体験するインターン型
盛岡市には、応募を検討している人が実際の活動と暮らしを体験できるインターン型地域おこし協力隊の枠が別にあります。対象は7つのテーマと同じで、募集人員は3名(選考あり)です。
- 報償費は日額12,000円×活動日数(委嘱期間が2週間の場合は10日間)。支給時に源泉所得税が控除され、活動が無い日の報酬はありません
- 交通費、宿泊費、消耗品費など、活動に関するすべての必要経費を含んだ金額です
- インターン型協力隊員として委嘱するもので、市とも委託事業者とも雇用関係はなく、社会保険もありません。活動中の怪我や病気に市からの補償はないため、必要に応じて自分で保険への加入を検討するよう案内されています
- 期間中の宿泊場所は自分で手配します
- 住民票を盛岡市内に移す必要はありません
日額だけを見ると高く見えますが、宿泊も移動も自前でまかなう性質のお金です。数字の意味を取り違えないでください。
募集要項を読むときに気をつけること
盛岡市の情報を調べるときに、実際につまずきやすい点が3つあります。
ひとつめは、市の募集ページの本文にある誤植です。「隊員の身分等」の欄に【テーマ1・3・4・5・7・8】が市の会計年度任用職員と書かれていますが、募集は7テーマまでで、テーマ8は存在しません。各テーマの募集要項では、テーマ1・3・4・5・7が会計年度任用職員、テーマ2とテーマ6が受入団体の雇用として一貫しています。要項の側が正しい記載です。
ふたつめは、検索で出てくる古い年度の募集要項です。盛岡市では前年度の要項のファイルの置き場所がすでに変わっていて、古い場所を指すリンクは開けません。金額も勤務条件も年度で変わるため、必ず市の公式ページから今の年度の要項をたどってください。
みっつめは、自治体以外のまとめサイトです。岩手県内の求人サイトには、数年前の募集をそのまま掲載し続けていたり、協力隊ではない別の制度を協力隊として並べていたりするものがあります。条件を確かめるときは、市の募集ページと各テーマの募集要項を原文で読むのが確実です。
現地見学会やオンラインでの情報交換は随時対応するとされており、地域住民や担当職員、現役の隊員が応じます。ただし事前連絡が必要で、現地までの交通費と宿泊代は自己負担です。応募や活動内容についての問い合わせ先は、市長公室 企画調整課 都市戦略室(電話019-613-8370)です。
この記事は盛岡市公式ホームページと総務省の公表資料の情報をもとに作成しています。報酬・支援内容・募集テーマは変わることがあります。最新の情報は必ず盛岡市の公式ホームページで確認してください。
よくある質問
Q.盛岡市の地域おこし協力隊の報酬はいくらですか。
A.テーマによって違います。テーマ1・3・4・5・7は市のパートタイムの会計年度任用職員で月額171,561円から180,851円、これに通勤手当と年間最大4.6月分の期末手当・勤勉手当が加わります。テーマ2は委託先の富士通Japan株式会社の社員として月額200,000円から250,000円程度(報酬・手当等の上限額は月額250,000円)、テーマ6は農事組合法人となんの社員として基本給192,000円に時間外・休日手当や賞与が加わります。ただし会計年度任用職員は週30時間以内、受入団体型は週38時間45分または1日8時間×週5日と働く時間が違うため、月額をそのまま比べることはできません。
Q.住居や車は用意してもらえますか。
A.会計年度任用職員の5つのテーマは、隊員と協議のうえ市が住居を借り上げ、家賃を5万円まで市が負担します。テーマ6は受入団体が月額5万円を上限に家賃を負担します。テーマ2は募集要項に住居の項目がありません。いずれのテーマも光熱水費と引越費用は自己負担です。車両は市または受入団体が用意しますが私用には使えず、募集要項はどのテーマでも自家用車の持ち込みを勧めています。
Q.盛岡市には隊員が何人いますか。
A.資料によって数字が違います。総務省の令和7年度の集計では17名、市の募集要項では令和8年1月1日時点で7名(着任者数の累計は32名)、市の活動紹介ページの本文では令和6年10月1日時点で11名とされ、同じページで活動中として紹介されているのは5名です。基準となる時点も集計の性質も違うため、引用するときはどの資料のいつ時点の数字かを添えてください。
参考にした公式ページ
- 令和8年度着任の盛岡市地域おこし協力隊を募集します|盛岡市
- 盛岡市地域おこし協力隊|盛岡市
- 令和8年度盛岡市地域おこし協力隊募集要項 テーマ1 鳥獣被害から地域を守るプロジェクト|盛岡市
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- 令和8年度盛岡市地域おこし協力隊募集要項 テーマ6 ちょうどいい都市もりおかで、土と心を耕し、未来を育む。|盛岡市
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- 令和7年度盛岡市地域活性化起業人及び盛岡市地域おこし協力隊活動報告|盛岡市
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- 地域おこし協力隊が退任しました|盛岡市
- 令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について|総務省
情報は変わることがあります。最新の内容は各公式ページでご確認ください。