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おためし地域おこし協力隊とインターン|応募前に試せる制度

10分で読めます執筆: TownHub編集部
おためし地域おこし協力隊とインターンの制度を解説することを示した図。制度の内容、探し方、参加の流れの3つを並べ、実際の活動を体験してミスマッチを防ごうと呼びかけている。田園を背景に、バッグと筆記用具を持った2人が立っている

着任前に現地で活動を体験できる、おためし地域おこし協力隊とインターン制度を解説します。期間や報酬、住民票の扱い、参加の方法まで。

地域おこし協力隊の任期は、おおむね1年以上3年以下です。その前に、現地で活動を体験できる仕組みが2つ用意されています。おためし地域おこし協力隊と、地域おこし協力隊インターンです。総務省の推進要綱と、実施している自治体の公式情報をもとにまとめます。

おためしとインターンは別の制度

名前が似ているため一続きのものに見えますが、この2つは総務省の地域おこし協力隊推進要綱のなかで別々に定められた、別の取組です。隊員本体を定めた第2・第3とは分けて、第4「『地域おこし協力隊』の推進のための施策」に、(1)おためし地域おこし協力隊、(2)地域おこし協力隊インターンとして並べて置かれています。制度そのものの仕組みは地域おこし協力隊とはどんな制度かにまとめています。

項目おためし地域おこし協力隊地域おこし協力隊インターン
要綱の定義隊員として活動する前に、一定の期間、地域協力活動を体験し、受入地域とのマッチングを図る取組隊員希望者が実際の地域おこし協力隊の業務に従事し、協力隊本体への応募などにつなげる取組
期間要綱に定めなし。財政措置の対象は2泊3日以上の体験プログラム2週間以上3か月以下
委嘱定めなし委嘱状の交付等による委嘱を受ける
参加者への報酬財政措置に参加者の報酬にあたる項目はない1人・1活動日あたり1.2万円を上限に財政措置
住む場所の要件要綱では定めていない都市地域等から過疎、山村、離島、半島等の地域に滞在する者
住民票定めなし異動は要しない

おためしは体験、インターンは委嘱を受けて実際の業務に従事するものです。日数も、お金の出方も、制度上の位置づけも違います。応募を迷っている段階でどちらを使うかは、この差で決まります。

おためし地域おこし協力隊とは

要綱の定義は「地域おこし協力隊として活動する前に、一定の期間、地域協力活動を体験し、受入地域とのマッチングを図る取組」です。

ここで注意したいのは、要綱の本文は期間を「一定の期間」としか書いていないことです。よく見かける「2泊3日以上」という数字は、要綱の別添にある財政措置の要件から来ています。国が特別交付税措置の対象とするのは「住民との交流を含む、2泊3日以上の地域協力活動の体験プログラム」で、上限は自治体あたり100万円です。つまり2泊3日は参加者への義務ではなく、自治体が財政措置を受けるための線引きです。実際、2泊3日以外の日程を相談で受け付けている自治体もあります。

おためしには、インターンと違って住む場所の要件が定められていません。要綱には「地域おこし協力隊とは異なり、おためし地域おこし協力隊参加者の住所地等の要件は定めていないが、本プログラムの趣旨を十分留意の上、運用されたい」とあります。応募資格の入口は、この時点ではまだ広いということです。

もうひとつ、財政措置の「必要経費の例」には、都市部における募集の費用、体験プログラムに要する経費、職員旅費、調整を行う法人などへの委託費が挙げられていますが、参加者個人への報酬にあたる項目はありません。おためしは報酬が出る前提の仕組みではない、と読むのが正確です。そして体験プログラムに要する経費からは「現地までの往復に要する参加者の旅費」がはっきり除かれています。

地域おこし協力隊インターンとは

要綱の定義は「隊員希望者が2週間以上3か月以下の期間、実際の地域おこし協力隊の業務に従事することを通じ地域おこし協力隊本体への応募などにつなげる取組」です。おためしと違い、運用上の留意点が4つ明記されています。

  • 参加者は自治体から委嘱状の交付等による委嘱を受け、2週間以上3か月以下の期間、実際の地域おこし協力隊の業務に従事すること
  • その委嘱にあたり、自治体が対象者と従事する地域協力活動の内容等を広報誌やホームページ等で公表していること
  • 参加者は、3大都市圏をはじめとする都市地域等から過疎、山村、離島、半島等の地域に滞在する者であること
  • 住民票の異動は要しないこと(異動を妨げるものではない)

財政措置は2本立てです。自治体がプログラムを作る費用に自治体あたり100万円が上限。これとは別に、参加者の活動に要する経費として1人・1活動日あたり1.2万円が上限とされています。この枠の必要経費の例には、報償費等、住居や活動用車両の借上費、活動旅費、作業道具などが並びます。

ここが実務上いちばん効いてきます。日額の相場が1万円台前半に収まりやすいのは、この1.2万円という上限があるからです。

報酬は出る。ただし雇用ではない

インターンで報酬が支払われる例を、公式の募集要項で確認できます。

福島県楢葉町は、地域おこし協力隊インターンについて次のように定めています。

  • 任用期間は2週間以上3か月以内。町の状況とインターンの希望を踏まえ、具体的な活動内容や期間を決める
  • 日額は12,000円程度(活動内容や期間により決定)
  • 活動がない日の報酬はない
  • 楢葉町および受入団体との雇用関係はなく、楢葉町地域おこし協力隊インターンとして委嘱する
  • 社会保険等はない

同じ福島県のいわき市も、地域おこし協力隊インターンで日額10,000円に活動日数を掛けた額を支給するとしています。委嘱期間が2週間の場合の活動日数は10日間、原則として週38.75時間(1日7.75時間・週5日)です。市との雇用関係はなく、社会保険等もありません。支給時には源泉所得税が控除され、活動が無い日の報酬はないとされています。

楢葉町の日額12,000円は、国が定めた1人・1活動日あたり1.2万円という上限とほぼ同額です。上限を超えた設定はできないので、日額がこれを大きく上回ることは制度上考えにくい、と読めます。

そして両市町に共通するのが、委嘱であって雇用ではないという点です。ここは待遇の中身に直結します。いわき市は「社会保険等はありません。万が一、活動中の事故や怪我等にあわれた場合も市からの補償はありません。必要に応じてご自身で保険等への加入をご検討ください」と書いています。楢葉町も同じ趣旨で、活動中の怪我や病気は自己責任になるため必要な人は自分で保険に加入するよう案内しています。

対照的に、協力隊本体は待遇が変わります。いわき市の協力隊の募集要項では、任用形態はフルタイムの会計年度任用職員で、健康保険・厚生年金保険・雇用保険に加入し、労災保険や公務災害補償等が適用されるとされています。同じ「地域おこし協力隊」という名前でも、インターンと本体では身分がまったく別物です。

無料で体験できる、ではない

参加費という意味では無料でも、自分で払うものは残ります。ここを取り違えると予算を見誤ります。

いわき市のおためし地域おこし協力隊は、2泊3日の費用が無料と明記されていますが、続けて「現地までの往復交通費及び滞在中の飲食費は自己負担となります」とあります。同市のインターンでは、参加者が負担するものとして次が列挙されています。

  • 居住地からいわき市までの往復に要する旅費
  • 宿泊費
  • 食糧費
  • 宿泊地から支所までの移動に要する経費、支所からの外勤に要する経費
  • その他活動に要する経費

楢葉町も、報償費以外の支給はなく、現地までの交通費、滞在場所にかかる宿泊費、活動経費は本人負担としています。さらに選考の面接に要する交通費等も個人負担です。

これは自治体の出し惜しみではなく、制度の設計からくるものです。要綱の財政措置は、おためしの体験プログラム経費でも、インターンのプログラム作成経費でも、「現地までの往復に要する参加者の旅費」を明示的に除いています。国が面倒を見ない部分なので、自治体が独自に補助しない限り自己負担になります。

なお、独自に手当てしている例もあります。会津若松市はおためし地域おこし協力隊をツアーの形で実施しており、集合場所までの往復交通費は自己負担としつつ、ツアー中の交通費・食事代・宿泊費をまかなう定額の参加費を設けています。往復交通費については福島県の補助制度を使える場合があるとも案内しています。負担の形は自治体ごとに違うので、募集ページの費用の欄を最後まで読んでください。

住民票を移さずに参加できる意味

協力隊本体に応募するには、生活の拠点を都市地域等から過疎・山村・離島・半島等の地域に移し、住民票を異動させることが要件です。応募の条件は住んでいる場所で決まるので、詳しくは地域おこし協力隊の応募条件を見てください。

一方、インターンについて要綱は「住民票の異動は要しないこと(住民票の異動を妨げるものではない。)」と定めています。楢葉町の募集も「インターン期間中は、楢葉町に住民票を移す必要はありません」と明記しています。

これは事務手続の話にとどまりません。移住の決断を段階に分けられるということです。住民票を移すというのは、住所も、税も、各種の届出も動かすことです。合わなかったときに元へ戻す手間は小さくありません。インターンは、その手前で2週間から3か月、実際の業務に就いて確かめられる区切りになります。

もっとも、要綱はインターン参加者にも「3大都市圏をはじめとする都市地域等から過疎、山村、離島、半島等の地域に滞在する者」であることを求めています。すでにその市町村に定住・定着している人は原則として対象になりません。住民票を動かさなくてよいことと、誰でも参加できることは別です。

選考に組み込まれている場合と、独立している場合

同じ「おためし」「インターン」でも、選考のどこに置かれているかが自治体によって違います。両方の型を持っているのがいわき市で、比べるのに向いています。同市の受入内容はいわき市の地域おこし協力隊にまとめています。

選考に組み込まれている型(いわき市のおためし)

いわき市のおためし地域おこし協力隊は、対象が「いわき市地域おこし協力隊に応募し、一次選考に合格した方」です。第一次選考のあと、第二次選考の前に置かれています。参加は任意ですが、地域での暮らしのイメージを持ってもらうため参加を推奨するとされています。実施時期は一次選考後に受入地区と調整して決まり、期間は2泊3日です。着任後のミスマッチを防ぐことが目的として掲げられています。

独立している型(いわき市のインターン)

同じ市のインターンは、対象が「地域おこし協力隊に興味がある、または、応募意向があり、応募用紙を提出し審査に合格した方」で、応募時点で18歳以上であることが条件です。期間は2週間から4週間。市は「本インターンに参加せず、いわき市地域おこし協力隊への応募も可能です」と明記しており、応募の必須手順ではありません。

協力隊候補者として受け入れる型(楢葉町)

楢葉町は、インターン期間を設けた地域おこし協力隊候補者を募集する、という立て方をしています。受入団体が具体的で、一般社団法人ならはみらいによる町のシェアハウスの運営管理と地域交流の促進、認定特定非営利活動法人底上げによる子どもの遊び場の運営といった活動が示されています。選考の前にオンライン面談も可能な事前説明が用意されています。

説明会を厚く置く型(会津若松市)

会津若松市は、募集地区を訪問して現地職員の話を聞く事前現地説明会と、活動地域や活動内容をオンラインで説明する事前説明会を用意しています。どちらも参加は必須ではなく、採用後のミスマッチを防ぐためのものと位置づけられています。年によっては、これに加えて現地を回るおためしのツアーを設けています。

つまり、おためしやインターンが応募の前にあるのか、途中にあるのか、そもそも別枠なのかは、自治体ごとに違います。募集要項の選考の欄を読んで、自分がどの順番で何を求められるのかを確かめてください。

どれくらいの人が参加しているのか

総務省が公表している参加者数の推移です。

年度おためしインターン
令和3年度集計なし106人
令和4年度集計なし315人
令和5年度集計なし393人
令和6年度1,149人1,047人
令和7年度1,450人1,414人

おためしの参加者数は令和6年度から集計が始まったため、それ以前は数字がありません。インターンは令和5年度の393人から令和6年度に1,047人へと2.7倍近く増えています。同じ令和7年度の隊員数が8,196人であることを考えると、応募前に試す層はまだ隊員全体より少ないものの、急に厚くなってきた段階だと読めます。

参加が着任につながった例も公表されています。福島県国見町は、令和5年度に14日間のインターンを初めて受け入れ、令和6年度、令和7年度と3年続けて実施しています。町のページによれば、初回に参加した2名のうち1名は、その後、国見町の地域おこし協力隊として活動しています。

実施の有無は自治体ごと、年度ごとに違う

ここが最後の、そしていちばん実務的な注意点です。

おためしもインターンも、すべての自治体がやっているわけではありません。国が財政措置を用意している取組であって、実施を義務づけているものではないからです。要綱にも、地域おこし協力隊は自治体が自主的・主体的に取り組むもので、国は取組実績を事後的に調査して財政措置を講じる、と書かれています。実施するかどうかは自治体が決めます。

そして同じ自治体でも年度で変わります。予算も受入先の都合も毎年同じではありません。去年やっていたから今年もある、とは考えないでください。逆に、去年のページしか出てこないからといって、今年やらないとも限りません。

探すときの順番は次のとおりです。

  • 気になる自治体の公式サイトで、移住・定住や地域おこし協力隊のページを開く。おためしやインターンの案内は、協力隊本体の募集ページのなかに一緒に置かれていることが多い(いわき市は1ページに本体・おためし・インターンの3つが並んでいます)
  • ページの更新日と、募集要項に書かれた年度を必ず見る。自治体のサイトには古い年度の要項が消されずに残っていることがある
  • 総務省が自治体向けに運営している地域おこし協力隊のポータルと、ふるさと回帰・移住交流推進機構が運営する募集情報サイトも入口になる。ただし掲載は各自治体の登録によるので、載っていないから実施していない、とは限らない
  • 分からなければ担当課に直接聞く。楢葉町は選考の前の事前説明をオンライン面談でも受け付けており、会津若松市は現地とオンラインの両方で事前説明会を設けています

確かめる項目も挙げておきます。おためしなら日程・期間と、参加費および自己負担の範囲。インターンなら期間、1日の活動時間、日額、活動がない日の扱い、税の控除、そして委嘱か雇用か、保険はどうなるか。同じ名前でも中身が違う制度なので、名前だけで判断せず、その自治体の要項を読んでください。

この記事は総務省の地域おこし協力隊推進要綱および公表資料と、各自治体の公式ホームページの情報をもとに作成しています。実施の有無、期間、報酬、自己負担の範囲は自治体ごとに異なり、年度によっても変わります。参加を検討する際は、必ずその自治体の公式ホームページで最新の募集要項を確認してください。

よくある質問

Q.おためし地域おこし協力隊と地域おこし協力隊インターンは何が違いますか。

A.総務省の推進要綱で別々に定められた、別の取組です。おためしは隊員として活動する前に一定の期間、地域協力活動を体験して受入地域とのマッチングを図るもので、要綱に期間の定めはなく、財政措置の対象は2泊3日以上の体験プログラムとされています。インターンは隊員希望者が2週間以上3か月以下の期間、委嘱を受けて実際の地域おこし協力隊の業務に従事するものです。インターンには参加者の活動に対する財政措置(1人・1活動日あたり1.2万円が上限)がありますが、おためしの財政措置に参加者への報酬にあたる項目はありません。

Q.参加すると報酬はもらえますか。無料で体験できるのですか。

A.インターンは報酬が出る例があります。福島県楢葉町は日額12,000円程度、いわき市は日額10,000円に活動日数を掛けた額としており、いずれも活動がない日の報酬はありません。ただしこれは雇用ではなく委嘱で、両市町とも社会保険等はなく、活動中の事故や怪我への補償もないと明記しています。また「無料」とされている場合も、現地までの往復交通費、宿泊費、食費などは自己負担になるのが一般的です。国の財政措置も、参加者の現地までの往復旅費を対象から除いています。

Q.参加するために住民票を移す必要はありますか。

A.インターンについて、推進要綱は「住民票の異動は要しないこと」と定めています。楢葉町も、インターン期間中は町に住民票を移す必要はないとしています。協力隊本体は生活の拠点を移して住民票を異動させることが要件なので、この点は大きく違います。ただし要綱は、インターン参加者が3大都市圏をはじめとする都市地域等から過疎、山村、離島、半島等の地域に滞在する者であることを求めており、すでにその市町村に定住・定着している人は原則として対象になりません。

Q.どの自治体でも参加できますか。

A.いいえ。おためしもインターンも、国が財政措置を用意している取組であって、実施は自治体の判断によります。同じ自治体でも年度によって実施の有無が変わります。また、選考のどこに置かれているかも自治体ごとに違い、いわき市のおためしのように一次選考の合格者を対象として選考の途中に組み込まれている例もあれば、応募とは独立した制度として受け付けている例もあります。気になる自治体の公式ページで、更新日と募集要項の年度を確かめたうえで、担当課に問い合わせるのが確実です。

TownHub編集部

編集部

全国の地域情報を取材・編集しています。自治体の公開情報と現地取材をもとに、その街で暮らす人に役立つ情報をお届けします。

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