朝日町の地域おこし協力隊|活動内容・報酬・卒業後の進路
朝日町の地域おこし協力隊について、活動分野と任期後の進路をまとめます。
山形県朝日町は、最上川沿いに広がる西村山郡の町で、りんごとワインを看板に掲げています。地域おこし協力隊の受け入れは平成22年の第2期生までさかのぼり、任期を終えた人のその後まで町が公式に公開しているのが大きな特徴です。朝日町公式ホームページと総務省の公表資料をもとにまとめます。
朝日町の地域おこし協力隊とは
地域おこし協力隊は、都市部から地方に住民票を移して生活の拠点を移し、その地域に合わせた地域づくりやものづくり、農業などの地域協力活動に取り組む制度です。町は公式ホームページで、にぎわいの創出、移住定住の応援、交流人口の拡大、地域づくり、インバウンドの推進など、さまざまな分野で隊員が活動していると説明しています。
そのうえで町は、任期を終えたあとも朝日町に定住して活躍している卒業生についても、あわせて紹介すると明記しています。公式ページには現役隊員9人分の活動コラムと、卒業生7人分の活動コラムが並んでいます。任期後の姿がここまで見える自治体は多くありません。
何人が活動しているのか
総務省が令和8年4月に公表した「令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について」によると、朝日町の隊員数は12人です。
- 山形県全体… 34市町村で196人
- 県内で多い順… 長井市23人、西川町15人、朝日町12人が3番目
- 全国… 1,187自治体で8,196人
人口規模を考えると、朝日町は県内でもかなり厚く受け入れている町だといえます。
どんな分野の仕事があるのか
町の公式ページに並ぶコラムと募集案内から、これまで置かれてきた職種を挙げると次のとおりです。
- にぎわい創出推進員
- つながり創出推進員(移住・交流の分野)
- デジタルサポート推進員
- りんごの郷の担い手(農業)
- インバウンド推進員
- 地域スポーツ・文化活動推進員
- 大谷地区まちづくり推進員
- 文化財保存活用推進員
- 情報交流総合アドバイザー
たとえばデジタルサポート推進員は、町内施設でのスマートフォンの使い方相談会、使い方教室の企画と運営、わかりやすい用語集などの資料づくりが主な仕事です。りんごの郷の担い手は、町内の生産者のもとで栽培技術と経営を学び、農業を資源とした交流人口の拡大にも関わります。
活動の拠点になっている場所のひとつが、古民家を改修したゲストハウス松本亭一農舎です。歴代の隊員が立ち上げから運営までを引き継いできました。
報酬はいくらか
朝日町の場合、職種によって契約の形が2種類あり、金額も仕組みも変わります。ここが最初につまずきやすい点です。
業務委託の例(りんごの郷の担い手)
- 町と業務委託契約を結ぶ
- 委託料は月額287,500円
会計年度任用職員の例(デジタルサポート推進員)
- 地方公務員法にもとづく会計年度任用職員(パートタイム)として町長が任用する
- 月額報酬234,100円、6月と12月に賞与(期末手当・勤勉手当)が支給され、昇給もある
- 社会保険等に加入する
- 年次有給休暇や夏季休暇などの特別休暇が付与される
- 活動時間は午前8時30分から午後4時30分まで、週35時間
- 勤務時間外の副業ができる(服務規程に反しないことなど条件があり、事前の届出が必要)
金額だけを並べて比べることはできません。業務委託は町に雇われるのではなく契約で業務を請け負う形なので、税や保険、経費の負担の考え方が会計年度任用職員とは異なります。応募前に、その職種の募集要項で契約の形を必ず確認してください。
なお、これらの金額は募集の回ごとに設定されるものです。別の職種、別の年度では条件が変わります。
住居や車の支援
会計年度任用職員として採用される職種では、待遇として次の支援が示されています。
- 住居は町が貸与
- 活動のための車を町が貸与(燃料を含む)
- 町が必要と認める研修費用は、予算の範囲内で町が負担
- 活動に必要な旅費は、町の旅費規定に準じて予算の範囲内で支給
- 活動に必要な備品は、町と相談のうえ決定
一方で、自己負担になるものもはっきり書かれています。
- 住居の光熱水費など、日常的にかかる費用
- 引越し費用
車が貸与されるかどうかは移住後の生活費に直結します。募集する職種ごとに条件が違う可能性があるため、応募する職種の要項で確認してください。
任期はどれくらいか
会計年度任用職員の職種では、任用期間は採用の日からその年度の3月31日まで。翌年度以降は勤務実績をふまえて改めて任用される場合があり、その場合も最長3年とされています。採用後1か月間は条件付採用期間です。
業務委託の職種でも、初年度は契約の日から3月31日まで、次年度からは年度ごとに契約し、最長3年という点は同じです。
つまり朝日町では、どの入り口から入っても「3年」が一区切りになります。だからこそ、次に説明する任期後の話が重要になります。
任期が終わったあとはどうなるのか
ここが、朝日町を検討する人にとっていちばん知りたいところだと思います。
町の公式ページには、卒業生7人の活動コラムが名前入りで公開されています。
- 情報交流総合アドバイザー 佐藤恒平さん
- 青木亮太さん
- 阪野正義さん
- つながり創出推進員 田岡知暁さん
- にぎわい創出推進員 今野颯さん
- 大谷地区まちづくり推進員 頼實孝明さん
- 大谷地区まちづくり推進員 石井沙織さん
そのうち2人については、卒業後の仕事まで公式に書かれています。
佐藤恒平さん(平成22年着任、情報交流アドバイザー)
着ぐるみキャラクター「桃色ウサヒ」による町の情報発信からスタートした人です。協力隊卒業後、地域振興サポート会社「まよひが企画」を町内で開業しました。ゲストハウス松本亭の立ち上げ、ふるさと納税、地域の学校教育といった分野で事業を続けており、平成29年からは総務省地域力創造アドバイザーにも就任しています。会社のサブオフィスを中学校の空き教室に置き、義務教育学校の創設準備にも関わるなど、町の中に仕事をつくり続けている形です。
阪野正義さん(平成28年着任、移住交流推進員)
ゲストハウス松本亭一農舎の設立と運営を中心に活動しました。任期終了後は一般社団法人を立ち上げ、その代表理事として、朝日町空き家等バンクの窓口業務、若者や女性の活動支援、居場所づくりとしての喫茶とシェアスペースの運営を担っています。町外でも県内の大学・高校の非常勤講師、総務省地域力創造アドバイザー、山形県若者サポーターとして活動しています。
共通しているのは、任期中に関わった仕事がそのまま卒業後の事業になっているという点です。ゲストハウス、空き家、情報発信といった、任期中に町の中でつくった関係と実績が、そのまま独立後の土台になっています。
全国の傾向も見ておきます。総務省の調査によると、令和2年度から令和6年度までの直近5年間に任期を終えた隊員8,762人のうち、およそ70.3パーセントが同じ地域に定住しています。山形県の定住率は64.6パーセントでした。活動した市町村内にそのまま定住した5,038人の内訳は、起業が約45.6パーセント、就業が約34.8パーセント、就農・就林が約11.6パーセント、事業承継が約1.4パーセントです。
数字のうえでも、任期後の道は「どこかに就職する」だけではなく、自分で仕事をつくる選択がかなりの割合を占めていることがわかります。
任期後の起業・独立に向けた支援
朝日町の募集には、最初から任期後の独立が組み込まれているものがあります。りんごの郷の担い手は、町内の生産者のもとで技術と経営を学んだうえで、協力隊終了後は独立就農することが前提と明記されています。応募要件にも「任期終了後、朝日町で就農を目指す意欲のある方」と書かれています。3年後の姿が最初から設計されている募集です。
国の制度としても、任期終了後の起業や事業承継を後押しする仕組みが設けられています。ただし対象となる時期や金額の上限は見直されることがあり、実際にどこまで使えるかは受け入れ自治体の運用によります。町の創業支援制度と組み合わせられる場合もあるため、起業を視野に入れているなら、応募の段階で朝日町の担当課に「任期後の起業支援はどうなっているか」を直接確認してください。ここを確認しないまま着任するのが、いちばんもったいないパターンです。
応募から着任までの流れ
職種によって流れが違います。公式ページに書かれている2つの型を紹介します。
会計年度任用職員型(デジタルサポート推進員など)
- 募集要項と申込書の様式を町の公式ページから入手する
- 朝日町会計年度任用職員採用試験申込書に記入し、写真を添付する
- 役場政策推進課に持参または郵送で提出する(受付時間は午前8時30分から午後5時15分まで)
- 応募のあった人から順次、採用に向けた審査が進む
募集人数に達した時点で早めに締め切られる場合があるとされています。
農業型(りんごの郷の担い手)
- 希望者は町内での農業体験に参加する
- 応募用紙、住民票抄本の写し、運転免許証の写しを厳封し、封筒に用件を朱書きして郵送または持参する(提出書類は返却されません)
- 町内の里親農家のもとで1週間程度の事前体験を受ける(必修)
- 事前体験のあと、面接と選考会議
- 着任は原則として年度初めの4月1日から
主な応募要件としては、3大都市圏または地方都市等に在住していること、採用決定後に朝日町へ住民票を移して居住できること、着任時点で20歳以上であること、心身ともに健康であること、普通自動車運転免許を持ち日常的に運転していること(農業の職種はマニュアル免許が望ましいとされています)などが挙げられています。
事前体験が必修になっているのは、応募する側にとってもありがたい仕組みです。3年間を過ごす土地と仕事を、書類だけで決めずにすみます。
募集しているかどうかの確かめ方
この記事では、あえて個別の募集の締切日を書いていません。理由があります。
地域おこし協力隊の募集情報は、町の公式ページのほか、民間の移住情報サイトや求人サイトにも転載されます。ところが転載先では、募集期間が終わったあとも「募集中」の表示が残ったままになっていることがあります。朝日町の募集でも、そうした状態のページが実際に見つかりました。表示を信じて準備を進めても、すでに受け付けが終わっていたということが起こりえます。
募集の有無と締切は、必ず朝日町の公式ホームページで確認してください。公式ページには「現在募集中の協力隊」という欄があり、募集中の職種がそこに並びます。募集要項と申込書の様式も同じページから入手できます。
問い合わせ先は職種によって分かれています。
- 全般・デジタルサポート推進員など… 政策推進課 総合政策情報係(電話0237-67-2112)
- 農業(りんごの郷の担い手)… 農林振興課(電話0237-67-2114)
- 役場代表… 電話0237-67-2111(開庁時間は8時30分から17時15分、土日祝日と年末年始を除く)
いま募集がなくても、町は毎年のように新しい分野で隊員を迎えています。気になる分野があるなら、募集が出る前に一度相談してみるのが確実です。
この記事は朝日町公式ホームページおよび総務省の公表資料をもとに作成しています。募集の有無、報酬、支援の内容、任期の扱いは変わることがあります。最新の情報は必ず朝日町の公式ホームページで確認してください。
よくある質問
Q.朝日町の地域おこし協力隊の報酬はいくらですか。
A.職種によって契約の形が違い、金額も変わります。公式の募集案内では、農業(りんごの郷の担い手)は町との業務委託契約で委託料が月額287,500円、デジタルサポート推進員は会計年度任用職員として月額報酬234,100円で、6月と12月に賞与があり昇給もあるとされています。会計年度任用職員の職種では住居と活動用の車(燃料を含む)が町から貸与され、光熱水費と引越し費用は自己負担です。条件は募集ごとに変わるため、応募する職種の募集要項で確認してください。
Q.任期の3年が終わったあと、朝日町に残っている人はいますか。
A.います。町は公式ホームページで、卒業後も朝日町に定住して活躍している元隊員を紹介しており、卒業生7人分の活動コラムが公開されています。たとえば地域振興サポート会社を町内で開業した人や、任期終了後に一般社団法人を立ち上げて空き家等バンクの窓口業務や喫茶とシェアスペースの運営を担っている人がいます。全国の統計でも、直近5年間に任期を終えた隊員のおよそ70.3パーセントが同じ地域に定住し、活動地と同じ市町村に定住した人の約45.6パーセントが起業しています。
Q.いま募集していますか。応募の流れも知りたいです。
A.募集の有無と締切は変わるため、朝日町公式ホームページの「現在募集中の協力隊」の欄で確認してください。転載先の求人サイトでは締切後も募集中の表示が残っていることがあります。流れは職種によって異なり、会計年度任用職員の職種は申込書に写真を添えて政策推進課に提出し、応募のあった人から順次審査が進みます。農業の職種は書類提出のあと、町内の里親農家のもとで1週間程度の事前体験が必修で、そのあと面接と選考会議があり、着任は原則として年度初めの4月1日からです。
参考にした公式ページ
- 朝日町地域おこし協力隊(朝日町)
- <協力隊OB>情報交流総合アドバイザー 佐藤恒平 活動コラム(朝日町)
- <協力隊OB>阪野正義 活動コラム(朝日町)
- 農業の地域おこし協力隊(りんごの郷の担い手)を募集します!(朝日町)
- 地域おこし協力隊(デジタルサポート推進員)募集(朝日町)
- 令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について(総務省)
情報は変わることがあります。最新の内容は各公式ページでご確認ください。