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北秋田市の地域おこし協力隊|市直営型と企業受入型の条件

9分で読めます執筆: TownHub編集部
地域おこし協力隊北秋田市

北秋田市の地域おこし協力隊について、2つの受入形態ごとの報酬と住居、活動分野をまとめます。

北秋田市は秋田県の北部にあり、市の中央に花の百名山「森吉山」、市内に世界文化遺産の伊勢堂岱遺跡、そして大館能代空港を抱えるまちです。地域おこし協力隊の受け入れ方が2つの要綱に分かれていることが、この市のいちばんの特徴です。北秋田市と秋田県、総務省の公式情報をもとにまとめます。

隊員は5人。国と県で数え方が違う

北秋田市が公開している隊員紹介のページには、2026年4月現在、5人の地域おこし協力隊が活動していると書かれています(ページの更新日は2026年4月1日)。秋田県が公表した令和8年4月1日現在の活動状況でも、北秋田市は5名です。

一方、総務省がまとめた令和7年度の隊員数では、北秋田市は4人です。数字が食い違って見えますが、これは基準となる時点が違うためで、どちらかが誤っているわけではありません。市の隊員紹介で活動開始が令和8年4月1日となっている隊員が1人おり、この人は令和7年度の集計には入りません。残りの4人は活動開始が令和5年9月から令和7年5月までで、令和7年度の4人と数が合います。隊員数はかならず時点とセットで読んでください。

参考までに、令和7年度の全国の隊員数は8,196人・1,187団体、秋田県内は176人・23団体でした。県の令和8年4月1日現在の集計では、1県22市町村で131人となっています。

制度が二本立てになっている

北秋田市の協力隊には、根拠となる要綱が2つあります。

  • 北秋田市地域おこし協力隊設置要綱(平成27年北秋田市告示第24号)…市が直接任用する型
  • 北秋田市民間企業等受入型地域おこし協力隊設置要綱(令和6年北秋田市告示第54号)…民間企業等が雇用する型

後者は令和6年に加わった新しい仕組みです。どちらの型でも「北秋田市の地域おこし協力隊」ですが、雇い主が誰か、社会保険の入り方、通勤費が出るかどうかまで違います。募集を見るときは、報酬の額より先にどちらの型かを確かめてください。制度そのものの説明は地域おこし協力隊とは何か、報酬の考え方は協力隊の給与はどう決まるのかにまとめています。

以下では、市が公開している2つの募集要項を実例として、型ごとの条件を並べます。市直営型は「結婚コーディネーター」の募集要項(令和6年3月29日告示第58号による改正、令和6年4月1日施行)、民間企業等受入型は「観光コーディネーター」の募集要項(令和7年3月4日北秋田市告示第20号)です。

市直営型は会計年度任用職員

結婚コーディネーターの募集要項では、隊員の身分は北秋田市の会計年度任用職員と定められています。市が雇い主です。

  • 報酬…月額195,100円
  • 手当…北秋田市会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例にもとづく期末手当と勤勉手当を支給。時間外勤務手当、休日勤務手当、夜間勤務手当、宿日直手当に相当する報酬は支給しない
  • 社会保険…必要な社会保険等に加入し、保険料の被保険者負担分は報酬から控除
  • 通勤費…自家用車や公共交通機関で勤務地まで通勤する場合、条例にもとづき通勤に要する費用が支給される
  • 活動日と活動時間…活動日は平日が基本、活動時間は9時から16時まで(休憩60分)。休日は土曜・日曜・祝日と年末年始(12月29日から1月3日)
  • 勤務地…産業政策課移住・定住支援室と、NPO法人出会いの杜プロジェクトの事務所

1日の実働は6時間で、一般的な常勤より短い設計です。

民間企業等受入型は受入企業が雇う

観光コーディネーターの募集要項では、隊員の身分は受入企業が社員として雇用するとされ、市と隊員の間には雇用関係はありません。市がするのは「北秋田市民間企業等受入型地域おこし協力隊」としての委嘱だけです。この募集での受入企業は北秋田市観光物産協会で、令和7年4月1日以降は一般社団法人北秋田まちづくり観光協会に読み替えると要項に書かれています。

  • 報酬…月額195,000円
  • 手当…期末手当あり。時間外勤務手当、休日勤務手当、夜間勤務手当、宿日直手当その他の手当はなし
  • 社会保険…健康保険、厚生年金保険、雇用保険に加入
  • 通勤費…支給しない
  • 活動日と活動時間…勤務表による週休2日制、活動時間は8時30分から17時15分まで(休憩60分)。休日は年末年始(12月29日から1月3日)
  • 勤務地…受入企業の事務所(北秋田市松葉町)

報酬の額はほぼ同じでも、1日の活動時間は民間企業等受入型のほうが長く、通勤費は市直営型にだけ出ます。月額だけを並べて比べると、この差が見えません。

年間520万円は隊員がもらう額ではない

民間企業等受入型の募集概要には、市と受入企業の関係についてこう書かれています。市と受入企業は委託契約を結び、市は1隊員あたり年額5,200,000円(消費税および地方消費税を含む)を上限として、受入企業へ財政支援(委託費)をする、というものです。

この520万円は市から受入企業へ支払われる委託費の上限であって、隊員の報酬ではありません。隊員が受け取るのは、前の章に挙げた月額195,000円と期末手当です。委託費には隊員の人件費のほか、受入企業が負担する住居費や車両、活動経費などが含まれます。募集資料の金額の大きいほうだけを見て「520万円もらえる」と読むと、実際の手取りとは大きく食い違います。

なお市の説明では、この財政支援額は国の地域おこし協力隊推進要綱の地方財政措置額を財源としており、国の要綱が改正されれば額が変わることがあるとされています。市の予算の状況によって契約しないことや内容が変わることがある、とも書かれています。

住まい・車・引っ越しの扱い

両方の型で、共通するところと違うところがあります。

住まい

  • 市直営型…原則として市が提供し、家賃等は市が負担
  • 民間企業等受入型…原則として受入企業が提供し、家賃等は受入企業が負担

どちらの要項にも家賃の上限額は書かれていません。自分で住まいを探して補助を受ける形ではなく、用意された住居に入る形です。

引っ越しと生活費

引っ越し費用は、両方の型とも隊員の自己負担と明記されています。あわせて生活必需品と光熱水費も自己負担で、市直営型はさらに家財保険も隊員負担と書かれています。着任時の費用を見積もるときは、ここを忘れないでください。

  • 活動に使う車両とパソコン等の事務機器は、市直営型なら市が、民間企業等受入型なら受入企業が貸与します。ただし使用は活動に限ると要項に定めがあります
  • 民間企業等受入型の募集概要には「生活や通勤の手段として自家用車は必要不可欠です。自家用車等の持込みをお勧めします」と書かれています
  • 民間企業等受入型では、旅費のほか自動車燃料費、消耗品、研修負担金などが予算の範囲で支給されます。市直営型は「旅費のほか必要と認められる経費を予算の範囲で支給」とされ、燃料費の個別の記載はありません
  • 両方の型とも、応募資格に普通自動車免許とパソコンの一般的な操作が入っています

活動分野は県内でも特色がある

秋田県が公表した令和8年4月1日現在の活動内容では、北秋田市の5人はそれぞれ次の分野で活動しています。

  • 伝統工芸である「秋田八丈」の承継ならびに製造販売、広報活動
  • 市の観光振興促進(観光情報の発信、体験型コンテンツの開発と販路開拓など)
  • 移住相談への対応、移住体験事業の受入調整と現地案内、移住体験用住宅の管理
  • 後継者不在の事業者の掘り起こし、相談対応、支援機関と連携した承継支援
  • 出会い・結婚支援施策の推進、結婚相談への対応、出会いイベントの企画と提案

市の隊員紹介を読むと、この分野の中身がさらに具体的にわかります。秋田八丈を担当する隊員は、はまなす工房で秋田八丈で日本唯一の職人である奈良田登志子さんから技術を承継するために活動しています。奈良田さんは令和7年11月に卓越した技能者(現代の名工)として表彰され、この隊員とともに市長へ受賞を報告したことが広報きたあきたに載っています。

観光を担当する隊員は、生まれ育った比立内松橋家の16代目マタギになるため修業中と紹介されています。事業承継を担当する隊員は、継業の支援を手がける民間企業に所属しています。

所属先が市役所の外にある隊員が5人中3人という点も、この市の特徴です。秋田八丈の工房、観光協会、事業承継を扱う株式会社が受け入れ先になっています。技術の承継や継業のように、市役所の中では身につけられない仕事が並んでいることが、活動分野の幅につながっています。

任期・副業・活動報告

  • 委嘱期間は1年で、最長3年まで延長できます。延長を希望する隊員は、委嘱の日から6か月を経過した日から1か月以内に申請書を出します
  • 産前産後または育児のために活動できないときは、承認を得て1年の範囲内で活動を休止できます。休止している期間の報酬は支給されません
  • 副業は届け出制です。定住を目的として報酬以外の収入を得ようとする場合、市直営型は市長へ、民間企業等受入型は受入企業へ事前に申請し、許可か不許可かが通知されます
  • 活動報告は、市直営型が業務日報を1か月単位でまとめて翌月15日までに市長へ、民間企業等受入型が業務週報を同じ期限で受入企業へ提出します

応募資格には、三大都市圏の都市地域または地方都市等(総務省が定める条件不利地域を除く)に住んでいて、任用後に北秋田市へ生活の拠点を移し住民基本台帳に登録できることという地域要件が入っています。委嘱される前にすでに市内に定住・定着している人は対象外です。ほかの地域で協力隊を2年以上務め、解嘱から1年以内の人には例外の定めがあります。

任期が終わったあと

両方の要項とも、市または受入企業の責務として隊員の活動終了後の定住支援が挙げられています。活動内容にも「隊員自らが北秋田市への定住のために行う活動に関すること」が明記されており、定住を前提にした設計です。

市の移住・定住支援サイトには、任期を終えた人の例も載っています。2020年から3年間、移住・定住支援や情報発信を担当した斎藤美奈子さんは、退任後も北秋田市を拠点に地域デザイナーとして活動し、秋田内陸線の駅を活用した「がっこステーション」などに取り組んでいます。

北秋田市だけの定住率は公表されていません。総務省の調べでは、令和2年4月から令和7年3月までの直近5年間に任期を終えた隊員は全国で8,762人、そのうち70.3パーセントにあたる6,163人が同じ地域に定住しました。秋田県では任期終了者179人のうち100人、55.9パーセントです。県単位の数字は市の実態そのものではありませんが、目安にはなります。

募集しているかどうかの確認

募集は分野ごとに動き、採用者が決まった時点で締め切られます。そのためこの記事では、いま募集中かどうかは書きません。

確認するときに気をつけたいことが2つあります。

1つは、市のホームページの移住・定住情報のページに、すでに削除された募集ページへのリンクが残っていることです。「結婚コーディネーター」「移住コーディネーター」へのリンクが並んでいますが、開くと「お探しのページは見つかりません」と表示されます。リンクが張られていることを、募集がある証拠と読まないでください。

もう1つは、同じページの内容が年度ごとに上書きされることです。開いたページの掲載日と、添付されている募集要項の表題にある年度を確かめてください。移住・定住支援サイトのトップページには「2025年9月現在、4人」という古い記載が残っており、同じサイトの隊員紹介ページの5人と数が合いません。新しいほうがどちらかは、日付で判断してください。

窓口は型によって分かれます。移住や結婚など市直営型の分野は産業部産業政策課 移住・定住支援室(電話 0186-62-8002)、観光分野の民間企業等受入型は観光文化スポーツ部観光課 観光振興係(電話 0186-62-5370)です。判断に迷うときは、それぞれの担当へ直接確認するのが確実です。

> この記事は北秋田市ホームページ、秋田県および総務省の公表資料をもとに作成しています。報酬や支援の内容、募集の状況は変わることがあります。最新の情報は必ず北秋田市の公式ホームページで確認してください。

よくある質問

Q.北秋田市の地域おこし協力隊の報酬は月額いくらですか。

A.受け入れの型によって分かれます。市直営型(会計年度任用職員)の結婚コーディネーターの募集要項では月額195,100円で、期末手当と勤勉手当が支給され、通勤に要する費用も支給されます。民間企業等受入型の観光コーディネーターの募集要項では月額195,000円で、期末手当はありますが通勤費は支給されません。額はほぼ同じでも、1日の活動時間は市直営型が9時から16時まで、民間企業等受入型が8時30分から17時15分までと差があります。

Q.市が受入企業に支払う年額520万円は、隊員がもらえる金額ですか。

A.いいえ。520万円は市と受入企業が結ぶ委託契約にもとづき、市が1隊員あたり年額の上限として受入企業へ支払う財政支援(委託費)の額で、隊員の報酬ではありません。隊員が受け取るのは月額195,000円と期末手当です。委託費には隊員の人件費のほか、受入企業が負担する住居費や車両、活動経費などが含まれます。

Q.住まいや引っ越しの費用はどうなりますか。

A.住居は、市直営型なら原則として市が提供して家賃等を市が負担し、民間企業等受入型なら受入企業が提供して家賃等を受入企業が負担します。どちらの要項にも家賃の上限額は書かれていません。一方で引っ越し費用は両方の型とも隊員の自己負担と明記されており、生活必需品と光熱水費も自己負担です。市直営型はさらに家財保険も隊員負担とされています。

Q.隊員は何人いますか。国と県で数字が違うのはなぜですか。

A.北秋田市の隊員紹介ページと秋田県の集計では、2026年4月現在(令和8年4月1日現在)で5人です。総務省の令和7年度の集計では4人ですが、これは基準となる時点の違いによるもので、活動開始が令和8年4月1日の隊員が令和7年度には含まれないためです。どの数字も、いつ時点のものかとセットで読んでください。

参考にした公式ページ

情報は変わることがあります。最新の内容は各公式ページでご確認ください。

TownHub編集部

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全国の地域情報を取材・編集しています。自治体の公開情報と現地取材をもとに、その街で暮らす人に役立つ情報をお届けします。

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