能代市の地域おこし協力隊|報酬・契約形態・活動分野
能代市の地域おこし協力隊について、委嘱型の条件と活動分野、隊員の活動記録をまとめます。
能代市は秋田県の北西部にある市で、平成元年度から全国的にも珍しい「バスケの街づくり事業」を続けてきました。地域おこし協力隊の受け入れも早く、市の広報誌には平成26年度から隊員の連載が並びます。能代市の公式情報と、国・県の公表資料をもとにまとめます。
隊員数は市の公表で9人、国の集計では14人
能代市の募集情報のページには、令和8年8月現在、9人がそれぞれのテーマで活動していると書かれています。市の「現任隊員紹介」に並ぶ隊員も9人です。秋田県が公表した令和8年4月1日現在の一覧でも、能代市は9名でした。
一方、総務省が令和8年4月24日に公表した令和7年度の集計では、能代市は14名です。秋田県全体は176名・23団体で、能代市の14名は東成瀬村の77名に次いで県内2番目の人数にあたります。
どちらかが誤りというわけではありません。数え方が違います。総務省の14名は令和7年度という1年間に活動した隊員を数えたもので、年度の途中で任期を終えた隊員も含まれます。市と県の9という数字は、ある1日を切り取ったものです。実際、市のOB・OG紹介には、任期が令和8年1月31日まで、令和8年2月28日までという隊員が載っています。人数を引く時は、必ず「いつの時点の数字か」をセットにしてください。
制度そのものの仕組みは地域おこし協力隊とはどんな制度かにまとめています。
市が委嘱する型と、企業に雇われる型がある
能代市の隊員は、能代市地域おこし協力隊員に関する要綱(平成26年告示第82号)にもとづいて市長が委嘱します。この要綱では、委嘱期間は1年以内でその年度を越えないこと、最長3年まで再任できること、隊員には予算の定める範囲内で謝金を支給することが定められています。市が雇用契約を結ぶ会計年度任用職員の形とは違います。
これとは別に、令和6年4月1日から能代市地域おこし協力隊事業委託実施要綱(令和6年告示第60号)が動いています。市が事業者に協力隊事業を委託し、受託事業者が隊員を雇用する型です。委託料には人件費等(各種手当を含む)、住居および活動用車両の借上費、活動旅費、研修費などが含まれます。
この型の隊員がどういう身分になるかは、市が公表している連携協定の説明が具体的です。令和6年2月20日に結ばれた「TENOHA能代におけるITを活用した地域活性化に関する連携協定」の案内には、業務を受託した側が協力隊を自社の正規雇用として募集・採用したうえで、市の協力隊としての委嘱も受けると書かれています。
現在の9人のうち4人は、紹介ページに「企業の社員として雇用されながら、市が当該企業に協力隊業務を委託する『企業委託型』の隊員です」と明記されており、受入企業名も出ています。同じ「能代市地域おこし協力隊」でも、給与を払う相手と保険の扱いが型によって変わります。下に書く条件は市が直接委嘱する型のものなので、企業委託型に応募するときは受入企業に確認してください。
報酬は職種ごとに別建てになっている
能代市は、募集する職種ごとに要項を分けています。金額の示し方も職種で違うため、混ぜて読まないでください。
| 募集(要項の日付) | 報酬の書き方 |
|---|---|
| バスケの街づくり担当(令和8年7月23日) | 月額300,000円(固定)。要項には「※予定」と付記 |
| 木のまちづくり担当(令和7年4月3日) | 月額300,000円(固定)、7月と1月に勤勉手当(各最大20万円) |
| ローカルスタートアップビジネス創出担当(令和8年8月17日) | 上限年額400万円。年度途中の委嘱は月割 |
月額で示す枠と、年額の上限で示す枠が併存しているのが能代市の特徴です。上限年額400万円は「毎月いくら」を約束したものではありません。
そして、勤勉手当の記載は要項によって有無が分かれます。令和7年4月3日付の木のまちづくり担当の要項には7月と1月の勤勉手当が明記されていますが、令和8年7月23日付のバスケの街づくり担当の要項にはその行がありません。手当があるかどうかは、応募する枠の要項で必ず確かめてください。
報酬の考え方そのものは協力隊の給与はどう決まるのかで整理しています。
健康保険は国民健康保険、年金は国民年金の第1号になる
額面より先に見てほしいのが、ここです。市が直接委嘱する型の要項には、加入保険についてこう書かれています。
- 能代市の国民健康保険に加入していただきます
- 国民年金保険の資格が1号でない方は変更の手続きをしていただきます
この記載は、令和8年7月23日付のバスケの街づくり担当の要項にも、令和8年8月17日付のローカルスタートアップビジネス創出担当の要項にも、同じ文言で置かれています。つまり、勤務先の健康保険と厚生年金に入る形ではなく、自分で国民健康保険と国民年金に入る形です。さらに、どちらの要項でも社会保険料等は隊員が負担する経費に挙げられています。
同じ月額でも、雇用されて社会保険料が報酬から差し引かれる自治体と、手取りの出方が違います。他の市町村と金額だけを並べて比べると判断を誤ります。
活動時間は週38時間45分
活動時間は、1日当たり7時間45分、週5日間(週38時間45分)です。これも、バスケの街づくり担当とローカルスタートアップビジネス創出担当の両方の要項に同じ数字で書かれています。ただし活動日および活動時間は市と協議できるとされています。
委嘱期間は委嘱した日からその年度の3月31日までで、次年度以降は毎年度協議のうえ決定し、最長で3年間です。
住居と車は補助の対象、ただし額の書き方が要項で違う
住居や車の扱いは、活動費補助金という枠で決まります。能代市地域おこし協力隊活動費補助金交付要綱(令和3年告示第41号)は、補助対象経費として次を挙げ、補助金額は補助対象経費の全額とし、1人につき200万円を限度とすると定めています。隊員の人件費と食糧費は対象外です。
- 隊員の住居、活動用車両等の借上げに要する経費
- 活動のための移動に要する経費
- 作業道具、消耗品、燃料等の購入に要する経費
- 関係者間の調整、意見交換会、活動報告会等に要する経費
- 隊員の研修、資格取得等に要する経費
- 隊員の定住に向けて必要となる環境整備に要する経費
- 外部アドバイザーの招聘に要する経費
- 委嘱期間中における傷害保険等の加入に係る経費
ここで注意したいのが、募集要項での書かれ方が枠ごとに違うことです。
- バスケの街づくり担当の要項…事務所および住居の借り上げ、活動用自動車の借り上げ、駐車場、燃料費、パソコン等の借り上げ、消耗品、住居の灯油代(冬期)、旅費などを補助すると書いたうえで、「(上限あり)」とだけ記され、金額は書かれていません
- ローカルスタートアップビジネス創出担当の要項…上限年150万円と金額が入っています。ただしこのうち月額10万円(税込)は、伴走支援を行う株式会社秋田銀行への委託料として支払うと明記されており、要項自身が「11月採用なら委託料50万円を除き、隊員が使える分は12.5万円」という例を載せています
「上限あり」と書かれているのは、制度が無いという意味でも、いくらでも出るという意味でもありません。そして家賃そのものの上限額は、どちらの要項にも書かれていません。住居費をいくらまで見てもらえるかは、応募前に担当課へ確認してください。
引越の費用は自己負担と書かれている
見落としやすいのがここです。両方の要項とも、能代市までの交通費および引っ越し費用を隊員が負担する経費として明記しています。あわせて、生活備品、食費、光熱水費、その他生活にかかる諸費用も自己負担です。
ただし要項には、45歳未満の方は移住定住奨励金等が使用可能という但し書きが添えられています。これは協力隊の制度ではなく市の別の支援制度なので、対象や金額は市の移住・定住のページで確認してください。
2次選考にかかる交通費なども自己負担と、両方の要項に書かれています。
任期後に市内で起業するときは上限100万円
能代市地域おこし協力隊起業支援補助金交付要綱(令和2年告示第47号)があります。要点は次のとおりです。
- 対象は、最終任期終了日までの期間が2年以内の人、または最終任期終了日から起算して1年以内の人。ただし最終任期終了日から継続して1年を超えて市内に居住する予定の人に限られます
- 対象経費は、設備費・備品費、土地および建物の賃借料、法人登記、知的財産登録、マーケティング、技術指導の受入れなどにかかる経費
- 補助金の額の上限は100万円で、1人につき1回限り
- 隊員として初めて委嘱を受けた日から起算して4年以内に市外へ転出したときは、補助金の返還を命じられることがあります
募集要項の側にも、着任1年経過日から最終任期終了日の1年後までの間に市内で起業する場合は支援制度がある、と書かれています。
活動分野は6つに分かれている
秋田県が公表した令和8年4月1日現在の一覧では、能代市の9名の内訳は次のとおりです。
| 活動内容 | 人数 |
|---|---|
| WEBや動画を活用したシティプロモーション | 3名 |
| 中心市街地の活性化(にぎわい創出、空き店舗の利活用と起業者のマッチング支援など) | 2名 |
| 音楽によるコミュニティ形成 | 1名 |
| 観光をテーマにした地域資源の掘り起こしと商品開発、情報発信 | 1名 |
| 「バスケの街づくり」に関係する活動 | 1名 |
| 「木のまちづくり」に関係する活動 | 1名 |
市の現任隊員の紹介ページでも、活動テーマとしてバスケの街づくり、観光推進、中心市街地の活性化、シティプロモーション、木のまちづくりが挙げられています。シティプロモーションの枠が企業委託型にあたります。
過去には、宇宙のまちづくり、移住・定住推進、過疎集落に入る地域密着型といったテーマの隊員もいて、OB・OGの紹介ページに活動内容と任期が残っています。
活動の様子は広報のしろで読める
能代市は、広報誌『広報のしろ』に載せた協力隊の記事を、市のホームページに年度ごとにまとめています。平成26年度から令和7年度まで、12の年度ページに合わせて95本が並びます。秋田県内では飛び抜けて厚い記録です。
連載の形は途中で変わっています。vol.1(2015年2月10日号)からvol.84(2022年11月10日号)までが「地域おこし協力隊通信」で、隊員1人ずつの回が毎月続きます。その後は「地域おこし協力隊活動通信」、さらに「のしろ輝き人」と名前が変わり、直近の掲載は2026年1月号です。なお、番号が飛んでいる回や、番号の付かない回もあります。すべての号がそろっているわけではない点は、頭に入れて読んでください。
市の地域おこし協力隊のページからは、「能代市地域おこし協力隊」のフェイスブックにもリンクしています。募集要項の条件だけでは分からない日々の活動量や地域との距離感は、この連載から読み取れます。
募集を探すときに気をつけること
能代市の協力隊は、募集する課がテーマごとに違います。バスケの街づくり担当は企画部市民活力推進課、ローカルスタートアップビジネス創出担当は環境産業部商工労働課、木のまちづくり担当は農林水産部林業木材振興課です。窓口が1つではないため、探す場所も1つではありません。
募集の入口は2か所あります。「能代市地域おこし協力隊 ◆募集情報◆」のページと、地域おこし協力隊のトップページです。この2つに並ぶ募集はいつも同じとは限らないので、両方を見てください。
もうひとつ、同じ募集ページに、年度の違う要項が同時に置かれていることがあります。ローカルスタートアップビジネス創出担当のページでは、本文中のリンクと関連ファイルの欄から、令和7年8月20日付の要項と令和8年8月17日付の要項の両方が開けます。中身は募集人数や日程が違います。開いたPDFの1枚目にある日付を必ず確かめてください。
なお、募集は民間の求人サイトや移住情報サイトにも掲載されますが、条件の原本は市が出す募集要項です。応募を考えるときは、市のページと最新の要項で確かめてください。
> この記事は能代市公式ホームページ、能代市の募集要項および要綱、秋田県と総務省の公表資料をもとに作成しています。募集の有無、報酬、支援の内容、隊員数は変わることがあります。最新の情報は必ず能代市の公式ホームページと最新の募集要項で確認してください。
よくある質問
Q.能代市の地域おこし協力隊の報酬はいくらですか。
A.職種ごとに要項が分かれていて、示し方も違います。令和8年7月23日付のバスケの街づくり担当の要項では月額300,000円(固定・予定)、令和8年8月17日付のローカルスタートアップビジネス創出担当の要項では上限年額400万円です。令和7年4月3日付の木のまちづくり担当の要項には、月額300,000円に加えて7月と1月の勤勉手当(各最大20万円)が書かれていますが、令和8年のバスケ担当の要項にその記載はありません。また能代市は市長が委嘱する形で、要項には市の国民健康保険に加入し、国民年金は第1号になること、社会保険料等は隊員の負担であることが書かれています。額面だけで他の市町村と比べないでください。
Q.住まいや車、引越の費用は市が出してくれますか。
A.住居や活動用車両の借上げは活動費補助金の対象です。能代市地域おこし協力隊活動費補助金交付要綱では、補助金額は補助対象経費の全額とし1人につき200万円を限度としています。ただし募集要項での書かれ方は枠ごとに違い、バスケの街づくり担当は「上限あり」とだけ記して金額を書いておらず、ローカルスタートアップビジネス創出担当は上限年150万円で、うち月額10万円は伴走支援を行う株式会社秋田銀行への委託料に充てると明記されています。家賃そのものの上限額はどちらの要項にも書かれていません。一方で、能代市までの交通費と引っ越し費用は隊員が負担すると明記されています。
Q.隊員は何人いますか。市と国で数字が違うのはなぜですか。
A.能代市の募集情報のページには令和8年8月現在で9人と書かれ、秋田県が公表した令和8年4月1日現在の一覧でも9名です。一方、総務省が令和8年4月24日に公表した令和7年度の集計では14名で、これは秋田県内で東成瀬村の77名に次ぐ2番目の人数です。総務省の数字は年度を通して活動した隊員を数えるため、年度の途中で任期を終えた隊員も含まれます。市と県の数字は特定の日を切り取ったものです。どちらかが誤りというわけではないので、人数を使うときは時点をそえてください。
参考にした公式ページ
- 地域おこし協力隊|能代市
- 能代市地域おこし協力隊 ◆募集情報◆|能代市
- 現任隊員紹介|能代市
- OB・OGの紹介|能代市
- 地域おこし協力隊バスケの街づくり担当の募集について|能代市
- 令和8年度能代市地域おこし協力隊募集要項(バスケ担当)(PDF)|能代市
- ローカルスタートアップビジネス創出地域おこし協力隊募集中!|能代市
- 能代市地域おこし協力隊募集要項(ローカルスタートアップ)(PDF)|能代市
- 地域おこし協力隊の募集について(林業木材振興課)|能代市
- 令和7年度地域おこし協力隊募集要項【林業木材振興課】(PDF)|能代市
- 能代市地域おこし協力隊員に関する要綱|能代市
- 能代市地域おこし協力隊事業委託実施要綱|能代市
- 能代市地域おこし協力隊活動費補助金交付要綱|能代市
- 能代市地域おこし協力隊起業支援補助金交付要綱|能代市
- 株式会社秋田銀行との包括連携協定について|能代市
- TENOHA能代におけるITを活用した地域活性化に関する連携協定について|能代市
- 広報のしろ連載「地域おこし協力隊通信」他|能代市
- 地域おこし協力隊の活動状況(令和8年4月1日現在)|秋田県
- 秋田県内の地域おこし協力隊活動状況(令和8年4月1日現在)(PDF)|秋田県
- 令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について(PDF)|総務省
情報は変わることがあります。最新の内容は各公式ページでご確認ください。