仙北市の地域おこし協力隊|業務委託の報酬と経費、定住の実績
仙北市の地域おこし協力隊について、業務委託型の報酬と経費の内訳、これまでの定住状況をまとめます。
仙北市は、角館・田沢湖・西木の3つのエリアからなる秋田県東部のまちで、人口は令和7年10月1日現在で22,445人です。地域おこし協力隊の受け入れ方には、市の会計年度任用職員として雇われる型と、市と業務委託契約を結ぶ型がありますが、仙北市は後者です。仙北市と総務省の公式情報をもとにまとめます。
隊員数は資料の時点ごとに大きく動く
総務省が令和8年4月24日に公表した令和7年度の集計では、全国の隊員数は8,196名、取組自治体数は1,187団体でした。このうち秋田県は176名・23団体、仙北市は3名です。
ただし、仙北市の隊員数は資料によって数字がまったく違います。どれかが誤りというより、それぞれ基準となる時点が違います。
| 資料 | 時点 | 隊員数 |
|---|---|---|
| 市の活動報告会の記事 | 令和6年12月18日の報告会 | 5人 |
| 総務省の集計 | 令和7年度 | 3名 |
| 市の過疎地域持続的発展市町村計画 | 令和7年11月末現在 | 1名 |
その後、令和8年1月5日に長村冴樹さん、令和8年7月1日に西山伶さんが委嘱状の交付を受けて着任しています。1名まで減ったところから、また積み増している途中という読み方になります。
制度そのもののしくみは地域おこし協力隊とはにまとめています。
市に雇われるのではなく、業務委託契約を結ぶ
仙北市の募集要領は、契約の形をはっきり書いています。
- 市と業務委託契約を締結します。市との雇用関係はありません。
- 隊員は市長が委嘱し、委嘱期間は委嘱の日からその年度の3月31日まで。
- 活動状況や実績を勘案して、最長3年まで更新できる。
- 隊員としてふさわしくないと判断された場合は、委嘱期間中でも委嘱を取り消すことがある。
市が委託する業務以外の業は自由に行うことができ、副業が認められています。令和8年度の要領では「ただし、本業に支障をきたさないことが前提です」という条件が添えられました。
そして会計年度任用職員型といちばん違うのがここですが、募集要領には勤務日数・勤務時間・休日の定めがまったく書かれていません。「週何日」「1日何時間」という枠がなく、代わりに毎月の活動報告書で活動状況を審査する形をとります。時間ではなく、報告と実績で見る契約だと考えてください。
社会保険や雇用保険をどう扱うかも、募集要領には書かれていません。雇用関係のない契約では健康保険と年金を自分で手続きすることになるのが一般的ですが、仙北市の公表資料では確認できませんでした。応募前にまちづくり課へ直接確かめてください。
委託料は月額291,000円
委託料は月額291,000円が基本額です。
支払われ方にも条件があります。委託料は、前月分の活動状況について提出した報告書を市が審査し、適正と認められるとき、予算の範囲内で支払われます。毎月自動的に振り込まれる給与とは性質が違います。
この額は、公開されている3本の募集要領(令和7年5月の募集、令和7年9月の募集、令和8年4月の募集)のいずれも291,000円で、直近1年のあいだ改定されていません。
雇用ではないため、賞与や各種手当という考え方はありません。会計年度任用職員型の自治体が示す月額報酬と、この291,000円を単純に並べて比べることはできません。報酬の見方は協力隊の報酬の考え方で整理しています。
経費は報酬とは別に、3つの枠がある
月額291,000円とは別に、活動に必要な経費が基本額に加算して支払われます。枠は3つに分かれていて、それぞれ限度額の単位が違います。
| 区分 | 対象 | 限度額 |
|---|---|---|
| 住居費 | 市内の住居借上料 | 月額45,000円 |
| 活動費 | 私用自動車の燃料費、車両借上料、公共交通機関の運賃、消耗品費、原材料費、印刷料、施設借上料、事務機器等借上料、通信運搬費など | 年額240,000円 |
| 研修・視察旅費及び参加費 | 協力隊に関する研修等の参加に係る旅費の実費分と負担金 | 年額150,000円 |
読み違えやすい点を3つ挙げます。
- 住居費の月額45,000円は、家賃そのものにかかる限度額です。敷金、礼金、仲介手数料、共益費、駐車場代、保証料、再契約手数料、損害保険料、光熱水費などは対象から外れます。
- 活動費の年額240,000円は、複数の費目をまとめた1つの枠です。燃料費も、車のリース代も、消耗品も、通信費もこの枠を分け合います。謝金・食糧費・備品購入費は対象外です。
- 研修・視察の年額150,000円は活動費とは別枠で、ここから研修参加の旅費の実費分と負担金を出します。
いずれも実績に基づいて、隊員と市が協議したうえで支払われます。業務委託契約を締結する前に支払った経費は対象になりません。委嘱の始期または終期が年度の途中になる場合、活動費と研修旅費の限度額は月割りです。
車は自分で用意する。燃料費は1kmにつき37円
公用車を貸すという記載は募集要領にありません。共通要件に「普通自動車運転免許を有する方、または、着任の日までに普通自動車運転免許を取得できる方」とあり、自分の車で動くことが前提です。
活動に使う私用自動車の燃料費は、走行距離1キロメートルにつき37円を活動費とすることができます。ただし、これには条件が付いています。
- 整備点検等、法令に定める基準を満たしていること。
- 加入している自動車保険の任意保険の補償額が、対人無制限かつ対物無制限であること。
補償額に上限がある任意保険では、この単価は使えません。契約の前に自分の保険証券を確認しておきたい項目です。
車両借上料(リース代)も経費に含められますが、これは燃料費や消耗品費と同じ活動費の年額240,000円のなかです。車にどれだけ充てるかで、ほかに使える額が減ります。
なお、引越にかかる費用については、募集要領に記載がありません。「支給しない」と書かれているのではなく、経費の区分そのものに引越の項目がない、という状態です。令和7年5月の募集から令和8年4月の募集まで、3本とも同じです。負担してもらえるかどうかは市に確認してください。
これまでに10名が赴任し、6名が定住
市町村ごとの定住実数を公表している自治体は多くありませんが、仙北市には数字があります。
市の過疎地域持続的発展市町村計画(令和8年度〜令和12年度)は、「令和7年11月末現在は隊員1名が活動しているほか、これまでに10名の隊員が赴任し、うち6名が仙北市に定住している」と記しています。
一方で、広報せんぼくの書き方はこれと合いません。
| 出典 | 記載 |
|---|---|
| 過疎地域持続的発展市町村計画(令和7年11月末現在) | これまでに10名の隊員が赴任 |
| 広報せんぼく令和8年2月号 | これまで11人の協力隊員を受入れ、長村冴樹さんが12人目 |
| 広報せんぼく令和8年8月号 | これまで12人の協力隊員を受入れ、西山伶さんが13人目 |
広報2本のあいだは筋が通っています。合わないのは、ほぼ同じ時期を指しているのに、過疎計画の「10名」と広報令和8年2月号の「11人」が1人ずれているところです。数え方の違いなのか、どちらかの誤りなのかは、公表資料からは判断できません。この記事ではどちらが正しいとは決めず、出典と時点を並べておきます。
定住の割合を県全体で見ると、総務省の調査(令和2年度から令和6年度に任期を終えた隊員が対象、調査時点は令和7年5月1日)では、秋田県は任期終了179名のうち定住100名で55.9%でした。全国の70.3%を下回ります。仙北市の10名中6名という数字は県平均より高い側にありますが、母数が10名なので1人動けば10ポイント動く規模だという点も併せて見てください。
任期を終えた隊員がいま何をしているか
令和6年12月18日、市役所角館庁舎で地域おこし協力隊活動報告会が開かれ、会場とオンラインあわせて46人が参加しました。市の記事によると、当時活動していた5人の隊員全員が、任期を終えた後も仙北市に残る意向を示しています。
5人の委託業務は、外国人を受け入れる態勢づくりとアクティビティのガイド、観光協会と連携した観光地域づくりとデータ分析、地域芸術文化の発信、外国人旅行者の誘致とグリーンツーリズムの推進、景観価値を活用したリトリートの推進でした。所管する課は交流デザイン課と文化財課に分かれています。
卒隊後の具体例も市の資料にあります。市の移住・定住ガイドブックは、元隊員の佐藤成真さんを移住の先輩として紹介しています。任期満了後は主に映像制作の仕事を手がける会社を起業し、いまは田沢湖畔でバーガーショップ「gatagata」も経営しているとのことです。
募集情報は1か所にまとまっていない
仙北市の公式サイトには、地域おこし協力隊をまとめた常設のページがありません。募集は「各機関からのお知らせ」に単発の記事として載り、着任した隊員の紹介は広報せんぼくに載ります。移住・定住の案内ページからもたどり着けないので、協力隊で探している人ほど見落としやすい構成です。
令和8年4月の募集は、3つの分野で各1名でした。
| 分野 | 活動拠点 |
|---|---|
| 温泉宿泊施設の集客プロデュース | 仙北市花葉館、仙北市西木温泉ふれあいプラザクリオン |
| 移住定住の推進(移住コンシェルジュ) | 企画部まちづくり課、市内拠点施設 |
| 景観価値を活用したリトリート推進と関係人口の創出 | 観光文化スポーツ部交流デザイン課 |
共通の応募要件には、3大都市圏をはじめとする都市地域等から生活拠点を市内に移して住民登録できること、普通自動車運転免許、パソコンの一般的な操作とリモートワークができること、インターネットやSNS等を活用した情報発信ができること、そして隊員の活動が終わった後も継続して仙北市に定住する意欲があることが挙げられています。
仙北市への転入手続きは、必ず委嘱の日以降に行ってください。それより前に住民票を移すと応募の対象者でなくなり、採用が取り消される場合があると要領に明記されています。
窓口は仙北市企画部まちづくり課(角館上野庁舎、電話0187-43-3315)です。
> この記事は仙北市公式ホームページ、仙北市の募集要領・過疎地域持続的発展市町村計画・広報せんぼく、および総務省の公表資料をもとに作成しています。委託料・経費の限度額・募集分野・隊員数は変わることがあります。最新の情報は必ず仙北市の公式ホームページで確認してください。
よくある質問
Q.仙北市の地域おこし協力隊の報酬はいくらですか。
A.委託料として月額291,000円が基本額です。市と業務委託契約を結ぶ形で雇用関係がないため、賞与や手当という考え方はありません。委託料は、前月分の活動状況について提出した報告書を市が審査し、適正と認められるときに、予算の範囲内で支払われます。住居費・活動費・研修旅費はこの291,000円とは別の枠で、実績に基づいて加算されます。
Q.住居費や車の費用はどこまで出ますか。
A.住居費は市内の住居借上料に対して月額45,000円が限度です。敷金・礼金・仲介手数料・共益費・駐車場代・保証料・再契約手数料・損害保険料・光熱水費などは対象外です。車は公用車を貸すという記載がなく、自分で用意します。私用自動車の燃料費は走行距離1キロメートルにつき37円ですが、任意保険の補償額が対人無制限かつ対物無制限であることが条件です。燃料費も車両のリース代も、年額240,000円の活動費の枠のなかで合算されます。
Q.勤務時間はどれくらいですか。副業はできますか。
A.業務委託契約のため、募集要領に勤務日数・勤務時間・休日の定めはありません。毎月の活動報告書で活動状況を審査する形をとります。副業は、市が委託する業務以外の業を自由に行うことができると明記されており、令和8年度の要領では本業に支障をきたさないことが前提とされています。共通要件にはリモートワークができることも挙げられています。
参考にした公式ページ
- 仙北市地域おこし協力隊を募集します【〆切間近:4月30日(木)必着】|仙北市
- 秋田県仙北市「地域おこし協力隊」募集要領(令和8年4月の募集)|仙北市
- 仙北市地域おこし協力隊を募集します|仙北市
- 秋田県仙北市「地域おこし協力隊」募集要領(令和7年9月の募集)|仙北市
- 仙北市地域おこし協力隊を募集します【〆切間近:6月26日(木)必着】|仙北市
- 秋田県仙北市「地域おこし協力隊」募集要領(令和7年5月の募集)|仙北市
- 仙北市地域おこし協力隊活動報告会を開催しました|仙北市
- 過疎地域持続的発展市町村計画(令和8年度~令和12年度)|仙北市
- 広報せんぼく令和8年2月号|仙北市
- 広報せんぼく令和8年2月号 6~13ページ(旬な情報チャンネル)|仙北市
- 広報せんぼく令和8年8月号|仙北市
- 広報せんぼく令和8年8月号 26~33ページ(旬な情報チャンネル)|仙北市
- 定住応援情報えぐきてけだんし|仙北市
- 秋田県仙北市移住・定住ガイドブック「おかえり!」(令和8年度版)|仙北市
- 令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について/定住状況等に係る調査結果|総務省
情報は変わることがあります。最新の内容は各公式ページでご確認ください。