いわき市の地域おこし協力隊|活動内容・報酬・応募の流れ
いわき市の地域おこし協力隊について、活動分野と報酬、支援をまとめます。
いわき市は福島県の東南端にあり、南は茨城県に接し、東は太平洋に面した、寒暖の差が比較的少ない市です。市内の複数の地区で地域おこし協力隊が活動しています。いわき市と総務省の公式情報をもとにまとめます。
いわき市には協力隊が何人いるか
総務省が2026年4月24日に公表した「令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について」によると、いわき市の隊員数は14名です。
福島県全体では351名・47団体が受け入れており、北海道(1,374名)、長野県(477名)、島根県(386名)に次ぐ全国4位の規模です。全国では8,196名・1,187団体が活動しています。
県内では楢葉町27名、玉川村20名、磐梯町18名、南相馬市15名などがいわき市を上回っており、いわき市が県内最多というわけではありませんが、市町村としては受け入れ人数の多い部類に入ります。
制度そのものの成り立ちは地域おこし協力隊とは何かで解説しています。
報酬はいくらか
いわき市の協力隊は、1年目と2年目以降で条件が変わる二本立てになっています。ここがいわき市の特徴です。
1年目は市のフルタイム会計年度任用職員として、月額210,800円(支給日は当月21日)。条例等の定めにより通勤手当と期末手当が支給され、期末手当・勤勉手当は年間4.60月(最大)です。着任日によっては、着任後最初の期末手当・勤勉手当が支給されない、または減額される場合があります。
2年目以降は、会計年度任用職員を続けるか、雇用関係を解消して個人事業主になるかを選べます。
| 項目 | 1年目(会計年度任用職員) | 2年目以降(会計年度任用職員) | 2年目以降(個人事業主) |
|---|---|---|---|
| 契約の形 | 市のフルタイム会計年度任用職員 | 同じ | 市と業務委託契約を結ぶ個人事業主 |
| 月額 | 210,800円 | 1年目と同額 | 291,600円(想定) |
| 期末手当・勤勉手当 | 年間4.60月(最大) | 年間4.60月(最大) | 発生しない |
| 活動経費 | 上限200万円 | 上限200万円 | 上限200万円(別途支払い) |
個人事業主への切り替えは隊員の希望に基づき、市がそれまでの活動状況を踏まえて可否を判断します。年度の途中では切り替えられず、原則として年度当初からの切り替えになります。希望する場合は前年度の10月までに市に相談することとされています。
報酬の水準をどう読むかは協力隊の報酬の考え方にまとめています。
額面だけで比べてはいけない理由
月額210,800円と291,600円を並べると、2年目以降の個人事業主のほうが8万円ほど高く見えます。しかしこの2つは性質がまったく違うお金で、そのまま比べることはできません。
会計年度任用職員のときは、社会保険(健康保険、厚生年金保険)と雇用保険に加入します。保険料には本人負担があり、給与から差し引かれます。所得税や住民税も給与から源泉徴収され、労災保険や公務災害補償等も適用されます。加えて年間4.60月(最大)の期末手当・勤勉手当が別に出ます。
一方、個人事業主に切り替えると市との雇用関係そのものがなくなります。したがって市の社会保険や雇用保険の対象ではなくなり、期末手当・勤勉手当も発生しません。税や社会保険の手続きは自分で行うことになります。切り替え後の具体的な取り扱いは市の担当課に確認してください。
つまり、月額の差額は「手取りが増える分」ではなく、手当がなくなり、保険と税の負担を自分で背負う分を含んだ金額として見る必要があります。判断材料は金額だけでなく、活動地区で起業する意思があるかどうかです。
なお、1年目は会計年度任用職員のため、地方公務員法により副業や一部の起業準備活動(法人設立準備や収益が出る活動)は原則禁止されます。起業を前提に考えている人は、この順番を最初に押さえておいたほうがよい部分です。
住まい・車・活動費はどこまで市が持つか
募集要項によると、住居および活動に必要な車両は、原則として市が借り上げます。これは活動経費(上限200万円)として計上されます。その他活動に必要な経費も、予算の範囲内で市が負担します。
2年目以降に会計年度任用職員を続ける場合の活動経費200万円は、原則として予定されている内容でのみ活用でき、住居費、自動車リース料、ガソリン代、研修旅費・負担金などが対象です。個人事業主に切り替えた場合も、住居費、ガソリン代、旅費、活動に関する消耗品等が上限200万円の範囲で別途支払われます。
活動用の車両は市が借り上げますが、募集地域の公共交通機関は本数・路線が限られているため、市は車の所有を推奨しています。
引越費用そのものの扱いについては、募集ページと募集要項に記載がありません。必要な場合は市の担当課に直接確認してください。
勤務条件
2年目以降に個人事業主になった場合を除き、勤務条件は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 勤務時間 | 午前8時30分から午後5時15分(休憩は正午から午後1時) |
| 勤務日数 | 週5日(月曜日から金曜日) |
| 週休日 | 土曜日・日曜日(週休日に活動した場合は振替可) |
| 休日 | 国民の祝日、年末年始(12月29日から31日、1月2日・3日) |
| 年次有給休暇 | 雇用期間に応じて1年度につき最大20日、その他特別休暇あり |
| 任用期間 | 任用日から年度末まで(通算して最長3年) |
| 条件付採用期間 | 任用後、原則1か月間 |
地域のイベントや会合の都合に合わせた柔軟な勤務も可能とされています。一方で会計年度任用職員である以上、職務専念義務や守秘義務などの服務規程が適用され、地方公務員法第30条から第38条が適用されます。
どの地区でどんな活動をしているか
いわき市は市内の地区ごとにテーマを設けて隊員を配置しています。市の活動紹介ページに掲載されている地区と活動内容は次のとおりです。
- 平地区 … 公共空間を活用した市街地エリアの価値向上、市街地の商業調査と遊休不動産の利活用推進
- 江名地区 … 漁具の整理、海辺の暮らし体験観光を推進する取組
- 植田地区 … 商店街の空き店舗の調査と利活用
- 遠野地区 … 「遠野和紙」の制作技術の継承
- 小川地区 … 地域の多様な果物を活用した特産品の開発
- 三和地区 … 農業の6次産業化、農産物直売所の支援
- 田人地区 … 耕作放棄地を活用した地域活性化
- 川前地区 … 「小さな拠点おおか」を活用した地域活性化
全地区に共通する業務として、地区の情報発信(交流サイトをはじめとするさまざまな媒体の活用)と、地域活動への参加やお助け活動が挙げられています。季節ごとに実施されているまちおこしの取組を地域住民と一緒に盛り上げることや、地区の困り事の解決策を住民と考えることも業務に含まれます。
たとえば三和地区では、農産物直売所「三和町ふれあい市場」の活性化支援が中心です。直売所で販売する農産物の販売促進やイベント開催に地域住民と連携して取り組むほか、地元の食材を使った弁当の取組を立ち上げ、市役所本庁舎での出張販売にもつなげています。机の上の企画ではなく、直売所や地区の現場に入る仕事だと分かる内容です。
応募できる人の条件
次の要件をすべて満たす人が対象です。
- 応募時点で20歳以上であること
- 3大都市圏をはじめとする都市地域に住民票があり、いわき市に生活の拠点を移して住民票を異動すること
- 地域活性化に意欲があり、地域住民と協力して活動できること
- 普通自動車運転免許を取得していること
- パソコン(文書作成、表計算、電子メールなど)の基本操作ができること
- 地方公務員法第16条に定める欠格事項に抵触していないこと
ここでいう3大都市圏とは、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、三重県、京都府、大阪府、兵庫県および奈良県の区域全部を指します。ただし地域要件には細かい定めがあるため、総務省の関連ページで確認するよう市も案内しています。
応募から着任までの流れ
- 応募 … 郵送(当日消印有効)、持参、申込フォームのいずれか。郵送・持参の場合は応募用紙と宣誓書を提出します。申込フォームの場合は、応募用紙と宣誓書の内容をフォーム上で入力するため提出は省略されます。
- 第一次選考(書類審査) … 審査結果は応募者全員に文書で通知されます。
- おためし地域おこし協力隊、または現地説明会 … 第一次選考の合格者が対象です。着任後のミスマッチを防ぐための2泊3日の体験で、参加は任意ですが市は参加を推奨しています。参加費は無料ですが、現地までの往復交通費と滞在中の飲食費は自己負担です。
- 第二次選考 … 詳細な日程は第一次選考の合格者に連絡されます。第二次選考に要する交通費・宿泊費等は応募者の負担です。選考でいわき市を訪れる際に利用できる支援制度もあります。
- 住民票の準備 … 第二次選考の前に、本籍入りの住民票を準備します。
- 着任
いきなり応募するのが不安な場合に向けて、地域おこし協力隊インターンの枠も用意されています。18歳以上で、協力隊に興味がある、または応募意向があり応募用紙を提出して審査に合格した人が対象です。期間は2週間から4週間、活動時間は原則として週38.75時間(1日7.75時間、週5日)。報酬は日額10,000円に活動日数を掛けた額で、源泉所得税が控除されます。ただしインターン型協力隊員としての委嘱であり、市との雇用関係はなく、社会保険もありません。宿泊費や往復の旅費、食費は自己負担です。
提出先と問い合わせ先は、いわき市 市民協働部 地域振興課 地域・中山間支援係(〒970-8686 福島県いわき市平字梅本21番地、電話0246-22-7415)です。
任期が終わったあとはどうなるか
任期は通算して最長3年です。総務省の資料によると、直近5年間(2020年4月から2025年3月)に任期を終えた隊員の定住率は全国で70.3%、福島県では任期終了者310名のうち213名が同じ地域に定住し68.7%でした。全国で任期後に定住した隊員の進路は、就業では行政関係、観光業、農林漁業、地域づくり支援業が多く、起業では飲食サービス業、美術・デザイン、宿泊業、小売業などが並びます。
いわき市の場合、任期後に向けた最大の仕掛けが2年目以降の個人事業主への切り替えです。活動地区での起業準備を任期中に始められるため、報酬を得ながら独立の助走ができます。ただし切り替えは年度当初からに限られ、前年度の10月までに市へ相談する必要があるため、逆算して動く必要があります。
任期終了後にいわき市が独自に用意している補助制度については、募集ページと募集要項に記載がありません。任期後の定住や起業を前提に応募を検討している場合は、地域振興課に直接確認してください。
募集の有無はどこで確認するか
いわき市の協力隊の募集は市全体でまとめて行われるのではなく、地区ごとのミッション単位で出ます。市も「協力隊員が決定したテーマにおいては、順次募集を停止します」と案内しており、募集中のミッションは時期によって入れ替わります。
そのため、募集の有無・締切・対象地区は、必ずいわき市の公式ホームページの募集ページで確認してください。募集をまとめた外部サイトは、ページが削除されたあとも古い情報が残っていることがあります。実際、いわき市の過去の募集ページには、現在アクセスできなくなっているものがあります。
福島県内のほかの自治体と条件を並べて見たい場合は福島県内の協力隊の待遇比較もあわせてご覧ください。
この記事はいわき市公式ホームページおよび総務省の公表資料の情報をもとに作成しています。報酬・支援内容・募集地区は変わることがあります。最新の情報は必ずいわき市の公式ホームページで確認してください。
よくある質問
Q.いわき市の地域おこし協力隊の報酬はいくらですか。
A.1年目は市のフルタイム会計年度任用職員として月額210,800円で、期末手当・勤勉手当が年間4.60月(最大)支給されます。2年目以降は会計年度任用職員を続ける(報酬額は1年目と同じ)か、個人事業主に切り替える(月額291,600円想定、期末手当・勤勉手当なし)かを選べます。
Q.2年目から個人事業主になると手取りは増えますか。
A.額面は月額291,600円に上がりますが、市との雇用関係がなくなるため、期末手当・勤勉手当は発生せず、市の社会保険や雇用保険の対象でもなくなります。税や社会保険の手続きも自分で行うことになるため、差額がそのまま手取りの増加になるわけではありません。切り替え後の具体的な取り扱いは市の担当課に確認してください。
Q.住居や車は自分で用意する必要がありますか。
A.住居および活動に必要な車両は、原則として市が借り上げます(活動経費として上限200万円の範囲で計上)。ただし募集地域は公共交通機関の本数・路線が限られているため、市は車の所有を推奨しています。
Q.いま募集はしていますか。
A.いわき市の募集は地区ごとのミッション単位で行われ、隊員が決まったテーマから順次停止されます。募集の有無・対象地区・締切は時期によって変わるため、いわき市の公式ホームページの募集ページで確認してください。
参考にした公式ページ
- いわき市地域おこし協力隊 募集|いわき市
- いわき市地域おこし協力隊募集要項|いわき市
- いわき市地域おこし協力隊の活動紹介|いわき市
- いわき市地域おこし協力隊 三和地区|いわき市
- 令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について|総務省
- 地域おこし協力隊|総務省
情報は変わることがあります。最新の内容は各公式ページでご確認ください。