南相馬市の地域おこし協力隊|活動内容・報酬・起業支援
南相馬市の地域おこし協力隊について、活動の類型と報酬、起業支援をまとめます。
南相馬市は太平洋と里山にはさまれた福島県浜通りのまちで、東日本大震災と原子力発電所の事故を経て、いまも地域課題への取り組みが続いています。市が募集する地域おこし協力隊について、南相馬市の公式情報をもとにまとめます。
南相馬市の地域おこし協力隊とは
地域おこし協力隊は、都市地域から地方に生活の拠点を移し、任期を決めて地域協力活動にあたる国の制度です。南相馬市も、市の各課がそれぞれの課題に合わせて隊員を募集しています。
南相馬市の募集の特徴は、募集がひとつにまとまっておらず、担当する課ごとに別々の募集要項が出ていることです。窓口は商工観光部 観光移住課 移住交流係が案内していますが、実際の応募先は分野ごとに異なります。
なお、南相馬市には地域おこし協力隊のほかに復興支援員という制度もあります。両者は根拠となる国の制度も待遇も別のものです。この記事で扱うのは地域おこし協力隊のほうで、募集要項に書かれた条件が復興支援員に当てはまるわけではありません。
制度そのものの成り立ちは、地域おこし協力隊とは何かであわせて確認できます。
4つの類型と活動内容
南相馬市の令和8年度の募集は、次の4つに分かれています。募集区分は年度ごとに設定されるため、内容が入れ替わることがあります。
| 区分 | 主な活動 | 担当課 |
|---|---|---|
| 空き家・空き地の利活用 | 空き家・空き地の実態調査、住民向けの話し合いの企画、相談対応 | 建設部 都市計画課 住宅政策室 |
| 鹿島駅舎リニューアル | 駅舎の改修計画づくり、地域の担い手との構想づくり、改修後の運営 | 鹿島区 地域振興課 |
| 有害鳥獣ハンター | 市内の巡回、許可を受けた鳥獣の捕獲と運搬、被害相談への現場対応 | 農林水産部 農政課 |
| 起業型 | 市に根ざした事業を立ち上げるための、起業に向けた活動 | 商工観光部 商工労政課 |
条件は区分ごとに違います。空き家・空き地と鹿島駅舎の区分は、パソコンの基本操作と交流サイトでの情報発信ができることが条件に入っています。空き家・空き地の区分は、宅地建物取引士や建築士など不動産に関する資格を持つ人を優先すると明記されています。有害鳥獣ハンターは狩猟免許(第一種銃猟またはわな猟)を取得していることが必須で、免許がなければ応募できません。
一方で、次の条件は会計年度任用職員として募集される3区分に共通します。
- 応募時点で18歳以上であること(学生を除く)
- 3大都市圏をはじめとする都市地域に住所があり、生活の本拠を置いていること
- 任用後に南相馬市へ住所を移せること
- 普通自動車運転免許を持っているか、着任までに取得できること
- 1年以上、最長3年間勤務を続けられること
- 地方公務員法に定める欠格条項に当てはまらないこと
- 任期が終わったあとも南相馬市に住む意志があること
鹿島駅舎の区分は、1年目に駅舎の使い方を形にし、2年目に関わる人の輪を広げ、3年目に運営を担って引き継ぐ、という3年間の段階が募集要項に示されています。
報酬と契約形態
南相馬市の協力隊は、契約形態が2種類に分かれます。ここを取り違えると、手取りも税金や社会保険の扱いも変わります。
| 区分 | 契約形態 | 報酬 | 社会保険 |
|---|---|---|---|
| 会計年度任用職員型(3区分) | 南相馬市の会計年度任用職員として市長が任用 | 月額229,900円。ほかに賞与等が支給される | 厚生年金保険、健康保険、雇用保険に加入 |
| 起業型 | 個人事業主として業務委託。市との雇用契約ではない | 報償費として月額28万円程度 | 募集ページに記載がないため要確認 |
会計年度任用職員は、地方公務員法にもとづき1会計年度を任期として任用される地方公務員です。給与から所得税や社会保険料が源泉徴収され、市が保険に加入させる扱いになります。諸手当として通勤手当、時間外勤務手当、期末手当(6月・12月)が支給され、空き家・空き地の区分では勤勉手当も記載されています。年次有給休暇が付与され、条件に応じて特別休暇も取得できます。
勤務は週5日、8時30分から17時15分まで(実働7時間45分、休憩1時間)で、土日祝日と12月29日から1月3日までが休みです。休日に勤務した場合は勤務時間の振替などで調整されます。
これに対して起業型は業務委託で、市との雇用契約ではありません。支払われるのは給与ではなく報償費で、確定申告や国民健康保険・国民年金の手続きは自分で行うことになります。勤務時間は応相談とされ、任期は最大3年まで更新できます。
金額の額面だけでなく契約形態まで含めた見方は、協力隊の報酬はどう決まるかにまとめています。
住まい・車・引越費用
支援されるものと自己負担になるものが、はっきり分かれています。
| 項目 | 会計年度任用職員型 | 起業型 |
|---|---|---|
| 住居 | 市が指定する住居とし、家賃は市が負担 | 応相談 |
| 光熱水費 | 自己負担 | 記載なし |
| 自動車 | 自動車を持っていない場合、任期中の自動車(借り上げ料)を市が用意 | 車両の持ち込みを歓迎 |
| 勤務中の移動 | 原則として市の公用車 | 記載なし |
| 引越費用 | 個人負担 | 記載なし |
| 面接の交通費 | 自己負担 | 記載なし |
家賃を市が負担する点は大きな支援ですが、上限が設けられている区分があります。有害鳥獣ハンターの募集要項では、住居家賃の市の負担は月6万円までと明記されています。空き家・空き地と鹿島駅舎の区分では上限額の記載がないため、実際にいくらまで負担されるかは応募前に担当課へ確認してください。
自己負担になるのは、光熱水費・引越費用・選考の面接に行くための交通費です。とくに引越費用は個人負担と明記されているため、遠方から移る場合はまとまった初期費用を見込んでおく必要があります。
起業支援の補助金
南相馬市には、隊員が任期を終えたあとに市内で起業したり事業を引き継いだりする場合の補助金があり、告示で交付要綱が定められています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 補助対象経費を合算した額の10分の10以内 |
| 上限額 | 100万円 |
| 回数 | 補助対象者1人につき1回限り |
| 対象者 | 任期終了の日から起算して前1年以内の隊員、または任期終了の日から1年以内の隊員 |
| 交付要件 | 市内で起業または事業承継すること/その事業の内容が市の活性化に資するものであること |
| 対象経費 | 設備費、備品費、土地・建物賃借費、法人登記に要する経費、知的財産登録に要する経費、マーケティングに要する経費、技術指導の受入れに要する経費、そのほか市長が特に必要と認めるもの |
| 対象外 | 市税に滞納がある場合、任期の途中で解任または解嘱された場合(要綱に定める一部の理由による場合を除く) |
補助率が10分の10というのは、対象経費に自己負担分を求めないという意味です。上限の100万円までであれば、対象として認められた経費をそのまま補助でまかなえます。予算の範囲内での交付となるため、使えるかどうかは早い段階で商工労政課に相談しておくのが確実です。
対象者が「任期終了の日から起算して前1年以内」も含んでいる点も重要です。任期が終わるのを待たず、最終年度のうちから準備を始められる設計になっています。金額に1,000円未満の端数があるときは切り捨てられます。
起業型の区分は、この補助金の存在を前提に、任期中から市に根ざした事業づくりを進める形になっています。
応募から着任までの流れ
流れは会計年度任用職員型と起業型で異なります。
会計年度任用職員として募集される3区分は、次の順に進みます。
- 応募書類を担当課へ郵送または持参する(電子データを電子メールで送ることも可。必要に応じて原本の提出を求められる)
- 一次選考として書類選考が行われ、おおむね15日以内に結果が通知される
- 二次選考として面接が行われる。日程は一次選考の結果通知で個別に連絡される
- 採用が決まると、二次選考の終了後15日から20日以内に結果が通知される(区分により異なる)
- 着任日は市と応募者の協議で決まる
提出書類は、南相馬市地域おこし協力隊(会計年度任用職員)応募申込書、1か月以内に交付された住民票抄本、運転免許証の写しです。有害鳥獣ハンターの区分では、これに狩猟免状の写しが加わります。申込書の様式は各区分の募集ページから入手できます。
起業型は、市から委託を受けた事業者が募集と選考を行うため、流れが違います。募集されているプロジェクトの中からひとつを選び、3年以内に起業するための事業計画を提出したうえで、書類選考、一次面接、二次面接、市の職員との最終面接を経て内定となります。着任日は内定後の相談で決まります。
募集される区分や人数は年度によって変わります。応募を考える段階で、市の地域おこし協力隊募集ページと各区分の募集要項を必ず確認してください。
福島県内のほかの自治体と待遇を並べて見たい場合は、福島県の地域おこし協力隊 待遇比較もあわせてご覧ください。
この記事は南相馬市公式ホームページおよび南相馬市例規集の情報をもとに作成しています。募集区分・報酬・支援内容は変わることがあります。最新の情報は必ず南相馬市の公式ホームページで確認してください。
よくある質問
Q.南相馬市の地域おこし協力隊の報酬はいくらですか。
A.会計年度任用職員として募集される区分は月額229,900円で、このほかに賞与等が支給されます。起業型は市との雇用契約ではなく業務委託で、報償費として月額28万円程度が支給されます。契約形態が違うため、税金や社会保険の手続きも異なります。
Q.住居や引越しの費用は市が出してくれますか。
A.会計年度任用職員として募集される区分では、市が指定する住居の家賃を市が負担します。ただし有害鳥獣ハンターの募集要項では月6万円までと上限が定められています。光熱水費と引越費用、選考の面接に行くための交通費は自己負担です。起業型の住居は応相談とされています。
Q.任期のあとに市内で起業する場合、支援はありますか。
A.南相馬市地域おこし協力隊起業・事業承継支援補助金があり、補助対象経費の10分の10以内、上限100万円が1人1回限り交付されます。対象は任期終了の日から起算して前1年以内、または任期終了の日から1年以内の隊員で、市内で起業または事業承継し、その事業が市の活性化に資することが要件です。予算の範囲内での交付となるため、早めに商工労政課へ相談してください。