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田村市の地域おこし協力隊|4つの類型・報酬・活動報告

7分で読めます執筆: TownHub編集部
地域おこし協力隊田村市

田村市の地域おこし協力隊について、地域振興型から就農型までの類型をまとめます。

福島県田村市は阿武隈高地のほぼ中央にある人口約3万1千人のまちで、地域おこし協力隊を移住定住・起業・就農・観光の4つの系統に分けて置いています。募集の入口も担当課も類型ごとに違うため、まず自分がどの系統に当たるのかを見きわめるところから始まります。田村市の公式情報をもとにまとめます。

制度そのものの成り立ちは地域おこし協力隊とはにまとめています。

4つの類型と、それぞれの担当課

田村市の地域おこし協力隊は、地域振興型・起業型・就農型・観光振興型の4つに分かれています。地域振興型と起業型は企画調整課、就農型は農林課、観光振興型は観光交流課が所管し、募集要項もそれぞれ別に作られています。市の紹介ページによれば、令和7年8月1日時点で地域振興型5名、起業型5名が任命され、移住・定住の促進および空き家利活用、地域商材開発、地域資源を活用した起業に向けた活動を行っています。

類型主な活動担当課
地域振興型移住・定住の推進、空き家の相談対応と利活用、地域商材の開発と販路開拓企画調整課
起業型地域特性・資源等を活用し、最長3年以内で市内での起業を目指す企画調整課
就農型福島県が認定する田村地域の農業研修機関での研修を中心に、独立就農の準備を進める農林課
観光振興型あぶくま洞、ムシムシランド、グリーンパーク都路、田村市観光協会、TOMUSHI研究所を拠点に誘客と体験づくりを担う観光交流課

観光振興型は活動拠点施設ごとに枠が分かれているのが特徴で、応募のときに希望する拠点を選ぶ形になっています。要項では、あぶくま洞1名、ムシムシランド2名、グリーンパーク都路2名、田村市観光協会1名、TOMUSHI研究所1名の計7名という枠組みが示されています。就農型の要項は2名の枠です。

募集の形も、締切を1日に区切るやり方ではありません。観光振興型は年度いっぱいを募集期間とし、申込の順に面接を行って採用者が決まった枠から終了していく方式です。就農型も随時募集で、定員に達した時点で締め切るとされています。枠ごとに状況が変わるため、実際に応募する段階では担当課に直接確認してください。

報酬は類型によって扱いがまったく違う

同じ田村市の協力隊でも、報酬の決まり方は類型ごとに別です。金額まで要項に書かれているのは就農型だけで、観光振興型は「受託者の定める規定等により決定」とされ、金額は要項に載っていません。

類型報酬の決まり方要項の金額記載
就農型年間310万円から350万円(着任年数による。給与改定等により変動する場合あり)あり
観光振興型市の委託業務の受託者が定める規定等により決定。退職金等はなしなし
地域振興型・起業型市の紹介ページには金額の記載なしなし

手当の扱いにも差があります。就農型の要項には時間外手当と通勤手当の支給はないと明記されている一方、観光振興型の要項には受託者の規定に準じて通勤手当を支給すると書かれています。年収の額面だけを並べても比較にならないため、協力隊の報酬はどう決まるのかもあわせて読んだうえで、要項に金額の記載がない類型は担当課に直接たずねるのが確実です。福島県内のほかの自治体とならべて見たい場合は福島県内の協力隊の待遇比較を参考にしてください。

雇用主は市ではなく、市から委託を受けた法人

田村市の制度でいちばん誤解されやすいのがここです。田村市の協力隊は、市長が委嘱し、市の地域おこし協力隊設置業務を受託した法人が雇用するという二段構えになっています。就農型の募集要項には、その受託者が一般社団法人Switchであることが名前まで明記されています。

つまり隊員は、個人事業主として市から業務を請け負うのではなく、受託法人と雇用関係を結びます。この違いは税と社会保険の扱いに直結するため、応募前に必ず押さえておきたい点です。要項に書かれているのは次の内容です。

  • 就農型は、厚生年金・健康保険・雇用保険に加入し、本人負担分が給与から差し引かれると明記されています。
  • 観光振興型も、健康保険・厚生年金保険・雇用保険等の社会保険に加入し、受託者の規定に準じて年次有給休暇を取得できるとされています。
  • 勤怠管理、日報・月報の管理、給与・社会保険・活動経費の管理は受託法人が担い、月1回の巡回ヒアリングと移住後のアフターフォローも受託法人の役割として整理されています。
  • 委嘱期間は年度ごとの更新で、最長3年までです。

活動時間は、就農型が原則週5日・1日8時間(研修先の活動時間に合わせる場合あり)、観光振興型が原則週5日・8時30分から17時15分(休憩1時間)で、施設のイベント実施状況により繁忙期の休日出勤もあるとされています。

住まい・車・引越費用の扱い

住居と車については、両方の要項に補助の記載があります。ただし引越費用は自己負担という点は共通しているので、着任前の資金計画に入れておく必要があります。

就農型の要項では、住居手当の支給あり(上限あり)、車両借上料の支給あり(上限あり、活動には自家用車を使用)、通信費の支給あり(上限あり)とされ、活動に必要な消耗品費と研修受講料は予算の範囲内で補助されます。そのうえで、転居にかかる費用、生活必需品、光熱水費は自己負担と明記されています。

観光振興型の要項でも、住宅手当は市の委託事業の範囲内で上限つきで支給され、旅費や燃料費など活動に要する経費は市の委託事業の範囲内で支出するとされています。こちらも転居に要する費用、水道光熱費等の生活に必要な経費は個人負担で、生活備品は各自で準備と書かれています。

活動報告書4年分から見える実際の仕事

田村市は、令和3年度から令和6年度までの地域おこし協力隊の活動報告書を公開しています。令和6年度版は58ページあり、募集要項からは読み取れない「実際に何をしているのか」がわかる資料です。この令和6年度版は、2025年3月31日時点の地域振興型7名(うち3名が活動継続、4名が任期終了)と起業型4名の活動を収めています。

地域振興型の隊員が担っていた仕事は、次のような内容でした。

  • 空き家対応。2名が相談窓口を担当し、年度内の新規相談は22件と42件。空き家・空き地の現場調査15件、情報バンクへの登録11件、成約はそれぞれ4件と8件。価格査定をテーマにした空き家活用セミナーには14名が参加し、購入できる物件を紹介するオンラインの内見会も開かれています。
  • 移住の受け入れ。現地体験ツアーを3回、東京での交流イベントを4回開催。市内では移住者交流会、古民家の改修講座、郷土料理を囲むデイキャンプなどを企画しています。
  • 林業の担い手集め。市内の林業事業体・木工所8者と関係を築き、体験ツアーで計17名と23名を受け入れ。オンラインの催しを5回開いて関係人口を延べ59人生み出しています。
  • 空き店舗の活用。お試しチャレンジショップの運営を担当し、年度の出店回数は47回(前年度比30回増)、出店日数85日、関係人口は延べ143人でした。
  • 子ども向けの自然体験。イベントを12回、放課後児童クラブへの出張を13回開き、延べ697名の子どもが参加しています。

起業型の4名は、それぞれ自分の事業の立ち上げに向けて動いていました。ニカラグアのコーヒーを軸に多世代が集まる場をつくる計画、キャンプ場の開業(200か所を超える候補地を見て回って都路町の土地に絞り込み、市の森林公園キャンプ場について30ページの利活用提案書を作って農林課へ提出)、サウナ・温浴施設の開業(候補地を9か所まで絞って船引町芦沢地区に決定し、地区の区長や商工会支部長らへ事業説明会を実施)、空き家を活用したシェアハウスとカフェ(市内4件の物件を視察し、県内外8か所の先進事例を訪問)といった内容です。

こうして並べると、田村市の協力隊の仕事はイベントの手伝いではなく、相談件数や成約件数、出店回数といった数字で成果を追う実務であることが読み取れます。応募を検討する段階でこの報告書に目を通しておくと、着任後の1年が具体的に想像できます。

任期が終わったあとの支援

観光振興型の要項には、期間満了後も田村市に居住する場合、地域おこし協力隊に係る総務省の制度で起業等の支援を行うほか、市の支援事業により定住や起業・就業をサポートすると書かれています。

就農型はもう少し道筋が具体的です。任期中に青年等就農計画を作成し、活動終了後に認定新規就農者として独立就農することが前提になっています。市の資料では、認定新規就農者として独立就農した場合、新規就農者育成総合対策事業の経営開始資金を最大3年間、年間上限150万円受給できるとされ、就農後も「たむらの新・農業人サポート協議会」が継続して営農をサポートする形が示されています。研修先の選定、就農計画の伴走、農地探し、住まい探しといった役割分担も、この資料に整理されています。

起業型については、最長3年以内で市内での起業を目指すことがそもそも活動の目的として設定されています。

復興支援員・集落支援員とは別の制度

田村市には、地域おこし協力隊のほかに復興支援員集落支援員がいます。市は令和6年6月22日に「地域おこし協力隊・復興支援員・集落支援員合同活動報告会」を開き、退任者も含めた総勢26名の隊員・支援員が、これまでの活動とこれからの展望を発表しました。

3つの名前が並んで紹介される機会が多いため混同されがちですが、これらは別の制度です。この記事で扱った募集人員、報酬、雇用形態、支援内容は地域おこし協力隊の要項に書かれているもので、そのまま復興支援員や集落支援員に当てはまるわけではありません。復興支援員として活動したい場合は、協力隊とは別に市へ問い合わせてください。

応募の前に確認したいこと

  • 担当課が類型ごとに違う。地域振興型と起業型は企画調整課、就農型は農林課、観光振興型は観光交流課です。問い合わせ先を間違えると回答までに時間がかかります。
  • 年齢要件も類型で違う。就農型は20歳以上42歳以下で認定新規就農者を目指す方、観光振興型は令和8年4月1日現在で20歳以上60歳未満と定められています。
  • 共通の要件は、三大都市圏をはじめとする都市地域等から田村市に住民票を移して居住できること、普通自動車免許を持っていること、基本的なパソコン操作ができることなどです。就農型では、国や自治体の税金、国民健康保険料、国民年金等に滞納がないことも要件に入っています。
  • 報酬額が要項に書かれていない類型がある。金額の記載がない場合は、応募を決める前に担当課へ確認してください。

この記事は田村市公式ホームページの情報をもとに作成しています。募集の枠組み、報酬、手当、要件は変わることがあります。最新の情報は必ず田村市の公式ホームページで確認してください。

よくある質問

Q.田村市の地域おこし協力隊は、どの類型に応募すればよいですか。

A.地域振興型・起業型・就農型・観光振興型の4つがあり、担当課も募集要項も別々です。移住定住や空き家、地域商材にかかわりたいなら地域振興型(企画調整課)、市内での起業を目指すなら起業型(企画調整課)、独立就農を目指すなら就農型(農林課)、あぶくま洞やムシムシランドなどの観光拠点で働きたいなら観光振興型(観光交流課)が入口になります。観光振興型は応募時に活動拠点を選ぶ形です。

Q.報酬はいくらですか。

A.類型で扱いが違います。就農型は募集要項に年間310万円から350万円(着任年数による)と明記され、時間外手当と通勤手当の支給はないとされています。観光振興型は「受託者の定める規定等により決定」とされ金額は要項に載っておらず、退職金等もありません。地域振興型と起業型は市の紹介ページに金額の記載がないため、応募前に担当課へ確認してください。

Q.雇用主は田村市ですか。

A.いいえ。田村市長が地域おこし協力隊として委嘱し、市の地域おこし協力隊設置業務を受託した法人が雇用します。就農型の募集要項では、その受託者が一般社団法人Switchであると明記されています。個人事業主としての業務委託ではなく雇用契約のため、厚生年金・健康保険・雇用保険に加入し、本人負担分は給与から差し引かれます。勤怠管理や給与・社会保険・活動経費の管理も受託法人が担います。

TownHub編集部

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全国の地域情報を取材・編集しています。自治体の公開情報と現地取材をもとに、その街で暮らす人に役立つ情報をお届けします。

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