石垣市の地域おこし協力隊|委嘱の仕組みとこれまでの活動分野
石垣市の地域おこし協力隊について、委嘱の仕組みと、平成28年度から市が公開している活動分野の実績をまとめます。
石垣市の地域おこし協力隊は現在2人ですが、受入は平成28年度から続いています。市はこれまでの活動を分野ごとに公開しており、観光交流協会に勤務した隊員がいたことまで分かります。市が公開している情報をもとにまとめます。
隊員数は2人、前年から半減
総務省が令和8年4月24日に公表した「令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について」によると、石垣市の隊員数は2人です。前年の令和6年度は4人でしたから、1年で半分になりました。
沖縄県内で人数が減ったのは石垣市(4人から2人)と竹富町(14人から9人)の2団体だけです。協力隊は任期が最長3年の制度なので、受入が数年続いた自治体では卒業と採用のタイミングで人数が上下します。減ったこと自体が受入をやめる方向を意味するとは限りません。
石垣市は八重山圏域の中心で、竹富町役場が市内に置かれています。竹富町の協力隊は住民票の異動先が「竹富町または石垣市」とされているため、石垣市には自市の隊員だけでなく、竹富町の隊員が生活拠点として暮らしている場合もあります。
委嘱の仕組み
石垣市は制度の枠組みを次のように説明しています。
都市地域から過疎地域等の条件不利地域に住民票を移動し、生活の拠点を移した者を、地方公共団体(石垣市)が「地域おこし協力隊員」として委嘱します。 隊員は一定期間、地域に居住して、地域ブランドや地場産品の開発・販売・広報等の地域おこしの支援や、農林水産業への従事、住民の生活支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図ります。
国の制度の説明をそのまま市の言葉で置き換えたもので、市長が任用する会計年度任用職員型なのか委嘱のみなのかは、募集ごとの要項で決まります。
平成28年度からの活動実績
石垣市が公開している「これまでの活動実績(平成28年度〜)」には、次の分野が挙げられています。
- ふるさと納税プロモーション活動
- 北部地域振興に関する活動
- 農林水産業に関する広報活動
- 観光産業に関する広報活動(石垣市観光交流協会勤務)
過去の活動分野を市が一覧で公開している自治体は、沖縄県内では石垣市だけです。募集がいつ出るか分からない状況でも、市がどんな仕事に協力隊を充ててきたかが分かるので、応募を検討する材料になります。
「北部地域振興」が独立した項目として挙がっているのが石垣市らしい点です。石垣島は市街地が南部の一部に集中しており、北部は人口が少なく生活基盤の維持が課題になります。市域の中に条件の違う地域を抱えているため、協力隊の配置先も市街地とは限りません。
観光交流協会に勤務した隊員がいたことも分かります。市役所の中で働くとは限らず、関係団体に配属される形があったということです。
過去の募集要項から分かる条件
石垣市の公式移住定住応援サイトには、令和元年度の募集要項(石垣市公営塾スタッフ)が残されています。年度が古いためそのまま現在の条件と考えることはできませんが、市がどういう設計で募集を出してきたかは読み取れます。
募集職種は石垣市公営塾スタッフで、業務は公営塾の運営に係る諸業務、塾生徒への学習指導及び相談、地域を学ぶ授業の企画及び運営、その他協力隊としての地域活動への参加でした。
応募資格には、高校生に対して小論文の指導やキャリアカウンセリングができること、入試の面接での話し方や考え方を指導できること、石垣市について調べ、生徒の主体性を養う授業やキャリア教育に興味があることなどが並んでいます。教育の専門性を求める募集でした。
当時の条件は次のとおりです。
- 雇用形態 … 「石垣市地域おこし協力隊設置要綱」に基づき市長が任用。任期は1年で最長3年まで延長
- 勤務時間 … 週5日勤務(原則土日休み)、13時から22時(休憩18時から19時、要相談)
- 給与 … 日額9,500円に勤務従事日数を乗じた額(社会保険料等を含む)
- 期末手当 … 年2回(6月、12月、各日給10日分)
- 社会保険 … 雇用保険、健康保険、厚生年金に加入(一部自己負担あり)
- 準備手当あり … 着任前の準備に係る交通費及び宿泊費の一部または全部を予算内で負担
- 着任手当あり … 引越費用等の一部又は全部を予算内で負担
- 住居 … 市が隊員の住居する家賃の一部又は全部を予算内で負担(光熱水費は本人負担)
- 昇給なし
- 年休 … 年12日(繰越制度あり、最大20日)
注目したいのが準備手当です。着任前の準備にかかる交通費と宿泊費を市が負担するもので、着任後の引越費用を対象とする着任手当とは別に用意されていました。沖縄県内でこの2つを分けて設けていた例はほかに見当たりません。
勤務時間が13時から22時なのは公営塾という仕事の性質によるもので、久米島町の町営塾(13時から21時)と近い設計です。八重山と久米島という離れた島で、同じ「島の高校生の学びを支える」仕事に同じような時間割が組まれているのは偶然ではありません。
繰り返しになりますが、これは令和元年度の募集の条件です。現在の募集がこの通りとは限りません。
八重山圏域での位置づけ
石垣市を見るときは、八重山圏域という単位で考えると分かりやすくなります。
令和7年度の隊員数は石垣市2人、竹富町9人、与那国町3人で、八重山圏域だけで14人です。沖縄県全体89人の約16%にあたります。
このうち竹富町の隊員は、住民票の異動先が「竹富町または石垣市」とされています。竹富町役場そのものが石垣市美崎町にあるためで、介護福祉業務の募集では勤務地が「竹富町役場(石垣市)」と書かれたうえで、任期中に小浜島へ移ることが想定されています。
つまり石垣市には、石垣市の隊員と竹富町の隊員が同じ島で暮らしている状況がありえます。応募先を八重山で探すなら、石垣市の募集だけでなく竹富町と与那国町の募集も並べて見ておくと選択肢が広がります。生活の拠点を石垣市に置いたまま竹富町の隊員として働く、という形も制度上は成り立ちます。
募集情報の探し方
石垣市の協力隊で気をつけたいのは、募集がいつ出るか分かりにくいことです。市のページにあるのは制度の説明と過去の活動実績で、常設の募集ページはありません。
手がかりになるのは次の3つです。
- 市の公式サイトのふるさと創生課のページ
- 市の公式移住定住応援サイト「南ぬ島らいふ」(過去の募集要項がここに残されています)
- 沖縄県が案内している募集情報の経路 … 県は県内の募集について、県の地域おこし協力隊のページ、移住・交流推進機構の地域おこし協力隊ページ、各市町村の公式サイトを参照するよう案内しています
募集の分野は年度で変わります。過去には公営塾スタッフ、ふるさと納税プロモーション、北部地域振興、農林水産業と観光産業の広報と、教育から産業振興まで幅がありました。特定の分野を待つより、市の動きを定期的に見ておくほうが現実的です。
移住・定住の支援が同じ課にあります
石垣市の協力隊を所管するのは企画部ふるさと創生課です。この課は協力隊だけでなく、市の移住・定住支援もまとめて担当しています。
同課が扱っている取り組みには次のようなものがあります。
- 空き家バンク
- Uターン移住支援金
- 奨学金返還支援補助金
- 石垣市移住・定住支援協議会
- 移住相談及び移住体験ツアー
- 石垣市公式移住定住応援サイト「南ぬ島らいふ」
市は「日本最南端の自然文化都市『石垣市』への移住・定住を応援します」として、移住に関する相談をふるさと創生課で受け付けています。
石垣市移住・定住支援協議会という枠組みも置かれており、市だけで移住者を受け入れるのではなく、関係する団体と一緒に支える形をとっています。移住相談及び移住体験ツアーの参加者募集も市のページで案内されており、いきなり移り住むのではなく、まず体験してから決めるという道筋が用意されています。協力隊に応募する前の下見として使うこともできます。
協力隊の窓口と移住相談の窓口が同じ課にあるというのは、応募を考える側には利点です。任期後にどう住み続けるかという話を、協力隊の相談と切り離さずにできます。奨学金の返還支援や空き家バンクは、任期後の定住を考えるときに直接効いてくる制度です。
問い合わせ先
石垣市 企画部ふるさと創生課(電話0980-87-9000)が窓口です。市のページにはメールフォームによる問い合わせも用意されています。
なお過去の募集要項に記載されていた提出先は企画部企画政策課 地域創生係(電話0980-82-1350)でした。組織が変わっているため、古い資料の連絡先をそのまま使わないでください。 現在の窓口はふるさと創生課です。
石垣市には移住・定住に関する複数の窓口があり、市のページには健康福祉センター(電話0980-88-0089)、子育て支援課(電話0980-82-1704)の番号も、支援制度ごとに掲載されています。
募集の内容と金額は年度ごとに改定されます。本記事は市が公開している制度説明と活動実績、および令和元年度の募集要項によるものです。応募の前に市の最新の募集情報を確かめてください。
よくある質問
Q.石垣市の地域おこし協力隊は何人いますか。
A.総務省の令和7年度の公表では2人です。前年の令和6年度は4人で、1年で半分になりました。
Q.これまでどんな活動がありましたか。
A.市が公開している平成28年度からの実績には、ふるさと納税プロモーション活動、北部地域振興に関する活動、農林水産業に関する広報活動、観光産業に関する広報活動(石垣市観光交流協会勤務)が挙げられています。
Q.報酬はいくらですか。
A.令和元年度の公営塾スタッフの募集要項では日額9,500円に勤務従事日数を乗じた額(社会保険料等を含む)、期末手当が年2回(各日給10日分)でした。年度が古いため現在の条件は市の最新の募集で確認してください。
Q.引っ越しや下見の費用の支援はありますか。
A.令和元年度の募集要項では、着任前の準備に係る交通費及び宿泊費を負担する準備手当と、引越費用等を負担する着任手当の両方が設けられていました。
Q.問い合わせ先はどこですか。
A.石垣市企画部ふるさと創生課(電話0980-87-9000)です。過去の募集要項にある企画政策課地域創生係は組織が変わっているため、現在の窓口はふるさと創生課です。
Q.移住の相談も同じ窓口でできますか。
A.できます。ふるさと創生課は空き家バンク、Uターン移住支援金、奨学金返還支援補助金、移住体験ツアーなどの移住・定住支援もあわせて担当しています。
参考にした公式ページ
- 石垣市地域おこし協力隊/石垣市
- 地域おこし協力隊とは/石垣市
- 移住・定住支援(空き家バンク・Uターン移住支援金・奨学金返還支援補助金等)/石垣市
- 石垣市地域おこし協力隊員募集要項(令和元年度・公営塾スタッフ)
- 令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について(総務省)
- 令和6年度 地域おこし協力隊の隊員数等について(総務省)
情報は変わることがあります。最新の内容は各公式ページでご確認ください。