渡名喜村の地域おこし協力隊|給料の決まり方と住居・引っ越し費用
渡名喜村の地域おこし協力隊について、漁業協同組合の給与規定による給料の決まり方と、住居や引っ越し費用の支援をまとめます。
渡名喜村の人口は291人です。その村が地域おこし協力隊を4人受け入れています。住居は村が用意し、家賃も敷金・礼金も活動費から出ます。面接に行く交通費まで助成があります。村が公開している資料をもとにまとめます。
人口291人の村に4人
総務省が令和8年4月24日に公表した「令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について」によると、渡名喜村の隊員数は4人です。前年の令和6年度は2人でしたから、1年で2倍になりました。
村のサイトが掲載している人口は、令和6年12月末現在で291人(男性176人、女性115人、世帯数204戸)です。村民およそ73人に1人が協力隊員という計算になります。沖縄県全体では県民に対する隊員の割合はごくわずかですから、渡名喜村の受入密度は突出しています。
渡名喜村は渡名喜島と出砂島の2島から構成されています。渡名喜島は沖縄本島那覇市の北西海上約58キロメートルに位置し、北に粟国島、南東に慶良間諸島、西に久米島を望む、これらの島々のほぼ中央にあります。
島の大きさは周囲12.5キロメートル、面積3.87平方キロメートルです。交通手段は那覇市の泊港から1日1便、久米島行きのフェリーが渡名喜島を経由するのみと募集要項に書かれています。空港はありません。
村は平成9年に渡名喜島と周辺海域が県立自然公園に指定され、平成12年には集落全体が国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。赤瓦やふくぎ並木などの伝統的な村並みが残ります。
募集の背景は水産業の維持
村が募集要項に書いている理由は率直です。全国的に急激な過疎化、人口減少が進むなか、渡名喜村でも少子高齢化と人口減少に伴い、漁業の担い手や水産業が維持困難な状況にある。そこで意欲のある地域外の人材を受け入れ、新たな視点・発想により第一次・第二次産業を活性化し、水産業の振興に寄与する協力隊を募集する、という組み立てです。
業務は水産業の振興に絞られています。
- 渡名喜村近海で獲れた魚介類を活用した新商品の開発及び販売支援活動
- 新たな水産業(海・陸上養殖など)の企画、運営
- その他、水産業の振興に必要となる業務支援
勤務地は渡名喜村漁業協同組合です。募集人数は1名。勤務は原則週5日間(シフト制)、1日7時間・週35時間が原則です。
任用形態の記載が2つに分かれています
ここは応募前に必ず確認したい点です。村の公式サイトの同じ募集について、お知らせページの本文と別添の募集要項で任用形態の書き方が違います。
- お知らせページの本文 … 「地域おこし協力隊として、村長が委嘱し、役場の会計年度任用職員として雇用します」
- 別添の募集要項(令和8年度・水産業振興) … 「地域おこし協力隊として、村長が委嘱し、渡名喜村漁業協同組合の職員として雇用、勤務となります」
提出書類も食い違います。ページ本文は「会計年度任用職員申込書(地域おこし協力隊)」、要項は「履歴書(市販のもの、写真添付)」です。
給料はどちらも190,000円〜(渡名喜村漁業協同組合給与規定による)で共通しています。給与規定が漁協のものだという点は両方に書かれているため、実務上は漁協で働くことが前提と読めます。
ページ本文には「その他 選考方法など募集についての詳細は、別添要綱をご確認下さい」と書かれており、要項が詳細版という位置づけです。ただし雇用主が役場なのか漁協なのかは、社会保険の加入先や任期後の扱いに直結します。応募の前に村の総務課へ確認するのが確実です。
募集分野は年度で変わります
渡名喜村の協力隊は水産業だけではありません。令和7年度の随時募集では、まちづくり推進業務と石油販売所業務の2つの募集要項が村のページに掲載されていました。
まちづくり推進業務の活動内容には次のようなものが挙げられています。
- 伝建地区の課題及びニーズの解決に向けた活動
- 地域住民やまちづくり団体と連携した活動
- 社会教育関連の情報発信・普及啓発活動
- 地域の活性化に関する活動
「伝建地区」は、平成12年に集落全体が選定された国の重要伝統的建造物群保存地区を指します。赤瓦とふくぎ並木の村並みをどう維持し活かすかが、そのまま協力隊の仕事になっています。
石油販売所業務という枠があるのも、離島ならではです。島で燃料をどう供給し続けるかは生活基盤に直結します。
待遇の書き方も年度で少し違います。令和7年度の募集では「住居は家賃無償(村負担)で提供します。光熱水費は自己負担」、活動用の車は必要に応じ貸し出し可能(業務外での使用はできません)、活動費に認められる経費については村が負担とされていました。令和8年度の水産業振興の募集では、活動費を負担するのが漁業組合になっています。
受入先が村なのか漁協なのかで、活動費の出どころも変わるということです。応募する枠がどちらなのかを確かめてください。
住居の負担が県内で最も軽い
待遇・福利厚生は次のとおりです。
- 住居は村が提供し、住居費は活動費から全額負担されます(敷金・礼金も含む)。ただし光熱水費は自己負担です
- 引っ越し費用の助成あり(上限10万円)
- 活動用の車両等については、必要に応じ貸し出し可能
- 活動費に認められる経費については漁業組合が負担します
- 社会保険等への加入
活動費として認められる経費の例も挙げられています。住居・活動用車両の借上費、活動旅費等移動に要する経費、作業道具・消耗品等に要する経費、研修に要する経費、外部アドバイザーの委託に要する経費、定住に向けて必要となる環境整備に要する経費です。
敷金・礼金まで含めて住居費が全額負担されるのは、沖縄県内では渡名喜村だけです。久米島町は礼金・保証金を町が持つ一方で敷金は入居者負担、伊平屋村は村営住宅に入るが家賃あり、国頭村は家賃の一部補助でした。渡名喜村の設計は毎月の固定費がほぼ光熱水費だけになるもので、月額19万円という給料を実質でどう見るかが変わってきます。
外部アドバイザーの委託費が活動費に含まれているのも見逃せません。新商品開発や陸上養殖の企画を一人で抱え込まず、専門家を呼べる建て付けになっています。人口291人の村で新しい事業を立ち上げるとなれば、島の中だけで人材をそろえるのは難しくなります。外の専門家を活動費で呼べることは、実務上の意味が小さくありません。
面接の交通費も助成されます
選考は次の流れです。
- 第一次選考(書類選考) … 選考結果は応募者全員に文書により通知
- 第二次選考(面接) … 第一次選考通過者を対象に、渡名喜村役場にて面接試験の実施を予定。ウェブ面接も可能
そのうえで、面接会場までの交通費の助成あり(上限5万円、領収書提出)と明記されています。
泊港から1日1便のフェリーしか交通手段がない島ですから、面接のために島へ渡るとなれば往復と宿泊で相応の額になります。採用が決まる前の段階の交通費を村が持つというのは、応募のハードルを実際に下げる措置です。同じ沖縄県では与那国町が最終選考の航空運賃と町内宿泊費を負担しており、離島の自治体がとる工夫として共通しています。
なお不採用理由についての問い合わせには答えられないとされています。
応募の条件
募集対象は次のとおりです。
- 現在、三大都市圏をはじめとする都市地域等に居住し、採用決定後、生活の拠点を渡名喜村に移し、住民票を異動できる方
- 普通運転免許保持者(実際に運転できる方)
- 基本的なパソコン操作(表計算、文書作成、プレゼンテーション作成等)ができる方
- 心身ともに健康で、誠実に業務を行うことができる方
- 渡名喜村の生活習慣を尊重し、地域住民とともに活動ができる方
- 日本国籍を有し、地方公務員法の欠格条項に当たらない方
注意が必要なのは住民票の条件です。「委嘱を受ける前に、既に沖縄県内に住民票がある方は対象外です」と書かれています。那覇市など県内に住んでいる人は、たとえ都市部からの移住希望者であっても応募できません。県内在住者を除く自治体は多いのですが、渡名喜村は要項に明示しています。
免許の条件が「実際に運転できる方」と補足されているのも、島の生活を考えれば実務的な但し書きです。
提出書類は履歴書(市販のもの、写真添付)、「地域おこし協力隊に応募した動機と採用後の活動について」のレポート(2,000文字程度)、住民票抄本の写し(本籍及び続柄省略可)の3点です。2,000文字のレポートは準備に時間がかかるので、関心があるなら早めに書き始めておくのが安全です。
問い合わせ先
窓口が2つに分かれています。
- 応募・地域おこし協力隊について … 渡名喜村役場 総務課(〒901-3692 沖縄県島尻郡渡名喜村1917番地の3、電話098-989-2002)
- 活動内容について … 渡名喜村漁業協同組合(沖縄県島尻郡渡名喜村1997番地、電話098-989-2427)
手続きは役場、仕事の中身は漁協という分担です。任用形態の記載が分かれている件も含めて、応募の前に総務課へ問い合わせておくとよいでしょう。
募集の内容と金額は年度ごとに改定されます。本記事は令和8年度の募集要項とお知らせページによるものです。応募の前に最新の情報を確かめてください。
よくある質問
Q.渡名喜村の地域おこし協力隊は何人いますか。
A.総務省の令和7年度の公表では4人です。前年の令和6年度は2人でした。村の人口は令和6年12月末現在で291人です。
Q.給料はいくらですか。
A.190,000円からで、渡名喜村漁業協同組合の給与規定によるとされています。
Q.住居の費用はどうなりますか。
A.住居は村が提供し、住居費は敷金・礼金も含めて活動費から全額負担されます。ただし光熱水費は自己負担です。引っ越し費用にも上限10万円の助成があります。
Q.面接に行く交通費は自己負担ですか。
A.面接会場までの交通費に上限5万円の助成があります(領収書の提出が必要)。ウェブ面接も可能とされています。
Q.沖縄本島に住んでいる場合も応募できますか。
A.できません。委嘱を受ける前にすでに沖縄県内に住民票がある方は対象外と募集要項に明記されています。
Q.雇用主は役場ですか、漁協ですか。
A.村のお知らせページの本文は「役場の会計年度任用職員として雇用」、別添の募集要項は「渡名喜村漁業協同組合の職員として雇用、勤務」と記載が分かれています。社会保険の加入先に関わるため、応募前に村の総務課へ確認してください。
参考にした公式ページ
- 【募集】令和8年度渡名喜村地域おこし協力隊募集について(水産業振興)|渡名喜村役場
- 令和8年度渡名喜村地域おこし協力隊募集要項(水産業の振興に関する業務)
- 【随時募集】令和7年度 渡名喜村地域おこし協力隊の募集について|渡名喜村役場
- 令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について(総務省)
- 令和6年度 地域おこし協力隊の隊員数等について(総務省)
情報は変わることがあります。最新の内容は各公式ページでご確認ください。