南城市の地域おこし協力隊|DMOでの活動と委嘱の仕組み
南城市の地域おこし協力隊について、観光地域づくり法人での活動内容と、市が委嘱する仕組みをまとめます。
南城市の地域おこし協力隊は、市の職員でも委嘱だけの立場でもありません。市が新しくつくった観光地域づくり法人の社員として働きます。報酬の水準も沖縄県内では群を抜いています。市とその法人が公開している情報をもとにまとめます。
令和7年度から受入を始めました
総務省が令和8年4月24日に公表した「令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について」によると、南城市の隊員数は4人です。
注目したいのは前年との比較です。令和6年度の総務省の表に南城市は載っていません。つまり令和7年度から新たに受入を始めた自治体です。同じ年に受入を始めたのはうるま市(3人)と東村(3人)で、県内で3団体だけでした。
沖縄県で協力隊を受け入れている19団体のうち市は4つだけです。内訳は南城市4人、うるま市3人、石垣市2人、宮古島市1人で、市部を合計しても10人にとどまります。県全体89人に対して市部は約11%という割合です。そのなかで南城市の4人は市部で最多になります。離島と村に偏りがちな沖縄県の協力隊のなかで、本島南部の市が新しく入ってきたという位置づけです。
南城市は沖縄本島南部に位置し、平成18年に佐敷町・知念村・玉城村・大里村が合併してできた市です。市域には久高島も含まれます。市の広報は久高島を特集で取り上げており、本島側と島しょ部の両方を抱えている点はうるま市と共通します。
受入先は市がつくったDMOです
南城市の協力隊はDMOなんじょう株式会社で活動します。DMOは観光地域づくり法人のことで、地域の観光をまとめて動かす組織を指します。
市の広報の特集によれば、この組織は南城市と市内で活動している企業が出資して設立される「株式会社」です。市は「民間ならではの効率的な運営や迅速な意思決定と、公共が持つ公平性を併せ持つことで、民間だけ、あるいは公共だけでは成し得なかった事業を力強く執行していきます」と説明しています。
つくり方も丁寧です。令和6年度から勉強会やワークショップ、講演会を重ね、市民や関係者との合意形成を積み上げてきたとされています。市民ワークショップや講演会、勉強会を通じて「観光を手段として地域の課題を解決する」というDMOの意義を共有し、参加者から多くの理解を得ることができた、というのが市の説明です。
組織の役割として挙げられているのは次のようなものです。
- 「南城経済新聞」を基盤とした情報発信
- 多様な関係者が連携するための仕組みづくり
- 組織が自立して活動し続けるための収益モデルの構築
- 「スルーガイド」の育成
- 「おたすけツーリズム」の開発
市はこれらを「地域課題を新たな収益へつなげ、市民の皆さまに還元する仕組みづくり」と表現し、DMOを「稼ぐ力」を最大化する司令塔と位置づけています。
委嘱状は市が交付します
令和7年度の隊員については、市が委嘱状交付式の様子を公開しています。
「令和7年度 南城市地域おこし協力隊 委嘱状交付式」が執り行われ、新たに協力隊として着任したのは千葉県出身の方です。大城竜男副市長から委嘱状を手渡され、南城市の観光と地域活性化の要となるDMOなんじょう株式会社の職員として活動します。
主なミッションとして市が挙げているのは次の2つです。
- 新たなデジタル技術を活用した「持続可能な南城ファンコミュニティ」の構築
- 多様な関係者との連携による観光コンテンツの開発
これにより南城市の「関係交流人口」の拡大を目指す、とされています。
委嘱するのは市、雇うのは株式会社という二段構えです。この形は「企業雇用型」と呼ばれ、市の職員として任用される会計年度任用職員型とも、委嘱だけで雇用関係のない委託型とも違います。
報酬は県内で群を抜いて高い
DMOなんじょう株式会社が公開しているプロジェクトリーダー(1名)の募集概要によれば、条件は次のとおりです。
- 雇用形態 … 「地域おこし協力隊」企業雇用型(DMOなんじょう株式会社との雇用契約、南城市からの委嘱)
- 活動期間 … 地域おこし協力隊の委嘱日から年度末まで(最大通算3年間)
- 報酬 … 月額253,800円から291,600円(経験・能力を考慮)
- 社会保険完備、家賃手当(上限あり)、通勤手当相当額支給、副業可(条件あり)
月額253,800円から291,600円という水準は、沖縄県内の協力隊では突出しています。 県内の他の自治体が公開している金額は、竹富町の介護福祉業務が218,580円から219,754円、伊平屋村が211,300円、与那国町が210,000円、久米島町が192,700円、渡名喜村が190,000円からです。下限で比べても南城市が3万円以上高く、上限では8万円ほどの差がつきます。
理由は雇用の形にあります。国の特別交付税措置では協力隊1人あたりの報償費等が350万円上限ですが、企業雇用型では受入企業が自社の給与体系で上乗せできます。市の会計年度任用職員の給料表に縛られない分、経験や能力を反映しやすくなります。
経験・能力を考慮という但し書きとプロジェクトリーダーという職名から、相応の実務経験を求める募集だと読めます。応募条件にも「地域との円滑なコミュニケーション能力」「普通自動車運転免許、基本的なパソコン操作」「任期終了後も地域にとどまる意思のある方」が挙げられています。
副業可(条件あり)が明記されている点も、県内では伊平屋村と南城市だけです。
「関係交流人口」を増やす仕事
市が隊員のミッションに挙げている「関係交流人口の拡大」は、観光の世界でよく使われる考え方です。定住する人口でも、一度きりの観光客でもなく、その地域に継続的に関わり続ける人を増やそうというものです。
南城市がこれを協力隊のミッションに据えているのは、DMOの役割と対応しています。市の説明では、DMOは「南城経済新聞」を基盤とした情報発信、多様な関係者が連携するための仕組みづくり、組織が自立して活動し続けるための収益モデルの構築を担い、「稼ぐ力」を最大化する司令塔として動きます。
具体例として市が挙げているのが「スルーガイド」の育成と「おたすけツーリズム」の開発です。市はこれらを「地域の課題を新たな収益へつなげ、市民の皆さまに還元する仕組みづくり」と説明しています。観光を目的にするのではなく、観光を手段として地域の課題を解決するというのが市の言葉です。
隊員に求められているのは、この考え方を具体的な事業に落とす仕事です。デジタル技術を使ったファンコミュニティの構築という個別のミッションも、その一部として置かれています。
市部で受入が始まった意味
沖縄県の地域おこし協力隊は離島と村に偏っています。令和7年度の受入19団体のうち、島だけで構成される自治体が8団体で37人、県全体の約42%を占めます。市は南城市、うるま市、石垣市、宮古島市の4つだけで合計10人です。
そのなかで令和7年度に南城市とうるま市が新たに受入を始めたのは、県内の傾向として見ておく価値があります。地域おこし協力隊は都市地域から条件不利地域へ移り住むことが前提の制度なので、那覇市や浦添市のような都市部は対象になりません。一方で南城市やうるま市のように、市域の中に条件の異なる地域を抱える市は対象になりえます。
南城市が選んだのは、市が直接隊員を抱えるのではなく、新しくつくった法人に受け入れてもらうという形でした。合意形成に令和6年度から時間をかけ、組織を立ち上げ、そこに人を入れるという順番です。受入を始める前に受け皿をつくったことになります。
応募の前に確かめること
ここで一つ注意があります。上に挙げた金額と条件は、DMOなんじょう株式会社が自社のページで公開している「募集概要(抜粋)」です。同社のページ自体が「詳細条件・応募資格は、公式募集要項をご確認ください」「応募方法や必要書類などの詳細は、南城市公式サイトの募集要項をご覧ください」と案内しています。
つまり正式な条件は南城市が出す募集要項にあり、抜粋との間に差がある可能性があります。応募を考えるなら、市の公募・募集のページで要項そのものを確認してください。
また南城市の協力隊はDMOの枠だけとは限りません。市は空き家の利活用や島の特産品の販路拡大に関する活動での募集も出しています。同じ「南城市地域おこし協力隊」でも、枠によって受入先も条件も変わります。
問い合わせ先
南城市役所の代表電話は098-917-5309です。協力隊の募集は市の「公募・募集」の新着情報に掲載されます。
市の組織は企画部の下に企画調整課、まちづくり推進課(電話098-917-5394)、観光商工課、交通政策課、DX推進課が置かれています。協力隊の担当は募集の枠によって変わりうるため、問い合わせる前に募集ページの担当課を確かめるのが確実です。
活動の中身についてはDMOなんじょう株式会社が自社のページで発信しています。市の広報の特集号でもDMOの設立の経緯と役割が読めるので、応募の前に両方に目を通しておくと、着任後の仕事の輪郭がつかみやすくなります。
募集の内容と金額は年度ごとに改定されます。本記事は市が公開している委嘱状交付の記録、広報の特集、およびDMOなんじょう株式会社の募集概要によるものです。応募の前に最新の要項で確かめてください。
よくある質問
Q.南城市の地域おこし協力隊は何人いますか。
A.総務省の令和7年度の公表では4人です。令和6年度の表に南城市は載っておらず、令和7年度から新たに受入を始めた自治体です。
Q.どこで働くのですか。
A.南城市と市内企業が出資して設立された観光地域づくり法人、DMOなんじょう株式会社です。市が委嘱状を交付し、同社の職員として活動します。
Q.報酬はいくらですか。
A.同社が公開しているプロジェクトリーダーの募集概要では月額253,800円から291,600円(経験・能力を考慮)です。沖縄県内の協力隊では群を抜いて高い水準です。ただし正式な条件は南城市公式サイトの募集要項によります。
Q.なぜ報酬が高いのですか。
A.企業雇用型で、受入企業が自社の給与体系で支給するためです。市の会計年度任用職員の給料表に縛られない分、経験や能力を反映しやすくなります。
Q.どんな活動をしますか。
A.令和7年度に着任した隊員は、デジタル技術を活用した「持続可能な南城ファンコミュニティ」の構築と、多様な関係者との連携による観光コンテンツの開発を主なミッションとしています。
Q.副業はできますか。
A.同社の募集概要には「副業可(条件あり)」と記載されています。条件の中身は募集要項で確認してください。