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沖縄への老後移住|生活費の内訳と、これから進む高齢化

6分で読めます執筆: TownHub編集部
移住那覇市

沖縄への老後移住を考えるために、費目別の物価水準から生活費の内訳を整理し、県内で今後進む高齢化と医療・介護の見通しをまとめます。

沖縄への老後移住を考えるとき、暖かさと生活費の安さが理由に挙がります。ところが公的統計を見ると、沖縄の物価は全国平均より高く、しかも高齢化はこれから全国より速く進みます。数字で整理します。

生活費の内訳は「食費が高く、家賃が安い」

総務省が令和7年6月27日に公表した「消費者物価地域差指数」(小売物価統計調査 構造編、2024年結果)で、沖縄県の費目別の指数は次のようになっています。全国平均が100です。

費目沖縄県47都道府県中の順位
総合100.29位
食料106.71位
光熱・水道105.016位
被服及び履物101.115位
保健医療99.524位
交通・通信97.645位
教養娯楽96.722位
家具・家事用品96.444位
住居94.018位
教育91.835位
諸雑費90.947位(最も低い)

老後の家計に効くのは、食料が全国1位に高く、住居と諸雑費が安いという組み合わせです。

年金生活では、支出に占める食費の割合が現役時代より上がります。その最も大きい費目が全国でいちばん高い県というのは、生活設計に直接響きます。総務省の資料でも、沖縄県が全国平均を上回っている要因として食料の寄与度が+2.14と最も大きく出ています。

一方で光熱・水道は105.0とこちらも高めです。冬の暖房は要りませんが、夏の冷房は長く使うことになります。

安いのは住居94.0諸雑費90.9です。諸雑費は理美容や身の回り用品などが含まれる分類で、指数90.9は47都道府県で最も低い水準です。

家賃が下がる分がどれだけ浮くか、食費と光熱費が上がる分がどれだけ増えるか。この差し引きを、自分の今の支出構成で試算しておくことをおすすめします。 支出に占める家賃の割合が高い人ほど有利に、食費の割合が高い人ほど不利に出ます。

車が要る前提で考える

老後移住で見落とされやすいのが移動です。

沖縄県内の地域おこし協力隊の募集要項は、久米島町・竹富町・渡名喜村・与那国町・国頭村・うるま市のいずれも普通自動車運転免許を応募要件にしています。渡名喜村は「運転免許証保持者(実際に運転出来る方)」と補足まで付けています。自治体が人を呼ぶ文書で例外なく免許を求めているという事実は、その土地で車なしの生活が想定されていないことを示しています。

物価指数では交通・通信が97.6と安いほうですが、これは公共交通が充実しているという意味ではありません。車の維持費、ガソリン代、駐車場代を家計に見込む必要があります。そして何歳まで運転を続けられるかは、老後移住では避けて通れない問いになります。

免許を返納した後にどう暮らすかを想定しておくなら、那覇市とその周辺のように、徒歩や公共交通で用事が足りる場所を選ぶという判断もあります。

気候|冬は暖かいが、台風と湿度がある

気象庁の那覇の平年値(1991年から2020年の30年平均)では、1月の平均気温は17.3℃、年平均気温は23.3℃です。冬の寒さがつらい人には、これだけで移る理由になります。 暖房費もほとんどかかりません。

一方で、年降水量は2,161.0ミリと多く、年平均風速は5.3m/sです。8月の平均気温は29.0℃で、湿度の高い状態が長く続きます。

台風も毎年来ます。沖縄気象台の統計では、沖縄県への台風接近数は2021年が7個、2023年が6個、2024年が8個、2025年が7個でした。接近のたびに交通が止まり、離島では船が欠航します。持病があって定期的な通院が必要な場合、この足止めをどう織り込むかは重要な検討事項です。

これから高齢化が急速に進みます

老後移住を考えるうえで、最も見落とされている論点がここです。

沖縄県が公表した資料によれば、沖縄県の65歳以上人口は令和2(2020)年の約33万人から、令和32(2050)年には約47万人に増加する見込みです。令和2年と比較した65歳以上人口の伸び率は、全国が1.08倍のところ、沖縄県は1.41倍です。

さらに踏み込んだ指摘もあります。75歳以上人口について、全国では令和12(2030)年頃をピークに増加が落ち着き一旦減少に転じるのに対し、沖縄県では引き続き増加し続けると見込まれています。85歳以上人口では、その傾向が特に顕著とされています。

沖縄県はこれまで全国より高齢化率が低い県でした。裏を返せば、これから高齢化が本格化する県だということです。医療や介護の需要は今後増え続けます。

今この時点で医療や介護が利用しやすいことが、20年後も続くとは限りません。 移住先を選ぶときは、現在の体制だけでなく、その地域が今後の需要増にどう備えているかも見ておくべきです。

離島を選ぶときの追加の検討

沖縄県は41市町村のうち多くが島です。離島を選ぶ場合、次の点が本島とは別に効いてきます。

  • 医療機関の数と診療科 … 専門的な治療は本島や本土への移動が必要になる場合があります
  • 交通の途絶 … 台風で船や飛行機が止まると、数日単位で足止めされます
  • 買い物 … 品ぞろえと価格が本島と異なります。食料の物価が全国1位という数字は、離島ではさらに重くなる方向です

たとえば渡名喜村は、村の募集要項によれば交通手段が那覇市の泊港から1日1便、久米島行きのフェリーが経由するのみです。与那国町は日本最西端で、本島まで飛行機になります。

旅行として訪れるのと、通院や介護が必要な状態で暮らすのとでは、条件がまったく違います。

移住支援金は使えるのか

沖縄県の移住支援金は、令和8年度は石垣市・国頭村・東村・本部町・伊江村の5市町村で実施されています(令和8年4月1日時点)。

ただし老後移住で使うにはハードルがあります。移住先の要件は就業・起業・テレワーク・関係人口のいずれかを満たすことで、就業要件は週20時間以上の無期雇用契約です。年金生活に入る前提だと、就業要件を満たさないことになります。

移住元の要件も、直近10年間で通算5年以上、東京23区内に在住または東京23区へ通勤していたことです。退職して数年が経っている場合、この期間の要件を満たすかを確認する必要があります。

制度の中身は沖縄県の移住支援金にまとめています。

住まいをどう探すか

住居の物価指数は94.0で全国平均を下回ります。家賃の負担は本土の都市部より軽くなりますが、老後移住では建物そのものの条件も見ておく必要があります。

沖縄の住宅は台風を前提につくられており、鉄筋コンクリート造が多く、窓に雨戸や面格子が付いた物件が一般的です。年に6個から8個の台風が接近する土地では、これは必要な仕様です。築年数の古い物件を安く借りる場合は、台風時にどうなるかを確かめてください。

市町村によっては空き家バンクを持っています。石垣市は企画部ふるさと創生課が空き家バンクを所管し、あわせてUターン移住支援金や奨学金返還支援補助金、移住相談、移住体験ツアーも同じ窓口で扱っています。移住相談と住まい探しが同じ課で完結するのは、遠方から動くときに手間が少なくなります。

平屋か、エレベーターのある建物か、といった点も、10年20年先を考えるなら最初に決めておく条件です。

お試しで住んでみる

老後移住でとくにおすすめしたいのが、決める前に一度住んでみることです。

見ておきたいのは次の3つの時期です。

  • 夏(7月から9月) … 8月の平均気温29.0℃と高い湿度、そして冷房代
  • 台風の接近時 … 交通の途絶と買い物の制約を実際に経験する
  • 冬(1月から2月) … 平均気温17.3℃の暖かさ。ここだけを見て決めないための対照として

石垣市のように移住体験ツアーを用意している市町村もあります。県も東京や大阪で移住相談会を開いており、県のページで告知されています。

旅行で訪れた印象と、生活として過ごした印象は別物です。とくに医療機関へのかかりやすさは、実際に体調を崩してみないと分かりません。

進め方

  1. 今の家計を費目別に分ける … 家賃、食費、光熱費の比率を出す。沖縄の指数(住居94.0、食料106.7、光熱・水道105.0)を掛けて、増減を試算する
  2. 夏と台風の季節に滞在してみる … 冬の暖かさだけで判断しない
  3. 通院先を確保できるか調べる … 持病があるなら最優先の条件です
  4. 何歳まで運転するかを決める … 免許返納後の生活が成り立つ場所かどうか
  5. 市町村の窓口に相談する … 制度も医療体制も市町村ごとに違います

移住全体の進め方は沖縄移住の始め方に、指摘されがちな点の検証は沖縄移住が「やめとけ」と言われる理由にまとめています。

相談窓口は沖縄県 企画部 地域・離島課(電話098-866-2370)です。

本記事の数字は、総務省・気象庁・沖縄県が公表している資料によるものです。統計は更新されますので、判断するときは最新の公表値を確かめてください。

よくある質問

Q.沖縄は生活費が安いのですか。

A.費目によって逆になります。総務省の消費者物価地域差指数(2024年)では総合が100.2で全国平均より高く、食料は106.7で全国1位、光熱・水道も105.0です。一方で住居は94.0、諸雑費は90.9で全国最下位です。

Q.老後移住で家計はどう変わりますか。

A.家賃の比率が高い人ほど有利に、食費の比率が高い人ほど不利に出ます。年金生活では支出に占める食費の割合が上がるため、食料の物価が全国1位という点は重く効きます。

Q.沖縄の冬は暖かいですか。

A.気象庁の那覇の平年値では1月の平均気温が17.3℃です。暖房費はほとんどかかりません。ただし年降水量は2,161.0ミリと多く、夏は冷房を長く使うことになります。

Q.沖縄の高齢化はこれからどうなりますか。

A.沖縄県の65歳以上人口は令和2年の約33万人から令和32年には約47万人へ増える見込みで、伸び率は全国の1.08倍に対し沖縄県は1.41倍です。75歳以上人口は全国が令和12年頃をピークに減少へ転じるのに対し、沖縄県では増え続けると見込まれています。

Q.車がなくても暮らせますか。

A.那覇市とその周辺を除けば難しいと考えてください。県内の地域おこし協力隊の募集要項は例外なく普通自動車運転免許を応募要件にしています。免許返納後の生活が成り立つ場所かどうかを、移住先選びの条件に入れてください。

Q.老後移住でも移住支援金は使えますか。

A.難しい場合が多くなります。移住先の要件は就業・起業・テレワーク・関係人口のいずれかで、就業要件は週20時間以上の無期雇用契約です。年金生活に入る前提では要件を満たさないことになります。

TownHub編集部

編集部

全国の地域情報を取材・編集しています。自治体の公開情報と現地取材をもとに、その街で暮らす人に役立つ情報をお届けします。

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