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沖縄移住が「やめとけ」と言われる理由|後悔・失敗を統計で確かめる

6分で読めます執筆: TownHub編集部
移住那覇市

沖縄移住に「やめとけ」「後悔した」と言われる理由を、賃金・物価・求人倍率・台風の公的統計で一つずつ確かめます。

沖縄移住を調べると「やめとけ」「後悔した」という言葉が必ず出てきます。書いているのはたいてい個人の体験談で、どこまでが一般的な話なのかが分かりません。よく言われる指摘を、公的な統計で一つずつ確かめます。

よく言われる5つの指摘

検索でよく見かける指摘は、おおむね次の5つに集約されます。

  1. 給料が安い
  2. 物価が高い(あるいは「安いはずなのに高い」)
  3. 仕事の選択肢が少ない
  4. 台風がきつい
  5. 車がないと生活できない

順に、数字を当てていきます。結論だけ先に書くと、5つとも統計で裏付けが取れます。 ただし裏付けの取れ方は同じではなく、沖縄が有利な点も同時に見えてきます。

1. 給料が安い|これは事実です

沖縄県の地域別最低賃金は時間額1,023円です(令和7年12月1日発効)。厚生労働省が公表した令和7年度の全国加重平均は1,121円ですから、98円下回ります

1日8時間で20日働いたとすると、この98円の差だけで月に1万5千円ほどになります。もちろん実際の賃金は最低賃金そのものではありませんが、その地域の賃金水準を示す目安にはなります。

雇用の需給も緩くはありません。沖縄県が公表した令和7年12月の雇用状況では、有効求人倍率(季節調整値)は1.08倍で、全国の1.19倍を下回ります。完全失業率は2.9%で全国の2.6%より高く、15〜29歳の若年者完全失業率は3.6%(全国3.0%)です。

ただし若年者失業率は改善しています。前年同月の4.8%から1.2ポイント低下しました。

2. 物価が高い|これも事実で、しかも食料は全国1位

「南国だから物価が安い」というのは、統計に照らすと誤りです。

総務省が令和7年6月27日に公表した「消費者物価地域差指数」(小売物価統計調査 構造編、2024年結果)で、沖縄県の総合指数は100.2でした。全国平均を100とした値ですから、沖縄県の物価は全国平均より高いということになります。47都道府県のうち9番目に高い位置です。

さらに費目別に見ると、はっきりした偏りがあります。

費目沖縄県順位
食料106.747都道府県中1位
光熱・水道105.016位
住居94.018位
諸雑費90.947位(最も低い)

食料の106.7は47都道府県で最も高い数字です。総務省の資料は全国平均との差に対する寄与度も示しており、沖縄県では食料が+2.14と最も大きくプラスに働いています。島であるため食料品の多くを本土から運んでおり、輸送費が価格に乗るためです。光熱・水道も105.0と高めです。

一方で住居は94.0諸雑費は90.9で全国最下位です。家賃は安く済みます。

つまり「物価が高い」は正確には「食費と光熱費が高い」であり、住居費はむしろ安いというのが実態です。家賃が浮いた分を食費で持っていかれるという言い方が近いでしょう。「家賃が安いから生活も安いはず」と考えて予算を組むと、食費の差で足が出ます。

3. 仕事の選択肢が少ない|産業の偏りが数字に出ます

沖縄県が公表した令和7年12月の雇用状況から、就業者数が前年同月比で増減した産業を見ると、産業の性格が読み取れます。

増えた産業

  • 卸売業、小売業 … 9千人
  • 宿泊業、飲食サービス業 … 7千人
  • 建設業 … 6千人
  • 金融業、保険業 … 6千人

減った産業

  • サービス業(他に分類されないもの)… 13千人
  • 生活関連サービス業、娯楽業 … 7千人
  • 学術研究、専門・技術サービス業 … 6千人

伸びているのは小売と宿泊・飲食、つまり観光と生活に密着した産業です。逆に学術研究、専門・技術サービス業が6千人減っている点は、専門職や技術職での転職を考えている人には気になる数字でしょう。

新規求人数は9,679人で、前月の10,562人から883人減少しています。求人の絶対数がそれほど多いわけではないことも押さえておくべきです。

4. 台風がきつい|年に6個から8個が接近します

沖縄気象台の統計によれば、台風の中心が那覇・名護・久米島・宮古島・石垣島・西表島・与那国島・南大東島のいずれかの気象官署等から300キロメートル以内に入った数は次のとおりです。

沖縄県への接近数
2021年7個
2023年6個
2024年8個
2025年7個

毎年6個から8個という頻度です。接近のたびに交通が止まり、店が閉まり、離島では船が欠航します。本土から物を運んでいる県ですから、流通が止まると店の棚から物が消えます

風の強さも日常的です。気象庁の那覇の平年値では年平均風速5.3m/sです。年降水量も2,161.0ミリと多い部類にあたります。

もっとも、これは裏返せば建物が台風を前提につくられているということでもあります。鉄筋コンクリート造が多く、窓に雨戸や面格子が付いた物件が一般的です。

5. 車がないと生活できない|募集要項が物語っています

これを示す分かりやすい材料があります。沖縄県内の地域おこし協力隊の募集要項です。

久米島町、竹富町、渡名喜村、与那国町、国頭村、うるま市。当サイトで確認した県内の募集要項・設置要綱は、いずれも普通自動車運転免許の保有を応募要件にしています。渡名喜村は「運転免許証保持者(実際に運転出来る方)」と、ペーパードライバーを念頭に置いた補足まで付けています。

自治体が人を呼ぶ側の文書で例外なく免許を求めているというのは、その土地で車なしの生活が想定されていないということです。

物価指数では交通・通信が97.6で47都道府県中45位と安いほうですが、これは公共交通が安いという意味ではありません。車の維持費、ガソリン代、駐車場代を家計に見込んでおく必要があります。

「後悔した」の中身を分解する

「後悔した」という言葉で語られている中身は、突き詰めると次の3つのどれかに当てはまります。

1つ目は、収入の見込み違いです。 移住前の年収を基準に生活を組んだところ、現地の賃金水準がそれを下回った、という型です。最低賃金の差98円、有効求人倍率1.08倍という数字は、この見込み違いが起きやすいことを示しています。移住前に仕事を決めておけば、この型の後悔はほぼ避けられます。

2つ目は、生活費の見込み違いです。 「家賃が安いから生活費も下がる」と考えて予算を組み、食費で足が出る型です。住居94.0と食料106.7という数字の非対称が、そのまま家計に出ます。家賃で浮く額と食費で増える額を、移る前に自分の支出構成で試算しておく必要があります。

3つ目は、生活の手間の見込み違いです。 台風で年に何度も予定が飛ぶ、車がないと動けない、離島なら船の欠航で物が届かない。旅行では気にならなかったことが、生活になると毎回かかってくる手間になります。

いずれも「沖縄が悪い」のではなく「事前の想定と違った」という話です。数字を先に見ておけば、想定の側を直せます。

逆に、沖縄が有利な点

「やめとけ」を確かめる作業をすると、有利な点も同時に見えます。

冬の暖房費がかからない

気象庁の那覇の平年値では1月の平均気温が17.3℃、年平均気温は23.3℃です。冬の光熱費と防寒の負担は、本州の多くの地域より軽くなります(ただし夏の冷房と、光熱・水道の指数105.0は考慮が必要です)。

住居費が安い

住居の物価指数は94.0で全国平均を下回ります。同じ家賃でより広い部屋に住める可能性があります。

諸雑費が全国で最も安い

諸雑費の指数90.9は47都道府県で最下位、つまり最も安い水準です。

若年者の失業率は改善している

15〜29歳の完全失業率は前年同月の4.8%から3.6%へ1.2ポイント低下しました。

誰なら向くのか

統計から読み取れる範囲で整理すると、次のようになります。

向きやすい人

  • 移住前に仕事が決まっている人。有効求人倍率1.08倍は、現地で探し始めれば何とかなる水準ではありません
  • 収入が土地に左右されない人。県外の仕事を持ち込める働き方であれば、賃金水準の差を受けません
  • 家賃の安さが効く人。住居94.0という数字は、可処分所得の使い道を変えます
  • 寒さがつらい人。1月の平均気温17.3℃は、これだけで移る理由になりえます

慎重に考えたほうがよい人

  • 現地で専門職の求人を探す前提の人。学術研究、専門・技術サービス業は就業者が前年同月比で6千人減っています
  • 食費を切り詰めて生活費を下げようと考えている人。食料の物価は全国1位です
  • 車に乗らない前提の人
  • 台風で交通や物流が止まることを織り込めない人

「やめとけ」という言葉自体は、誰にとっても正しいわけではありません。確かめるべきなのは「沖縄がどうか」ではなく「自分の家計と仕事が、この数字の下で回るか」です。

具体的な進め方は沖縄移住の始め方に、仕事の探し方は沖縄移住の仕事の探し方にまとめています。

本記事の数字は、総務省・厚生労働省・気象庁・沖縄県が公表している資料によるものです。時点を本文に記していますので、実際に判断するときは最新の公表値で確かめてください。

よくある質問

Q.沖縄移住はやめたほうがいいのですか。

A.統計で確かめると、賃金の低さ、食料品の物価の高さ、求人倍率の低さ、台風の頻度、車の必要性はいずれも裏付けが取れます。一方で住居費の安さ、冬の暖かさ、諸雑費の安さという有利な点もあります。判断は自分の仕事と家計が回るかどうかで決まります。

Q.沖縄の給料は本当に安いのですか。

A.沖縄県の地域別最低賃金は時間額1,023円(令和7年12月1日発効)で、令和7年度の全国加重平均1,121円を98円下回ります。有効求人倍率も1.08倍で全国の1.19倍を下回ります。

Q.沖縄は物価が安いと聞きましたが本当ですか。

A.総務省の消費者物価地域差指数(2024年)では沖縄県の総合は100.2で、全国平均より高く47都道府県中9位です。とくに食料は106.7で全国1位です。安いのは住居94.0と諸雑費90.9(全国最下位)です。

Q.台風はどれくらい来ますか。

A.沖縄気象台の統計では、沖縄県への台風接近数は2021年が7個、2023年が6個、2024年が8個、2025年が7個でした。接近のたびに交通が止まり、離島では船が欠航します。

Q.車がなくても暮らせますか。

A.那覇市中心部を除けば難しいと考えてください。県内の地域おこし協力隊の募集要項は、久米島町・竹富町・渡名喜村・与那国町・国頭村・うるま市のいずれも普通自動車運転免許を応募要件にしています。

Q.どんな人なら沖縄移住が向いていますか。

A.移住前に仕事が決まっている人、収入が土地に左右されない働き方の人、家賃の安さが効く人、寒さがつらい人です。逆に現地で専門職の求人を探す前提の人や、食費で生活費を下げようと考えている人は慎重に考えたほうがよい数字が出ています。

TownHub編集部

編集部

全国の地域情報を取材・編集しています。自治体の公開情報と現地取材をもとに、その街で暮らす人に役立つ情報をお届けします。

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