石垣島移住が「やめとけ」と言われる理由|市の転出者調査で確かめる
石垣島移住に「やめとけ」「闇」と言われる理由を、石垣市が公表した転出者アンケートと毎月の人口移動表で一つずつ確かめます。
石垣島の移住を調べると「やめとけ」「闇」「移住者トラブル」といった言葉が並びます。多くは個人の体験談で、確かめようがありません。ところが石垣市は、島から出ていく人に転出の理由を直接聞いた調査を令和8年5月に公表しています。毎月の人口移動表と合わせて読むと、言われていることのどこに裏付けがあり、どこに無いのかが分かります。
石垣市は転出者に理由を聞いている
石垣市が公表した「石垣市転出者アンケート調査報告書」の概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 石垣市に転出届を提出した人 |
| 期間 | 令和7年3月3日から令和8年3月31日 |
| 方法 | 市民課窓口に用紙と回収箱を設置、オンライン回答 |
| 有効回答数 | 78件 |
| 公表 | 令和8年5月 |
回答者は30代29%、40代26%、50代22%、20代18%で、20代から50代の現役世代が9割以上を占めます。家族構成は一人世帯が42%と最多、住まいは賃貸住宅51%・寮や社宅22%でした。石垣市での居住期間は3年以上5年未満23%、2年以上3年未満22%、5年以上10年未満18%と、中短期の居住者が中心です。
有効回答78件は多い数ではありません。ただし、これは市が転出者本人に聞いた唯一の公的な資料です。
出ていく理由の1位は「転勤・異動」
転出のきっかけ(複数選択可)は次のとおりでした。
| 転出のきっかけ | 割合 |
|---|---|
| 転勤・異動 | 37% |
| 転職・離職・退職 | 22% |
| 仕事が少ない・収入が低い | 19% |
| 生活コスト(物価)が高い | 14% |
| 家族等の都合 | 12% |
| 住宅条件(広さ・家賃・価格)が良くない | 12% |
| 自分や家族の病気治療や親の介護のため | 10% |
| 娯楽が少ない | 10% |
| 病院等の医療体制が不安 | 10% |
| 就職 | 8% |
| 交通が不便 | 6% |
| 介護・福祉サービスが不十分 | 6% |
| 災害・治安への不安 | 6% |
| 移住者への支援が不十分 | 5% |
| 買物など利便性が良くない | 5% |
| 風習・習慣に馴染めない | 4% |
| 子育て・教育環境が不十分 | 4% |
| 気候等の環境が合わない | 3% |
| ご近所や地域とのつながりがない | 1% |
1位は転勤・異動の37%です。 これは移住の失敗ですらありません。石垣島は八重山圏域の行政拠点で、公務員・教職員・企業の転勤者が数多く赴任し、任期が終われば出ていきます。転出者の職業は会社員32%、公務員26%でした。転出先も「沖縄県内の他市町村」が46%と最も多く、関東17%、近畿15%と続きます。
石垣島から出ていく人の相当数は、そもそも移住者ではなく異動で来ていた人だということです。この構造を知らずに転出者数だけを見ると、「移住しても続かない島」という印象になります。
「闇」「移住者トラブル」は数字に出ていない
検索で「石垣島 移住 闇」「移住者 トラブル」といった語が並ぶことから、地元との人間関係の摩擦が主な問題だと考える人が多いようです。市の調査はそう示していません。
- 転出のきっかけとして「ご近所や地域とのつながりがない」を挙げた人は1%
- 「風習・習慣に馴染めない」は4%
- 改善が必要なこととして「地域のきずなの向上」を挙げた人は0%
自由記述には「住民マナーや人間関係への厳しい意見」「男女役割意識への不満」も寄せられており、摩擦がまったく無いわけではありません。同時に「地域文化や伝統交流への高評価」も記録されています。
言えるのは、転出という行動につながった理由としては、人間関係は上位に来ていないということです。「闇」という言葉が示唆するほどの重みは、少なくとも市の調査には表れていません。
何が本当に問題か|生活コスト・住まい・医療
同じ調査で「石垣市について改善が必要なこと」を聞いた結果は、はっきりしています。
| 改善が必要なこと | 割合 |
|---|---|
| 生活コスト(物価高)対策 | 45% |
| 住宅条件(広さ・家賃・住宅価格) | 26% |
| オーバーツーリズム対策 | 22% |
| 病院等の医療体制の充実 | 19% |
| 日常の買い物などの利便性向上 | 15% |
| 交通(市内移動)の利便性 | 15% |
| 仕事の機会、収入、安定性の向上 | 14% |
| 住居不足の解消(住居整備等) | 14% |
| 公共施設の充実 | 13% |
| 自然環境の保全 | 10% |
| 娯楽・イベントの創出 | 10% |
| マナーの向上 | 10% |
1位は生活コスト(物価高)の45%です。 住宅条件26%と住居不足14%を合わせると40%になり、住まいが実質2位です。医療が19%で続きます。
生活コストには裏付けがあります。総務省の消費者物価地域差指数(2024年結果)で沖縄県の総合は100.2と全国平均より高く、食料は106.7で47都道府県中1位でした。八重山は沖縄本島からさらに約410キロメートル離れており、輸送距離はより長くなります。
住まいも同様です。沖縄県の住宅地の地価は令和7年まで12年連続で上昇しており、令和7年の平均変動率は5.7%でした。自由記述には「家賃が高く、住宅確保が困難」「市営住宅整備を求める」という声が並びます。
自由記述で目立つもう一つの論点がオーバーツーリズムです。クルーズ船寄港時の混雑と交通問題、ごみ問題、観光客増加による生活環境の悪化が挙げられました。同時に「過度な開発への懸念」「高層マンション・リゾート開発への不安」「石垣らしさを残してほしい」という意見も記録されています。
つまり「やめとけ」の中身を分解すると、人間関係ではなく、生活費・住まい・医療・観光と生活の折り合いに集中します。
出ていく人の数|12か月で3,976人
数の規模も確かめておきます。石垣市が毎月公表している住民基本台帳人口移動詳細表を、令和7年8月から令和8年7月まで12か月分合計すると次のようになります。
| 区分 | 12か月の合計 |
|---|---|
| 転入 | 3,729人 |
| 転出 | 3,976人 |
| 社会増減 | △247人 |
| 出生 | 338人 |
| 死亡 | 482人 |
| 自然増減 | △144人 |
| 合計 | △391人 |
年におよそ4,000人が出ていきます。同時におよそ3,700人が入ってきます。「誰も来ない島」ではなく「大量に来て、それ以上に出ていく島」です。
動きは年度末に集中します。令和8年3月だけで転出1,425人(うち県内803人)、翌4月は転入895人(うち県内507人)でした。人事異動の規模がそのまま数字に出ています。
一方、令和7年国勢調査の速報では石垣市の人口は5年間で98人(0.2%)増えています。住民基本台帳が住民票の異動を数えるのに対し、国勢調査は実際に住んでいる人を数えるためです。日本人が前年同月比580人減、外国人が189人増という内訳も、単純な減少ではないことを示しています。
それでも77%が「また住みたい」と答えている
見落とされやすい結果があります。
石垣市を出ていく人に「また石垣市に住みたいと思いますか」と聞いた結果、「住みたい」と「条件が整えば住みたい」を合わせて77%が前向きに答えました。「住みたくない」は14%です。
転出理由で「就職」「進学」を挙げた人に限った設問でも、「帰ってきたい」31%、「仕事があれば帰ってきたい」25%と、5割以上がUターンに肯定的でした。条件の良い仕事があれば石垣市での就職を「希望する」50%、「検討する」44%です。
自由記述には「大変住みよい場所でした」「石垣市での生活はとても楽しかった」「異動で転出するのがもったいない」「とても好きな場所でした必ず帰ってきたい」といった声が記録されています。
出ていく人の大半が「また住みたい」と答える島を、「やめとけ」の一語で片づけるのは正確ではありません。
誰なら向くのか
市の調査から読み取れる範囲で整理します。
向きやすい人
- 収入が土地に左右されない働き方の人。転出理由の上位は仕事と収入に集中している
- 住まいを決めてから移れる人。住宅条件と住居不足で合わせて40%が改善を求めている
- 食費が上がることを織り込める人。沖縄県の食料の物価指数は全国1位
- 医療の選択肢が限られることを受け入れられる人。医療体制の不安は転出理由10%、改善要望19%
- 資格職の人。看護師・保育士・医療介護の有資格者には市の支援がある
慎重に考えたほうがよい人
- 移住支援金をあてにしている人。石垣市の移住支援金は石垣市出身者限定
- 現地で正社員の仕事を探す前提の人。沖縄県の正社員有効求人倍率は0.75倍
- 観光地としての静けさを期待する人。オーバーツーリズム対策は改善要望の22%
- 持病があり定期的な専門治療が必要な人
「やめとけ」という言葉は、誰にでも当てはまるものではありません。確かめるべきなのは島の評判ではなく、自分の仕事・住まい・医療が、この条件の下で成り立つかです。
石垣島の支援制度と相談窓口は石垣島に移住するに、沖縄県全体の統計は沖縄移住が「やめとけ」と言われる理由に、他の島との比較は沖縄の島の移住を比べるにまとめています。
本記事の数字は、石垣市・沖縄県・総務省が公表している資料によります。時点を本文に記していますので、判断するときは最新の公表値で確かめてください。
よくある質問
Q.石垣島の移住はやめたほうがいいのですか。
A.石垣市が転出者に聞いた調査では、改善が必要なこととして生活コスト(物価高)45%、住宅条件26%、オーバーツーリズム対策22%、医療体制19%が挙がりました。一方で転出者の77%が「また住みたい」「条件が整えば住みたい」と答えています。条件次第という結果です。
Q.石垣島で移住者がトラブルになるという話は本当ですか。
A.石垣市の転出者アンケートでは、転出のきっかけとして「ご近所や地域とのつながりがない」を挙げた人は1%、「風習・習慣に馴染めない」は4%でした。改善が必要なこととして「地域のきずなの向上」を挙げた人は0%です。転出という行動につながった理由としては上位に来ていません。
Q.石垣島から出ていく人が多いのはなぜですか。
A.転出のきっかけの1位は「転勤・異動」で37%でした。石垣島は八重山圏域の行政拠点で、公務員や教職員、企業の転勤者が赴任し任期が終われば出ていきます。転出者の職業は会社員32%、公務員26%で、転出先は沖縄県内の他市町村が46%と最多でした。
Q.石垣島から年間どれくらいの人が出ていきますか。
A.令和7年8月から令和8年7月までの12か月で、転出3,976人に対し転入3,729人でした。社会増減は△247人です。同じ期間に出生338人・死亡482人で、合計では391人の減少になります。
Q.石垣島の物価は高いですか。
A.総務省の消費者物価地域差指数(2024年)で沖縄県の総合は100.2と全国平均より高く、食料は106.7で47都道府県中1位です。八重山は沖縄本島からさらに約410キロメートル離れています。市の転出者調査でも改善要望の1位は生活コスト対策の45%でした。
Q.石垣島は家が見つかりますか。
A.石垣市空き家バンクがありますが、転出者調査では住宅条件(広さ・家賃・住宅価格)26%、住居不足の解消14%が改善要望に挙がり、合わせて40%になります。沖縄県の住宅地の地価は令和7年まで12年連続で上昇しています。
Q.石垣島の医療体制はどうですか。
A.市の転出者調査では、転出のきっかけとして「病院等の医療体制が不安」を挙げた人が10%、改善が必要なこととして「病院等の医療体制の充実」を挙げた人が19%でした。自由記述にも医療体制への不安が非常に多いと記されています。
参考にした公式ページ
- 石垣市転出者アンケート調査報告について|石垣市
- 石垣市転出者アンケート調査報告書|石垣市
- 石垣市の人口(住民基本台帳人口移動詳細表)|石垣市
- 令和8年7月末日人口(住民基本台帳人口移動詳細表)|石垣市
- 令和8年3月末日人口(住民基本台帳人口移動詳細表)|石垣市
- 移住・定住支援(空き家バンク・Uターン移住支援金・奨学金返還支援補助金等)|石垣市
- 令和7年国勢調査速報(要計表による市町村別人口・世帯数)|沖縄県
- 消費者物価地域差指数-小売物価統計調査(構造編)2024年(令和6年)結果(総務省統計局)
- 令和7年沖縄県地価調査結果の概要|沖縄県
- 「労働市場の動き」令和8(2026)年6月|厚生労働省沖縄労働局
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