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移住支援金とは|金額・条件・対象になる人をわかりやすく

9分で読めます執筆: TownHub編集部
移住支援金の制度の内容・対象者・申請方法を解説することを示した図。どんな支援金か、対象者は誰か、申請方法はどうかの3つを並べ、活用ガイドを手にした人が説明している

移住支援金の仕組みを、国の制度の原文をもとに解説します。いくら受け取れるのか、どこからどこへ移れば対象になるのか、返還が必要になる場合まで。

「移住支援金」は、東京23区に住んでいた人や23区へ通勤していた人が地方へ移り住むときに、都道府県と市町村が共同で支給するお金です。正式には地方創生移住支援事業といいます。内閣官房・内閣府および高知県・山形県・水戸市の公式情報をもとにまとめます。

国が枠組みを決め、都道府県と市町村が実施する

内閣府の案内は、この事業の性格を最初に書いています。

本事業は、地方公共団体が主体となって実施するものです。実施期間、支給額等の制度の詳細は地方公共団体により異なります。

国の制度ではあるものの、窓口も金額も自治体が持っている、ということです。お金の流れは次のようになっています。

  • … 補助率2分の1で交付金を出す。令和8年度の交付金の名称は地域未来交付金
  • 都道府県 … 地域再生計画を作って内閣総理大臣の認定を申請し、交付金の交付を申請する。制度設計、全体管理、国との窓口を担う
  • 市町村 … 移住者からの申請受付、要件の確認、支援金の支給、定着の確認、債権の管理を担う

国から都道府県に交付金が渡り、移住者には市町村から支援金が支払われる、という二段構えです。残りの地方負担をどう分けるかは都道府県が定めます。高知県の実施要領では、移住支援金の地方負担を県が2分の1、市町村が2分の1と決めています。国の2分の1と合わせると、県が4分の1、市町村が4分の1を持つ計算になります。

この事業は単独では動きません。都道府県が対象求人を掲載するマッチング支援事業、社会的事業の起業を助ける起業支援事業と組み合わさっていて、移住支援金はその出口にあたります。

規模も公表されています。内閣府の交付実績によると、令和元年度から令和7年度までの累計は14,378件・30,557人です(令和8年3月末時点。令和6年度に新設された地方就職学生支援事業の実績を含みます)。

世帯100万円・単身60万円は「上限」

金額の書かれ方には注意が要ります。高知県の実施要領は、こう定めています。

2人以上の世帯の場合にあっては100万円、単身の場合にあっては60万円を上限とし、市町村が別途定める額の移住支援金を支給する。

100万円・60万円は上限であって、いくらにするかは市町村が決めます。18歳未満の子どもを連れて移住する場合の加算も同じで、18歳未満の者一人につき100万円を上限として加算するという書き方です。山形県も「18歳未満一人当たり最大100万円が加算される場合があります(移住先の市町村によって異なります。)」と説明しています。

実際に差は出ています。高知県が公表している市町村ごとの子育て世帯加算額を見ると、東洋町は100万円ですが、室戸市は30万円です。同じ県内でも市町村によって加算額が違うということです。

もうひとつ、古い金額に注意してください。この子育て世帯加算は令和4年度に作られ、令和5年度に子ども一人当たり最大30万円から最大100万円に増額されました。30万円と書いてある記事や資料は、この改定より前のものです。金額の決まり方と自治体ごとの上乗せは移住支援金の金額はどう決まるかに分けてまとめています。

移住元の条件

対象になるのは、東京23区に住んでいた人か、東京圏に住んで23区へ通勤していた人です。ここでいう東京圏は、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県を指します。

期間の条件は2本あり、どちらも住民票を移す直前を基準に見ます。

  • 通算5年以上 … 直前の10年間のうち、通算5年以上、23区に在住していたか、東京圏(条件不利地域を除く)に在住して23区へ通勤していたこと
  • 直近1年以上 … 住民票を移す直前に、連続して1年以上、同じ状態であったこと

通勤で該当する場合、雇用されている人については、雇用保険の被保険者としての通勤に限られます

学生時代を足せる規定もあります。東京圏(条件不利地域を除く)に住みながら23区内の大学等へ通学し、23区内の企業等へ就職した人は、通学期間も移住元としての対象期間に加えられます

細かいところでは、高知県の実施要領に「23区内への通勤の期間については、住民票を移す3か月前までを当該1年の起算点とすることができる」というただし書きがあります。退職から転入までに少し間が空く場合を想定した規定で、水戸市の案内にも同じ趣旨の記載があります。どこまで認められるかは自治体の運用によるので、そのまま自分に当てはめず窓口で確かめてください。誰が対象になるのかは移住支援金の対象になる人で詳しく扱います。

移住先の条件

移住先は、東京圏以外の道府県、または東京圏内の条件不利地域です。ただし、そこへ移れば必ず対象になるわけではありません。移住支援事業を実施している都道府県・市町村に限られます。

条件不利地域とは、過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法、山村振興法、離島振興法、半島振興法、小笠原諸島振興開発特別措置法の対象地域を有する市町村(政令指定都市を除く)と、平成22年から令和2年の人口減少率が10パーセント以上の市町村です。一都三県については、内閣府が具体的な市町村名を公表しています。

都県条件不利地域にあたる市町村
東京都檜原村、奥多摩町、大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ケ島村、小笠原村
神奈川県三浦市、山北町、箱根町、真鶴町、湯河原町、清川村

埼玉県は秩父市・飯能市・本庄市など15市町村、千葉県は銚子市・館山市・旭市など23市町村が挙げられています。

実施していない自治体は珍しくありません。内閣府が公表している実施都道府県・連携市町村一覧には市区町村ごとに丸印が付いており、凡例には「空欄」は移住支援事業を実施していない市区町村と明記されています。令和8年4月1日時点の一覧では、県庁所在地でも空欄のところがあります。都道府県の単位でも差があり、令和元年度からの交付実績の表では、東京都・神奈川県・大阪府の欄が「ー」になっています。

転入の時期にも条件があります。高知県と山形県は、交付金の交付決定がされた後で、かつ都道府県が移住支援事業の詳細を移住希望者に公表した後に転入したことを要件に挙げています。年度の変わり目に引っ越す場合は、この点を先に確かめておく必要があります。

就業・テレワーク・関係人口・起業のいずれか

移住しただけでは対象になりません。次のどれかに当てはまることが要ります。

地域の中小企業等への就業。都道府県が運営するマッチングサイトに、移住支援金の対象として掲載された求人に応募して就くのが基本の形です。高知県の実施要領は、勤務地が東京圏外か東京圏内の条件不利地域にあること、週20時間以上の無期雇用契約であること、求人への応募日がその求人の掲載日以降であること、申請日から5年以上継続して勤める意思があること、転勤・出向・出張・研修等による勤務地の変更ではなく新規の雇用であることを挙げています。掲載日より前に応募していた場合は外れる、という点は見落としやすいところです。プロフェッショナル人材事業または先導的人材マッチング事業を使って就いた場合も、同じ系統の要件で対象になります。

テレワークによる業務の継続。いわゆる転職なき移住です。要件は、所属先の命令ではなく自己の意思により移住したこと、移住先を生活の本拠として移住元での業務を引き続き行うこと、原則として恒常的に通勤しないこと、そして週20時間以上テレワークをすることです。会社都合の転勤は当たりません。

関係人口としての移住。これが最も自治体差の大きい要件です。国は枠組みだけを示し、中身は市町村が個別に定めます。高知県の実施要領は、市町村が定める要件について、対象範囲が明確であること、農林水産業に加えて地域に必要な業種や家業への就業要件が設定されていることを求めています。水戸市の例では、市が実施する宿泊を伴う移住体験事業への参加、市に1年以上の居住歴があること、転入日の3か月前までに県の県民登録制度に登録していること、直近3年間にふるさと納税の寄付実績があることなどが並び、これに就業などの条件を重ねる形になっています。進学に伴う転入は対象外とされています。

起業。都道府県が実施する起業支援事業の交付決定を受けることが条件です。高知県の場合、対象経費の2分の1以内で最大200万円の起業支援金があり、社会的事業として地域課題の解決に資すること、事業として自立して続けられること、デジタル技術を活用していることが求められています。

このほか共通の条件として、暴力団等の反社会的勢力と関係がないこと、日本人であるか永住者・定住者などの在留資格があること、過去10年以内に世帯員として移住支援金を受け取っていないことが置かれています。高知県は県税の滞納がないことも確認するとしています。

返還が必要になる場合

支援金には返還の定めがあります。「5年未満で転出したら返す」と説明されることがありますが、実際には3年で線が引かれ、全額と半額に分かれます。高知県の実施要領は次のとおりです。

区分該当する場合
全額の返還虚偽の申請等をした場合/申請日から3年未満に受給した市町村から転出した場合/申請日から1年以内に要件を満たす職を辞した場合/起業支援事業に係る交付決定を取り消された場合
半額の返還申請日から3年以上5年以内に受給した市町村から転出した場合

職を辞めた場合も返還の対象になる点は、転出だけを気にしていると抜けます。一方で、雇用企業の倒産、災害、病気等のやむを得ない事情として県と市町村が認めた場合は、返還の対象外とされています。高知県はさらに、受給した市町村に1年以上住んだうえで県内に転居する場合は、別に定める手続きのもとで返還を免除するとしています。同じ県内かどうかで扱いが変わることがあるということです。

債権の管理は、支援金を支給した市町村が行います。その後に転居しても、管理する市町村は変わりません。

申請の流れと時期

申請先は移住先の市町村です。都道府県ではありません。時期の条件は転入後1年以内で、あわせて申請日から5年以上その市町村に住み続ける意思があることが求められます。

市町村が上乗せしていることもあります。水戸市は「申請日において、転入後3か月以上1年以内であること」としており、転入直後には申請できません。就業についても、連続して3か月以上勤務していることを求めています。

移住前にしておくことがある場合もあります。水戸市は、移住の前日までに移住支援金移住前相談票を必要書類とともに提出していることを支給の必須要件としています。移住してから窓口に相談したのでは間に合わない、という設計です。提出書類には、世帯員全員分の戸籍の附票など移住元の居住履歴が分かる資料や、東京圏に住んで23区で働いていた人の勤務履歴が分かる資料が挙げられています。

もうひとつ、順番の問題があります。移住元の要件は「住民票を移す直前」を基準に判定されます。仕事や住まいの段取りより先に住民票だけを動かすと、その時点の状態で見られることになります。転入のタイミングと申請の準備は、あわせて考えてください。

受付には枠もあります。山形県は、市町村が予算の範囲内において支給するものだと説明し、上限に達した場合は申請受付を締め切ることがあると案内しています。高知県も、市町村によって年度内に受け付けられる上限数が異なるとしています。

応募前に自治体で確かめること

要件を満たすかどうかを判断するのは、申請を受ける市町村です。動き出す前に、移住先の市町村へ次を確かめてください。

  • その市町村が移住支援事業を実施しているか。都道府県が実施していても、市町村が実施していないことがあります
  • 支給額と、子どもの加算額はいくらか。上限は決まっていますが、額を決めるのは市町村です
  • 関係人口の要件に何が書かれているか。市町村ごとに内容がまったく違います
  • 移住前に出す書類があるか。転入前の提出を必須にしている市町村があります
  • 申請できる時期はいつからいつまでか。転入後に一定の期間を空ける必要がある市町村があります
  • 狙っている求人がマッチングサイトに対象求人として掲載されているか、応募日は掲載日より後になるか
  • 返還の条件と、やむを得ない事情の扱い
  • 年度内に受け付けられる件数に上限があるか

地方へ移る入口は移住支援金だけではありません。任期付きで自治体の仕事に就きながら地域に入る道もあり、こちらはまったく別の制度です。地域おこし協力隊とはどんな制度かも、あわせて見比べてみてください。

この記事は内閣官房・内閣府および高知県・山形県・水戸市が公表している情報をもとに作成しています。支給額、加算額、要件、受付の時期は年度や自治体によって変わることがあります。最新の情報は必ず内閣府の案内と、移住先の都道府県・市町村の公式ホームページで確認してください。

よくある質問

Q.移住支援金はいくら支給されますか。

A.世帯での移住は100万円、単身は60万円が上限で、18歳未満の子どもを帯同する場合は一人につき100万円を上限に加算されます。ただしこれは上限で、実際の額を定めるのは市町村です。高知県が公表している市町村ごとの子育て世帯加算額では、東洋町が100万円、室戸市が30万円と差があります。なお子育て世帯加算は令和4年度に創設され、令和5年度に最大30万円から最大100万円へ増額されました。30万円と書かれた資料は改定前のものです。

Q.東京都に住んでいれば誰でも対象になりますか。

A.なりません。移住元の要件は、東京23区に在住していたか、東京圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)の条件不利地域以外に在住して23区へ通勤していたことで、住民票を移す直前の10年間で通算5年以上、かつ直近1年以上その状態であったことが必要です。通勤で該当する場合、雇用されている人は雇用保険の被保険者としての通勤に限られます。東京圏に住みながら23区内の大学等へ通学し、23区内の企業等へ就職した人は、通学期間も対象期間に加えられます。

Q.移住先はどこでもよいのですか。

A.東京圏以外の道府県か、東京圏内の条件不利地域が対象ですが、移住支援事業を実施している都道府県・市町村に限られます。内閣府が公表している令和8年4月1日時点の一覧では、実施していない市区町村の欄は空欄になっており、県庁所在地でも空欄のところがあります。令和元年度からの交付実績の表では、東京都・神奈川県・大阪府の欄が「ー」です。移りたい市町村が実施しているかを最初に確かめてください。

Q.5年より前に引っ越したら、全額を返すことになりますか。

A.全額とは限りません。高知県の実施要領では、申請日から3年未満で受給した市町村から転出した場合が全額、3年以上5年以内の転出は半額の返還とされています。このほか、虚偽の申請、申請日から1年以内に要件を満たす職を辞した場合、起業支援金の交付決定が取り消された場合が全額の返還です。ただし雇用企業の倒産、災害、病気等のやむを得ない事情として県と市町村が認めた場合は対象外とされ、高知県では受給した市町村に1年以上住んでから県内に転居する場合の免除も定められています。扱いは自治体ごとに違うので、申請先の市町村で確認してください。

Q.申請は移住してからで間に合いますか。

A.申請そのものは転入後ですが、移住前に済ませておく手続きがある場合があります。水戸市は、移住の前日までに移住支援金移住前相談票を必要書類とともに提出していることを支給の必須要件としています。申請の時期は転入後1年以内で、水戸市のように転入後3か月以上たってから、という条件を加える市町村もあります。引っ越しを決める前に、移住先の市町村へ問い合わせてください。

TownHub編集部

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全国の地域情報を取材・編集しています。自治体の公開情報と現地取材をもとに、その街で暮らす人に役立つ情報をお届けします。

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