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加美町の地域おこし協力隊|任用型と委託型、住居の上限額

10分で読めます執筆: TownHub編集部
地域おこし協力隊加美町

加美町の地域おこし協力隊について、2つの受入形態と、住居の借上料の上限額をまとめます。

加美町は宮城県の北西部、奥羽山脈のふもとに広がる面積約461平方キロメートルの町で、人口はおよそ2万人です。ヴィオラの制作から日本酒の醸造、ドローンの活用まで、地域おこし協力隊のミッションの幅がとても広いのが特徴です。加美町と総務省の公式情報をもとにまとめます。

令和7年度の隊員数は12名

総務省が令和8年4月24日に公表した「令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について」によると、加美町の地域おこし協力隊は12名です。宮城県全体では264名・29の受入自治体、全国では8,196名・1,187自治体となっています。

ただし、この12名という数字は、町が自分のホームページで公表している人数とは一致しません。町のページには複数の異なる人数が書かれており、その食い違いについては後の見出しで詳しく取り上げます。制度そのものの説明は地域おこし協力隊とはでまとめています。

任用型と委託型は身分がまったく違います

加美町の協力隊は、加美町地域おこし協力隊設置要綱(令和4年7月1日告示第83号)で定められています。この要綱の第4条は、隊員を任用型地域おこし協力隊員委託型地域おこし協力隊員の2種類に分けています。同じ「加美町の地域おこし協力隊」という名前でも、この2つは立場がまったく違います。

任用型隊員については、要綱第6条が「任用型隊員の身分は、法第22条の2第1項第1号に規定する会計年度任用職員とする」と定めています。つまり町の職員です。第8条により、報酬・手当・費用弁償は加美町会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例と同規則に、勤務時間・休日・休暇は加美町会計年度任用職員の勤務時間、休暇等に関する規則に、それぞれよることになります。

委託型隊員については、要綱第14条が次のように定めています。

町と委託型隊員との間に雇用関係は生じないものとし、委託型隊員は地方公務員としての身分を有しないものとする。

さらに同条第2項は、受入団体に雇用される場合の勤務条件は「町と受入団体が協議し、受入団体が定める」としています。町が協力隊設置業務の全部または一部を受入団体に委託し、受入団体が雇用した人に町長が委嘱する、という組み立てです(第12条)。したがって、委託型で応募するときに勤務条件を最終的に決めるのは町ではなく受入団体です。

任期は任用型・委託型のどちらも1年で、一会計年度ごとに延長して最長3年までです(第7条・第13条)。産前産後または育児のために活動を中断する1年以内の期間は、この3年に算入しません。また附則には、令和元年度から令和3年度までに任用された隊員のうち、新型コロナウイルス感染症の影響で活動を十分に行えなかった隊員について、2年を上限に延長して最大5年までとできる特例が置かれています。

なお、町が公開している隊員紹介のページは、隊員一人ひとりが任用型と委託型のどちらなのかを示していません。受入先の名称は書かれていますが、そこから契約形態を読み取ることはできません。

住居の借上料は月額40,000円が上限と書かれています

設置要綱の別表(第11条関係及び第16条関係)は、町が負担する経費を次のように定めています。

経費の内容負担額
住居借上料(管理費及び駐車場料を含む。)月額 実費相当額(40,000円を上限とする。)
その他町長が必要と認める経費予算又は委託料の範囲内における実費相当額

読み取れる点は3つあります。

1つ目は、住まいの支援が現物の貸与ではなく実費の負担だということです。町が住宅を用意して貸すのではなく、かかった住居借上料を町が負担する形です。金額には管理費と駐車場料も含まれます。上限は月額40,000円で、これを超える分は隊員の負担になります。

2つ目は、この別表が任用型と委託型の両方に効くということです。任用型については第11条により「予算の範囲内」で町が負担し、委託型については第16条により「町と委託型隊員又は受入団体が締結する業務委託契約の委託料の範囲内」で町が負担します。負担の上限額は同じでも、お金の出どころが違います。

3つ目は、書かれていないものがあるということです。別表に挙がっているのは住居借上料と「その他町長が必要と認める経費」の2つだけで、活動用車両の貸与やリース料、燃料費、引越にかかる費用については記載がありません。車が必要かどうか、費用を誰が負担するのかは、この要綱からは分かりません。応募前に町へ確認してください。

報酬の額は募集ページには書かれていません

町のホームページには「地域おこし協力隊 募集情報」というページがありますが、そこに載っているのは制度の趣旨の説明だけで、報酬の額も勤務時間も書かれていません。個別の募集要項にあたるページも、町のサイトには現在1本も置かれていません。

金額を知る手がかりは、募集ページではなく町の例規集の側にあります。設置要綱第8条が任用型隊員の報酬を会計年度任用職員の給与規則に委ねており、その加美町会計年度任用職員の給与に関する規則の別表(職種別基準表)に「地域おこし協力隊員 職務の級1・号俸24」と定められています。そして加美町会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例第5条により、この職務の級は行政職給料表に対応します。加美町職員の給与に関する条例の別表第1(行政職給料表)で1級24号俸を引くと、給料月額は230,400円です。

ただし、この額をそのまま「加美町の協力隊の給料」と読むことはできません。次の条件が付きます。

  • 職種別基準表は、新たにフルタイムの会計年度任用職員になった人の号俸を定めたものです(規則第3条)。
  • 同じ職務の同種の経験がある人は、町長が別に定めるところにより上位の号俸にできるとされています。
  • 期末手当・勤勉手当・通勤手当・時間外勤務手当については、規則が「常勤職員の例による」としています。
  • 委託型隊員は会計年度任用職員ではないため、この規則は適用されません。委託型の条件は受入団体が定めるもので、町は公表していません

つまり、町が「協力隊の報酬は月額いくら」という形で示している資料は見あたらず、確実な金額は町に問い合わせて確認するほかありません。報酬の考え方そのものは地域おこし協力隊の給料と待遇でまとめています。

インターンとおためしは金額が公表されています

本隊員の報酬が公表されていない一方で、その手前の段階については金額が例規に書かれています。加美町地域おこし協力隊インターン及びおためし地域おこし協力隊設置要綱(令和6年11月28日告示第87号)が定めるものです。

  • インターン隊員:委嘱期間は2週間以上3か月以下で、延長はしません。報償費は1時間あたり1,500円で、1活動日あたり12,000円が上限です。この報償費には、住居と活動用車両の借上費、移動に要する経費、作業道具や消耗品の費用が含まれます。町との雇用関係はありません。
  • おためし隊員:委嘱期間は2泊3日以上2週間未満で、報償費は支給されません。地域協力活動の無料体験という位置づけです。

なお、おためし隊員については、3大都市圏をはじめとする都市地域等に住民票があることという要件が適用されません。まず短く町を体験してみたい人にとっては入口になります。

音楽・ドローン・日本酒まで、ミッションの幅が広い

町が公開している令和7年度の隊員紹介から、ミッションと受入先を並べると次のようになります。

  • 音楽の振興:国立音楽院宮城キャンパスで、ヴィオラの制作・販売や楽器制作工房の立ち上げに携わる
  • ドローン活用支援:ひと・しごと推進課(旧賀美石幼稚園)を拠点に、町内のドローン活用を進める
  • 農業の振興:株式会社宮城フラワーパートナーズで花きの栽培と経営を学ぶ、株式会社結心ファームで米作りなど農業の基礎を学ぶ
  • 日本酒の振興:商工観光課と中勇酒造店で、酒造に携わりながら町内の日本酒の振興に取り組む
  • KAMI Creative Academyの企画運営とサテライトオフィス誘致支援:サテライトオフィス「Creative Hub 加美」への企業誘致と、デジタル技術を町内で学べる講座の企画運営
  • 農業と観光の振興:商工観光課を拠点に、加美町グリーン・ツーリズム推進会議と加美町観光まちづくり協会で農業体験の受け入れなどに携わる
  • 観光と食の魅力発信:加美町観光まちづくり協会を拠点に、観光振興と食の魅力の掘り起こしに取り組む
  • 商店街の活性化:商工観光課で中新田地区商店街の活性化に取り組む

ミッションは年度ごとに入れ替わります。令和6年度の隊員紹介には、学校魅力化コーディネーター(中新田高校・中新田中学校・町内各学校に4名)、空き家の利活用支援グリーン・ツーリズムの支援アウトドア・アクティビティの振興といった、令和7年度には見あたらないミッションが並んでいました。役場の課に所属する隊員と、民間の事業者や協議会に受け入れられる隊員が混在しているのも、加美町の特徴です。

令和7年度のページには「9名」と「8名」が両方書かれています

隊員数を調べようとすると、加美町では複数の数字にぶつかります。町が公開している「令和7年度 加美町地域おこし協力活動状況」のページには、同じ辞令交付式の記事のなかに次の2つが並んでいます

  • 「令和7年度は9名でスタートをきりました!」
  • 「今年度は任用型隊員6名(新規1名、継続5名)、委託型隊員2名(継続2名)の計8名でのスタートを切りました」

6名と2名を足すと8名で、後者は内訳と合っています。さらにこのページには、氏名入りのプロフィールが10名分掲載されています。年度の途中に2名が着任しているためで、1名は令和7年5月1日に、もう1名は同年7月1日に辞令を受けています。8名に2名を足せば10名になり、掲載されているプロフィールの数とは合います。どの数字とも合わないのは「9名」だけです。

前の年度のページは食い違っていません。「令和6年度 加美町地域おこし協力活動状況」は「令和6年度は14名でスタート!」と書き、内訳も任用型6名(新規1名、継続5名)と委託型8名(新規2名、継続6名)で合計14名です。年度途中に2名が加わり、プロフィールは16名分が並びます。

そして総務省の令和7年度の集計は12名です。町の年度当初の数字(8名または9名)、町のプロフィール掲載数(10名)、総務省の集計(12名)と、3つの数字が並ぶことになります。集計の時点も数え方も同じとは限らないため、どれか1つを正しい数字と決めることはできません。加えて、この令和7年度のページの更新日は2025年9月25日で止まっており、令和8年度の活動状況のページはまだ作られていません。正確な現在の人数を知りたいときは、町のひと・しごと推進課に直接確認してください。

任期後の支援は2つの要綱で用意されています

加美町は、任期が終わったあとの支援を2本の要綱で定めています。

加美町地域おこし協力隊員定住支援助成金交付要綱(平成25年3月29日告示第42号)は、協力隊として1年以上活動し、任期終了後も引き続き加美町に住所を有する人を対象に、1人につき月額1万5千円を助成するものです。助成期間は任期終了後の1年で、前期分(4月から9月)9万円・後期分(10月から3月)9万円の2回に分けて交付されます。

加美町地域おこし協力隊起業支援補助金交付要綱(平成31年3月22日告示第24号)は、隊員が町内で起業するための経費を補助するものです。補助率は補助対象経費の10分の10以内上限は100万円で、1人につき一の年度に限られます。対象になるのは、任期終了の日から前1年以内の人と、任期終了の日から1年以内の人です。補助対象経費は、設備費・備品費・土地建物賃借費、法人登記に要する経費、知的財産登録に要する経費、マーケティングに要する経費、技術指導受入れに要する経費などです。

任期後に町内で事業を始めた人は実際にいます。町が令和8年度に開いている「ちおこ朝市」の出店者一覧には、現役隊員と並んで「協力隊OB」としてコクリ農園OOTOMO FARM岸田農園、コーヒー豆の焙煎店が名を連ねています。過去のページをたどると、任期を終えて空き家の利活用に取り組む会社の代表取締役社長になった隊員や、受入先だった地区で新規独立就農した隊員の記録も残っています。ただし、町はこれまでの卒隊者の人数や定住率を公表していません

情報の探し方と問い合わせ先

地域おこし協力隊を担当しているのは加美町ひと・しごと推進課 移住定住推進係(電話0229-63-5611・直通)です。役場の開庁時間は午前8時30分から午後5時15分までで、土曜・日曜・祝日・年末年始は閉庁です。

町のホームページで隊員の活動を追える資料は主に3種類あります。

  • 年度別の活動状況のページ:令和2年度から令和7年度までの6年分が公開され、隊員の氏名・出身地・ミッション・受入先と、その年の活動の様子が載っています。
  • 地域おこし協力隊瓦版(CHIOKO LETTER):隊員が手作りしている情報誌で、3月・6月・9月・12月の年4回のペースで発行され、令和8年6月のVol.25まで公開されています。
  • ちおこ朝市の案内:役場本庁の玄関前駐車場で開かれ、現役隊員と卒隊者が育てた野菜や加工品、軽食を販売しています。開催日はその都度告知されます。

契約形態や経費の扱いを条文で確かめたいときは、町の例規集にある加美町地域おこし協力隊設置要綱、加美町地域おこし協力隊員定住支援助成金交付要綱、加美町地域おこし協力隊起業支援補助金交付要綱、加美町地域おこし協力隊インターン及びおためし地域おこし協力隊設置要綱の4本があたる先になります。

この記事は加美町公式ホームページ・加美町例規集および総務省の公表資料の情報をもとに作成しています。募集の内容・報酬・補助の条件・隊員数は変わることがあります。最新の情報は必ず加美町の公式ホームページで確認してください。

よくある質問

Q.加美町の地域おこし協力隊では、家賃はどこまで町が負担してくれますか?

A.加美町地域おこし協力隊設置要綱の別表に、住居借上料(管理費及び駐車場料を含む)を月額の実費相当額で町が負担し、40,000円を上限とすると定められています。上限を超える分は隊員の負担です。任用型隊員は予算の範囲内で、委託型隊員は業務委託契約の委託料の範囲内で負担される仕組みです。なお活動用車両の貸与やリース料、燃料費、引越費用については、この別表に記載がありません。

Q.任用型隊員と委託型隊員は何が違いますか?

A.任用型隊員は設置要綱第6条により会計年度任用職員、つまり町の職員です。報酬や勤務時間は町の会計年度任用職員の条例・規則によります。委託型隊員は第14条で「町と委託型隊員との間に雇用関係は生じない」「地方公務員としての身分を有しない」と定められており、受入団体に雇用される場合の勤務条件は町と受入団体が協議したうえで受入団体が定めます。任期はどちらも1年ごとで最長3年です。

Q.加美町の隊員は何名いますか?

A.数字が一致していません。総務省が令和8年4月に公表した令和7年度の集計では12名です。一方、町の令和7年度の活動状況のページには、同じ記事のなかに「9名でスタート」という記述と「任用型6名、委託型2名の計8名でスタート」という記述の両方があり、さらに氏名入りのプロフィールは10名分掲載されています。年度途中に2名が着任しているため8名に2名を足すと10名になりますが、「9名」はどの数字とも合いません。このページの更新は2025年9月で止まっており、令和8年度のページはまだありません。正確な人数はひと・しごと推進課に確認してください。

TownHub編集部

編集部

全国の地域情報を取材・編集しています。自治体の公開情報と現地取材をもとに、その街で暮らす人に役立つ情報をお届けします。

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