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七ヶ宿町の地域おこし協力隊|町が雇わない仕組みと報酬

11分で読めます執筆: TownHub編集部
地域おこし協力隊七ヶ宿町

人口約1,200人の七ヶ宿町が12名を受け入れている仕組みと、報酬や住居の支援をまとめます。

七ヶ宿町は蔵王連峰の南麓、宮城県の最南西部にあり、江戸時代に奥州と羽州を結ぶ街道沿いに7つの宿場が置かれたことが町名の由来です。平成3年に完成した七ヶ宿ダムを擁し、仙台市を含む県民193万人の水がめでもあります。その町が、人口の規模から見るとかなりの人数の地域おこし協力隊を受け入れています。七ヶ宿町公式ホームページと総務省の公表資料をもとにまとめます。

人口1,135人の町に12人の協力隊

総務省が令和8年4月24日に公表した報道資料「令和7年度における地域おこし協力隊の活動状況等」の別紙、「令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について」によると、七ヶ宿町の隊員数は12人です。宮城県全体は29団体で264人でした。

一方、町の「七ヶ宿町の概要」によれば、総人口は2026年7月31日現在で1,135人、558世帯です。男性567人、女性568人と記載されています。

この2つを並べると、住民およそ95人に1人が地域おこし協力隊員という計算になります。町自身が募集の案内で使っている「人口は1,200人ほど」という数字で計算しても、住民およそ100人に1人です。

ただし、2つの数字は基準の時点が違います。12人は国が令和7年度について集計したもの、1,135人は町が2026年7月31日時点で公表しているものです。厳密に同じ日の比率ではない、という前提で読んでください。

担当は七ヶ宿町ふるさと振興課 企画係です。制度そのものの仕組みは地域おこし協力隊とはどんな制度かにまとめています。

町の数え方は「累計37名・現役7名」です

町が公開している募集要項には、国の12人とは別の数え方が載っています。

七ヶ宿町では、令和8年5月末日までに37名の地域おこし協力隊員を採用し、現在は7名の隊員が現役で活動しております。

つまり制度が始まってからの累計が37名、いま活動しているのが7名です。現役7名の内訳も要項に書かれています。

  • まちづくり活動 協力隊3名 … 活動先は七ヶ宿まちづくり株式会社
  • 芸術の里づくり活動 協力隊2名 … 活動先は無限陶房合同会社
  • ワインづくり活動 協力隊2名 … 活動先はユズファームワイナリー

ここで注意したいのが基準日です。町は募集の枠ごとに別々の要項を出していて、3本とも人数は「37名・7名」で同じなのに、基準日だけが「令和8年5月末日」「令和8年度5月末日」「令和8年6月末日」と食い違っています。さらに、要項が添付されているお知らせの掲載日と、要項本文の基準日は一致しません。たとえば2026年1月26日掲載のお知らせに、令和8年6月末日を基準に書かれた要項が添えられています。掲載日から年度を推測せず、要項本文に書かれた基準日を見てください。

国の12人と町の7人は、どちらかが誤りというものではありません。国の集計はその年度に活動した隊員を数えたもの、町の7名は要項を書いた時点で現役の人数です。数えている期間も時点も違います。

町は隊員を雇いません

七ヶ宿町の協力隊を理解するうえで、いちばん大事なのがここです。町は隊員の雇用主になりません。このことは町の要綱にはっきり書かれています。

七ヶ宿町地域おこし協力隊設置要綱(平成25年6月26日訓令甲第13号の2、令和7年4月1日施行)の第2条は、隊員の身分を次のように定めています。

協力隊の隊員の身分は、七ケ宿町地域おこし協力隊雇用受入補助金交付要綱(令和7年七ケ宿町告示第9号)に規定する補助対象者又は七ケ宿町地域おこし協力隊事業支援業務委託要領(平成28年訓令甲第21号)に規定する支援団体の所属とする。

条文に町の職員という選択肢はありません。隊員が所属するのは、次のどちらかです。

  • 雇用受入補助金の補助対象者に雇われる… 補助金の交付対象は「町が委嘱した隊員を雇用している事業者又は団体」と定められています。つまり隊員を雇うのは事業者や団体のほうです。
  • 事業支援業務委託要領にいう支援団体に所属する… 町が支援業務を委託した団体に所属する形です。

町が行うのは委嘱です。設置要綱第4条は、隊員を委嘱するのは町長で、委嘱期間は1年以内、最長3年まで再任できると定めています。募集要項の書き方も同じで、「地域おこし協力隊は町の委嘱を受け、町内事業所等へ配属されます」「活動時間、休日、休暇等の労働条件は、配属先の条件となります」とされています。勤務時間も休日も、町ではなく配属先が決めるということです。

ひとつ補っておくと、支援団体に委託する型については、事業支援業務委託要領の第10条に「支援団体は、隊員に毎月末締め翌月10日まで業務報告書(日報)を作成し、町に提出するよう指示し、町は確認のうえ隊員に報酬を支払うものとする」という規定があります。雇用主が誰かということと、報酬を誰が払うかは、この町では別々に決められています。募集を見るときは、雇用契約を結ぶ相手がどこかを必ず確かめてください。

なお、町の例規集では町名が「七ケ宿町」と大きな「ケ」で表記されています。要綱の名前を検索するときはこの表記に注意してください。例規集の内容現在は令和8年6月10日です。

受け入れる側の持ち出しを前提にしない補助金

では、隊員を雇う事業者の負担はどうなるのか。ここが人口1,135人の町で12人を受け入れられている理由にあたる部分です。

七ケ宿町地域おこし協力隊雇用受入補助金交付要綱(令和7年3月25日告示第9号、令和8年4月1日施行)の別表は、補助対象経費と補助率、補助限度額を次のように定めています。

  • 隊員の活動に要する報償費 … 補助率10/10、隊員1人につき年間350万円以内
  • 隊員の活動調整、指導及び生活支援/隊員の住居及び活動車両の借上/隊員の活動旅費等移動/地域協力活動のための消耗品等/関係者間の調整、意見交換会等/地域住民等との交流及び地域おこしに資する取組/隊員の研修受講/隊員の定住/隊員の活動の管理、広報及び活動実績のとりまとめ/その他町長が必要と認める地域協力活動の支援に要する経費(この10項目の合計) … 補助率10/10、隊員1人につき年間200万円以内

いずれも委嘱期間が年度途中で終わる場合は月数で按分されます。

補助率が10分の10というのは、対象と認められた経費は全額が補助されるということです。隊員に払う報償費も、隊員の住居や活動車両の借上料も、研修費も、この枠の中に入っています。受け入れる側が自腹を切ることを前提にしない設計になっているため、規模の小さな事業者でも受け入れに手を挙げられます。七ヶ宿町で活動先として並んでいるのが、まちづくり会社、陶芸の合同会社、ワイナリーといった小さな事業者であることと、この設計はつながっています。

年間350万円以内と年間200万円以内は、いずれも町の要綱が定める上限額です。実際にいくら交付されるかは、事業者が出した交付申請と実績報告を町が審査して確定します。

補助の対象にならない経費も定められています。備品購入費、慶弔費および交際費に類する経費、町の他の補助金の補助対象経費と重複する経費の3つです。また、交付決定より前に使った経費は対象外で、補助金の額に1,000円未満の端数が出たときは切り捨てになります。隊員の雇用が終わったときや、雇っている隊員の委嘱が取り消されたときは、交付決定の取消しと返還を命じられることがあります。

報酬と勤務条件は配属先ごとに決まります

町が募集を出している枠ごとに、報酬も勤務時間も違います。町のお知らせと募集要項に載っている条件は次のとおりです。

観光協会の枠(活動先は七ヶ宿町観光協会)

  • 報酬は月額20万円から24万円(活動年数を考慮)
  • 勤務時間は8時30分から17時15分(うち休憩60分・シフト制)、勤務日数は週5日
  • 週休日・休日は週休2日(シフト制)

七ヶ宿まちづくり株式会社の枠

  • 報酬は月あたり24万円
  • 勤務時間は8時30分から17時30分(うち休憩60分・シフト制)、勤務日数は週5日
  • 週休日・休日は週休2日(シフト制)

無限陶房合同会社の枠(芸術の里づくり活動)

  • 報酬は月額20万円から22万円(活動年数を考慮)
  • 勤務時間は8時45分から17時30分(うち休憩60分)、勤務日数は週5日
  • 週休日・休日は土日祝と年末年始(官公庁に準ずる)

どの枠にも共通して、「配属先の基準により通勤手当を別途支給します。それ以外の各種手当等は支給しません」と書かれています。通勤手当のほかに手当は出ません。また、募集人員はいずれも若干名、委嘱日は要相談で、面接のときに希望時期を伝える形です。募集期間は「採用者が決定するまで」とされています。

イベントや研修で勤務の振替が生じることがあり、休日出勤が発生した場合は別日に振り替えられる、とお知らせには書かれています。報酬の考え方そのものは協力隊の給与はどう決まるのかで整理しています。

社会保険には入りますが、保険料は自己負担です

町のお知らせには、どの枠にも「社会保険等 健康保険・雇用保険加入」と書かれています。健康保険と雇用保険には加入します。受け入れる事業者が隊員を雇う形をとっているためです。

一方で、募集要項の「地域おこし協力隊が負担するもの」には「活動期間中の健康保険料、年金保険料等の社会保険料」が挙げられています。加入はするけれども、本人の負担分は隊員が払う、ということです。手取りを考えるときは、提示されている月額報酬からこの分が引かれる前提で見てください。

住居は現物で貸します。引越費用は自己負担です

支援の中身は現金の補助ではなく、現物の貸与が中心です。募集要項の「貸与品等」は次の2つだけです。

  • 活動期間中の住居、パソコンは町が貸与します
  • 活動に必要な消耗品等は町または配属先が負担します

住居について、お知らせは「自己都合により、町が指定した住居以外に入居する場合の家賃は自己負担となります」としています。町が用意した住居に入るなら家賃の心配はいりませんが、自分で別の家を選ぶとその家賃は全額自分持ちです。

隊員が負担するものも、要項にはっきり列挙されています。

  • 本町までの交通費、引越しに必要な経費
  • 活動期間中の健康保険料、年金保険料等の社会保険料
  • 貸与された住居に係る光熱水費、電話等通信費
  • 活動期間中の私生活に必要な備品、消耗品等
  • 自己都合により、町で指定した住居以外に入居する場合の家賃等

引越費用が自己負担と明記されている点は、応募前に押さえておきたいところです。赴任にかかるお金は自分で用意する必要があります。

車についても触れておきます。募集要項の貸与品に車は入っていません。一方、雇用受入補助金の別表には「隊員の住居及び活動車両の借上に要する経費」が補助対象に入っているので、受け入れる事業者が活動用の車を借り上げる想定そのものはあります。ただし、隊員に車が用意されるかどうかは募集要項には書かれていません。燃料費の扱いについての記載もありません。普通自動車運転免許は必須条件で、「取得している又は委嘱までに取得見込みであり、業務で運転ができる方」とされています。車の有無は、応募の前に問い合わせて確認してください。

任期と、任期が終わったあと

委嘱期間は設置要綱で1年以内と定められ、最長3年まで再任できます。募集要項の「活動期間」も「委嘱から最大3年間」です。本人からの申し出があった場合、協力隊としてふさわしくない行為が認められた場合、傷病や事故で活動を続けられなくなった場合、応募内容に虚偽があった場合には、委嘱が取り消されることがあります。

任期後については、町が別に七ケ宿町地域おこし協力隊起業支援補助金交付要綱(平成29年9月29日訓令甲第19号)を設けています。町内で起業または事業継承する隊員が対象で、要綱には次のように定められています。

  • 対象は、委嘱期間の2年目から終了の日までの人、または委嘱期間の終了の日から1年以内の人
  • 補助金の額は補助対象経費の10分の10以内、100万円が限度
  • 対象経費は、設備費・備品費・土地建物賃借費、法人登記、知的財産登録、マーケティング、技術指導の受入れなど
  • 交付は隊員1人につき1回限り
  • 委嘱を取り消された人、隊員としての任用期間が1年未満の人、町税等の滞納がある人は対象外
  • 事業が完了した年度から5年間、毎年度の状況を町長に報告する必要があり、5年間継続して実施しない場合は補助金の返還を求められることがあります

観光協会の枠については、募集要項の必須条件そのものに「委嘱期間(3年)後に自ら築いたネットワークを利用し起業あるいは事業継承を目的とする方」が入っています。枠によっては、任期後に起業することが応募の前提になっているということです。

なお、任期を終えた隊員がその後どうなったかを示す数字は、町の公式ホームページでは公表されていません。定住率を知りたい場合は、ふるさと振興課に直接問い合わせてください。

応募の流れと問い合わせ先

募集は、町のホームページの「お知らせ」にある募集の一覧に掲載されます。「住まい・仕事」のページには協力隊の欄が置かれていないため、探すときは募集の一覧を見てください。

応募資格は、現在、三大都市圏をはじめとする都市地域等に住民票があり、委嘱後に七ヶ宿町へ住民票と生活拠点を移せる方です。あわせて、地域住民とやりとりができて地域おこし活動に意欲があること、心身ともに健康で誠実に活動できること、普通自動車運転免許を持っているか委嘱までに取得見込みであること、地方公務員法第16条の欠格事項に該当しないことが必須条件とされています。設置要綱の資格の規定も同じ内容です。

手続きの流れは次のとおりです。

  1. 応募したい枠の募集要項を読む
  2. 指定の応募用紙(町のホームページのお知らせからダウンロードできます)と住民票の写しをそろえる
  3. ふるさと振興課企画係あてに郵送する
  4. 1次試験(書類審査)
  5. 2次試験(面接審査、町が指定する日時に行われます)

選考試験に要する交通費等は個人負担です。選考結果の通知は、面接審査を受けた人にのみ届きます。

問い合わせ先は七ヶ宿町ふるさと振興課 企画係です。所在地は宮城県刈田郡七ヶ宿町字関126(郵便番号989-0592)、電話番号は0224-37-2194、ファックスは0224-37-2198です。

最後にひとつ。七ヶ宿町には、隊員一人ひとりを名前や活動内容つきで紹介するページがありません。募集要項に活動先の3社が並び、それぞれのホームページと交流サイトが案内されているだけです。町の移住定住ポータルサイト「しちかしゅ暮らし」でも、協力隊への言及は仕事のページの一文にとどまります。実際にどんな人がどんな活動をしているかを知りたい場合は、活動先の会社を直接見るか、ふるさと振興課に問い合わせるのが早い、というのが現状です。

この記事は七ヶ宿町公式ホームページ、七ヶ宿町例規集、七ヶ宿町の募集要項および総務省の公表資料をもとに作成しています。報酬額・支援内容・募集の有無・隊員数は変わることがあります。最新の情報は必ず七ヶ宿町の公式ホームページと最新の募集要項で確認してください。

よくある質問

Q.七ヶ宿町の地域おこし協力隊は、町の職員として働くのですか。

A.いいえ。七ヶ宿町地域おこし協力隊設置要綱の第2条は、隊員の身分を「雇用受入補助金交付要綱に規定する補助対象者又は事業支援業務委託要領に規定する支援団体の所属」と定めていて、町の職員という選択肢は条文にありません。町長が委嘱を行い、隊員は町内の事業所等へ配属されます。募集要項にも「活動時間、休日、休暇等の労働条件は、配属先の条件となります」と書かれています。雇用契約を結ぶ相手は町ではなく配属先ですので、応募の前にどこと契約するのかを確かめてください。

Q.報酬はいくらですか。住居や引越しの費用はどうなりますか。

A.報酬は募集の枠ごとに違い、観光協会の枠は月額20万円から24万円、七ヶ宿まちづくり株式会社の枠は月あたり24万円、無限陶房合同会社の枠は月額20万円から22万円です。通勤手当は配属先の基準により別途支給されますが、それ以外の各種手当は支給されません。住居とパソコンは活動期間中に町が貸与し、自己都合で町が指定した住居以外に入居する場合の家賃は自己負担です。健康保険と雇用保険には加入しますが、保険料の本人負担分は隊員が払います。本町までの交通費と引越しに必要な経費も自己負担と募集要項に明記されています。金額は変わることがあるため、応募前に町の公式ホームページと最新の募集要項で確認してください。

Q.隊員は何人いますか。12人と7人で数字が違うのはなぜですか。

A.総務省が令和8年4月24日に公表した資料では、七ヶ宿町の令和7年度の隊員数は12人です。一方、町の募集要項は「令和8年5月末日までに37名の地域おこし協力隊員を採用し、現在は7名の隊員が現役で活動しております」としています。国の12人はその年度に活動した隊員を集計したもの、町の7名は要項を書いた時点で現役の人数で、数えている期間も時点も違います。どちらかが誤りというわけではありません。現役7名の内訳は、まちづくり活動3名、芸術の里づくり活動2名、ワインづくり活動2名です。

TownHub編集部

編集部

全国の地域情報を取材・編集しています。自治体の公開情報と現地取材をもとに、その街で暮らす人に役立つ情報をお届けします。

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