女川町の地域おこし協力隊|受入事業者に所属する形と日額の報酬
宮城県で最も多くの隊員を受け入れている女川町について、受入事業者に所属する仕組みと報酬の形をまとめます。
女川町は、令和7年度に28名の地域おこし協力隊員を受け入れていて、宮城県の市町村では最も多い人数です。ただし、その条件を定めた募集要項は、いま町のサーバー上に1本も残っていません。女川町の公式情報と国の公表資料をもとにまとめます。
28名は宮城県内で最も多い。1年で15名から倍近くに
総務省が令和8年4月24日に公表した令和7年度の集計で、女川町の隊員数は28名です。宮城県内で受け入れのある29市町村のうち最も多く、県全体では264名・29団体でした。全国では8,196名・1,187団体です。
1年前はこうではありませんでした。総務省が令和7年4月4日に公表した令和6年度の集計では、女川町は15名、宮城県全体は262名・27団体です。県全体が2名増にとどまるなかで、女川町だけが13名増えています。
町自身も人数を出しています。広報おながわの「協力隊通信」という連載で、令和7年4月号(第1回)に「現在女川町では15名の協力隊が活動しています」、令和7年11月号(第2回)に「現在女川町では20名の協力隊が活動しています」と書かれています。国の令和6年度の集計と、町が令和7年4月に書いた人数は、15名で一致します。
女川町がこの制度を始めたのは令和4年度です。町の移住特設サイトにそう書かれています。制度そのもののしくみは地域おこし協力隊とはにまとめています。
募集要項が、町のサーバーに1本も残っていない
女川町の地域おこし協力隊のページを開くと、募集の欄には「現在は募集を行っておりません。」の1行しかありません。
ただし、このページには表示されない形で、募集要項・受入事業者募集要項・応募用紙など11本の文書へのリンクが残っています。消されたのではなく、表示されないよう囲われているだけです。
その11本を1本ずつ確認すると、すべてが「見つかりません」を意味する404で応答し、応答本文はいずれも196バイトでした。同じサーバーに存在しないURLをわざと投げたときの応答と、状態も本文の大きさも一致します。一方、同じサーバーにある防災関係の資料は正常に応答し、38万バイト近くが返ってきます。この11本は、本当に消えています。
インターネットアーカイブに残っているのは2本だけです。
- 女川町地域おこし協力隊募集要項(令和6年11月版・全9ページ)……2024年12月4日保存
- 女川町地域おこし協力隊受入事業者募集要項(令和5年5月版・全3ページ)……2024年12月4日保存
さらにややこしいことに、この2本より新しい版が存在していました。アーカイブに残る2025年9月13日時点のページでは、募集欄に「現在行っている募集の詳細は、下記をご覧ください」と書かれ、令和7年5月版の募集要項が表示された状態でリンクされています。ところがその版は、町のサーバーから消えているうえにアーカイブにも保存されていません。いまはどこからも取得できません。
したがって、この記事に書く条件は、令和6年11月版の募集要項に書かれていた内容です。取得元はインターネットアーカイブで、保存日は2024年12月4日。現在の条件ではありませんし、そのあとに少なくとも1回、要項は改訂されています。数字をそのまま将来の募集にあてはめないでください。
雇用契約が存在しない。個人事業主として活動する
令和6年11月版の募集要項は、隊員の身分を3つの項目で定めていました。
- 女川町長から女川町地域おこし協力隊の隊員を委嘱される。
- 女川町や受入事業者との雇用契約、委託契約は存在しないため、雇用保険には加入せず、個人事業主として活動することとなる。
- 国民健康保険、国民年金保険は各自で加入・支払いとなる。
町にも受入先にも雇われません。委嘱だけがあり、契約はどちらとも結ばない、という形です。その結果、社会保険の負担と保障が丸ごと本人の側に移ります。会社員なら健康保険料と厚生年金保険料の半分は勤め先が負担し、離職後には失業給付もありますが、そのどちらもありません。確定申告も自分で行うことになります。
そして、この形はあとから切り替わったものです。令和5年5月版の受入事業者募集要項では、受入事業者の役割の1つとして「隊員を雇用し、労務管理等を行うこと」が挙げられていました。事業者が雇い主になる建て付けです。それが令和6年11月版の隊員向け要項では「雇用契約、委託契約は存在しない」に変わっています。1年半のあいだに、雇用型から個人事業主型へ移っています。受入事業者の側の要項が更新されずに残っていたため、2つの文書が食い違ったまま同じページに並んでいた、ということです。
報酬の決まり方そのものは協力隊の給与はどう決まるのかで整理しています。
報酬は日額13,200円。月額でも年額でもない
令和6年11月版の募集要項が定めていた条件です。
| 項目 | 令和6年11月版の定め |
|---|---|
| 報償費 | 日額13,200円に当月分の活動日数を乗じた額から所得税を控除し、翌月21日(休日の場合は前日)に振込 |
| 活動時間 | 原則1月あたり155時間(1日あたり7時間45分) |
| 活動費補助金 | 交付要綱で定める経費に対し年間200万円以内 |
| 任期 | 任期開始日から令和7年3月31日まで(更新を打診する場合あり、最長3年) |
| 募集人員 | ミッション型 若干名 |
| 社会保険 | 雇用保険に加入せず、国民健康保険・国民年金は各自で加入・支払い |
日額です。月額でも年額でもありません。155時間を1日あたり7時間45分で割ると20日になるので、月20日活動した月の報償費は264,000円にあたります。ただし活動日数を乗じて計算されるため、活動日が少ない月はその分だけ減ります。任期の初月は振込がなく、翌月から始まる点も要項に明記されています。
この264,000円を会社員の月給と並べて比べることはできません。前の見出しのとおり、ここから国民健康保険料と国民年金保険料を自分で払うためです。手取りを見積もるときは、必ずこの負担を差し引いてください。
活動費補助金の年間200万円は、隊員に現金で渡るお金ではありません。女川町地域おこし協力隊活動費補助金等交付要綱で定める経費に対する補助で、年度の途中から任期が始まった場合は活動月数に応じた額になります。要項には、10月から任期開始なら200万円の半分にあたる100万円以内、という例が示されています。
なお、隊員は個人事業主であることから協力隊以外の仕事との兼業も可能とされていました。ただし受入先での活動日と他の仕事が重なった場合は、隊員としての活動を優先することが求められます。
住居・車・引越は「支給しない」ではなく「書かれていない」
令和6年11月版の募集要項は全9ページありますが、「住居」「家賃」「借上」「引越」という語は、どこにも出てきません。住まいを町が用意するとも、用意しないとも書かれていません。
自動車についても支援の記述はありません。要項に出てくる「自動車」は、7つの受入枠すべてに並ぶ必要資格としての普通自動車免許だけです。未取得の場合は着任後に取得する意思があること、と付記されています。移動手段は自分で用意する前提と読むほかありません。
これは「支給しない」と明記されているのとは違います。書かれていない、というだけです。住まいと車をどうするかは、募集の際に町と受入先へ直接たずねるしかありません。
そのうえで、住まいについては要項の外に手がかりがあります。町の施政方針は令和7年度・令和8年度と続けて、町営住宅と災害公営住宅の空き住戸をお試し移住や地域おこし協力隊などの滞在場所として目的外使用できるよう、弾力的な活用に取り組むと述べています。要項で保証された条件ではありませんが、町がそういう運用を方針に掲げていることは確認できます。
町の移住特設サイトにある定住促進事業補助金には、県外からの引っ越し補助として最大15万円の枠もあります。ただしこれは町内で住宅や土地を取得する人に向けた制度で、取得した住宅に10年以上継続して居住すること、町税の滞納がないことなどが条件です。協力隊として着任する際の引越に、そのまま使えるものではありません。
受入事業者に所属して活動する
女川町の協力隊は、隊員が役場で働く形ではありません。受入先(協力隊の受入れを希望する町内の企業・団体等)での活動を通じて、将来の町内での就業・起業に向けたスキルの習得や、住民・企業・団体等との良好な関係の構築を図るという設計です。活動内容と活動場所をあらかじめ決めておくミッション型で募集されていました。
令和6年11月版の要項に載っていた受入枠は7つ、事業者は6団体です。
| 受入先 | 活動の内容 | 就業時間 |
|---|---|---|
| 女川みらい創造株式会社 | 駅前商業エリア等のエリアマネジメント、遊休不動産を活用する公民連携事業、都市再生・地域再生事業、新規事業の企画立案と運営 | 9時〜17時(土日勤務あり・シフト制) |
| 一般社団法人女川町観光協会 | 特産品の販売、イベントの企画・運営、情報発信、観光客の誘致 | 8時45分〜17時15分(土日勤務あり・シフト制) |
| 一般社団法人女川未来会議出島プロジェクト | 出島トレイル(遊歩道)の開拓・整備、島の生業や環境を生かした体験活動の支援、公共施設の管理、架橋後の新規事業の支援 | 不定(業務内容や気象状況等により変動) |
| 株式会社つなぐ | 総合型地域スポーツクラブの設立と運営、小学校の放課後運動プログラム、幼児教育プログラム、高齢者向け運動プログラム | 9時〜17時(原則・土日勤務あり) |
| 特定非営利活動法人アスヘノキボウ(枠が2つ) | 高校生・大学生の教育プログラムの伴走支援、女川フューチャーセンターの運営、創業後3年以内の事業者への伴走支援/新たな水産資源の開発と研究、創業計画の立案と事業開発 | 9時〜18時(土曜勤務あり・シフト制) |
| 特定非営利活動法人女川町スポーツ協会 | 総合型地域スポーツクラブの運営、イベントの実施、高齢者の巡回指導、スポーツ大会の誘致 | 要項に記載なし |
出島プロジェクトの枠にある「出島架橋完成後」の新規事業とは、出島大橋のことです。この橋は令和6年12月19日に開通式が行われました。要項が作られた令和6年11月の時点では、まだ開通前だったことになります。
28名という人数を支えているのは、受入事業者を随時・上限なしで募る設計です。令和5年5月版の受入事業者募集要項は、募集期間を「随時募集を行います」とだけ定めています。応募要件は、女川町内で活動している事業者であること、個人事業主および任意団体でないこと、風俗営業等を行う事業者でないことなどで、受け入れられる隊員の人数に上限は書かれていません。町が補助金を交付して事業者を支え、事業者が隊員を受け入れる、という積み上げ方です。
受入先の顔ぶれは固定ではありません。中間支援を担う団体が運営する受入事業者インタビューのページには現在6団体が並んでいますが、令和6年11月版の要項にあった株式会社つなぐの代わりに、一般社団法人まちとこが入っています。残り5団体は同じです。
受入先ごとの人数は町から公表されていませんが、出島プロジェクトは自身のサイトで「現在6名が活動中」と書き、応募があれば受け入れる体制は整っているとしています。
応募条件と選考の流れ
令和6年11月版の要項に書かれていた条件です。
- 条件不利地域を除く三大都市圏内の都市地域、政令指定都市、その他都市地域に住民票があり、委嘱決定後に女川町へ住民票と生活拠点を移せること(家族での居住も可能)
- ただし同一地域で2年以上協力隊員として活動し、解嘱から1年以内の場合は、住民票の所在地を問わない
- 心身ともに健康で、地域住民や協力隊と協力して意欲的に活動できること
- 協力活動終了後、女川町で起業・就業して定住する意欲があること
- 女川町地域おこし協力隊としての活動や女川町の魅力などを発信できること
- 地方公務員法第16条に規定する一般職員の欠格条項に該当しないこと
選考は、応募用紙による第1次選考(書類選考)と、面接による第2次選考の2段階です。面接の前に、町の担当者と希望する受入先の職員等による事前面談が行われます。事前面談や面接に出席するための交通費は応募者の負担です。応募の受付期間は随時(8時30分から17時15分まで、土日祝日と12月29日から1月3日までを除く)とされていました。
要項に書かれていた応募先は企画課 定住・土地利用係ですが、いま町のページで問い合わせ先とされているのは地域イノベーション推進課です。担当が変わっています。問い合わせるときは、要項の宛先ではなく町のページの案内に従ってください。
町がこの制度に置いている位置
女川町の人口は、町の人口統計で令和8年7月31日現在5,656人、世帯数3,053です。そこに28名の隊員がいることになります。
お金の面では、令和6年度決算の一般会計で、総務費の主な事業として地域おこし協力隊関係経費5,166万円が挙げられています。
令和8年度の施政方針では、人口減少と地域の担い手づくりという課題に対して、地域おこし協力隊制度を活用し、都市部から若者を中心とした人材を地域全体で積極的に受け入れる方針と、任期を終えた隊員の定住につながる取組への支援を一層推進する方針が示されています。
隊員の活動の様子については、町のページが3つの外部サイトを案内しています。受入事業者インタビューのサイト、動画のチャンネル、記事のページです。このうちインタビューのサイトを運営しているのは、お試し移住のプログラムやオンライン移住相談窓口も担う特定非営利活動法人アスヘノキボウで、同法人自身も受入事業者の1つです。町の外に相談の入口が置かれている、という形になっています。
町の地域おこし協力隊のページには、この制度を「地域おこし」と「自分おこし」の2つをテーマにしている、と書かれています。協力隊の活動を通じて、自分がやりたいこと・向いていることに気づく機会をつくり、その発見を地域に還元してほしい、という考え方です。
募集の有無も条件も、年度によって変わります。この記事に書いた条件は令和6年11月時点のもので、そのあと少なくとも1回改訂されており、その改訂版はいま公開されていません。応募を検討するときは、必ず町の担当課へ直接確認してください。
この記事は女川町公式ホームページおよび総務省の公表資料をもとに作成しています。募集要項の内容は、町のサーバー上に現存しないため、インターネットアーカイブに保存された令和6年11月版によっています。報酬、活動費、応募条件は変わることがあります。最新の情報は必ず女川町の公式ホームページで確認してください。
よくある質問
Q.女川町の地域おこし協力隊の報酬はいくらですか。
A.インターネットアーカイブに残る令和6年11月版の募集要項では、日額13,200円に当月分の活動日数を乗じた額から所得税を控除し、翌月21日に振り込むと定められていました。月額でも年額でもなく日額です。活動時間は原則1月あたり155時間(1日あたり7時間45分)なので、月20日活動した月は264,000円にあたりますが、活動日が少ない月はその分減ります。別に活動費補助金が年間200万円以内で用意されています。ただしこの要項は町のサーバー上にすでに存在せず、そのあとに令和7年5月版が出ていることまでは確認できるものの、その内容は取得できません。現在の額は町の担当課へ確認してください。
Q.社会保険や住まいはどうなりますか。
A.令和6年11月版の募集要項には、女川町や受入事業者との雇用契約・委託契約は存在しないため雇用保険には加入せず個人事業主として活動すること、国民健康保険と国民年金保険は各自で加入・支払いとなることが明記されていました。健康保険料と厚生年金保険料を勤め先と折半する仕組みも失業給付もないため、報酬額をそのまま会社員の給与と比べることはできません。住居・家賃・引越については、全9ページのどこにも記載がありません。支給しないと書かれているのではなく、書かれていないという状態です。町の施政方針では町営住宅などの空き住戸を協力隊の滞在場所として活用する方針が示されていますが、要項で保証された条件ではありません。
Q.いま募集していますか。条件はどこで確認できますか。
A.町の地域おこし協力隊のページには「現在は募集を行っておりません。」とだけ書かれています。募集要項や応募用紙へのリンクはページ上に残っていますが表示されない形になっており、11本すべてが404で、町のサーバー上から取得できません。したがって最新の条件を公開資料から確認する方法は現時点でありません。応募を検討する場合は、町の地域イノベーション推進課へ直接問い合わせてください。要項に書かれていた応募先は企画課定住・土地利用係でしたが、担当が変わっています。
参考にした公式ページ
- 女川町地域おこし協力隊|女川町
- 女川町地域おこし協力隊|女川町(インターネットアーカイブ 2025年9月13日保存)
- 女川町地域おこし協力隊募集要項(令和6年11月版)|女川町(インターネットアーカイブ 2024年12月4日保存)
- 女川町地域おこし協力隊受入事業者募集要項(令和5年5月版)|女川町(インターネットアーカイブ 2024年12月4日保存)
- 令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について|総務省
- 令和6年度 地域おこし協力隊の隊員数等について|総務省
- 人口統計|女川町
- 広報おながわ|女川町
- 広報おながわ 2025年4月号(協力隊通信Vol.1)|女川町
- 広報おながわ 2025年11月号(協力隊通信Vol.2)|女川町
- 広報おながわ 2025年10月号(令和6年度決算)|女川町
- 広報おながわ 2026年5月号(令和8年度施政方針)|女川町
- 広報おながわ 2025年1月号(出島大橋開通)|女川町
- 女川で暮らす 移住・定住|女川でスタート
- 女川で暮らす 移住・定住|住宅関連支援制度
- 女川町地域おこし協力隊 受入事業者インタビュー | 女川きっかけ
- 運営会社について | 女川きっかけ
- 地域おこし協力隊募集中 - 一般社団法人女川未来会議出島プロジェクト
情報は変わることがあります。最新の内容は各公式ページでご確認ください。