栗原市の地域おこし協力隊|活動分野と公開されている活動報告
栗原市の地域おこし協力隊について、8つの業務ごとの活動内容と、公開されている活動報告をまとめます。
栗原市は宮城県の北部にある、県内で最も面積の広い市です。地域おこし協力隊については、隊員が1年間に何をしたかを業務ごとに記録した活動報告書が、令和2年度から毎年公開され続けています。栗原市の公式情報をもとにまとめます。
隊員は何人いるか
栗原市は、平成26年度から地域おこし協力隊制度を活用しています。市の公表によると、2026年4月1日時点で14名が、8つの業務に分かれて活動しています。
一方、総務省が公表した令和7年度の集計では、栗原市の隊員数は17名です。同じ集計で宮城県全体は264名・29自治体、全国は8,196名・1,187自治体でした。
14名と17名は、どちらかが誤りなのではなく、数え方が違います。総務省の数字は令和7年度という1年間を通して活動した隊員を集計したもので、年度の途中で任期を終えた隊員も含まれます。市の14名は2026年4月1日という一時点で活動している隊員の数です。数字を引用するときは、どちらの基準かを必ず添えてください。
制度そのものの仕組みや任期の考え方は、地域おこし協力隊とはどんな制度かにまとめています。
8つの業務が何をしているか
市が公表している業務別の隊員数と、それぞれの活動内容です。かっこ内は2026年4月1日時点の人数です。
- 栗駒山麓ジオパーク推進業務(2名)… 平成20年岩手・宮城内陸地震で生じた自然景観と地域の再生の姿を扱うジオパークで、震災の経験や記憶を後世に伝える活動をしています。2019年に開いたジオパークビジターセンターを拠点に、隊員は「ジオパーク専門員」として、ジオサイトの調査・研究、資源の保護、防災・減災教育などにあたっています。この業務は2014年12月からと、市内で最も古くから隊員を受け入れています
- 花山地区地域資源活用推進業務(2名)… 高齢化率が50パーセントを超える中山間地域で、住民が主体となって一般社団法人を立ち上げ、移住者の受け入れ支援やカフェと直売所の運営に取り組んでいます。市はこれを「小さな拠点づくりプロジェクト」と呼んでいます。2016年6月から受け入れており、令和8年度に業務名が変わりました
- 栗駒地区「六日町通り商店街まちの未来をひらく人!」業務(4名)… 8つの業務で最も人数が多い配置です。藩政時代の城下町の商家として街並みができた商店街ですが、昭和62年の細倉鉱山の閉山、平成19年のくりはら田園鉄道の廃止を経て来訪者が減り、空き店舗が問題になっています。商店街を牽引する人材の育成と店舗づくりが活動の中身です。2016年10月から受け入れています
- 築館地区商店街振興業務(2名)… 奥州街道の宿場町として栄えた市の中心部で、七夕まつりや薬師まつりのときはにぎわう一方、商店主の高齢化と後継者不足で空き店舗が目立ちます。商店街の活性化と、隊員自身の「なりわい」づくりの両方を行います。2020年4月からの受け入れです
- 金成有壁地区「旧宿場町をにぎわす人!」業務(1名)… 岩手県との県境にある旧奥州街道の宿場町が舞台です。1619年に馬継宿場としてつくられ、後に本陣が置かれました。現存する旧有壁宿本陣は国の史跡ですが、平成22年度から閉館され一般公開されていません。地域と連携したまちづくり活動にあたっています。2021年1月からの受け入れです
- 栗原市観光物産推進業務(1名)… 一般社団法人栗原市観光物産協会に所属し、観光データを踏まえたマーケティング、アドベンチャーツーリズムを軸にした滞在型の観光内容づくり、訪日客の受け入れ、地場産品の販売促進などを担当します。2025年5月からと、8つのなかで最も新しい業務です
- 限界集落「文字地区」活性化事業業務(1名)… 地域が展開してきた「MONJI Colors」で商品にした正藍染、苔、行者にんにく、原木きのこの4種類をもとに、販売や新商品づくりを通じて、地域の人と一緒に稼げる仕組みをつくる活動です。2021年9月からの受け入れで、令和7年度に業務名が変わりました
- 「くりでん」保存活動推進業務(1名)… 平成19年に廃止された旧くりはら田園鉄道の資産を伝えるため、2017年に開いた「くりはら田園鉄道公園」と、その核となる「くりでんミュージアム」の管理運営に携わります。市はこの役割を「結び人」と呼んでいます。2016年6月からの受け入れです
商店街の再生が2件、限界集落の活性化が1件、震災遺構を扱うジオパークが1件、旧宿場町が1件。衰退している地区をどう立て直すかという業務が、栗原市の受け入れの中心にあります。
公開されている活動報告
栗原市の特徴は、隊員が1年間に何をしたかを、業務ごとの報告書として毎年公開していることです。市のページを数えると、10の業務について、令和2年度から令和7年度までの活動報告が合わせて43本公開されています(業務によって「活動報告書」「活動報告資料」「活動報告会資料」と呼び方が違います)。上の8業務に加えて、現在は隊員がいない2つの業務のページも残っており、そこにも報告書が置かれています。
業務ごとの本数は次のとおりです。
- 花山地区…6本(令和2年度から令和7年度まで、途切れなく毎年)
- 六日町通り商店街…6本(令和2年度から令和7年度まで、途切れなく毎年)
- 築館地区商店街…7本(令和4年度から令和7年度まで。令和4・5・6年度は隊員1人ずつ別の報告書に分かれています)
- 栗駒山麓ジオパーク…5本(令和2年度から令和6年度まで)
- 限界集落「文字地区」…5本(令和3年度から令和7年度まで)
- 金成有壁地区…5本(令和2年度と令和6・7年度。令和2年度と令和7年度は隊員1人ずつ別の報告書です)
- 農泊推進業務…4本(令和4年度から令和7年度まで。この業務は現在、活動中の隊員がいません)
- 交流・移住プラットフォーム創出プロジェクト推進業務…3本(令和4年度から令和6年度まで)
- 「くりでん」保存活動…1本(令和7年度)
- 観光物産推進…1本(令和7年度)
分量もまちまちで、600キロバイト台のものから40メガバイトを超えるものまであります。報告書は隊員本人が作った資料をそのまま公開する形なので、活動の中身だけでなく、その隊員が1年をどう総括したかまで読めます。応募を考えているなら、募集の文言より先にこちらを読むほうが、実際の活動がつかめます。
報告書のほかに、隊員が関わる広報物も公開されています。花山地区は地区の広報紙「はなやま暮らし」の38号から40号と、第1号から第37号までをまとめた圧縮ファイルを置いています。六日町通り商店街は「かわら版」の第56号と第57号を公開しています。また、業務ごとのソーシャルメディアのページへのリンクが、10の業務ページ全体で8件張られています。
直近の募集で示された条件
栗原市は、募集期間が終わると募集ページを案内から外します。そのため「いま応募できるか」は時期によって変わりますが、直近の募集要項そのものは市のサーバー上に残っており、原本で読めます。
以下は、令和8年4月1日委嘱分の募集要項に書かれていた内容です。この回の申込受付は令和7年10月1日から11月7日までで、すでに終了しています。
- 雇用関係はありません。市が委嘱する形です
- 報償額は月額305,000円
- 住居に係る費用の補助は上限28,000円(市職員の例によります)
- 国民健康保険と国民年金は各自で加入します。傷害保険の加入手続だけは市が行います
- 活動時間は月曜日から金曜日までの週5日、午前8時30分から午後5時15分が目安です。業務によっては夜間や土日祝日の活動も想定されています
- 委嘱期間は委嘱日から年度末まで。最長3年を限度に毎年度更新できます
- 旅費、活動車のリース料、自動車保険料、傷害保険料、セミナーの受講費などは、活動費の範囲内で市が支給します
- 転居にかかる費用、光熱水費など生活に必要な費用は個人負担です
- 兼業は、活動に支障のない範囲で認められます。受入団体や担当課が業務に貢献すると認めた場合は、兼業の時間も活動時間とみなされます
応募の条件としては、3大都市圏または地方都市等に住んでいること(過疎・山村・離島・半島などの条件不利区域に該当しない市町村)、採用後に栗原市へ住民票を移して定住する意欲があること、普通自動車運転免許を持っていること、書類が受理されたあとに2泊3日の「おためし協力隊」に参加できることが挙げられていました。応募は1回につき1業務のみで、審査は書類審査のあと、おためし協力隊と市役所での対面面接という順です。
おためし協力隊は参加費が無料で、宿泊費と体験料は市が負担しますが、集合場所までの交通費と滞在中の飲食費は自己負担です。集合と解散はくりこま高原駅または栗原市役所でした。
ここに挙げたのは、あくまで直近1回分の条件です。次の募集で同じ額・同じ条件になるとは限りません。報酬がどう決まるのかという考え方は、地域おこし協力隊の給料・年収で説明しています。
起業・事業承継への支援
任期の途中や任期後に市内で事業を始める隊員には、栗原市地域おこし協力隊起業支援補助金があります。この補助金は交付要綱が公開されており、平成30年に定められてから令和8年3月まで何度も改正されています。
補助金の額は対象経費の全額で、100万円を超えるときは100万円が上限です。ただし、次のどちらかにあたるときは200万円が上限になります。
- 1人以上の新規雇用を創出する起業のとき
- 承継する事業の既存の雇用数を維持した事業承継のとき
対象になるのは、次のすべてに当てはまる人です。市内に住所があること、市の隊員としての活動期間が1年を超えているか任期が終了して3年以内であること、その年度に起業または事業承継をすること、市税を滞納していないこと。過去にこの補助金や他の市町村の同じ趣旨の補助金を受けたことがある人は対象外です。
対象経費は幅広く定められています。設備費・備品購入費・事業所の賃借に関する経費、登記手続の経費、特許権や商標権などの登録手続、市場調査や広告宣伝の効果検証、資格取得・研修参加・技術指導の受入れ、経営改善に向けた専門人材の活用、新商品開発や新技術導入、従業員の育成と能力開発まで含まれます。
条件を確かめるときの注意
栗原市について調べると、活動の中身は非常によく分かる一方で、制度としての決まりは追いにくいという偏りがあります。理由は2つあります。
ひとつは、募集ページが募集期間の終了とともに案内から外れることです。市の「栗原市地域おこし協力隊員募集中」という索引ページからは、現在、起業支援補助金のページと隊員紹介のページの2つにしかたどれません。募集要項の原本はサーバーに残っていますが、サイトをたどって見つけるのは難しい状態です。
もうひとつは、栗原市の例規集がウェブで公開されていないことです。市の全ページを調べても例規集にあたるものは見つからず、隊員の設置要綱にあたる文書も公開されていません。公開されている要綱は、起業支援補助金の交付要綱だけです。つまり、報酬・住居補助・保険の扱いは「募集のたびに出る要項」でしか確認できず、恒常的な決まりとして参照できる文書がありません。
ここから2つ、気をつけたいことがあります。
- 市以外の情報源が示す金額をそのまま信じないでください。新聞記事や県の移住ポータルが住居補助の額などを具体的に書いていることがありますが、市の要項の数字と一致するとは限りません。額を確かめるなら、要項の原本か市への問い合わせで裏を取ってください
- 募集が出ていない時期でも、担当課に聞けば次の予定を教えてもらえることがあります。応募全般の窓口は企画部市民協働課(電話0228-22-1164)です。業務ごとにジオパーク推進室・企画課定住戦略室・産業戦略課・田園観光課と担当が分かれており、業務の中身についてはそれぞれの課が答えます
なお、花山地区では受入団体である一般社団法人はなやまネットワークが、東京で募集セミナーを開くことがあります。現役隊員や経験者が地区の暮らしぶりを話す場で、参加費は無料です。開催の有無は市の移住定住のページで告知されます。
この記事は栗原市公式ホームページおよび総務省の公表資料をもとに作成しています。隊員数は集計の年度と基準によって変わり、報酬や住居補助などの条件は募集のたびに見直されます。最新の情報は必ず栗原市の公式ホームページで確認してください。
よくある質問
Q.栗原市の地域おこし協力隊は何人いますか。
A.市の公表では2026年4月1日時点で14名が8つの業務で活動しています。総務省の集計では令和7年度に17名でした。総務省は年度を通して活動した隊員を数え、市は特定の日に活動している隊員を数えるという違いがあり、どちらも正しい数字です。栗原市は平成26年度から制度を活用しています。
Q.どんな活動をしているのか、事前に知ることはできますか。
A.できます。栗原市は業務ごとの活動報告書を毎年公開しており、10の業務について令和2年度から令和7年度までの分が合わせて43本置かれています。築館地区と金成有壁地区は隊員1人ずつ別の報告書になっている年度もあります。隊員本人が作った資料がそのまま公開されているため、活動の中身と本人の総括の両方が読めます。
Q.報酬や住居の支援はどうなっていますか。
A.直近の募集(令和8年4月1日委嘱分、受付は令和7年11月7日で終了)の要項では、市との雇用関係はなく委嘱で、報償額は月額305,000円、住居に係る費用の補助は上限28,000円でした。国民健康保険と国民年金は各自で加入し、傷害保険の手続きは市が行います。転居費用や光熱水費は個人負担です。ただしこれは1回分の条件で、次の募集で同じとは限りません。
Q.任期後に市内で起業する場合の支援はありますか。
A.栗原市地域おこし協力隊起業支援補助金があり、対象経費の全額で100万円が上限です。1人以上の新規雇用を創出する起業か、既存の雇用数を維持した事業承継であれば200万円が上限になります。対象は、市内に住所があり、活動期間が1年を超えるか任期終了から3年以内で、市税を滞納していない人です。設備費や登記手続のほか、資格取得や研修参加の費用も対象になります。
参考にした公式ページ
- 栗原市地域おこし協力隊|栗原市
- 栗駒山麓ジオパーク推進業務|栗原市
- 花山地区地域資源活用推進業務|栗原市
- 「くりでん」保存活動推進業務|栗原市
- 交流・移住プラットフォーム創出プロジェクト推進業務|栗原市
- 栗駒地区「六日町通り商店街まちの未来をひらく人!」業務|栗原市
- 築館地区商店街振興業務|栗原市
- 栗原市農泊推進業務|栗原市
- 金成有壁地区「旧宿場町をにぎわす人!」業務|栗原市
- 限界集落「文字地区」活性化事業業務|栗原市
- 栗原市観光物産推進業務|栗原市
- 栗原市地域おこし協力隊員募集中|栗原市
- 栗原市地域おこし協力隊募集要項(令和8年4月1日委嘱分・PDF)|栗原市
- 栗原市おためし協力隊について(PDF)|栗原市
- 栗原市地域おこし協力隊起業支援補助金|栗原市
- 栗原市地域おこし協力隊起業支援補助金交付要綱(PDF)|栗原市
- 花山地区地域おこし協力隊募集セミナー|きてみらいん くらしたい栗原(栗原市)
- 令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について(PDF)|総務省
情報は変わることがあります。最新の内容は各公式ページでご確認ください。