丸森町の地域おこし協力隊|委嘱型と任用型の報酬・保険
丸森町の地域おこし協力隊について、2つの受入形態ごとの報酬と社会保険の扱いをまとめます。
丸森町は宮城県の最南端にあり、町の総面積273.30平方キロメートルのうち約7割を山林が占める町です。地域おこし協力隊については、報酬の額よりも先に「どちらの型で委嘱されるか」を見ないと条件がつかめない仕組みになっています。丸森町の公式情報をもとにまとめます。
委嘱型と任用型の二本立て
丸森町地域おこし協力隊設置要綱(平成28年3月30日告示第46号)は、隊員を2種類に分けて定義しています。第2条で、町長が委嘱する者を委嘱型隊員、町長が任用する者を任用型隊員としています。
委嘱型については、第5条にこう書かれています。
2 隊員は、町との雇用関係は生じないものとする。
3 町長は、地域協力活動の対価として、隊員に対し、予算の範囲内において報償費を支払うものとする。
任用型は第6条で、「法第22条の2第1項第1号に規定する会計年度任用職員とする」と定められています。ここでいう法は地方公務員法です。報酬・手当・費用弁償は丸森町会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例(令和元年丸森町条例第26号)、勤務時間・休日・休暇は同町の規則によることとされています。
同じ「丸森町の地域おこし協力隊」でも、この2つは町との関係がまったく違います。委嘱型は雇用ではないので、受け取るのは給与ではなく報償費です。任用型は町の会計年度任用職員なので、給与も勤務条件も公務員の制度に沿って決まります。募集を見るときは、金額より先にどちらの型かを確かめてください。制度そのもののしくみは地域おこし協力隊とは、報酬の考え方は協力隊の給与・報酬のしくみにまとめています。
委嘱期間は1年以内で、再委嘱を含めて通算3年を超えない範囲です。ただし産前産後または育児のために活動を休止する期間は、この3年から除かれます。任用型も、産前産後休暇と育児休業の期間を除いて通算3年までです。副業は委嘱型・任用型のどちらも、地域協力活動の支障とならない範囲で、あらかじめ町長に届け出ることとされています。
総務省の21人と、町が公表する10人
丸森町の隊員数は、出どころによって2つの数字があります。どちらかが誤りということではなく、数えている時点と範囲が違います。
- 総務省…21人。令和8年4月24日公表の「令和7年度における地域おこし協力隊の活動状況等」に、令和7年度に丸森町で活動した隊員数として21人が載っています。年度を通じた集計です。同じ資料で宮城県全体は264人・29自治体、全国は8,196人・1,187自治体でした。
- 丸森町…10人。町のページ「丸森町で活動する地域おこし協力隊」に「令和8年6月1日現在、丸森町では、10名の地域おこし協力隊が活動しています」とあり、氏名入りの紹介が10人分並んでいます。ある時点で在籍している人数です。
年度の途中で任期が終わる人も、途中で着任する人もいるため、年度を通した延べ人数と、ある日の在籍人数は一致しません。この数字を引用するときは、どちらの出典のどの時点のものかまで書いてください。
累計については、町が公開している「丸森町地域おこし協力隊 制度活用ガイドライン(2021年版)」に「丸森町では2016年から地域おこし協力隊制度を導入し、令和2年度末で累計42名の隊員を採用してきました」と記されています。担当課は企画財政課です。
月額240,000円と、社会保険の扱い
丸森町の募集ページは、本文に報酬を書いていません。金額も勤務時間も保険も、すべて添付の募集要項PDFの中にあります。ページを開いただけで「条件が書かれていない」と判断せず、PDFを開いてください。
町が公開している募集要項では、報酬は次のとおりです。
- 農業(町内の農業法人へ派遣)…月額報酬240,000円。週5日、原則8時30分から17時15分(昼食休憩1時間を含む)、月おおむね160時間。時間外勤務手当なしと明記されています。
- 直売所(丸森物産いちば八雄館、またはいきいき交流センター大内へ派遣)…月額報酬240,000円。勤務時間と時間外勤務手当の書き方は農業と同じです。
- 「まるまるまるもり」プロジェクト(起業型)…報償月額240,000円。月160時間程度で、1日あたり7時間45分の活動を原則とします。町長が委嘱状を交付し、要項に「町との雇用関係はありません」と書かれています。
月額240,000円を月おおむね160時間で割ると、1時間あたり1,500円にあたります。
ただしこの240,000円は、社会保険料が差し引かれたあとの額ではありません。保険についての記載はこうなっています。
- 農業・直売所…「各自国民健康保険及び国民年金に加入することになります。」
- 「まるまるまるもり」プロジェクト…報償月額240,000円の直後に「(国民健康保険・国民年金は各自負担)」。
つまり勤め先の健康保険や厚生年金ではなく、国民健康保険と国民年金に自分で加入し、自分で保険料を払うという形です。委嘱型は雇用関係がないため、こうなります。240,000円という数字は、そこから国民健康保険料・国民年金保険料・住民税・所得税を自分で納めたあとに手元に残る額ではありません。額面だけを見て他の仕事と比べられないのはここです。
なお、いずれの募集要項にも賞与や退職金についての記載はありません。時間外勤務手当は、農業と直売所の要項が「なし」と明記しています。
インターンの「自己責任となります」という書き方
筆甫(ひっぽ)地区には、隊員本体とは別に地域おこし協力隊インターンの枠があります。受入団体は、地区住民全員で構成される一般社団法人筆甫地区振興連絡協議会です。
募集要項に書かれている条件は次のとおりです。
- 報償費は日額12,000円。交通費、活動費、居住に係る費用を含むとされています。
- 委嘱期間は2週間以上3か月以下で、延長はありません。
- 月の活動時間は160時間以内。
- 活動した翌月7日までに活動報告書を提出し、実績に応じて翌月21日に支給されます。源泉所得税が控除されます。
待遇と福利厚生の欄には、こう書かれています。
丸森町との雇用関係はなく、丸森町地域おこし協力隊として委嘱します。
社会保険等はありません。活動中にケガや病気等にあわれても自己責任となりますので、必要な方はご自身で保険等へ加入してください。
ここまではっきり書く募集要項は多くありません。裏を返せば、応募する側は保険をどうするかを自分で決めてから応募することになります。
インターン期間が終わったあとは、町との協議・選考を経て地域おこし協力隊として活動することが想定されている、とも書かれています。ただし同じ要項に「地域おこし協力隊インターンとして採用された場合であっても、インターン期間終了後の地域おこし協力隊としての採用が確約されるものではありません」という断りがあります。
住居・車・引越はどう書かれているか
ここは要項ごとに書きぶりが分かれます。「支給しない」と書いてあるのではなく、書いていない、または「紹介」までにとどまるという状態です。
- 住居…農業と直売所の要項には、住居についての記載がありません。「住居」「住宅」「家賃」という語そのものが出てきません。「まるまるまるもり」プロジェクトの要項は「住居(町及び支援団体等で紹介します。)」で、紹介であって家賃の負担ではありません。一方、設置要綱第10条は町の役割として「地域協力活動に必要な住居、用具等の確保に係る支援」を挙げています。実際にいくら自己負担になるのかは要項からは読み取れないため、応募前に担当課へ直接確認してください。
- 車…農業と直売所は「活動に必要な費用を予算の範囲内で補助します。例)車リース代、ガソリン代、研修費用、資格取得など」。「まるまるまるもり」プロジェクトは「活動車両(活動費からリース対応可能)」。どちらも活動費から手当てする書き方で、車そのものを町が貸与するとは書かれていません。応募条件には普通自動車運転免許が入っており、「まるまるまるもり」プロジェクトでは「活動するための自動車等を確保できる方」まで求めています。
- 引越費用…3つの要項のいずれにも記載がありません。一方で、応募前の現地体験にかかる交通費・宿泊費と、選考試験に要する交通費については「個人負担となります」と明記されています。
活動費と起業補助金
報酬とは別に、活動にかかる費用の補助が要綱で定められています。丸森町地域おこし協力隊活動費等補助金交付要綱(平成30年11月30日告示第92号、令和7年4月1日施行)です。
| 補助対象活動 | 補助対象経費の例 | 交付限度額 |
|---|---|---|
| 地域協力活動 | 報償費、需用費(消耗品・燃料費・印刷製本費等)、旅費、使用料(会場使用料・車両借上料等)、役務費、委託料、負担金など | 1人につき年間150万円以内 |
| 起業活動 | 設備及び備品購入費、土地及び建物の賃借、法人登記、知的財産登録、マーケティング、技術指導受入れなど | 1人につき1回限り100万円以内 |
地域協力活動のほうは、隊員だけでなく隊員活動支援団体(隊員を1人以上受け入れている団体)も補助対象者になります。燃料費や車両借上料がここに含まれている点は、車にかかる費用がどこから出るのかを考えるときの手がかりになります。
起業のほうには条件が付きます。対象は、町内に住所があり、任期終了の日から前後1年以内に町内で起業しようとする隊員です(委嘱期間が1年未満の人は除かれます)。そして任期終了後3年以内に町外へ転出したり、起業した事業をやめたりすると、交付決定が取り消され、補助金の返還を求められます。返還額は任期終了後に町内に住所を有していた期間で変わり、1年未満なら交付決定額の全額、1年以上2年未満なら75%、2年以上3年以内なら50%です。町長がやむを得ない理由があると認める場合は除かれます。
受入団体と活動の中身
町の隊員紹介ページでは、10人が6つの受入先に分かれて掲載されています。
- まるもり移住・定住サポートセンター「じゅーぴたっ」
- 「まるまるまるもり」プロジェクト
- 株式会社伊具緑化・MARUMORI-SAUNA株式会社
- 一般社団法人たね屋ビレッジ
- 株式会社石塚養蜂園
- 耕野振興会
紹介されている活動には、移住・定住サポートセンターからの情報発信、クラフトジンとクラフトウイスキーの製造、地元産品を使った菓子の製造販売、木版画と丸森和紙を使った商品づくり、保護猫を軸にした場づくり、竹と竹炭を使った商品開発、キャンプ場や一棟貸切宿でのアウトドア料理と体験プログラムの企画、シェア&ゲストハウスを拠点にした運営と交流の場づくり、養蜂園の素材を使った特産品開発、旧小学校を活用した居場所づくりとデジタルの相談窓口の運営があります。
「まるまるまるもり」プロジェクトは、町が株式会社全力優(旧・株式会社MAKOTO WILL)および株式会社ラナエクストラクティブと協力して発足させた移住起業家支援の枠です。募集要項に「これまで19名の方が起業型の地域おこし協力隊として移住し」とあり、町のメンバー紹介ページにも1期生から8期生まで19人の名前が並んでいます。委嘱後1年以内に開業または法人設立を目標とすることが要項に明記されており、一度の委嘱期間は1年以内で、目標の達成度合いによって都度更新される仕組みです。
受入団体そのものも公募されています。町は令和7年1月に「令和7年度 丸森町地域おこし協力隊制度を活用した地域活性化等業務プロポーザル要項」を出し、町内に事務所がある団体を対象に、企画提案によって受入団体を選んでいます。団体の役割には、隊員の募集・採用活動、生活と活動環境の支援、活動への随行、隊員との定期的な面談などが挙げられています。
応募条件と、募集情報の確認先
設置要綱第4条が定める資格は次のとおりです。
- 地方公務員法第16条に規定する欠格条項に該当しないこと
- 三大都市圏をはじめとする都市地域等に住民票があり、丸森町へ住民票を移す意思があること
- 心身ともに健康で、地域の活性化に対する意欲・熱意があり、積極的に地域協力活動に従事できること
- 活動終了後も町内に定住し、就業・起業しようとする意欲があること
- 普通自動車運転免許を持っているか、委嘱後3か月以内に取得する見込みがあること
隊員となることが決定した人は、決定の日から委嘱または任用の日までの間に、住民票を丸森町へ移します。個別の募集要項ではこれに加えて、「採用前に丸森町に定住、または生活の拠点がある方は対象となりません」「宮城県丸森町以外(過疎地域に該当する市町村の地域等を除く。)に住所を有する方」といった条件が付きます。自分が住んでいる市町村が対象になるかどうかは、担当課に確認してください。
問い合わせ先は募集によって分かれています。
- 制度全体とインターン…丸森町役場企画財政課(電話0224-72-3024)
- 農業・直売所…丸森町役場農林課農政班(電話0224-72-2113)
- 「まるまるまるもり」プロジェクト…丸森町役場商工観光課商工班(電話0224-87-7620)
役場の所在地は宮城県伊具郡丸森町字鳥屋120番地、開庁時間は午前8時30分から午後5時15分(土曜日・日曜日・祝日・年末年始を除く)です。
募集の有無、募集人数、受付期間は時期によって変わります。丸森町公式ホームページの「しごと・産業」のなかにある「地域おこし協力隊」のページに、その時点の募集がまとまっています。受付が終わった募集の要項がページに残っていることもあるため、応募の前に受付期間と要項の年度を必ず確かめてください。
この記事は丸森町公式ホームページ、丸森町の例規・募集要項および総務省の公表資料をもとに作成しています。報酬額・支援内容・隊員数・募集の有無は変わることがあります。最新の情報は必ず丸森町の公式ホームページと最新の募集要項で確認してください。
よくある質問
Q.丸森町の地域おこし協力隊の報酬はいくらですか。
A.町が公開している募集要項では、農業・直売所・「まるまるまるもり」プロジェクトのいずれも月額240,000円です。ただしこれは雇用ではなく委嘱に対する報償で、農業と直売所の要項には時間外勤務手当なしと明記されています。インターンは別枠で、報償費日額12,000円(交通費・活動費・居住に係る費用を含む)です。金額は変わることがあるため、応募前に丸森町の公式ホームページと最新の募集要項で確認してください。
Q.社会保険には入れますか。
A.現在公開されている募集要項では、勤め先の健康保険や厚生年金への加入は示されていません。農業と直売所の要項は「各自国民健康保険及び国民年金に加入することになります」、「まるまるまるもり」プロジェクトの要項は「国民健康保険・国民年金は各自負担」と書いています。筆甫地区のインターンの要項はさらに踏み込んで「社会保険等はありません。活動中にケガや病気等にあわれても自己責任となりますので、必要な方はご自身で保険等へ加入してください」と記しています。なお設置要綱には、町が任用する会計年度任用職員としての任用型隊員も定められており、その場合は町の条例と規則に沿った扱いになります。
Q.住むところや引越の費用は用意してもらえますか。
A.農業と直売所の募集要項には、住居についての記載がありません。「まるまるまるもり」プロジェクトの要項は「住居(町及び支援団体等で紹介します。)」で、紹介にとどまります。引越費用については3つの要項のいずれにも記載がなく、現地体験や選考にかかる交通費・宿泊費は個人負担と明記されています。一方で設置要綱第10条は、町の役割として住居や用具等の確保に係る支援を挙げています。実際の負担がどうなるかは要項からは読み取れないため、担当課に確認してください。
Q.丸森町の隊員は何人ですか。総務省の数字と町の数字が違います。
A.総務省が令和8年4月24日に公表した令和7年度の集計では21人、丸森町の公式ページでは令和8年6月1日現在で10人です。総務省の数字は年度を通じて活動した隊員の集計、町の数字はその日に在籍している人数なので、一致しません。どちらかが誤りということではなく、引用するときは出典と時点を併記してください。累計では、町のガイドラインに令和2年度末で累計42名を採用したと記されています。
参考にした公式ページ
- 丸森町地域おこし協力隊設置要綱(丸森町例規集)
- 丸森町地域おこし協力隊活動費等補助金交付要綱(丸森町例規集)
- 丸森町で活動する地域おこし協力隊(丸森町)
- 地域おこし協力隊(丸森町 しごと・産業)
- 丸森町地域おこし協力隊(農業)を募集します!!(丸森町)
- 丸森町地域おこし協力隊募集要項(農業)[PDF](丸森町)
- 丸森町地域おこし協力隊(直売所関係)を募集します!!(丸森町)
- 丸森町地域おこし協力隊募集要項(直売所関係)[PDF](丸森町)
- 「まるまるまるもりプロジェクト」令和9年度着任メンバーを2名募集!!(丸森町)
- 令和9年度採用 宮城県丸森町「しごと」づくり人材誘致事業 地域おこし協力隊募集要項[PDF](丸森町)
- 筆甫地区で活動する地域おこし協力隊インターンを募集します!(丸森町)
- 宮城県丸森町地域おこし協力隊インターン(地域連携型・筆甫地区)募集要項[PDF](丸森町)
- 「まるまるまるもり」プロジェクト 移住起業家が活躍中!(丸森町)
- 丸森町地域おこし協力隊 制度活用ガイドライン(2021年版)[PDF](丸森町)
- 令和7年度 丸森町地域おこし協力隊制度を活用した地域活性化等業務 プロポーザル要項[PDF](丸森町)
- 令和7年度における地域おこし協力隊の活動状況等(総務省)
- 令和7年度における地域おこし協力隊の活動状況等 別紙[PDF](総務省)
情報は変わることがあります。最新の内容は各公式ページでご確認ください。