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宮城県の地域おこし協力隊 待遇比較|報酬・契約形態・住居を市町村別に

16分で読めます執筆: TownHub編集部
地域おこし協力隊仙台市

宮城県内の地域おこし協力隊の報酬と契約形態、住居や車の支援を市町村ごとに並べて比べます。

宮城県は総務省の令和7年度の集計で264名・29自治体が地域おこし協力隊を受け入れています。県内の市町村の募集要項と例規集をもとに、報酬と契約形態、社会保険や住居の支援を横断でまとめます。

宮城県は契約形態が4通りに割れている

宮城県内の募集を並べると、同じ県の中で契約形態が4通りに分かれます。額面の月額だけを横に並べると、読者は必ず判断を誤ります。

  • 市町村が委嘱するだけで、雇用関係を持たない形… 栗原市、東松島市、女川町、丸森町、石巻市の地域課題提案型。個人事業主として活動します
  • 受入事業者や受入企業が雇用する形… 仙台市、気仙沼市、富谷市、南三陸町、利府町。首長が委嘱しますが、雇用契約の相手は市町村ではありません
  • 市町村が会計年度任用職員として任用する形… 石巻市の右腕型、加美町の任用型。非常勤の地方公務員になります
  • 業務委託の形… 加美町の委託型、七ヶ宿町。市町村と業務委託契約を結びます

要綱の書き方は驚くほど似ています。仙台市の設置要綱第4条は「隊員は、市が指定する活動支援事業者(以下「活動支援事業者」という。)との雇用契約のもとで第2条に掲げる地域協力活動に取組むものとし、市との雇用契約は存在しないものとする。」と定めています。富谷市の設置要綱第4条も「隊員は、事業者との雇用契約により第2条に掲げる地域協力活動に取り組むものとし、市との雇用契約は存在しないものとする。」です。どちらも「市との雇用契約は存在しない」ですが、隊員には雇用主がいます。

一方、栗原市の募集要項は「栗原市との雇用関係はありません。(栗原市から委嘱する形となります。)」と書き、東松島市は「東松島市や受入れ先企業との雇用契約、委託契約は存在しません。」と続けます。こちらは雇用主そのものがいません。同じような一文でも、意味が正反対です。

制度そのものの仕組みや任期の考え方は地域おこし協力隊とはにまとめています。

305,000円と230,400円は、そのままでは比べられない

宮城県内でいちばん高い月額は栗原市の305,000円です。低いほうに見えるのが加美町の任用型の230,400円で、差は74,600円あります。しかしこの2つは、並べて比べられる数字ではありません。

栗原市の令和8年4月1日委嘱分の募集要項は、報償額を示す前に次のことを書いています。

  • 雇用関係なし…「栗原市との雇用関係はありません」
  • 保険は自分で…「国民健康保険、国民年金は各自で加入していただきます」。市が手続きするのは委嘱期間中の傷害保険だけです
  • 賞与・退職金の定めなし… 要項に期末手当や退職手当の記載がありません

つまり305,000円は、健康保険料も年金保険料も全額を自分で納める前提の数字です。所得税も自分で確定申告して納めます。

一方の230,400円は、加美町の会計年度任用職員の給料月額です。加美町会計年度任用職員の給与に関する規則の別表(職種別基準表)には「地域おこし協力隊員」という職種が置かれ、職務の級1・号俸24と指定されています。この号俸を加美町職員の給与に関する条例の別表第1(行政職給料表)で引くと、1級24号俸は230,400円です。会計年度任用職員なので、健康保険と厚生年金に町を通じて加入し、保険料は町と折半します。期末手当の対象にもなります。

額面の差74,600円のうち、どれだけが手元に残る差なのかは、この2つの数字からは読み取れません。社会保険料の事業主負担分と期末手当を足し戻せば差は縮みます。住居補助の上限も、栗原市は月額28,000円、加美町は月額40,000円で逆に並びます。額面・契約形態・社会保険・住居補助をひとまとめにして、はじめて比べる意味が出てきます。

報酬の決まり方そのものは地域おこし協力隊の給料・年収で説明しています。

同じ市の中でも入れ替わる

市町村をまたぐと、地域の違いなのか制度の違いなのか分かりにくくなります。石巻市は同じ市が2つの型を並べて公表しているので、契約形態だけの違いがそのまま見えます。

項目右腕型地域課題提案型
隊員の身分パートタイム会計年度任用職員個人事業主
従事先市内の受入事業者市内(提案内容により決定)
活動期間原則1年(最長3年)原則1年(最長3年)
報酬199,500円/月266,000円/月
賞与、手当等有(通勤手当、期末手当・勤勉手当)
健康保険社会保険国民健康保険
活動費補助1,200,000円/年2,000,000円/年

額面は地域課題提案型のほうが月66,500円高く、活動費の枠も年80万円多い。それでも、どちらが有利かは一言では決まりません。右腕型には期末手当と勤勉手当が付き、健康保険と厚生年金の保険料は市が半分を負担します。地域課題提案型は賞与が無く、国民健康保険と国民年金を自分で納めます。

活動費の中身も見てください。石巻市の活動費補助金は「隊員が居住する住居家賃(家賃は2分の1補助)」「活動用車両の借上げに要する経費(活動割合分補助)」「活動用車両の維持に係る消耗品、ガソリン代等(活動割合分補助)」を対象にしています。家賃は全額ではなく2分の1、車の費用は活動割合に応じた按分です。枠の大きさが、そのまま手元の余裕にはなりません。

市町村別の待遇一覧

各市町村の募集要項・例規集・委託要領に書かれている内容です。優劣を付けるための表ではありません。額面の高さは、その右側の列とセットでなければ意味を持ちません。

市町村隊員数契約形態報酬社会保険住居引越
仙台市14市長が委嘱し、活動支援事業者が雇用。市との雇用契約は存在しないと要綱に明記報償費 月額266,666円(所得税等を含む)要綱・要領に記載なし活動支援事業者が指定。家賃は市が負担する活動費の充当先車両の使用料と任意保険料も同じ活動費から記載なし
石巻市(右腕型)13パートタイム会計年度任用職員199,500円/月。賞与・手当等あり社会保険活動費補助(年120万円)から家賃の2分の1借上げと維持費を活動割合分補助記載なし
石巻市(地域課題提案型)同じ13名の内数個人事業主266,000円/月。賞与・手当等なし国民健康保険活動費補助(年200万円)から家賃の2分の1借上げと維持費を活動割合分補助記載なし
気仙沼市(リアスの森応援隊)21特定非営利活動法人リアスの森応援隊との雇用契約。週40時間月額242,000円(ほかに通勤手当相当額と期末手当)健康保険・厚生年金・雇用保険に加入記載なし借上料・燃料費は市から受入団体への委託料でまかなう転居費用・光熱水費・自治会費は個人負担と明記
気仙沼市(気仙沼水産資源活用研究会)同じ21名の内数気仙沼水産資源活用研究会との雇用契約。週29時間以内月額220,000円以内(ほかに期末手当・通勤手当と、1年以上の雇用の場合の退職手当)健康保険・厚生年金・雇用保険に加入予算の範囲内で一部支給できることがある借上料等は予算の範囲内転居費用・光熱水費・自治会費は個人負担と明記
栗原市17市が委嘱するのみ。雇用関係なしと要項に明記月額305,000円国民健康保険・国民年金は各自加入と明記。市は傷害保険の手続きのみ上限28,000円を市が補助活動車リース料を活動費から支給(貸与ではない)個人負担と明記
東松島市10市とも受入先企業とも雇用契約・委託契約なし。個人事業主扱いと明記月額260,000円(日額13,000円相当・月155時間)。賞与・退職金はないと明記雇用保険に加入しないと明記活動費補助金(年200万円以内)の対象経費原則持ち込み。無ければリース、燃料費は活動割合で按分個人負担と明記
富谷市11市長が委嘱し、受入企業が雇用。市との雇用契約は存在しないと要綱に明記月額233,333円(社会保険料等の個人負担分を控除。実額は受入企業が決定)受入企業ごとの欄に有無を記載する設計月額50,000円を限度に受入企業が家賃を助成受入企業と協議し、燃料代を予算内で助成個人負担と明記
七ヶ宿町12雇用受入補助金の対象者か、業務委託の2系統(設置要綱第2条)。委託要領第10条で町が隊員に報酬を支払う公表なし公表なし公表なし公表なし公表なし
利府町18町が受託者に業務委託し、受託者が隊員を雇用委託費の内訳上限として、隊員1名当たり報償及び活動経費 月額400,000円未確認隊員の活動に必要な経費は委託料の範囲内で受託者が支払う同左未確認
丸森町21町長が委嘱状を交付。町との雇用関係はないと要項に明記報償 月額240,000円募集3本は国民健康保険・国民年金を各自負担。筆甫地区のインターン要項1本のみ「社会保険等はありません」と明記活動費補助金(年150万円以内)の対象経費同左記載なし
加美町(任用型)12会計年度任用職員(設置要綱第6条)月額230,400円(給料表1級24号俸)会計年度任用職員として加入住居借上料 月額40,000円が上限設置要綱別表の経費として予算の範囲内記載なし
加美町(委託型)同じ12名の内数町との雇用関係は生じないと要綱に明記。勤務条件は受入団体が定める公表なし公表なし住居借上料 月額40,000円が上限委託料の範囲内記載なし
女川町28町長が委嘱。町とも受入事業者とも雇用契約・委託契約なし。個人事業主と明記報償費(謝礼金)日額13,200円。月155時間・1日7時間45分が原則雇用保険に加入しないと明記。国民健康保険・国民年金は各自で加入・支払い記載なし記載なし記載なし
南三陸町19事業者・団体が直接雇用し、町長が委嘱月給180,000円〜220,000円(令和8年度で確認できた4件)。賞与あり雇用保険・健康保険・厚生年金保険・労災保険の適用あり住宅手当あり。金額が分かるのは求人票の1件のみ(0〜12,400円)記載なし記載なし

隊員数の列は、総務省「令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について」の数字でそろえています。29自治体すべてを同じ基準で取れる資料がこれだけだからです。各市町村が自分のページで公表している人数とは基準時点が違い、一致しないことがあります。

宮城県内で受け入れているのは29自治体です。この表に無い塩竈市・白石市・角田市・登米市・大崎市・蔵王町・村田町・柴田町・川崎町・亘理町・山元町・大和町・大郷町・大衡村・色麻町・涌谷町・美里町にも隊員がいます。表に無いことを「受け入れていない」と読まないでください。

表の数字は、資料の時点がそろっていない

上の表は1つの年度の資料を並べたものではありません。自治体ごとに、公式で確認できるいちばん新しい資料の年度が違います。

市町村根拠にした資料の時点
石巻市令和8年8月1日現在(ページ更新日 2026年8月3日)
丸森町令和9年度採用分を含む現行の募集4本
栗原市令和8年4月1日委嘱分の募集要項
南三陸町令和8年度の募集
東松島市令和7年度の募集(ページ更新日 2025年12月1日)
利府町令和5年度からの3か年委託。委託期間は令和8年3月31日まで
女川町令和6年11月版。町のサーバー上に要項が残っておらず、アーカイブ経由でしか読めない
富谷市令和5年度の地場産業クリエイター募集要項

もっとも新しい石巻市と、もっとも古い富谷市では3年の開きがあります。富谷市の233,333円は令和5年度の数字で、いま同じ額とは限りません。

女川町はさらに厄介です。町の地域おこし協力隊のページには募集要項へのリンクが7本並んでいますが、そのすべてが現在404で、1本も開けません。リンクは残っているのにファイルが消えている状態で、本文の内容はアーカイブでしか確認できません。リンクがあることと、読めることは別です。

利府町の委託は令和8年3月31日で期間が満了します。同じ条件が続く保証はありません。この表を根拠に「どこが高いか」を決めないでください。応募を考えるときは、その時点の募集要項を必ず自分で開いてください。

社会保険の有無で、同じ額面でも手取りが変わる

宮城県内でとくにはっきり分かれるのが社会保険です。

事業主と折半して健康保険・厚生年金に入る形は、石巻市の右腕型、気仙沼市の2つの募集、加美町の任用型、南三陸町です。気仙沼市の要項は「健康保険・厚生年金・雇用保険の社会保険に加入します。被雇用者負担分は上記報酬支払時に天引きします。」と書いています。南三陸町は令和8年度の各募集で雇用保険・健康保険・厚生年金保険・労災保険の適用が示されています。

自分で国民健康保険と国民年金に入る形は、栗原市、丸森町の募集3本、女川町、石巻市の地域課題提案型です。栗原市は「国民健康保険、国民年金は各自で加入していただきます」と書き、市が手続きするのは傷害保険だけだと続けます。

ここで注意してほしいことが2つあります。

  1. 「記載が無い」と「無いと明記されている」は別のことです。仙台市は確認できた3つの事業のどの要綱にも要領にも社会保険の記載がありませんが、それは「無い」という意味ではありません。書かれていないだけです。一方、東松島市と女川町は「雇用保険には加入せず」と本文で明記しています。この2つを同じ扱いにすると判断を誤ります
  2. 同じ町の中でも分かれます。丸森町は現行の募集4本のうち、筆甫地区のインターン要項1本だけが「社会保険等はありません」と明記し、残りの3本は「各自国民健康保険及び国民年金に加入することになります」と書いています。町名で覚えず、応募する募集の要項で確かめてください

額面が同じでも、保険料を自分で全額払う形と、事業主と折半する形では、手元に残る額が違います。

日額と月額を、そのまま並べない

女川町だけは日額表記です。報償費(謝礼金)は日額13,200円で、活動日数を掛けた額から所得税を引いて翌月に振り込まれます。

女川町の活動時間は「原則1月当たり155時間(1日当たり7時間45分)」なので、155時間を7時間45分で割ると月20日です。20日活動した月なら13,200円×20日で264,000円になります。東松島市の月額260,000円は「日額13,000円相当・月155時間」と併記されており、ほとんど同じ設計です。

ただし女川町の要項には「活動日数に基づいて支払われるため、任期初月の翌月から振込みが始まります」と書かれています。日額制は、活動できなかった日がそのまま収入の減少になります。月額制の市町村と同じ列に置くときは、この違いを忘れないでください。

賞与と退職金

賞与と退職金の扱いも、契約形態にそのままついてきます。

  • 会計年度任用職員(石巻市の右腕型、加美町の任用型)… 石巻市は通勤手当と期末手当・勤勉手当を「有」と明示しています。加美町は報酬・手当・費用弁償を会計年度任用職員の給与条例と規則の定めによるとしています
  • 受入団体の雇用(気仙沼市、南三陸町)… 気仙沼市は2つの募集とも期末手当を支給し、水産資源活用研究会の募集は1年以上の雇用の場合に退職手当も支給します。南三陸町は確認できた募集で賞与ありと示されています
  • 委嘱のみ(東松島市)…「※賞与、退職金はありません。」と要項に明記されています
  • 委嘱のみ(栗原市・女川町・丸森町)… 要項に賞与や退職手当の定めがありません。ただしこれは「無いと明記されている」のではなく「書かれていない」状態です
  • 個人事業主(石巻市の地域課題提案型)… 比較表で賞与・手当等が「無」と明示されています

月額だけを12倍しても年収にはなりません。期末手当が付く募集と付かない募集を同じ物差しで測ると、年間で数十万円の読み違えになります。

住居補助の上限額は、そろっていない

住居の支援は宮城県内でいちばんばらつきが大きい項目です。金額や割合が公表されているものを並べます。

市町村住居支援の内容誰が出すか
富谷市月額50,000円を限度に家賃を助成受入企業
加美町住居借上料 月額40,000円が上限(管理費・駐車場料を含む実費相当額)町が設置要綱の別表に基づき負担
栗原市上限28,000円市が職員の例により補助
石巻市家賃の2分の1(活動費補助の枠内)市の活動費補助金
南三陸町住宅手当あり。金額が分かるのは求人票の1件のみ(0〜12,400円)受入事業者
気仙沼市(気仙沼水産資源活用研究会)予算の範囲内で一部支給できることがある市の協力隊業務の予算
仙台市住居は活動支援事業者が指定。家賃は市が負担する活動費の充当先市の活動費
東松島市・女川町上限額の公表なし。活動費補助金(年200万円以内)の対象経費市町の活動費補助金

上限がいちばん高い富谷市の50,000円と、栗原市の28,000円では月に22,000円の差があります。年に換算すると264,000円です。月額の比較だけでは、この額は視野に入りません。

もうひとつ見落としやすいのが、その金額が誰の財布から出るかです。加美町は町が設置要綱の別表で負担すると定めています。東松島市と女川町は年200万円以内の活動費補助金の枠から出し、丸森町は年150万円、石巻市は型によって年120万円か年200万円です。枠が決まっているので、家賃が高ければ活動に使える額が減ります。市町村が別に持ってくれるわけではありません。富谷市と南三陸町は、市町ではなく受入企業や受入事業者が出します。

引越費用は自己負担のことが多い

見落とされがちですが、転居にかかる費用を自己負担と明記している市が4つあります。

  • 栗原市…「転居にかかる費用、光熱水費等、生活に必要な費用については、個人負担とします」
  • 東松島市… 自己負担となる経費として「転居に係る費用、食費、光熱水費、町内会費など」を挙げています
  • 富谷市…「※転居にかかる費用、光熱水費等の経費は個人負担となります。」
  • 気仙沼市… 2つの募集とも「転居に要する費用、光熱水費などの生活に係る経費、自治会費等は個人負担となります。」

栗原市はさらに、第2次審査に要する交通費と宿泊費も個人負担だと要項に書いています。着任前にまとまった出費があることを、月額の数字は教えてくれません。

任期後の支援には「返す条件」がつくことがある

任期が終わったあとの支援は、市町によって性格がかなり違います。

栗原市の地域おこし協力隊起業支援補助金は、対象経費の全額を100万円まで、1人以上の新規雇用を創出する起業のとき、または既存の雇用数を維持した事業承継のときは200万円までと定めています。対象になるのは活動期間が1年を超える隊員か、任期が終了して3年以内の元隊員です。返還が生じるのは要件を欠いたとき・不正があったとき・条件に違反したときで、定住を続けなかったことを理由とする返還条項はありません。

加美町には、任期のあとに受け取る助成金があります。加美町地域おこし協力隊員定住支援助成金交付要綱は、1年以上活動して任期終了後も引き続き加美町に住所を有する人に、月額1万5千円を任期終了後1年間交付すると定めています。支給は前期(4月から9月)9万円、後期(10月から3月)9万円の2回に分かれます。

丸森町は違います。丸森町の補助金には返還条項があります。任期終了後に町内に住所を有していた期間が1年未満なら交付決定額の100分の100、1年以上2年未満なら100分の75、2年以上3年以内なら100分の50を返還することになります。

任期後の支援を「もらえる額」としてだけ見ないでください。丸森町の場合、受け取ったあと3年間は町にとどまることが実質的な条件になります。事情が変わって転出すると、返す側にまわります。金額の大きさではなく、その金額に何年ぶんの拘束がついているかを見てください。

丸森町にはもうひとつ読み違えやすい点があります。地域協力活動に対する年150万円以内の補助は、対象者に「隊員活動支援団体」が含まれています。隊員個人に150万円が渡るとは限りません。

副業や兼業は「認める」の中身が違う

副業や兼業の扱いは、要項の書き方が似ていても中身が違います。宮城県内で確認できた書き方を並べます。

  • 富谷市…「地域おこし協力隊の活動に支障のない範囲内で、受入企業の承諾がある場合、市との協議を経て副業を認めます」。受入企業の承諾と市との協議の2つが要ります
  • 栗原市…「委嘱後の兼業は、地域おこし協力隊の活動に支障のない範囲で認めます」。さらに、受入団体や業務担当課が業務に貢献すると認めた兼業は、その時間も活動時間とみなすとしています
  • 女川町… 個人事業主なので活動以外の仕事との兼業も可能としつつ、受入先での活動日と重なった場合は隊員としての活動を優先するよう求めています
  • 気仙沼市(気仙沼水産資源活用研究会)… 週29時間以内での稼働とし、それ以外の時間は地域活動・起業準備・業務委託やフリーランスとしての副業などに充ててよい設計です
  • 南三陸町… 確認できた募集では「副業可」と示されています

「認めます」と「承諾がある場合、協議を経て認めます」は、1文だけ読むと同じに見えます。前者は自分で決められますが、後者は相手が決めます。任期中に副収入を見込むなら、ここは月額と同じ重さで確認する項目です。

隊員数は資料によって3系統ある

宮城県内の隊員数は、公表資料によって数が違います。どれかが誤りというわけではなく、集計している主体と基準時点が違います。

資料集計主体基準時点隊員数自治体数
令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について総務省令和7年度264名29自治体
地域おこし協力隊とは宮城県令和7年4月1日169名24市町(9市15町)
みやぎ移住・交流ガイド宮城県令和8年4月1日197名29自治体

県の令和7年4月1日の資料には、白石市・角田市・大和町・大郷町・大衡村の5団体が載っていません。総務省の令和7年度の資料にはこの5団体が並んでいます。県の資料に名前が無いことを「その市町村には隊員がいない」と読まないでください。基準時点が違えば、受け入れを始めた団体は入れ替わります。引用するときは、どの資料の何時点の数字かを必ず添えてください。

総務省の資料では、宮城県内でもっとも隊員が多いのは女川町の28名です。人口が県内でも小さい町に、県内最多の隊員がいます。次いで丸森町と気仙沼市が21名、南三陸町が19名、利府町が18名と続きます。仙台市は14名で、人口規模の順とは一致しません。隊員数は人口ではなく、その自治体が制度をどれだけ使っているかを表しています。

任期を終えたあとの定住については、県全体と市の両方に数字があります。総務省の集計では、宮城県で直近5年(令和2年4月1日から令和7年3月31日まで)に任期を終えた隊員は279名、うち同じ地域に定住したのは188名で、定住率は67.4パーセントです。市の単位では、東松島市が1年以上の任期を終えて卒業した隊員25人中19人が地域に定住したと公表し、石巻市は令和8年8月1日現在で29名を委嘱し、退任した17名のうち14名が市内での就労または定住に繋がったと公表しています。市町村ごとの実績を出しているところは多くありません。市町村ごとの受入状況は宮城県の地域おこし協力隊にまとめています。

条件を確認する順番

  1. 契約形態を最初に見る… 委嘱のみか、受入事業者の雇用か、会計年度任用職員か、業務委託か。宮城県内は4通りあります
  2. 「雇用契約は存在しない」の意味を確かめる… 雇用主が別にいるのか、雇用主そのものがいないのかで、まったく違います
  3. 社会保険を見る… 国民健康保険・国民年金を自分で納めるのか、事業主と折半するのか。「書いていない」のか「無いと明記されている」のかも区別してください
  4. 賞与と退職金を見る… 期末手当が付くかどうかで年収は大きく変わります
  5. 活動時間を見る… 東松島市も女川町も月155時間です。月額を時間で割ると別の姿が見えます。日額制なら休んだ日の分は減ります
  6. 住居と車の費用がどこから出るかを見る… 市町村が別に負担するのか、活動費の枠から出るのか。上限額や補助割合はどうか
  7. 引越費用と光熱水費を見る… 自己負担と書かれていることが少なくありません
  8. 任期後の支援に返還条項が付いていないかを見る… 丸森町のように、転出で返す仕組みがあります
  9. 資料の年度を見る… 富谷市のように3年前の要項しか無い例も、女川町のようにリンクだけ残ってファイルが消えている例もあります

応募の要件そのものは地域おこし協力隊の応募条件にまとめています。市町村ごとの詳しい内容は、仙台市石巻市気仙沼市栗原市東松島市富谷市七ヶ宿町利府町丸森町加美町女川町南三陸町の各記事にあります。

この記事は宮城県内の各市町村の募集要項・例規集・委託要領と、宮城県および総務省の公表資料をもとに作成しています。報酬額・契約形態・社会保険・住居や車の支援は年度ごとに見直され、資料の時点も市町村ごとに違います。応募を検討する際は、必ず各市町村の公式ホームページで最新の内容を確認してください。

よくある質問

Q.宮城県内で地域おこし協力隊の報酬がいちばん高いのはどこですか。

A.額面の月額だけを並べれば栗原市の305,000円です。ただしこの金額に社会保険は付きません。栗原市の募集要項には「栗原市との雇用関係はありません」「国民健康保険、国民年金は各自で加入していただきます」と書かれており、健康保険料も年金保険料も自分で全額納めます。加美町の任用型は月額230,400円と低く見えますが、会計年度任用職員として健康保険と厚生年金に町を通じて加入し、保険料は町と折半で、期末手当の対象にもなります。額面の順位は、手元に残る額の順位にはなりません。

Q.契約形態は何通りありますか。何が違いますか。

A.宮城県内では4通りに分かれます。市町村が委嘱するだけで雇用関係を持たない形(栗原市・東松島市・女川町・丸森町・石巻市の地域課題提案型)、受入事業者や受入企業が雇用する形(仙台市・気仙沼市・富谷市・南三陸町・利府町)、市町村が会計年度任用職員として任用する形(石巻市の右腕型・加美町の任用型)、業務委託の形(加美町の委託型・七ヶ宿町)です。社会保険の入り方、賞与の有無、税の納め方がそれぞれ違います。石巻市や加美町のように、同じ市町の中に2つの型がある例もあります。

Q.住居や引越の費用は市町村が負担してくれますか。

A.市町村と募集によって違います。上限が公表されているのは富谷市の月額50,000円、加美町の月額40,000円、栗原市の月額28,000円で、石巻市は家賃の2分の1を活動費補助の枠から出します。出どころも違い、富谷市と南三陸町は受入企業や受入事業者が、加美町は町が設置要綱の別表に基づき、東松島市と女川町は年200万円以内の活動費補助金の枠から出します。引越費用は栗原市・東松島市・富谷市・気仙沼市がいずれも個人負担と明記しています。光熱水費や自治会費も自己負担としている市があります。

参考にした公式ページ

情報は変わることがあります。最新の内容は各公式ページでご確認ください。

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新十津川町の地域おこし協力隊|奈良から開かれた町

新十津川町の地域おこし協力隊について、奈良県十津川村からの移住で開かれたという成り立ち、空知という地域での受け入れの状況、募集情報の探し方をまとめます。

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