仙台市の地域おこし協力隊|5つの事業と報酬・受入の仕組み
政令指定都市の仙台市が地域おこし協力隊を受け入れている4つの事業と、報酬や住居の支援をまとめます。
仙台市は東北で唯一の政令指定都市ですが、地域おこし協力隊の隊員を受け入れています。どの区域で、どういう形で募集されているのかを、仙台市と総務省の公式情報をもとにまとめます。
政令指定都市の仙台市にも隊員がいる
総務省が令和8年4月24日に公表した令和7年度の集計では、全国の隊員数は8,196名、取組自治体数は1,187団体(20道県と1,167市町村)でした。前年度から隊員数は286名、団体数は11団体増えています。
このうち宮城県は264名・29団体で、隊員数は全国9位です。市町村ごとの内訳を見ると、仙台市は14名でした。
「地域おこし協力隊は過疎地域の制度だから、政令指定都市には関係ない」と思われがちですが、実際には仙台市は受け入れる側に立てます。制度そのもののしくみは地域おこし協力隊とはにまとめています。
仙台市は「一部条件不利地域」に区分されている
総務省は「地域おこし協力隊及び地域プロジェクトマネージャーの特別交付税措置に係る地域要件確認表」で、全国の市町村を区分しています。令和4年4月1日時点の確認表で、仙台市(地方公共団体コード041009)は次のように記載されています。
- 地域要件区分:3大都市圏外 一部条件不利地域
- 指定都市:該当
- 条件不利地域:該当
- 3大都市圏:非該当
「一部条件不利地域」とは、市の区域の全部ではなく一部が条件不利地域にあたる市町村のことです。仙台市は市域の全部が条件不利地域ではないため、「全部」ではなく「一部」に区分されます。
この区分が大事なのは、引っ越す前にどこに住んでいたかによって、制度の対象になるかどうかが変わるからです。確認表は転出地ごとに適否を示しており、仙台市の行は次のようになっています。
| 引っ越す前に住んでいた場所 | 仙台市に転入する場合の扱い |
|---|---|
| 3大都市圏内の都市地域 | 対象 |
| 3大都市圏内の指定都市 | 対象 |
| 3大都市圏外の指定都市 | 対象 |
| 3大都市圏外の都市地域 | 転入先が条件不利区域内の場合に限り対象 |
| 3大都市圏内の一部条件不利地域 | 転出地が条件不利区域以外の場合に限り対象 |
| 3大都市圏内の指定都市(条件不利地域) | 転出地が条件不利区域以外の場合に限り対象 |
| 3大都市圏外の一部条件不利地域 | 転出地が条件不利区域以外で、かつ転入先が条件不利区域内の場合に限り対象 |
| 3大都市圏外の指定都市(条件不利地域) | 転出地が条件不利区域以外の場合に限り対象 |
| 3大都市圏内の全部条件不利地域 | 対象外 |
| 3大都市圏外の全部条件不利地域 | 対象外 |
読み替えると、こうなります。東京圏・名古屋圏・大阪圏の都市部(条件不利地域にあたらない市町村)から来る人は、仙台市内のどこへ引っ越しても対象になります。札幌市・広島市・福岡市のような3大都市圏外の指定都市から来る場合も同じです。
一方、3大都市圏の外にある一般の市町村から来る場合は、引っ越し先が仙台市内の条件不利区域でないと対象になりません。同じ宮城県内や隣県から移る人には、この制限がかかります。
仙台市の各協力隊の実施要領も、応募者の条件を「三大都市圏をはじめとする仙台市以外の都市地域等(総務省の確認表で定める過疎地域等の条件不利地域以外)に住民票を有し」「総務省『特別交付税措置に係る地域要件』を満たす者」と定めています。応募条件の全体像は地域おこし協力隊の応募条件にまとめています。
条件不利区域は旧秋保村・旧広瀬村・旧大沢村・旧根白石村
では仙台市のどこが条件不利区域なのか。仙台市の場合、根拠になっているのは山村振興法にもとづく振興山村の指定です。農林水産省の振興山村一覧表(平成28年4月1日現在)に、仙台市として次の区域が載っています。
| 合併前の市町村 | 指定された旧市町村 | 指定番号 | 指定年度 |
|---|---|---|---|
| 秋保町 | 秋保村 | 第89号 | 41年度 |
| 宮城町 | 広瀬村、大沢村 | 第721号 | 45年度 |
| 泉市 | 根白石村 | 第960号 | 46年度 |
いまの区名に置き換えると、太白区の秋保、青葉区西部の旧宮城町の区域、泉区北部の旧根白石村の区域にあたります。秋保と旧宮城町だけでなく、旧泉市の根白石も入っている点は見落とされやすいところです。
市が設けている5つの協力隊
仙台市の協力隊は一本ではありません。担当課ごとに別々の事業として設置されており、市の公式ページで確認できるのは次の5つです。
文化観光局観光戦略課が所管する3つ
- 西部地区観光地域おこし協力隊…活動地域は仙台市西部地区で、設置要綱は「主に東北自動車道より西側の地域」と定めています。観光資源の発掘・創出、観光地域づくりと情報発信が活動内容です。市のページでは4名の隊員が紹介されています(令和8年3月18日更新)。
- ナイトコンテンツ推進観光地域おこし協力隊…夜間や早朝に楽しめる観光コンテンツの開発と、既存のものを含めた販売・プロモーションが活動内容です。活動地域は仙台市内で、2名が紹介されています(令和7年9月3日更新)。
- 伝統的工芸品地域おこし協力隊…宮城県知事・経済産業大臣が指定した市内の伝統的工芸品について、製造技術・技法の継承、販売、プロモーションを行います。令和7年4月1日施行の要綱で始まった事業で、2名が紹介されています(令和8年3月18日更新)。
区役所が所管する2つ
- 南部拠点地域おこし協力隊(太白区役所長町地域活性化推進室)…南部拠点地域で活動する団体の支援、団体どうしの連携促進による新たな価値の創造、地域づくりと情報発信が活動内容です。2名が紹介されています(令和8年8月4日更新)。
- 泉区郊外居住地地域おこし協力隊(泉区役所まちづくり推進課)…昭和30年代後半から丘陵部で開発が進んだ団地で、居住者の高齢化と人口減少が進んでいることを受けた事業です。地域交流の促進、多様な人材の参画促進、情報発信が活動内容で、1名が紹介されています(令和8年6月29日更新)。泉区・隊員・特定非営利活動法人まちづくりスポット仙台の三者が覚書を結び、三者協働で実施しています。
このほか、観光コンテンツ創出地域おこし協力隊が令和3年度から令和6年度まで置かれていましたが、市のページでは「過去の実績」として整理されています。
なお、総務省の令和7年度の集計は仙台市を14名としていますが、市のページで紹介されている隊員は合わせて11名です。総務省の集計は令和7年度に活動した隊員を対象としたもので、市のページは各事業がそれぞれの更新日時点で紹介している隊員です。基準となる時点が違うため、数は一致しません。現在の在籍数を知りたい場合は担当課に確認してください。
報酬と任用の形|市の雇用ではない
観光戦略課が所管する3つの協力隊は、設置要綱と実施要領で条件が公開されています。
- 報償費は月額266,666円(所得税等を含む)で、3つとも同額です。委嘱日が月の途中だった場合は、その月の残日数に応じた額が支給されます。
- 市との雇用契約はありません。隊員は市長から委嘱を受けますが、雇用契約を結ぶ相手は市が指定する「活動支援事業者」です。要綱に「市との雇用契約は存在しないものとする」と明記されています。
- 任期は1年で、委嘱初年度は委嘱の日からその年度の3月31日まで。その後は年度ごとに延長し、最長3年までです。
- 隊員の人数は活動支援事業者1者あたりで上限があり、西部地区は3名まで、ナイトコンテンツ推進は2名まで、伝統的工芸品は1名までです。
- 応募条件として、3つともワード・エクセルなどの基礎的なパソコン操作とSNSなどでの情報発信ができることが挙げられています。西部地区はこれに加えて普通自動車運転免許が必要です。
- 活動支援事業者は、事前に市と協議したうえで、隊員が協力隊の活動以外の仕事で収入を得ることを認めることができます。
活動支援事業者は公募型プロポーザルで選ばれます。令和6年度の西部地区観光地域おこし協力隊活動支援業務(第2次)では、公益財団法人仙台観光国際協会が受託候補者に決まりました。
太白区の南部拠点と泉区の郊外居住地については、報酬額や契約形態を書いた要綱・要領が市のページで公開されていません。条件は担当の区役所に確認してください。
住居・車・活動費の扱い
観光戦略課が所管する3つの協力隊の実施要領には、次のように書かれています。
- 住居は活動支援事業者が指定します。自分で探して借りる形ではありません。
- 隊員の活動費は予算の範囲内で市が負担します。想定されている充当先は、住居の家賃、活動に使う車両の使用料と任意保険の保険料、傷害保険などの保険料、装備品・被服・消耗品の購入費(1点2万円が上限)、市が認める出張の交通費と宿泊費、情報発信に使う機器のリース料と通信料、必要な技術を学ぶための研修や資格取得の費用です。
- これ以外に必要になる項目は、市と協議したうえで決めるとされています。
- 社会保険の扱いは、公開されている要綱と実施要領には書かれていません。雇用主は市ではなく活動支援事業者なので、加入の有無や条件は事業者との雇用契約によります。応募の前に必ず確認してください。
移住支援金は協力隊とは別の制度
仙台市には、協力隊とは別に移住支援金があります。国と宮城県・仙台市が費用を負担し、仙台市が窓口になっています。
- 対象は東京圏から仙台市に移住した人です。協力隊の地域要件よりも対象が狭く、名古屋圏や大阪圏からの移住は含まれません。
- 金額は単身60万円、世帯100万円で、18歳未満のこども1人につき100万円が加算されます。
- 就業・起業の要件があり、宮城県が登録した法人への新規就業、テレワーク、関係人口(農林水産業への従事、家業の承継、市が指定するUIJターン促進イベントに参加したうえでの就業)、みやぎ起業促進事業を活用した起業のいずれかにあたる必要があります。
- 申請できるのは移住後1年以内です。予算の範囲内での交付で、予算がなくなり次第、受付を終了します。
- 申請日から3年に満たないうちに県外の市町村へ転出すると全額返還、3年以上5年以内の転出は半額返還になります。
窓口は経済局商業・人材支援課です。
応募したいときにどこを見るか
- 観光分野の3つは文化観光局観光戦略課が担当で、市のページに設置要綱と実施要領がPDFで置かれています。応募条件と報償費はここで読めます。
- 南部拠点は太白区役所長町地域活性化推進室、泉区の郊外居住地は泉区役所まちづくり推進課が担当です。
- 募集の締切や次の募集の予定は、この記事には書いていません。仙台市の観光分野の協力隊は活動支援事業者が募集・選定・採用を行い、そのあとで市が委嘱する流れになっています。募集ページは終了後に消えることが多いため、応募を考えているときは市のページと担当課に直接あたってください。
- 宮城県にはみやぎ地域おこし協力隊ネットワーク(令和6年4月設立)があり、県内の隊員どうしのつながりの場になっています。
この記事は仙台市公式ホームページと、総務省・農林水産省の公表資料をもとに作成しています。報酬や募集の状況、地域要件の区分は変わることがあります。最新の情報は必ず仙台市の公式ホームページで確認してください。
よくある質問
Q.仙台市は政令指定都市ですが、地域おこし協力隊に応募できますか。
A.できます。総務省の地域要件確認表で、仙台市は「3大都市圏外 一部条件不利地域」に区分されています。ただし引っ越す前に住んでいた場所によって扱いが変わり、3大都市圏内の都市地域や3大都市圏外の指定都市から移る場合は市内のどこでも対象になりますが、3大都市圏外の一般の市町村から移る場合は、転入先が市内の条件不利区域である必要があります。
Q.仙台市のどの区域が条件不利区域にあたりますか。
A.山村振興法にもとづく振興山村に指定されている区域です。農林水産省の振興山村一覧表には、仙台市として旧秋保村(秋保町)、旧広瀬村と旧大沢村(宮城町)、旧根白石村(泉市)が挙げられています。いまの区名でいうと、太白区の秋保、青葉区西部の旧宮城町の区域、泉区北部の旧根白石村の区域にあたります。
Q.仙台市の協力隊の報酬はいくらですか。
A.文化観光局観光戦略課が所管する西部地区観光・ナイトコンテンツ推進・伝統的工芸品の3つは、設置要綱で報償費が月額266,666円(所得税等を含む)と定められています。ただし雇用契約を結ぶ相手は市ではなく、市が指定する活動支援事業者です。太白区の南部拠点と泉区の郊外居住地の2つは報酬額が市のページで公開されていないため、担当の区役所に確認してください。
参考にした公式ページ
- 令和7年度における地域おこし協力隊の活動状況等|総務省
- 令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について(別紙)|総務省
- 地域おこし協力隊及び地域プロジェクトマネージャーの特別交付税措置に係る地域要件確認表(令和4年4月1日現在)|総務省
- 振興山村一覧表(平成28年4月1日現在)|農林水産省
- 観光分野における地域おこし協力隊の活用|仙台市
- 仙台市西部地区観光地域おこし協力隊|仙台市
- 仙台市西部地区観光地域おこし協力隊設置要綱|仙台市
- 仙台市西部地区観光地域おこし協力隊実施要領|仙台市
- 仙台市ナイトコンテンツ推進観光地域おこし協力隊|仙台市
- 仙台市ナイトコンテンツ推進地域おこし協力隊設置要綱|仙台市
- 仙台市ナイトコンテンツ推進地域おこし協力隊実施要領|仙台市
- 仙台市伝統的工芸品地域おこし協力隊|仙台市
- 仙台市伝統的工芸品地域おこし協力隊設置要綱|仙台市
- 仙台市伝統的工芸品地域おこし協力隊実施要領|仙台市
- 仙台市南部拠点地域おこし協力隊|仙台市
- 仙台市泉区郊外居住地地域おこし協力隊|仙台市
- 令和6年度仙台市観光地域おこし協力隊活動報告会を開催しました|仙台市
- 「令和6年度仙台市西部地区観光地域おこし協力隊活動支援業務(第2次)」に係る公募型プロポーザルの実施について|仙台市
- 【令和8年度の交付申請の受付を開始します】仙台市の移住支援事業(移住支援金)|仙台市
情報は変わることがあります。最新の内容は各公式ページでご確認ください。