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宮城県の地域おこし協力隊|受入状況・活動分野・任期後の定住

18分で読めます執筆: TownHub編集部
地域おこし協力隊仙台市

宮城県で地域おこし協力隊を受け入れている市町村と隊員数、活動分野、任期が終わったあとの定住状況をまとめます。

宮城県は、35ある市町村のうち29市町村が地域おこし協力隊を受け入れ、隊員数は全国で9番目に多い県です。一方で「宮城県の隊員は何人か」という問いには、公表資料によって3つの違う答えが返ってきます。総務省と宮城県、県内市町村の公式資料をもとにまとめます。

宮城県全体の受入状況

総務省が令和8年4月24日に公表した集計によると、令和7年度に宮城県で活動した地域おこし協力隊は264名、受け入れた自治体は29団体でした。全国では8,196名・1,187自治体(20道県と1,167市町村)が活動しています。

47都道府県を隊員数の多い順に並べると、宮城県は9番目です。上には北海道1,374名、長野県477名、島根県386名、福島県351名、岩手県348名、新潟県323名、高知県304名、熊本県297名が並びます。

総務省の一覧では、道県が自ら隊員を委嘱している場合に県名へ印が付きます。令和7年度に直接実施していたのは20道県で、宮城県はここに含まれていません。宮城県内の264名は、すべて市町村が受け入れている隊員です。

制度そのもののしくみは地域おこし協力隊とはにまとめています。

市町村別の隊員数(令和7年度)

総務省の集計にもとづく市町村別の内訳です。並び順は総務省の一覧と同じで、合計すると264名になります。

市町村隊員数
仙台市14名
石巻市13名
塩竈市5名
気仙沼市21名
白石市1名
角田市2名
登米市3名
栗原市17名
東松島市10名
大崎市6名
富谷市11名
蔵王町4名
七ヶ宿町12名
村田町5名
柴田町3名
川崎町5名
丸森町21名
亘理町5名
山元町9名
利府町18名
大和町1名
大郷町3名
大衡村1名
色麻町3名
加美町12名
涌谷町6名
美里町6名
女川町28名
南三陸町19名

この表の数字は、令和7年度という1年間を通して活動した隊員の通算です。次に説明するとおり、ある日の在籍数を数えた資料とは一致しません。

宮城県の市町村は全部で35です。総務省の令和7年度の一覧に出てこないのは、名取市・多賀城市・岩沼市・大河原町・松島町・七ヶ浜町の6市町です。受け入れるかどうかは各市町村の判断で、載っていないことが地域づくりに消極的だという意味にはなりません。集落支援員など別の仕組みを使っている場合もあります。

「宮城県の隊員数」は3つある

宮城県の隊員数を調べると、次の3つの数字に出会います。どれも公式で、どれも誤りではありません。

  • 264名・29自治体…総務省の集計。令和7年度という年度を通した通算
  • 169名・24市町(9市15町)…宮城県地域振興課のページ。令和7年4月1日時点の数(ページの掲載日は2025年11月4日)
  • 197名・29自治体…宮城県の「みやぎ移住・交流ガイド」。令和8年4月1日時点の数

3つが食い違うのは、数え方と基準日が違うからです。

年度の途中で任期を終えた隊員や、年度の途中で着任した隊員は、年度を通した通算には入りますが、特定の1日の在籍数には入りません。年度通算の264名が、ある日の在籍数である169名や197名より多くなるのは自然なことです。

宮城県自身が出している2つの数字を並べると、令和7年4月1日の24市町・169名から、令和8年4月1日の29自治体・197名へと、1年で受入自治体も隊員数も増えています。

顔ぶれも一致しません。宮城県の令和7年4月1日時点の一覧に載っている24市町と、総務省の令和7年度の29団体を突き合わせると、総務省だけに載っているのは白石市・角田市・大和町・大郷町・大衡村の5団体です。24に5を足すと29になります。年度の途中から隊員がいた、といった事情が考えられます。宮城県のページの一覧が「9市15町」で村を含まないのに対し、総務省の一覧には大衡村が入っている点も、この差と対応しています。

数字を引用するときは、どの資料の、いつ時点の数字なのかを必ず添えてください。「宮城県の地域おこし協力隊は何人か」という問いに、正しい答えは1つではありません。

特定の市町村に集中していない

264名がどう散らばっているかを見ます。隊員数の多い順に並べると次のようになります。

  • 女川町…28名
  • 気仙沼市…21名
  • 丸森町…21名
  • 南三陸町…19名
  • 利府町…18名

最も多い女川町の28名でも、県全体264名のおよそ10.6パーセントです。上位3団体を合わせて70名(26.5パーセント)、上位5団体で107名(40.5パーセント)、上位10団体で175名(66.3パーセント)になります。

比較のために隣県を挙げると、秋田県は176名のうち77名が東成瀬村1村で、これだけで県全体の43.8パーセントを占めます。宮城県には、そこまで1つの自治体に寄った形は見られません。

隊員数が10名を超える団体は、女川町・気仙沼市・丸森町・南三陸町・利府町・栗原市(17名)・仙台市(14名)・石巻市(13名)・七ヶ宿町(12名)・加美町(12名)・富谷市(11名)・東松島市(10名)の12団体で、沿岸部・内陸部・仙台市の近郊にまたがっています。

この分布は、県全体の平均を市町村ごとの実感として読み替えにくいことを意味します。人数の多さは受入テーマの幅広さとも一致しません。応募先は人数ではなく活動内容と受入体制で選んでください。各市町村の詳しい状況は、石巻市女川町気仙沼市南三陸町栗原市丸森町加美町七ヶ宿町利府町東松島市仙台市富谷市の記事にまとめています。

活動分野|県の集計はなく、市町村ごとに見るしかない

先に断っておくことがあります。宮城県は、隊員がどの分野で活動しているかの内訳を集計・公表していません。県のページに載っているのは受入自治体の数と隊員数までで、隣の秋田県のように活動内容つきの一覧は出していません。総務省の令和7年度の集計も市町村ごとの人数までで、分野の内訳はありません。

そのため「宮城県で農業に何人、観光に何人」という数字は、公表資料からは作れません。ここでは統計の代わりに、県内12市町村の公式資料で確認できた活動を実例として並べます。県全体を代表する割合ではなく、応募先を選ぶときの手がかりとして読んでください。

受入事業者に所属して活動する形をとる市町

  • 気仙沼市…9つの事業を8団体が雇用者として受け入れています。水産資源を使った新産業・特産品の創出、人材育成、観光地域づくり、移住者の受入支援、自伐林業、探究学習コーディネーター、体験メニュー開発、UIJターン定住促進、働きやすさ向上の各事業です
  • 女川町…駅前商業エリアのエリアマネジメント、観光協会での特産品販売とイベント、出島の遊歩道整備と体験活動、地域スポーツクラブの運営、高校生・大学生の教育プログラムの伴走支援など
  • 南三陸町…4事業者・6枠。オクトパス君のグローカル展開、デジタルファブリケーション、自然公園と持続可能性の戦略立案、探究学習フィールドづくり、水管理を行わない稲作、耕作放棄地を使ったフルーツパーク開園
  • 石巻市…令和8年度は10の受入先。海藻養殖、採用・広報、食と宿と体験、地域産品ブランディング、有機農業、震災伝承・防災教育、コミュニティファーマー、寄付車を使った防災、地域を編集する編集者、地域DX
  • 東松島市…受入先を実名で公開しています。食品製造、農業、かき養殖、水産、防災体験型宿泊施設、小規模多機能施設、バイクショップなど

市町村が業務や部門を立てて募集する形をとる市町

  • 栗原市…8つの業務。栗駒山麓ジオパーク、花山地区の小さな拠点づくり、六日町通り商店街、築館地区商店街、金成有壁の旧宿場町、観光物産、限界集落「文字地区」、くりでん保存
  • 仙台市…5つの事業。西部地区観光、ナイトコンテンツ推進、伝統的工芸品、南部拠点、泉区郊外居住地
  • 利府町…4つの部門。にぎわい創出、梨業、海業創出、移住コーディネーター
  • 加美町…令和7年度は音楽の振興、ドローン活用支援、農業の振興、日本酒の振興、KAMI Creative Academyの企画運営とサテライトオフィス誘致支援、農業と観光の振興、観光と食の魅力発信、商店街の活性化
  • 富谷市…ビジネスクリエイターと農業クリエイターの2区分。観光交流ステーション「とみやど」の運営と商品開発、養蜂、ブルーベリーの皮を使った化粧品の開発など
  • 丸森町…6つの受入先。移住・定住サポートセンター、移住起業家支援の「まるまるまるもり」プロジェクト、クラフトジンとウイスキーの製造、木版画と丸森和紙を使った商品づくり、養蜂園の素材を使った特産品開発、旧小学校を使った居場所づくり
  • 七ヶ宿町…3つの活動。まちづくり活動(七ヶ宿まちづくり株式会社)、芸術の里づくり活動(無限陶房合同会社)、観光協会活動

この12市町村に限って見ても、水産業や農林業のような一次産業から、商店街の再生、震災伝承、伝統的工芸品、デジタル、教育、観光まで並びます。同じ「宮城県の地域おこし協力隊」でも、やることは市町村ごとにまったく違います。分野で選びたい場合は、県の単位ではなく市町村の単位で探してください。

過疎地域でない市や町でも受け入れられる理由

「地域おこし協力隊は過疎地域の制度」という誤解があります。宮城県の一覧に、仙台市の近郊で人口が増えている富谷市(11名)や利府町(18名)が並んでいるのを見て、意外に思うかもしれません。

地域要件は、隊員として移り住む人が今どこに住んでいるか(転出地)と、受け入れる市町村がどこか(転入地)の組み合わせで決まります。過疎地域かどうかだけで決まる仕組みではありません。

総務省が公表している地域要件の資料では、原則の1つ目として趣旨を「3大都市圏をはじめとする都市圏から地方部への人の流れの創出を図る」とし、転入地を「3大都市圏外のすべての市町村、3大都市圏内の条件不利地域」と定めています。宮城県は3大都市圏外なので、県内35市町村のすべてが転入地の側の条件を満たします。富谷市や利府町が受け入れられるのはこのためです。

同じ資料には、転出地と転入地の区分を10通りずつに分けて組み合わせを示した表があり、特別交付税措置の対象かどうかが記号で示されています。凡例は次のとおりです。

  • ○…対象
  • △…対象(転出地に条件あり)
  • ▲…対象(転入地に条件あり)
  • □…対象(転出地と転入地の両方に条件あり)
  • ×…対象外

つまり同じ市町村に応募しても、応募者がどこから移ってくるかで結論が変わります

総務省は、市町村ごとにこの区分を示した「地域要件確認表」も公表しています。令和4年4月1日現在の表で宮城県の35市町村を見ると、次の3つに分かれます。

  • 3大都市圏外 都市地域(15市町村)…白石市、名取市、角田市、多賀城市、岩沼市、蔵王町、大河原町、村田町、柴田町、亘理町、七ヶ浜町、利府町、富谷市、大衡村、色麻町
  • 3大都市圏外 一部条件不利地域(9市町)…仙台市、石巻市、塩竈市、登米市、東松島市、大崎市、大和町、美里町、女川町
  • 3大都市圏外 全部条件不利地域(11市町)…気仙沼市、栗原市、七ヶ宿町、川崎町、丸森町、山元町、松島町、大郷町、加美町、涌谷町、南三陸町

35市町村のどれにも「3大都市圏」の印は付いていません。宮城県全体が3大都市圏の外にあることは、この表からも確認できます。条件不利地域の印が付かない15市町村に利府町と富谷市が含まれますが、転入地としてはいずれも対象です。

転出地の側の基準になる「三大都市圏内の都市地域」は、東松島市が公開している募集要項では埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、三重県、京都府、大阪府、兵庫県及び奈良県の区域全部と説明されています。宮城県はこの11都府県のいずれにも含まれません

転入地の側では「条件不利地域」という区分が使われます。同じ募集要項では、条件不利地域とは次の7つの法律のいずれかの対象地域・指定地域を有する市町村だと説明されています。

  • 過疎地域自立促進特別措置法(みなし過疎、一部過疎を含む)
  • 山村振興法
  • 離島振興法
  • 半島振興法
  • 奄美群島振興開発特別措置法
  • 小笠原諸島振興開発特別措置法
  • 沖縄振興特別措置法

条件不利地域にあたるかどうかは、過疎法だけでは決まりません。市町村の一部にこれらの指定地域があれば足ります。東松島市の場合、市内の条件不利地域は旧鳴瀬町の区域だとされており、応募者の住所によっては、その区域に住民票と生活拠点を移すことが条件として付きます。同じ市への応募でも、どこから来るかで条件が変わるということです。

仙台市だけは扱いが違う

宮城県内で1つだけ事情が違うのが仙台市です。仙台市は政令指定都市であり、同時に市域の一部が条件不利地域にあたります。その根拠は過疎法ではなく山村振興法です。

農林水産省の「振興山村一覧表」(令和8年4月1日現在)の宮城県の欄には、仙台市の行が3件あります。

  • (秋保町)秋保村…指定番号 第89号
  • (宮城町)広瀬村、大沢村…指定番号 第721号
  • (泉市)根白石村…指定番号 第960号

いずれも仙台市に合併される前の旧市町村の区域です。政令指定都市でありながら、市域の一部が振興山村として残っているために、仙台市は条件不利地域を有する市町村として扱われます。

地域要件確認表で仙台市の行を見ると、指定都市の印と条件不利地域の印が両方付いています。宮城県内で指定都市の印が付くのは仙台市だけです。区分は「3大都市圏外 一部条件不利地域」で、10通りの転出地に対する適否は○○▲○×△△×□△と記載されています。同じ仙台市への転入でも、たとえば次のように変わります。

  • 3大都市圏内の都市地域から移る場合…○(対象)
  • 3大都市圏外の都市地域から移る場合…▲(転入地に条件あり。転入先が条件不利区域内である必要があります)
  • 3大都市圏外の一部条件不利地域から移る場合…□(転出地と転入地の両方に条件あり)
  • 3大都市圏内の全部条件不利地域から移る場合…×(対象外)

仙台市の場合、この「条件不利区域」にあたるのが、先に挙げた振興山村の区域です。

ただし注意したいのは、この10列の記号そのものは、石巻市や女川町など同じ「一部条件不利地域」に区分される市町と同じだということです。仙台市を他と分けているのは指定都市の印のほうで、これは仙台市が転出地になるとき、つまり仙台市に住んでいる人が別の市町村の隊員になるときに効いてきます。他の市町村と同じ感覚で判断せず、募集要項の記載と自分の現住所を突き合わせて個別に確認してください。仙台市の隊員の実際の内容は仙台市の記事にまとめています。

応募できる人の条件は地域おこし協力隊の応募条件でも説明しています。

復興支援員は令和7年度で財政措置が終わる

宮城県で協力隊を調べていると、復興支援員という似た名前の制度が出てきます。東日本大震災の被災地でコミュニティ再構築にあたる人材の制度で、地域おこし協力隊とは別のものです。ここは書き分けないと混同します。

総務省の「令和7年度『復興支援員』取組状況」(令和7年度復興特別交付税の算定ベース)では、全国で18団体(2県16市町村)・170名が活動しています。うち宮城県内は5団体・25名です。

  • 宮城県(県事業)…3名
  • 石巻市…6名
  • 気仙沼市…12名
  • 東松島市…1名
  • 丸森町…3名

ここで令和8年3月27日付けの総務省の通知(総行応第69号)が効いてきます。この通知で復興支援員推進要綱が一部改正され、要綱の「被災地方自治体」の定義が「福島県及び福島県内市町村とする」に改められました。改正前の要綱では、この定義は東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律にいう「特定被災地方公共団体」などを指しており、宮城県内の団体も含まれていました。

通知の本文では、令和7年12月26日付けの震災復興特別交付税に関する事務連絡に基づき、福島県及び福島県内市町村については現在の措置を継続し、その他の団体については令和7年度で措置を終了するとされています。宮城県内の5団体25名は、この「その他の団体」にあたります。岩手県内の2団体11名も同じ扱いです。

そのうえで同じ通知は、令和8年度から令和12年度までを第3期復興・創生期間と位置づけた復興の基本方針に触れながら、コミュニティ再構築に向けた取組には復興支援員制度を引き続き活用する一方、一般的な地域振興の取組については「地域おこし協力隊等の一般施策を積極的に活用していただくようお願いします」と述べています。地域おこし協力隊が名指しで受け皿として挙げられている形です。

ただし、この一文は今回の改正で新しく加わったものではありません。平成28年6月16日付けおよび令和3年5月18日付けの過去の改正通知にも、ほぼ同じ文が入っています。今回の改正で初めて協力隊が代わりに指定された、と読むのは正確ではありません。変わったのは、宮城県内の団体が要綱上の「被災地方自治体」から外れ、財政措置の対象でなくなったという点です。

注意したいのは、協力隊の受入数が多い市町と、復興支援員がいた団体は同じではないことです。復興支援員がいた宮城県内の5団体のうち市町村は石巻市・気仙沼市・東松島市・丸森町の4つで、協力隊が最も多い女川町や南三陸町は含まれません。逆にこの4市町はいずれも協力隊も受け入れており、同じ市町で2つの制度が並行していました。募集を見るときは、まずどちらの制度の募集なのかを確かめてください。

契約形態が県内で4通りに割れている

宮城県の特徴として、同じ県内でも隊員の契約形態が1つに揃っていません。県内12市町村の設置要綱・募集要項を個別に確認すると、大きく4通りに分かれます。

  • 市町村が委嘱するだけで雇用関係を持たない形…東松島市、栗原市、女川町
  • 受入事業者が雇用する形…南三陸町、富谷市
  • 自治体が会計年度任用職員として任用する形…加美町(任用型)
  • 委託契約の形…利府町、七ヶ宿町、加美町(委託型)

この違いは待遇に直結します。たとえば東松島市の令和7年12月の募集要項には、「東松島市地域おこし協力隊として市が委嘱します」「東松島市や受入れ先企業との雇用契約、委託契約は存在しません。そのため、雇用保険には加入せず、個人事業主扱いとして活動します」と書かれています。報償等は月額260,000円で、賞与・退職金はなく、国民健康保険と国民年金は各自で加入・支払いとされています。

一方、受入事業者が雇用する形をとる市町では、社会保険の扱いが変わります。会計年度任用職員として任用する形なら、給与も条例にもとづいて決まります。同じ「宮城県の地域おこし協力隊」でも、社会保険や雇用保険の有無、報酬の性格、任期の数え方が変わります

月額の金額だけを並べて比べると順位を読み違えます。県内の報酬・契約形態・社会保険・住居の扱いを横断して並べた宮城県内の待遇比較を参照してください。報酬の一般的な決まり方は地域おこし協力隊の給料・年収で説明しています。

なお、産前産後や育児で活動を中断した期間を任期から除く規定を設置要綱に置いている自治体も、県内に複数あります。

任期後にその地域へ残る人はどれくらいか

総務省は任期を終えた隊員の定住状況を調べています。対象は令和2年4月1日から令和7年3月31日までの直近5年間に任期を終えた隊員で、調査時点は令和7年5月1日です。宮城県の結果は次のとおりでした。

  • 任期を終えた隊員…279名
  • そのうち同じ地域に定住した隊員…188名
  • 定住率…67.4パーセント

全国は8,762名のうち6,163名が定住して70.3パーセントですから、宮城県は全国平均をおよそ3ポイント下回ります。47都道府県を定住率の高い順に並べると宮城県は30番目ですが、愛媛県も表示上は同じ67.4パーセント(193名中130名)で、差はごくわずかです。順位そのものにあまり意味を持たせないでください。

東北6県を定住率の高い順に並べると次のようになります。

  • 青森県…74.3パーセント(105名中78名)
  • 福島県…68.7パーセント(310名中213名)
  • 宮城県…67.4パーセント(279名中188名)
  • 山形県…64.6パーセント(198名中128名)
  • 岩手県…63.5パーセント(296名中188名)
  • 秋田県…55.9パーセント(179名中100名)

この67.4パーセントを読むときの注意が2つあります。

1つは、定住率と、前に見た264名は別の集団の数字だということです。定住率は令和2年度から令和6年度に任期を終えた人の話で、264名は令和7年度に活動していた人の数です。片方をもう片方で割ることはできません。

もう1つは、「同じ地域に定住」の中身です。全国の内訳では、活動地と同一市町村内に定住した人が57.5パーセント、活動地の近隣市町村内に定住した人が12.8パーセントで、合わせて70.3パーセントになります。同じ市町村に残った人だけの割合ではありません。他の地域へ転出した人は23.0パーセントです。

任期後の仕事(なりわい)については、全国の数字しか公表されていません。しかもこの数字は、定住した人全体ではなく活動地と同一市町村内に定住した5,038名を母数にしています。内訳は起業が45.6パーセント、就業が34.8パーセント、就農・就林が11.6パーセント、事業承継が1.4パーセントです。定住率の表となりわいの表は母数が違うので、取り違えないでください。

総務省の調査は都道府県単位までで、市町村別の定住率は公表されていません。県単位の率だけでは実感がつかみにくいので、市町村が自分で公表している実数も挙げます。東松島市は、令和7年12月1日現在、1年以上の任期を終えて卒業した隊員25人中19人が地域に定住していると公表しています。県の67.4パーセントを、そのまま各市町村の状況として読むことはできません。

県の支援体制と相談先

宮城県は、県内で活動している隊員・地域づくり関係者・市町村職員を対象に支援を行っています。県が挙げているのは次の3つです。

  • 地域おこし協力隊サポート事業
  • 地域おこし協力隊等地域づくり人材養成事業
  • みやぎ地域おこし協力隊ネットワーク

みやぎ地域おこし協力隊ネットワークは、現役隊員とOB・OGの広域的なつながりの創出と、OB・OGによる現役隊員への活動支援体制の構築を目的として、令和6年4月30日に設立されました。県のページでは令和7年1月時点の会員数を95名としています。総務省がまとめた都道府県ネットワークの一覧にも「みやぎ地域おこし協力隊ネットワーク」の名称で、設立時期は令和6年4月と記載されています。入会できるのは現役隊員・OB・OG・自治体職員に限られます。

制度についての県の担当は地域振興課です。県内市町村の募集情報は「みやぎ移住・交流ガイド」に、地域おこし協力隊を含む求人としてまとめて掲載されています。

募集情報の確かめ方

この記事では、今どこが募集しているかを書いていません。締切は短い期間で入れ替わり、まとめサイトには終了した募集が残っていることがあるためです。

  • 気になる市町村の公式ホームページで「地域おこし協力隊」を直接探す。募集の有無にかかわらず、現役隊員の紹介ページを常設している自治体が多くあります
  • 報酬・任用形態・社会保険・活動内容・提出書類は、募集要項の原本で確認するのが確実です。同じ県内でも契約形態が4通りに割れているため、他の市町村の条件が当てはまるとは限りません
  • 宮城県の「みやぎ移住・交流ガイド」には、県内市町村の募集情報がまとめて掲載されています
  • 隊員数の多さで応募先を絞らないでください。宮城県は1つの自治体への偏りが小さく、人数の多い市町村が必ずしも受入テーマの幅広さを意味しません

この記事は総務省・農林水産省および宮城県、県内市町村の公式資料をもとに作成しています。隊員数や定住率は集計の年度と基準時点によって変わり、報酬・契約形態・支援内容は市町村ごとに異なります。募集の有無や締切、最新の条件は必ず各市町村と宮城県の公式ホームページで確認してください。

よくある質問

Q.宮城県の地域おこし協力隊は何人いますか。

A.基準によって答えが変わります。総務省の集計では、令和7年度に宮城県で活動した隊員は264名、受入自治体は29団体で、隊員数は全国9番目です。一方、宮城県地域振興課のページは令和7年4月1日時点で24市町・169名、県の「みやぎ移住・交流ガイド」は令和8年4月1日時点で29自治体・197名としています。総務省は年度を通して活動した隊員の通算、県の数字は特定の日の在籍数という違いがあり、どれも正しい数字です。引用するときは資料名と基準時点を必ず添えてください。

Q.宮城県内で隊員が多いのはどこですか。特定の市町村に偏っていますか。

A.令和7年度は女川町が28名で最も多く、次いで気仙沼市21名、丸森町21名、南三陸町19名、利府町18名と続きます。ただし最も多い女川町でも県全体264名の約10.6パーセントで、上位5団体を合わせても40.5パーセントです。隣の秋田県では176名のうち77名(43.8パーセント)が東成瀬村1村に集中しており、宮城県はそこまでの偏りがありません。人数の多さは受入テーマの幅広さを意味しないので、応募先は活動内容と受入体制で選んでください。

Q.宮城県の地域おこし協力隊は、どんな活動をしているのですか。

A.宮城県は活動分野の内訳を集計・公表していないため、県全体で分野ごとの人数を示すことはできません。市町村ごとに見るしかありません。県内12市町村の公式資料で確認できた範囲では、気仙沼市が9事業を8団体で受け入れ、南三陸町が4事業者6枠、石巻市が令和8年度に10の受入先、栗原市が8つの業務、仙台市が5つの事業、利府町が4つの部門を設けています。中身も、水産業や農林業といった一次産業から、商店街の再生、震災伝承・防災教育、伝統的工芸品、養蜂、日本酒、ドローン、デジタル、教育、観光まで幅があります。分野で応募先を選びたい場合は、県の単位ではなく市町村ごとの募集要項を見てください。

Q.過疎地域でない富谷市や利府町でも受け入れられるのはなぜですか。

A.地域要件は過疎地域かどうかだけで決まるものではなく、応募者が今住んでいる場所(転出地)と受け入れる市町村(転入地)の組み合わせで決まるためです。総務省の資料は転入地を「3大都市圏外のすべての市町村、3大都市圏内の条件不利地域」としており、宮城県は3大都市圏外なので県内35市町村すべてが転入地の条件を満たします。3大都市圏は埼玉・千葉・東京・神奈川・岐阜・愛知・三重・京都・大阪・兵庫・奈良の区域全部で、宮城県はいずれにも含まれません。ただし仙台市だけは、政令指定都市でありながら旧秋保村・旧広瀬村・旧大沢村・旧根白石村の区域が山村振興法の振興山村として残っているため「指定都市(条件不利地域を含む)」に区分され、転出地によっては転入先の区域に条件が付きます。募集要項と自分の現住所を突き合わせて個別に確認してください。

Q.復興支援員と地域おこし協力隊は何が違いますか。宮城県では終わるのですか。

A.別の制度です。復興支援員は東日本大震災の被災地でコミュニティ再構築にあたる人材の制度で、令和7年度の宮城県内は県事業3名・石巻市6名・気仙沼市12名・東松島市1名・丸森町3名の5団体25名でした。令和8年3月27日付けの総務省通知(総行応第69号)で復興支援員推進要綱が改正され、「被災地方自治体」の定義が福島県及び福島県内市町村に限定されたため、宮城県内の団体は令和7年度で財政措置が終了します。同じ通知は一般的な地域振興の取組に地域おこし協力隊等の一般施策を活用するよう求めていますが、この記載自体は過去の改正通知にもありました。終了するのは復興支援員への財政措置であって、地域おこし協力隊は宮城県内29団体で続いています。

Q.任期が終わったあと、宮城県に残る人はどれくらいですか。

A.総務省の調査では、令和2年4月1日から令和7年3月31日までの直近5年間に宮城県で任期を終えた279名のうち188名が同じ地域に定住し、定住率は67.4パーセントでした。全国平均は70.3パーセントで、47都道府県を高い順に並べると宮城県は30番目、東北6県では3番目です。この「同じ地域」には活動した市町村だけでなく近隣市町村も含まれます。市町村別の定住率は公表されていませんが、東松島市は令和7年12月1日現在で1年以上の任期を終えて卒業した隊員25人中19人が地域に定住していると公表しています。

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